浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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にゃーにゃーにゃん

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イツモが少しうとうとしていたので、そこに手を伸ばして傑はマッサージをようと思ったところ。
パチッ
目が開くと同時に、静電気が、そして傑の顔を見ると、あっ、なんだと安心してまた目をつぶる。
「なんか悔しいなって」
つまり何か触られているのが傑だったので安心したのであり、マッサージとイツモには思われていないということなのだ。
「でもな、逆に俺がやるとな」
爆睡、&たまにイビキ。
「何しても起きなくなるんだ」
マッサージが終わっても起きない、起こそうとしても起きないのでしょうがないから、そのまま運んで寝床につれていったりする。
「くっ、先輩のその域になるためにはどれだけかかるんでしょ」
蘆根はこういうノリが大好きである。
「そりゃあまあ、何年もかかってだな」
達人を追いかけるのも好きだが、こう苦難を乗り越えてこようとするのもいいなとは思う。
「まあ、何回か喋ったけども、俺の場合はマッサージがあったから、それで自分の疲れをとって、よくさ、仕事したらもう寝るだけとかあるじゃん、あそこまでならないんだよ、マッサージを自分にすると、少なくとも朝の目覚めが変わるわけ、二時間ぐらいかな、朝早くに起きても疲れがとれている、だからその二時間をこれからのためにゆるーく使うんだよな」
「ゆるーくですか」
「そう、本当はつめ込みとか、もっと濃くやればいいのかもしれないけども、そうすると本業っていうやかな、勉強とか、仕事とかに影響しちゃうから、あくまでゆるーく、今学生時代なら、仕込みじゃないけども将来のために色々と調べたり、その業界について話を聞いたりするといいとは思う」
「先輩ってタモツ先生以外にも色んなところに行ったと行ってましたが」
「そうだな、自分の髪はまず上手いだろうなっていうところにいって切ってもらった、今はネットがあるから、そこのヘアカットの写真なんか見たらわかるだろ?」
「そうですね」
「それとか、独自のサービスしているところとか、お客さんのブログとかな、耳かき、耳掃除に関しては好きな人多いじゃん」
これを見ている人たちとかな!
「まあ、そういうのに載ってないところとか行くのも好きだけども」
結構蘆根はいい性格しているようです。
「あれだぞ、今、君たちが通りすぎたこの店の耳掃除はしたことがあるか、最高なんだぞって心の中で思ったりする」
「うわ…先輩の闇をはじめて見ました」
「いや、だってよ、本当に値段なんかも手頃なのに、なんで来ないのかなって、平均的なお値段で個室でカットして、シャンプーして、ブローして、お耳を掃除してくれるのよ、近所にあったら通うわになるじゃん」
「僕たちの目線と、お客様の目線は違うのでは?」
「……」
「……」
「えっ?」
「求めるものが先輩とお客さんでは違うのではありませんか?」
「……」
「値段とか、手軽さとか」
「…俺はこの仕事していて大丈夫なんだろうか」
「予約はたくさん入ってますが!」
「…独りよがりでは?」
「予約はたくさん入ってますが?」
「これで予約がたくさん入ってなかったら、世を儚むところだったが」
「今、先輩がお店をやめたら、お客さんたちが押し寄せてきますよ」
蘆根、何があった、困ったことがあったら相談に乗るぞ。
あれか金がないならカンパは集める!
お前の技を、こだわりをもう一度見せてくれよ!
「そういわれたら嬉しいけどもな」
(本気にしてない)
思うのだが、もしもここでファンのみなさんが、今の蘆根の発言を聞いたら、先程の程度では、いわゆるこんなもんでは済まないのではないか。


「今日から一週間は残業はしません」
「理由を聞いても?」
「推しが尊いのです、今こそファンである自分が試させるときなのです」

「君は本気で言ってるのかね?」
「はい、今よりも生産性をあげるのならば、スタッフには癒しが必要です、福利厚生として浜薔薇のマッサージを受けることを私は提案いたします」

「にゃーにゃんにゃーにーにゃ」
「にゃん、にゃーにゃー」
「にゃーにゃーにゃんにゃん」

(はっ)
傑は一瞬何かが横切ったような気がした。
(気のせいか)
もしも蘆根がここで自信を失い、それがファンのみなさんに伝わったら、実際に何が起きるのか、平行世界が繋がったというやつだ。
下手に仕事が出来るみなさんが、お客さんのために、蘆根のためならば公私混同しちゃうぞ!という行動力がそうさせたのだろう。
というか、すごいね、蘆根、人間以外にもイツモの縄張りにいる猫たちからも絶大なる信頼あるんですけども、そしてその猫たちが何をするかというと、元気がなくなった蘆根のために自分達の獲物を献上しようとする会話だったようだ。
そのためその場合、毎朝、猫たちは蘆根の玄関先の前に何かを置いていくのであるが、さすがに猫ではないから、毎朝片付けに困ることになるだろう。
タッタッタッ
蘆根が夜、玄関の明かりをつけると、その姿を見つけた猫たちが駆け寄ってきた。
(本当、猫ならイツモは嫉妬しないからな)
これがケットシーなら決闘である。
ケットシーは己が一番可愛いと思っているので、譲り合うことはない。
シャ!
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