灰に堕ちるその日まで

こりゃりゃ

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空白を超えて

対峙

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暗闇に包まれたビルの屋上、蓮は銃を構えながら静かに息を整えた。そこに、冷たい足音が響く。

「遅かったな、蓮くん。」

闇の中から真壁がゆっくりと姿を現した。その表情は冷酷で、どこか余裕すら漂っている。

「俺が鴉の居場所を教えた後の話、詳しく聞かせてもらおうか。」

真壁の声は低く、蓮を挑発するような響きを放つ。

「居場所を教えてくれたのは感謝している。が、お前には関係ない。」

真壁は軽く笑う。その瞬間、背後から音もなく鴉が現れた。

「……また会ったな。」

鴉の声は冷たく、まるで刃物のように蓮の胸を突く。

「鴉……」

蓮の視線は揺れたが、すぐに銃口を鴉に向ける。

「狙いは俺か?」

鴉は一歩も動かず、淡々と答えた。

「俺はお前を殺しに来たわけじゃない。」

「殺しに来たわけじゃない?それでも俺の敵だろう?」

蓮の声に鴉は一瞬だけ目を伏せた。

「……敵は敵だ。」

真壁は冷たく笑いながら銃を抜いた。

「じゃあ、話は早いな。」

蓮も構えを強める。

「これが、お前の選んだ場所か」
蓮の声には怒気も、哀しみも、揺らぎも混ざっていた。

「そうだ――」

言い終わるより早く、真壁が撃った。
乾いた銃声が夜を裂き、蓮は即座に身を翻す。

鴉も動いた。
蓮の動線を読むように間合いを詰め、銃口を向けた。けれど――その指は、ほんの一瞬だけ、引き金から離れていた。

「撃てよ、鴉……敵なんだろ?」

蓮の叫びに応えるように、真壁が連射する。蓮は遮蔽物へ飛び込み、わずかな隙間から反撃。
銃弾が鉄を叩く音と、コンクリートに跳ねる火花が入り乱れる。

「……邪魔だよ、真壁。」
鴉が、低く言った。

「は?」

「お前の弾は無駄が多い。俺の“獲物”は――蓮だけだ。」

真壁が目を細めた。「なんだと?」

「俺が殺る。……俺の仕事は“処理”することだ。」

鴉が蓮に向けて引き金を引いた。
閃光。銃声。風が巻き上がる。

だが、蓮の頬をかすめた弾は、命を奪う角度を微妙に逸れていた。
鴉の眼だけが、確かに揺れていた。

蓮が反撃に出る。
鴉と銃口を向け合い、互いに踏み込む――拳が、銃が、言葉の代わりに火花を散らす。

「何で……お前がそんな顔で俺を見るんだよ!!」

「俺のことは忘れろ。蓮……お前の敵は、俺だ。」

もう、言葉だけでは止まらない。
ただの敵として、ただの仲間として、もうどちらにも戻れない。

血の臭いが、風に溶けた。
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