浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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レモンのミラクルくるんくるんパワー

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「よっ」
本当にギリギリのところを東司が割り込んで。
「はいはーい」
ほぼ同時に加害者を制圧。
「すいません、鏡さん、通報を」
「わかりました」
「えっ?えっ?」
「あっ、こういうことよくあるんで」
連絡した後にそのまま、加害者の身内は保護されていった。
「世界が終わるかと思いました」
「さすがにそれは、何かがあれば…」
あっちょっとすいませんと連絡をする。
「うん、大丈夫だった、気を付けるわ、うん、じゃあ、またね」
連絡終了。
「スターカバーからです」
「うわ、水の魔法使いトップクラスだ」
「お互いに異変があるとわかるから、そこまで心配しなくてもいいのに」
この世界は繋がっているから、それこそ、星でも隔てない限りは、伝わってしまう。
このクラスの魔法使いは宇宙開発計画にも関わっていたという。
それこそ、その命で、星一つを人間が住める星に変える計画である、馬鹿げてると思うだろうが、その当時の人はそう信じていたんだよ。


『ここは浜薔薇の耳掃除です』

シャンプーが始まる。
お湯で髪をたっぷり濡らされて現れる、洗ってくれるのは蘆根でツボを押してくれる。
『お客さん、ときめきイチゴの素敵なファンタジーとレモンのミラクルくるんくるんパワーどっちにします?』
注シャンプーの種類です。
「?」
「どちらがいいですかね」
これはあれか、復唱しなきゃダメなやつか。
「れもんのミラクルの方で」
「はい、わかりました、レモンのミラクルくるんくるんパワーの方ですね」
これを素で口にできる蘆根は強い。
このときめきイチゴの素敵なファンタジーとレモンのミラクルくるんくるんパワーの二つは、成分が高級のため、なかなか浜薔薇でも使えないのだが。
「セールってすごいですね」
一括で買うなら予算内におさまるということで、購入を決定。
なので現在浜薔薇のシャンブーはこの二つから選ばされる。
もちろん、復唱してもらうのだが、復唱をきちんとできるお客さんは限られている。
「その程度の恥ずかしさは、私の浜薔薇への愛の前には向こうです、すいません、ときめきイチゴの素敵なファンタジーでお願いします」
さすがS席の客である。
浜薔薇無くして人生の楽しみはない、そういうだけはある。
ベタベタになっている髪も、洗い上げられ、必要な分補われた。
髪は揃える程度切ってもらい。
「先生お願いします」
泡を乗せられた後に、馴染むようにマッサージ、それから髭や産毛を剃られていく。
「食事はしばらく気を付けるんだな」
「ああ、先ほどいただいた所から、冷凍のお惣菜何日か、五日分かな、宅配頼みましたから」
「そりゃあいい」
カミソリの滑りが悪かったらしい。
「風呂も長風呂しないで、さっと洗うだけにするんだな」
「そんなに弱ってますか?」
「病人相手にしているみたいだ」
そこまでになっているとは。
「反省します」
耳かきが始まる。
パリパリ
耳の外側にはかさぶたのようなものが、汗で垢がでかくなったようだ。
中を覗かれるとくすぐったい感じがした、生えている毛がそよぐような、そんな気分である。
ゴソ
そんな中を一発で大物を仕留められた。
大物、それは見えてないはずの耳の持ち主にも、あっ、今のなんか違った、音がしただの、スースーするだの、変化を感じさせるものであるが。
(じめっと感がなくなった?)
上手いこと表現できないが、そんな感じ。
耳の中はもう夏の影響を受けていたというやつだ。
「細かいのも片付けましょうね」
すると繊細なテクニック、薄皮のペリペリ。
ゾクゾク
背筋にくる。
その状態が続いたまま、耳掃除されるがまま、そしてカミソリでプツンプツンと毛を剃られ、綿棒でくるくるととられていく。
「だな、蘆根、後は任せた」
「わかりました、それでは個室の方に移動をお願いします」
耳掃除の緊張が覚めないなかだが、マッサージではそれでは困る。
トントントン
あっ、なんか全身トントントン叩かれていると思った。
しかし、それが数分もすると、あれ?なんかおかしくない、なんというか、リラックスしている、嫌なんだろう、これ、あっ、疲れが抜けているのか。
このトントントンの強さは軽く刺激を与える程度、これを十分ぐらいが望ましいとされるが、これを一定の力を維持しながらやるのは大変である。
蘆根は一時間ぐらいはできるようになりなさいと練習をさせられて、いつでも10分だせるようになった。
神経にほどよく刺激を与え、そのリズムを合わせていく、健康な状態にチューニングしているというやつだろうか。
ポンポン
贅肉がある程度以上の場所だと、トントントンがポンポンになる。
(恥ずかしい、食事本当に気を付けなきゃ)
腹回りそんな音になった後に、内臓の位置がどこにあるのか見る。おへそから中心に、円をかくように探り、また指を軽く置いて確かめる。
それが終わってから掌で押していくのだが。
「んふっ」
鼻から息が出てしまった。
そこで己の口の臭さにも気がつく。
もう本当に人に見せれるような体じゃないと恥ずかしくなるのだが、それすらも忘れるほど、疲れがじわじわととけていく。
(ああ、気持ちいい…)
そこからどうも寝てしまい、起きたらもう、あのだるさがなかった、目の疲れもないし。
「落とせるだけ落としましたが、何日かは休んでくださいよ」
聞いた話によると、浜薔薇のサポートを受けている、フリーパス通い放題なんて羨ましい人がいるようだ。
うちの会社もそれやってくれんないかな、たぶん無理だがそう思ってしまった。
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