灰に堕ちるその日まで

こりゃりゃ

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交差点の記憶

双子の運命

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夜。任務帰りの静けさのなか、本部の屋上に二人分の足音が響いていた。
風が吹き抜け、遠くでヘリの音がかすかに聞こえる。

鴉は手すりに肘をかけ、夜空を仰ぐ。蓮は隣に立って黙って待っていた。

「……宵宮は、双子の弟なんだ」

ぽつりと落ちた言葉に、蓮は視線を向ける。鴉の横顔はどこか遠くを見ていた。

「小さい頃は、何をするにも一緒だった。泣くのも、笑うのも、怒るのも……全部、同じタイミングでさ。アイツの感情は、俺の鏡みたいだった」

蓮は黙って聞いている。

「でもある日から、ズレてしまったんだ。俺はあの日あいつを裏切った。約束をやぶったんだ。」

鴉の声に、少しだけ震えが混じる。

「裏の世界に引き込まれたのは……俺のせいだ。俺が、あいつを守りきれなかった」

「……違うだろ」と蓮が低く言う。「お前が背負うことじゃない」

「それでも、兄として、双子として、どうしても許せなかった。あいつを見捨てた俺を……」

鴉は自嘲気味に笑った。

「だから、全部終わったら……俺はアイツに、ちゃんとケリをつけるつもりだ」

蓮は一歩、鴉に近づいて言った。

「お前がどんな決断をしても、俺は受け止める。でも……一人で終わらせるな。お前が抱えてるもん、少しぐらい分けろよ」

鴉はしばらく黙っていたが、ふっと小さく笑う。

「……バカだな、お前は」


夜風が、二人の間を静かに吹き抜けていった。
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