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指で耳を挟むようにしてから、グイっと穴を広げる。
そこから耳掃除は始まるのだが…
(思ったより、あれだと見えないんだよな)
傑はそう思うのだ、目ではなく、指先の感覚で耳かきを動かしてくのだが、繊細すぎて、自分では集中できる時間がわずかといってもいい。
タモツも蘆根も教えてくれる人なのだが、それでも少しでも早く身に付けたくて、技を観察している。
グイグイ
あの動きはおそらく耳垢の塊があったのであろう、それを皮膚から離しているのではないか。
一般人には耳かきをしているとしか見えないが、そこはやはり同業者、たぶんそうしているが見える。
店内が暗くなる、太陽が雲に隠れたから?と思いきや、窓の外にイツモがいて、こちらを見ている。
(本当にケットシーってよくわからないよな)
猫アレルギーがほぼ起きない、猫にしか見えないが、猫とは異なる点がたくさんあるという種族。
蘆根が飼い主になったのも、イツモの父親が子猫のイツモをくわえてやってきたそうだ。
元々イツモは今は駐車場になっているところにあった一軒家の生まれ、その時はまだ蘆根は浜薔薇には通いである。
現在蘆根が住んでいる家は、この家空き家になるんだけども、どうしようか?という話が出たときに、蘆根にどうか?と話を持ってきたことから始まる。
「誰も住まないから、そのままだと傷んじゃうし、取り壊すのにも何百万なのさ」
すると浜薔薇のお客さんである大工さんがいて。
「こういう話が出ているんですけども、どうしたらいいですかね?」
相談したところ。
「それならリフォームなんだが、コツがあって」
そこでコツを教えてもらい、また金融機関にも近所の人が。
「任せろ!」
と交渉してくれた。
「想像より浮きましたね」
「お金っていうのは使うときは使うんだから、浮かせるところは浮かせておくんだよ!」
名言である。
浜薔薇の近所は昔は街道だったために、商人が多かったらしい、そのために店はやってはいないが、こういう風な人たちがたくさんいる。
「すいませんね、本当」
「謝ることはないよ、最近はさ、本当さ、最初からこういう値段と条件持ってくる人が減ったからさ」
「舐めているとしか思えないよね」
この人たちは敵に回してはいけないと思った。
それこそ何百万もの仕事をしてくれたため、このお二人はマッサージと耳かきは蘆根がいる限り、永久サービスがついている。
そしてこの二人はわかっているので、混み時間は来ない、時間がゆっくりあるときの方が蘆根がいい仕事をするのを知っているからであった。
「ここのお茶も美味しいよね、香ばしさが違うっていうか」
「お茶の先生が監修してて」
「あ~あの先生か」
この商売人達からすると、こだわるのは悪くはないが赤字を出しても、やり方を変えないのはどうだろうかな?という感じ。
「まっ、仕事じゃないから、細かくは言わないよ」
「はい、お願いします」
「ああ、そこ気持ちいい」
「疲れすぎです、肩から目に来てますよ」
「だってしょうがないじゃん、こういうお仕事だから!」
「かもしれませんが」
グリグリ
「うっ、そこは!」
蘆根のマッサージは気持ちいいもできますが、こちらは早くさっぱりさせてもらいたいと、多少強度を上げて行われています。
「ダメですよ、ここまで疲れを残したまま働いちゃ、それじゃあ、タモツ先生、耳かきお願いします」
「俺の出番だな」
マッサージを受けたことにより、放心状態になっている耳は、掃除がしやすい。
「いつもここまで素直なら、耳かきがしやすいんだがな」
ジャリ
耳の中が荒地と化してある。
それを竹の耳かきでかき出そうとしたのならば、そりゃあいい音がする。
静かな静かな店内で響く耳掃除の音色。
すす竹のサジの上にはたっぷりと垢が乗り、とんとんと紙におとした。
耳の毛も結構伸びているのがわかる、これは一度掃除をした後に、カミソリで丁寧に剃られて、綿棒で剃られた毛を片付けるのがいいのではないか。
そんな楽しい妄想はしていると、奥から穴を塞いでいたのではないかと思えるほどの大物が出てくる。
その大物を取った後は、耳の中がよく見えた。
毛はまばらに生えてはいるが、粉のような垢が毛になっているではないか。
これは丁寧に、丁寧に取り除く。
カリ
次に耳かきの先端がこびりついていた垢を剥がし始めた。
ペリリリリ
千切れずに上手いこと耳の外に出てくれる、これがタモツの技といっていい、下手にやるとこのように薄い色をした垢はちぎれてしまう。
(あ~もっと近くでみたい)
耳かき好きの常連客はハァハァした気持ちを抑えるのに必死だ、ああ、あの手元を撮影して、それを家で見れないか、そして「ああでかい、こんなにでかいのってありえるの!」とか「もうちょっともうちょっと奥攻めて!」とか声に出せたらいいのになどと思った。
(あのお客さんも耳かき覚えたいのだろうか?)
傑は自分と同じようにじっとみているお客さんに対してそう思ったのだが、知らぬが仏というやつだ。
(浜薔薇は耳かきもいいが、耳かきされる方も汚い耳で最高だわ)
待ち時間をこのように楽しんだ後に自分の耳を掃除してもらえるので、浜薔薇にやってきた耳かきファンの満足度は高かった。
そこから耳掃除は始まるのだが…
(思ったより、あれだと見えないんだよな)
傑はそう思うのだ、目ではなく、指先の感覚で耳かきを動かしてくのだが、繊細すぎて、自分では集中できる時間がわずかといってもいい。
タモツも蘆根も教えてくれる人なのだが、それでも少しでも早く身に付けたくて、技を観察している。
グイグイ
あの動きはおそらく耳垢の塊があったのであろう、それを皮膚から離しているのではないか。
一般人には耳かきをしているとしか見えないが、そこはやはり同業者、たぶんそうしているが見える。
店内が暗くなる、太陽が雲に隠れたから?と思いきや、窓の外にイツモがいて、こちらを見ている。
(本当にケットシーってよくわからないよな)
猫アレルギーがほぼ起きない、猫にしか見えないが、猫とは異なる点がたくさんあるという種族。
蘆根が飼い主になったのも、イツモの父親が子猫のイツモをくわえてやってきたそうだ。
元々イツモは今は駐車場になっているところにあった一軒家の生まれ、その時はまだ蘆根は浜薔薇には通いである。
現在蘆根が住んでいる家は、この家空き家になるんだけども、どうしようか?という話が出たときに、蘆根にどうか?と話を持ってきたことから始まる。
「誰も住まないから、そのままだと傷んじゃうし、取り壊すのにも何百万なのさ」
すると浜薔薇のお客さんである大工さんがいて。
「こういう話が出ているんですけども、どうしたらいいですかね?」
相談したところ。
「それならリフォームなんだが、コツがあって」
そこでコツを教えてもらい、また金融機関にも近所の人が。
「任せろ!」
と交渉してくれた。
「想像より浮きましたね」
「お金っていうのは使うときは使うんだから、浮かせるところは浮かせておくんだよ!」
名言である。
浜薔薇の近所は昔は街道だったために、商人が多かったらしい、そのために店はやってはいないが、こういう風な人たちがたくさんいる。
「すいませんね、本当」
「謝ることはないよ、最近はさ、本当さ、最初からこういう値段と条件持ってくる人が減ったからさ」
「舐めているとしか思えないよね」
この人たちは敵に回してはいけないと思った。
それこそ何百万もの仕事をしてくれたため、このお二人はマッサージと耳かきは蘆根がいる限り、永久サービスがついている。
そしてこの二人はわかっているので、混み時間は来ない、時間がゆっくりあるときの方が蘆根がいい仕事をするのを知っているからであった。
「ここのお茶も美味しいよね、香ばしさが違うっていうか」
「お茶の先生が監修してて」
「あ~あの先生か」
この商売人達からすると、こだわるのは悪くはないが赤字を出しても、やり方を変えないのはどうだろうかな?という感じ。
「まっ、仕事じゃないから、細かくは言わないよ」
「はい、お願いします」
「ああ、そこ気持ちいい」
「疲れすぎです、肩から目に来てますよ」
「だってしょうがないじゃん、こういうお仕事だから!」
「かもしれませんが」
グリグリ
「うっ、そこは!」
蘆根のマッサージは気持ちいいもできますが、こちらは早くさっぱりさせてもらいたいと、多少強度を上げて行われています。
「ダメですよ、ここまで疲れを残したまま働いちゃ、それじゃあ、タモツ先生、耳かきお願いします」
「俺の出番だな」
マッサージを受けたことにより、放心状態になっている耳は、掃除がしやすい。
「いつもここまで素直なら、耳かきがしやすいんだがな」
ジャリ
耳の中が荒地と化してある。
それを竹の耳かきでかき出そうとしたのならば、そりゃあいい音がする。
静かな静かな店内で響く耳掃除の音色。
すす竹のサジの上にはたっぷりと垢が乗り、とんとんと紙におとした。
耳の毛も結構伸びているのがわかる、これは一度掃除をした後に、カミソリで丁寧に剃られて、綿棒で剃られた毛を片付けるのがいいのではないか。
そんな楽しい妄想はしていると、奥から穴を塞いでいたのではないかと思えるほどの大物が出てくる。
その大物を取った後は、耳の中がよく見えた。
毛はまばらに生えてはいるが、粉のような垢が毛になっているではないか。
これは丁寧に、丁寧に取り除く。
カリ
次に耳かきの先端がこびりついていた垢を剥がし始めた。
ペリリリリ
千切れずに上手いこと耳の外に出てくれる、これがタモツの技といっていい、下手にやるとこのように薄い色をした垢はちぎれてしまう。
(あ~もっと近くでみたい)
耳かき好きの常連客はハァハァした気持ちを抑えるのに必死だ、ああ、あの手元を撮影して、それを家で見れないか、そして「ああでかい、こんなにでかいのってありえるの!」とか「もうちょっともうちょっと奥攻めて!」とか声に出せたらいいのになどと思った。
(あのお客さんも耳かき覚えたいのだろうか?)
傑は自分と同じようにじっとみているお客さんに対してそう思ったのだが、知らぬが仏というやつだ。
(浜薔薇は耳かきもいいが、耳かきされる方も汚い耳で最高だわ)
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