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サメのお掃除タイム
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サメというのは敵意を向けたら、そのまま圧で返すと申しますが、長らく人間社会に溶け込むおっちゃんはというと、ちょっと違うようです。
先日浜薔薇近く、高台にあるお寺に見学に詣りましたところ。
「やはりこんな世の中ですからね」
鬱憤や不満に鈍感な東司にもわかるぐらい、澱んでおりました。
神にもすがりたいんやろね。
「ですね」
そこでサメが、その人の目から意味もわからないものに見えたのでしょうね。
なんでお前がこんなところになんて、悪意を向けましたところ、そのまま圧が反射的に放つところを。
あかん!
ぐっとおっちゃんは堪えました。
カァァァァァン
するとサメ肌は人々の心に響くような音を立てたのでした。
「えっ?」
音が心に響いたその場にいた人たちは、おっちゃんに手を合わせているではありませんか。
「仏様がおられる」
サメを奉ることはないわけではないけども、困ったわ。
そしてそれから。
「サメの御方が来られたときに、牛乳を飲ませてやってください」
ベストフレンドの湯にそういうお客さんが増えてしまいました。
そのため今では牛乳も浄水センター宛に届けられることになり。
「ほぼ昼飯はおっちゃんのおごりやな」
おかわりも自由、牛乳もええのがついて、健康診断に引っ掛かる人も減りました。
「この浄水センター、他のところより著しくストレスが減っていると検査で出るのはおっちゃんの音のせいなんですかね」
「しかしあんな、神様いるような鳴るなんて思わんな」
これも圧の違った形なのでしょう。
この音に興味を持ったのは、浜薔薇にもよく訪れ、お父さんうちの店はどうするのよで有名なタキ先生です。
おっちゃんが来たときに合わせて、浜薔薇にやってきたのは、おっちゃんを一目見るためです。
しかし一番聞きたい音は鳴りません。
「天上の音といわれるほどの音色は、直に聞いてみたかったが、私にはまだ縁がないものなのだろう」
世が荒れたときにこそ鳴り響く、救世の音なのだろうねと、おっちゃんを洗ってくれましたが、僧侶としての側面でずっと話しているので、聞いてた人となりとはちょっとイメージが違いました。
「この音が鳴り響かないことが一番なのだろう」
しかしもう人心は乱れているもの。
荒っぽい、新規の客が来たよと生き霊たちが心配するなか、その御客さんはサメと目が合いました。
なんでこんなところにこんなもんがいるんだよと思った瞬間に。
カァァァァァン
鳴り響くは天上の音。
「これ聞くの何回目かだけども、恐怖を与えられるより、心を浄化される方が怖いと思うんだよな」
悪意を向けた人は膝をついておられました。そして涙も流し、よくわからない気分になっているようです。
「どうぞ、お客さん、奥の部屋へ、ちょっと休んでいってください」
そう蘆根によって運ばれていきました。
生き霊達は天にも昇る気持ちになり、タキ先生が。
「ゾンビっていうのはな、ウェットに見えるが知ってるか?耳の中はカッサカサなんだぜ」
豆知識を披露すると戻ってきました。
「なんですか?それ」
「世の中には必要なのかわからないことでも、活躍の場次第ってことだな」
これも哲学とか問答の1つなのかと、そんな感じで傑は受け止めましたが、疑問符は浮かんだままです。
「でもサメって鳴るんですね」
「そういえばさ、動画見たんだけども、あれ面白いな。浄化センター見学のショーの時に」
蘆根が見たのはおっちゃんへのインタビューなのですが。
「それではおっちゃんへのインタビューです」
口元にマイクではなく、腹にマイクを当てる。
すると観客から笑いがでる。
「中の人おるんやろな」
「じゃなきゃあんなに悠長にしゃべれんわ」
「…なるほど今日の朝食はライス派だったと」
マイクは1つで、インタビューは口にあてるが、おっちゃんの番になると、お腹、頭、額などに当てていく、それを見ると小学生の受けは抜群だったという。
これはもちろんおっちゃんが腹話術ではなくテレパシーで発信していることから、成り立っている技である。
「腹話術だと思っていたときは腹だけだったんですが、実はどこにあてても同じような音がとれるので、おっちゃんのモチネタですね」
サメは出すけども、サメじゃなくても笑いがとれるようなネタで勝負する、それがおっちゃんのスタイルである。
前はサメネタばっかりやってた時期があったんだけども、笑いの神様に言われた、サメは出すけども出しすぎない、ちょっとサメが出てるわ、おるわぐらいがちょうどええかなっていうのを守ってからは、笑いというものがわかったような気がします。
「でもそこまでやれとは言ってないぞ」
ススム、そうはいうけどもな、きちんと動員数を確保して、楽しかった、また来ようって思わんと、上手くいかないもんやで。
ススムさんは所長さんです。
「だからといってイサリに頼りすぎるはないんだよ」
きちんと所長さんはおっちゃんが に負担がかからないようなアイディアをまとめてくれています。
「サメのお掃除タイムとか、そうですもんね」
お掃除マシーンに乗って、メロディと共に通路を掃除していくおっちゃんが、右に左に走っていく動画。
「シュールすぎるっていうので再生回数モリモリです」
人間さんが考えることほんまわからんな、あれのどこが楽しいんやろ、おっちゃんお掃除しているだけやで。
水槽もモップで掃除しているところなんかも、ファンが多いのが時間が来るとよく見る顔ぶれの中で掃除をしていたりします。
先日浜薔薇近く、高台にあるお寺に見学に詣りましたところ。
「やはりこんな世の中ですからね」
鬱憤や不満に鈍感な東司にもわかるぐらい、澱んでおりました。
神にもすがりたいんやろね。
「ですね」
そこでサメが、その人の目から意味もわからないものに見えたのでしょうね。
なんでお前がこんなところになんて、悪意を向けましたところ、そのまま圧が反射的に放つところを。
あかん!
ぐっとおっちゃんは堪えました。
カァァァァァン
するとサメ肌は人々の心に響くような音を立てたのでした。
「えっ?」
音が心に響いたその場にいた人たちは、おっちゃんに手を合わせているではありませんか。
「仏様がおられる」
サメを奉ることはないわけではないけども、困ったわ。
そしてそれから。
「サメの御方が来られたときに、牛乳を飲ませてやってください」
ベストフレンドの湯にそういうお客さんが増えてしまいました。
そのため今では牛乳も浄水センター宛に届けられることになり。
「ほぼ昼飯はおっちゃんのおごりやな」
おかわりも自由、牛乳もええのがついて、健康診断に引っ掛かる人も減りました。
「この浄水センター、他のところより著しくストレスが減っていると検査で出るのはおっちゃんの音のせいなんですかね」
「しかしあんな、神様いるような鳴るなんて思わんな」
これも圧の違った形なのでしょう。
この音に興味を持ったのは、浜薔薇にもよく訪れ、お父さんうちの店はどうするのよで有名なタキ先生です。
おっちゃんが来たときに合わせて、浜薔薇にやってきたのは、おっちゃんを一目見るためです。
しかし一番聞きたい音は鳴りません。
「天上の音といわれるほどの音色は、直に聞いてみたかったが、私にはまだ縁がないものなのだろう」
世が荒れたときにこそ鳴り響く、救世の音なのだろうねと、おっちゃんを洗ってくれましたが、僧侶としての側面でずっと話しているので、聞いてた人となりとはちょっとイメージが違いました。
「この音が鳴り響かないことが一番なのだろう」
しかしもう人心は乱れているもの。
荒っぽい、新規の客が来たよと生き霊たちが心配するなか、その御客さんはサメと目が合いました。
なんでこんなところにこんなもんがいるんだよと思った瞬間に。
カァァァァァン
鳴り響くは天上の音。
「これ聞くの何回目かだけども、恐怖を与えられるより、心を浄化される方が怖いと思うんだよな」
悪意を向けた人は膝をついておられました。そして涙も流し、よくわからない気分になっているようです。
「どうぞ、お客さん、奥の部屋へ、ちょっと休んでいってください」
そう蘆根によって運ばれていきました。
生き霊達は天にも昇る気持ちになり、タキ先生が。
「ゾンビっていうのはな、ウェットに見えるが知ってるか?耳の中はカッサカサなんだぜ」
豆知識を披露すると戻ってきました。
「なんですか?それ」
「世の中には必要なのかわからないことでも、活躍の場次第ってことだな」
これも哲学とか問答の1つなのかと、そんな感じで傑は受け止めましたが、疑問符は浮かんだままです。
「でもサメって鳴るんですね」
「そういえばさ、動画見たんだけども、あれ面白いな。浄化センター見学のショーの時に」
蘆根が見たのはおっちゃんへのインタビューなのですが。
「それではおっちゃんへのインタビューです」
口元にマイクではなく、腹にマイクを当てる。
すると観客から笑いがでる。
「中の人おるんやろな」
「じゃなきゃあんなに悠長にしゃべれんわ」
「…なるほど今日の朝食はライス派だったと」
マイクは1つで、インタビューは口にあてるが、おっちゃんの番になると、お腹、頭、額などに当てていく、それを見ると小学生の受けは抜群だったという。
これはもちろんおっちゃんが腹話術ではなくテレパシーで発信していることから、成り立っている技である。
「腹話術だと思っていたときは腹だけだったんですが、実はどこにあてても同じような音がとれるので、おっちゃんのモチネタですね」
サメは出すけども、サメじゃなくても笑いがとれるようなネタで勝負する、それがおっちゃんのスタイルである。
前はサメネタばっかりやってた時期があったんだけども、笑いの神様に言われた、サメは出すけども出しすぎない、ちょっとサメが出てるわ、おるわぐらいがちょうどええかなっていうのを守ってからは、笑いというものがわかったような気がします。
「でもそこまでやれとは言ってないぞ」
ススム、そうはいうけどもな、きちんと動員数を確保して、楽しかった、また来ようって思わんと、上手くいかないもんやで。
ススムさんは所長さんです。
「だからといってイサリに頼りすぎるはないんだよ」
きちんと所長さんはおっちゃんが に負担がかからないようなアイディアをまとめてくれています。
「サメのお掃除タイムとか、そうですもんね」
お掃除マシーンに乗って、メロディと共に通路を掃除していくおっちゃんが、右に左に走っていく動画。
「シュールすぎるっていうので再生回数モリモリです」
人間さんが考えることほんまわからんな、あれのどこが楽しいんやろ、おっちゃんお掃除しているだけやで。
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