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酸味がベリーなベリータルト
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「もっとゆっくり見たかったな」
傑がそんなことをもらす。
「まっ、そういう日もあるさ」
蘆根は家具屋でそう答えた。
「ん?」
そんなとき、レジのそばに並んでいるワゴンが気になった。
せっかく来たんだしなと思ったが、セール品としては悪くはない。
「すいません、これください」
そういって会計を頼むと。
「はい、わかりました」
簡単に袋に入れてくれるのだが。
「お客さん、よろしかったら是非」
チラシを渡された。
「えっ?ちょっと見せてください」
何気ないチラシの値段に傑は反応する。
(品物を見てみないとなんとも言えないけども、この通りならば…)
「これは僕もいっていいんですか?」
「ああ、どうぞ、お客さんはこういうのにご興味が?」
「あります、あります」
そう傑が答えると。
「あ~じゃあ、こういうのも好きですかね」
そういって取り扱っている品物のカタログを見せてくれた。
「…これ、本当にこの値段で?」
「出してますよ、お客さん達はうちのお店初心者だから、うちはもう長いことやってますから、これで変なもの売っちゃっていたら、この辺で商売できませんよ」
これと一般の人たちが買い物にこれると言うことで、傑は信用した。
「まっ、そうですね、よく怪しいとは言われるので」
全然、怪しくないよ、本当だよ。
「でも怪しかったな」
本日の目的の純喫茶に蘆根と傑はやってきていた。
「こちらでは珍しいタイプの店ですね、基本的に商品を飾っているお店っていうのしか見たことがない人には、不親切に見えますしね。しかしですね、良いものを安く買うとしたら、色んな売り方があるということを知らなければならないんですよ」
「学生時代なんかは、フリマとか見に行ったな」
あれ、ないかな。カット用のカツラ。
「それが売っているとしたら、美容師とかやめる人とかですし、それが売っている確率はかなり低いかと、でもこの辺のお店って、結構フリマに出ているんですよね」
商店街のシャッター閉まっているお店が、なんでかフリマで店を出す。
「自分のものを買うなら、そこなんですがね」
「やっぱりコーディネートで合わせるとしたら、値段がネックなのか?」
「いいえ、先輩、ケーキセットでいいですか?」
「あっ、俺はコーヒー、ここのさ、特別シロップのコーヒーいいんだよ」
「じゃあ、僕は酸味がベリーなベリーのタルトとコーヒーかな」
「さっきの話の続きだけども、一番コーディネートって何が大変なんだ?」
「う~ん、色々と簡単じゃないですけどもね、良いものをひとつだけとか確保するのは楽、大変なのはある程度以上まとまった数量を予算守っていれることかな」
「そういえば卒業式のプレゼントとか苦戦してたよな」
「あれは、本当に、もしかしたら気に入らないかなって思ってな、他のもセットにしたりして」
「自信ないと、盛るよな」
「盛りますね、お買い得に見えるぐらいにしますね」
ハンカチとパッケージが可愛い石鹸と、コサージュのブローチ。
「コサージュは結構いれたんで、他にも回そうかなって思ったら、できればそのコサージュもいただきたいと、まとめて支払っていただいたからいいんですけどもね」
「やっぱり問題はコストパフォーマンスがいい、良いものの確保だな」
「そうですね、時間があればゆっくりなんですけども、消えていくスピードがね、早いんですよ」
「だって俺の目から見ても、ここで買わなきゃどこで買うんだよってなるしな」
「そういってくれるのはうれしいんだけどもな」
「コーヒーとケーキセットお待たせしました」
「これよ、このシロップよ」
「えっ?はちみつですか?」
「ここな、コーヒーがストレートなんだが、このシロップが珈琲蜂蜜なのさ」
「ああ、それで」
「だからストレートでいただいて、半分ぐらいになったらシロップかけて、味の広がりを見てくれってやつだな、しかし、タルトも真っ赤で旨そうだな」
「写真よりイチゴの量が多い気がします」
今日、市場に行ったら、イチゴが安くって、しかもこういうときに社長がさ。
「今日はイチゴ買ってかない?」
どうしようかなって、でも迷っていると。
「いいイチゴだったから入れちゃった、きちんと美味しく調理してくれるなら、オマケするよ」
オマケするよって言われたらさ、盛るよね。
「お父さん、多すぎる!」
「やっぱりさ、盛れるときは盛らなきゃダメだし、お客さんの喜んでくれる顔が見たいじゃないの」
本日の酸っぱさベリーベリータルトはこうして出来上がった。
「酸っぱ美味しい」
「良かったな、俺はここに来ると珈琲なんだよな、ちょっとした贅沢っていうのかな、毎回楽しませてくれる」
その言葉が聞こえていたようで、カウンターで店長がニヤリと笑った。
「珈琲も美味しいですね」
「だろ!こういう一品一品が逸品でさ、結構手軽に頼める値段だと、嬉しいよな」
「えっ、これなんです、蜂蜜入れると、ブレンドに」
「そうなんだよ、シングル珈琲が珈琲蜂蜜と合わさることで広がるんだよ」
「店の顔というよりは、不調和な調和を楽しむブレンドって感じだな」
お土産もいくつか買った。
「猫用ケーキなんてのも売ってるんですね」
犬用のもあります。
「明日、イツモ検診だからな」
帰ってきたら、頑張ったご褒美に食べてもらうやつです。
傑がそんなことをもらす。
「まっ、そういう日もあるさ」
蘆根は家具屋でそう答えた。
「ん?」
そんなとき、レジのそばに並んでいるワゴンが気になった。
せっかく来たんだしなと思ったが、セール品としては悪くはない。
「すいません、これください」
そういって会計を頼むと。
「はい、わかりました」
簡単に袋に入れてくれるのだが。
「お客さん、よろしかったら是非」
チラシを渡された。
「えっ?ちょっと見せてください」
何気ないチラシの値段に傑は反応する。
(品物を見てみないとなんとも言えないけども、この通りならば…)
「これは僕もいっていいんですか?」
「ああ、どうぞ、お客さんはこういうのにご興味が?」
「あります、あります」
そう傑が答えると。
「あ~じゃあ、こういうのも好きですかね」
そういって取り扱っている品物のカタログを見せてくれた。
「…これ、本当にこの値段で?」
「出してますよ、お客さん達はうちのお店初心者だから、うちはもう長いことやってますから、これで変なもの売っちゃっていたら、この辺で商売できませんよ」
これと一般の人たちが買い物にこれると言うことで、傑は信用した。
「まっ、そうですね、よく怪しいとは言われるので」
全然、怪しくないよ、本当だよ。
「でも怪しかったな」
本日の目的の純喫茶に蘆根と傑はやってきていた。
「こちらでは珍しいタイプの店ですね、基本的に商品を飾っているお店っていうのしか見たことがない人には、不親切に見えますしね。しかしですね、良いものを安く買うとしたら、色んな売り方があるということを知らなければならないんですよ」
「学生時代なんかは、フリマとか見に行ったな」
あれ、ないかな。カット用のカツラ。
「それが売っているとしたら、美容師とかやめる人とかですし、それが売っている確率はかなり低いかと、でもこの辺のお店って、結構フリマに出ているんですよね」
商店街のシャッター閉まっているお店が、なんでかフリマで店を出す。
「自分のものを買うなら、そこなんですがね」
「やっぱりコーディネートで合わせるとしたら、値段がネックなのか?」
「いいえ、先輩、ケーキセットでいいですか?」
「あっ、俺はコーヒー、ここのさ、特別シロップのコーヒーいいんだよ」
「じゃあ、僕は酸味がベリーなベリーのタルトとコーヒーかな」
「さっきの話の続きだけども、一番コーディネートって何が大変なんだ?」
「う~ん、色々と簡単じゃないですけどもね、良いものをひとつだけとか確保するのは楽、大変なのはある程度以上まとまった数量を予算守っていれることかな」
「そういえば卒業式のプレゼントとか苦戦してたよな」
「あれは、本当に、もしかしたら気に入らないかなって思ってな、他のもセットにしたりして」
「自信ないと、盛るよな」
「盛りますね、お買い得に見えるぐらいにしますね」
ハンカチとパッケージが可愛い石鹸と、コサージュのブローチ。
「コサージュは結構いれたんで、他にも回そうかなって思ったら、できればそのコサージュもいただきたいと、まとめて支払っていただいたからいいんですけどもね」
「やっぱり問題はコストパフォーマンスがいい、良いものの確保だな」
「そうですね、時間があればゆっくりなんですけども、消えていくスピードがね、早いんですよ」
「だって俺の目から見ても、ここで買わなきゃどこで買うんだよってなるしな」
「そういってくれるのはうれしいんだけどもな」
「コーヒーとケーキセットお待たせしました」
「これよ、このシロップよ」
「えっ?はちみつですか?」
「ここな、コーヒーがストレートなんだが、このシロップが珈琲蜂蜜なのさ」
「ああ、それで」
「だからストレートでいただいて、半分ぐらいになったらシロップかけて、味の広がりを見てくれってやつだな、しかし、タルトも真っ赤で旨そうだな」
「写真よりイチゴの量が多い気がします」
今日、市場に行ったら、イチゴが安くって、しかもこういうときに社長がさ。
「今日はイチゴ買ってかない?」
どうしようかなって、でも迷っていると。
「いいイチゴだったから入れちゃった、きちんと美味しく調理してくれるなら、オマケするよ」
オマケするよって言われたらさ、盛るよね。
「お父さん、多すぎる!」
「やっぱりさ、盛れるときは盛らなきゃダメだし、お客さんの喜んでくれる顔が見たいじゃないの」
本日の酸っぱさベリーベリータルトはこうして出来上がった。
「酸っぱ美味しい」
「良かったな、俺はここに来ると珈琲なんだよな、ちょっとした贅沢っていうのかな、毎回楽しませてくれる」
その言葉が聞こえていたようで、カウンターで店長がニヤリと笑った。
「珈琲も美味しいですね」
「だろ!こういう一品一品が逸品でさ、結構手軽に頼める値段だと、嬉しいよな」
「えっ、これなんです、蜂蜜入れると、ブレンドに」
「そうなんだよ、シングル珈琲が珈琲蜂蜜と合わさることで広がるんだよ」
「店の顔というよりは、不調和な調和を楽しむブレンドって感じだな」
お土産もいくつか買った。
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犬用のもあります。
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