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影の輪郭
預けるしかない背中
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廃ビルの屋上。風が強く吹きすさび、夜の帳が二人を包む。
蓮はスコープ越しにターゲットの動きを確認しながら、短く告げた。
「三人、南の階段から上がってくる。囲まれる前に仕留めるぞ」
「了解~、こっちはもうちょっとで遊び終わるとこだったのになぁ」
鴉は片手で通信を返しながら、ナイフを構えた。
蓮は眉をひそめる。
「真面目にやれ。ミスったら俺まで死ぬ」
「心配性だなぁ、お前。俺は失敗しないから大丈夫だよ」
だがその瞬間、蓮の背後のドアが勢いよく開いた。敵がもう一人、予想外の角度から突っ込んできた。
「っ……!」
咄嗟に反応するも、間に合わない。
「よっと!」
鴉のナイフが、蓮の肩越しに飛んで敵の首元を掠める。敵は倒れ、そのまま気絶。
蓮は驚き、目を見開く。鴉がすぐに背中合わせに立った。
「ったく、連携取らねぇと死ぬって言ったろ」
「……今のは助かった」
「言ったそばからこれだもん。信用されてないの、地味に傷つくぜ?」
「お前の口が信用を削るんだ」
「へいへい、でも今だけはちゃんと背中預けてくれんだろ?」
「……任務が終わったら、文句は山ほど言う」
「はいはい、それは楽しみにしとくよ」
敵の気配がまた近づく。背中を合わせたまま、二人は無言で刃を構えた。
蓮はスコープ越しにターゲットの動きを確認しながら、短く告げた。
「三人、南の階段から上がってくる。囲まれる前に仕留めるぞ」
「了解~、こっちはもうちょっとで遊び終わるとこだったのになぁ」
鴉は片手で通信を返しながら、ナイフを構えた。
蓮は眉をひそめる。
「真面目にやれ。ミスったら俺まで死ぬ」
「心配性だなぁ、お前。俺は失敗しないから大丈夫だよ」
だがその瞬間、蓮の背後のドアが勢いよく開いた。敵がもう一人、予想外の角度から突っ込んできた。
「っ……!」
咄嗟に反応するも、間に合わない。
「よっと!」
鴉のナイフが、蓮の肩越しに飛んで敵の首元を掠める。敵は倒れ、そのまま気絶。
蓮は驚き、目を見開く。鴉がすぐに背中合わせに立った。
「ったく、連携取らねぇと死ぬって言ったろ」
「……今のは助かった」
「言ったそばからこれだもん。信用されてないの、地味に傷つくぜ?」
「お前の口が信用を削るんだ」
「へいへい、でも今だけはちゃんと背中預けてくれんだろ?」
「……任務が終わったら、文句は山ほど言う」
「はいはい、それは楽しみにしとくよ」
敵の気配がまた近づく。背中を合わせたまま、二人は無言で刃を構えた。
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