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封印されているアクセル
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「それでは出口までお送りします」
結構広いKCJ支部。
(有名な設計士とか手がけているんだろうな)
外から見た感じと、中に入った開放的な空間の差、限られた場所をいかにして活用するか、こういうところに蘆根は唸るのだが。
(すいません、本当のことは言えませんが、剣と魔法の世界が関わってるんですよ)
大人も乗れるケットシーの運転手の東司が、後ろに乗る蘆根に心の中で謝った。
チャララ~
楽しそうなメロディと共にゆっくりと動き出す、大人も乗れるケットシー。こちらはKCJの館内ツアーの際にも使われていますが、この二人乗りで運転できるタイプはガイド専用で、お客さんは1人乗りのケットシーに乗り(子供さんがいる場合は一緒に乗れます)、まるで子猫のようにぞろぞろと自動でついていくシステムになっている。
ツアーは見学区域から奥の食堂で休憩をとり、玄関に戻って終わりというもの、子供よりも大人のケットシー好きが騒ぐというもの。
「歩いても良かったんですが、蘆根さんこういうのお好きなようなんで」
「大好きです!」
どのぐらい好きかというと、もしも体育館にこれらの乗り物を自由に乗っていいと言われたら、ずっと楽しげなメロディを流しながら乗っているだろうなというぐらい気に入っていた。
(上下に動くのもいいが、この運転出来るタイプもいいよな)
「これ、実はアクセルがあるんですよ、踏みませんけど」
「アクセル!」
「ケットシーのいきなり走り出す、あれを再現してます」
アクセルを見せてはくれたが、踏まないことと書いてあった。
「それでお土産ですか」
ケットシーもご家族も一緒に美味しく食べれる乾麺セットを傑はもらった。
「近いうちにやっぱり臨時休業して、みんなで出張か、組合の人に話して誰か行ってもらうとかはあるだろうなって感じだった」
「話を聞くと、出張で行く場合は身元しっかりしたといいますか、うちでなくても決まった人が行った方がいい気がしますね」
「そこは思ったな、というか、そういう話になるとも思わなかったし、まあ、実際に当事者にらないとわからない苦悩とかありそうだなとは思った」
「先輩は…」
「ああいいよ、話すよ、俺の学生時代、傑の先輩やる前の義務教育から高等教育にかけて、定期的にそういう被害にあった同級生や友達とかがいたもんでな、そういう意味では普通の人よりも対応は馴れているというか、なんというかってことだが…」
「なるほど、それでですか」
「KCJの人たちともまた違うししな、あの人たちは責任もって、俺が無責任というわけではないけども、資格もっていたり、行政でないとできないことっていうのもあるし、そこじゃ埋めれないものがあるのも知っているから、そこは燻ってたんだよ」
「だからこの道に?」
「いや、この道は単純にすげぇ人たちがいるからかな」
「先輩の出身校からうちの学校に行く人って珍しいというか、ご実家を継ぐという形でもなかったし」
「自分の腕で生きる人たちは尊敬するじゃん」
「まあ、その気持ちもわかりますが」
「傑は?」
「僕はスタイリスト方面が最初は考えてましたよ、ただ途中でこれはお金がいくらあっても足りなくなるんだろうなってことで」
「あるあるだな」
「確かに僕の場合は、実家がありますけもどもね、一代で築いたので、僕みたいなのが継ぐのはあんまりよくないと思いますし、もしも継ぐなら同業他社とか、独立目的とか、そういうのでやりますよ」
「そうだな、たぶんその方がおじさん喜ぶ…あっ、そういえばおじさんはおじさんでKCJのバザーに関わっていたはずだぞ」
「えっ?それは知りませんでした」
「だって聞かれたからな」
蘆根くん、聞きたいんだけどもさ、KCJってどういうところ?
「ああ、それは」
「あれだろ、支援するか迷っていたりするから、意見求めてきたってやつじゃないかな、まあ、バザーとかに後援したって聞いたし、お眼鏡にかなっていうところだな、まあ、そうだな、おじさんと一緒にケットシーに乗りながら話してみたらどうだ?話はずみそうじゃないか?」
「えっ?」
「普段は言えないことも大人も乗れるケットシーに乗りながらなら、話せるかもしれないだろ!なっ、いい考えだろ?」
「…そうですね、まずは先輩とうちの父がやってみたらいいんじゃないですか?」
「おいおい、いいのかよ、話はずみまくってスーパーボールだぞ!」
傑の父とは年の離れた友人のような関係だったりします。
絶対に自分はそういう親子の会話をしたくはなかったので、遠慮がちにそういったのだが、蘆根は乗り気である。
「やっぱり体育館借りてか、そこにケットシーを借りてきて、二時間ぐらい」
現実的なプランを練っているようだが。
「今はあまり体育館を借りるという時節では」
「ああ、そうか、そこか、早くそういうのも気軽に借りれるようにならないかな、日常って奴が恋しくなるぜ」
日常が戻ってきたとしても、絶対に阻止しよう、傑はそう決めているのだが…
「封印されているアクセルも踏んでみたいんだよな」
蘆根はその気になっている。
結構広いKCJ支部。
(有名な設計士とか手がけているんだろうな)
外から見た感じと、中に入った開放的な空間の差、限られた場所をいかにして活用するか、こういうところに蘆根は唸るのだが。
(すいません、本当のことは言えませんが、剣と魔法の世界が関わってるんですよ)
大人も乗れるケットシーの運転手の東司が、後ろに乗る蘆根に心の中で謝った。
チャララ~
楽しそうなメロディと共にゆっくりと動き出す、大人も乗れるケットシー。こちらはKCJの館内ツアーの際にも使われていますが、この二人乗りで運転できるタイプはガイド専用で、お客さんは1人乗りのケットシーに乗り(子供さんがいる場合は一緒に乗れます)、まるで子猫のようにぞろぞろと自動でついていくシステムになっている。
ツアーは見学区域から奥の食堂で休憩をとり、玄関に戻って終わりというもの、子供よりも大人のケットシー好きが騒ぐというもの。
「歩いても良かったんですが、蘆根さんこういうのお好きなようなんで」
「大好きです!」
どのぐらい好きかというと、もしも体育館にこれらの乗り物を自由に乗っていいと言われたら、ずっと楽しげなメロディを流しながら乗っているだろうなというぐらい気に入っていた。
(上下に動くのもいいが、この運転出来るタイプもいいよな)
「これ、実はアクセルがあるんですよ、踏みませんけど」
「アクセル!」
「ケットシーのいきなり走り出す、あれを再現してます」
アクセルを見せてはくれたが、踏まないことと書いてあった。
「それでお土産ですか」
ケットシーもご家族も一緒に美味しく食べれる乾麺セットを傑はもらった。
「近いうちにやっぱり臨時休業して、みんなで出張か、組合の人に話して誰か行ってもらうとかはあるだろうなって感じだった」
「話を聞くと、出張で行く場合は身元しっかりしたといいますか、うちでなくても決まった人が行った方がいい気がしますね」
「そこは思ったな、というか、そういう話になるとも思わなかったし、まあ、実際に当事者にらないとわからない苦悩とかありそうだなとは思った」
「先輩は…」
「ああいいよ、話すよ、俺の学生時代、傑の先輩やる前の義務教育から高等教育にかけて、定期的にそういう被害にあった同級生や友達とかがいたもんでな、そういう意味では普通の人よりも対応は馴れているというか、なんというかってことだが…」
「なるほど、それでですか」
「KCJの人たちともまた違うししな、あの人たちは責任もって、俺が無責任というわけではないけども、資格もっていたり、行政でないとできないことっていうのもあるし、そこじゃ埋めれないものがあるのも知っているから、そこは燻ってたんだよ」
「だからこの道に?」
「いや、この道は単純にすげぇ人たちがいるからかな」
「先輩の出身校からうちの学校に行く人って珍しいというか、ご実家を継ぐという形でもなかったし」
「自分の腕で生きる人たちは尊敬するじゃん」
「まあ、その気持ちもわかりますが」
「傑は?」
「僕はスタイリスト方面が最初は考えてましたよ、ただ途中でこれはお金がいくらあっても足りなくなるんだろうなってことで」
「あるあるだな」
「確かに僕の場合は、実家がありますけもどもね、一代で築いたので、僕みたいなのが継ぐのはあんまりよくないと思いますし、もしも継ぐなら同業他社とか、独立目的とか、そういうのでやりますよ」
「そうだな、たぶんその方がおじさん喜ぶ…あっ、そういえばおじさんはおじさんでKCJのバザーに関わっていたはずだぞ」
「えっ?それは知りませんでした」
「だって聞かれたからな」
蘆根くん、聞きたいんだけどもさ、KCJってどういうところ?
「ああ、それは」
「あれだろ、支援するか迷っていたりするから、意見求めてきたってやつじゃないかな、まあ、バザーとかに後援したって聞いたし、お眼鏡にかなっていうところだな、まあ、そうだな、おじさんと一緒にケットシーに乗りながら話してみたらどうだ?話はずみそうじゃないか?」
「えっ?」
「普段は言えないことも大人も乗れるケットシーに乗りながらなら、話せるかもしれないだろ!なっ、いい考えだろ?」
「…そうですね、まずは先輩とうちの父がやってみたらいいんじゃないですか?」
「おいおい、いいのかよ、話はずみまくってスーパーボールだぞ!」
傑の父とは年の離れた友人のような関係だったりします。
絶対に自分はそういう親子の会話をしたくはなかったので、遠慮がちにそういったのだが、蘆根は乗り気である。
「やっぱり体育館借りてか、そこにケットシーを借りてきて、二時間ぐらい」
現実的なプランを練っているようだが。
「今はあまり体育館を借りるという時節では」
「ああ、そうか、そこか、早くそういうのも気軽に借りれるようにならないかな、日常って奴が恋しくなるぜ」
日常が戻ってきたとしても、絶対に阻止しよう、傑はそう決めているのだが…
「封印されているアクセルも踏んでみたいんだよな」
蘆根はその気になっている。
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