浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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12月26日のサンタクロース

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傑が浜薔薇に通勤途中、お囃子というのが聞こえたのだが。
(サンタ達が縄を持ってる)
そんな不可思議な光景を目にした。
「っていうことがあったのですが」
「ああ、それは寺に持っていくやつだな」
「寺?」
そこでタモツが詳しい話をしてくれた。
「昔は年男が持っていったんだけども、数が少なくなったのと、あれって重いんだわ、それでな、腰に来るから、でも代理が誰でもいいってわけにもいかねえから」
「あっ、だからサンタか」
蘆根は納得した。
「クリスマスがちょうど終わったばかりだし、力仕事も得意そうだし、ぴったりだな」
奉納日にサンタの方も今回のクリスマスの反省会なども兼ねて行われることになったが、今ではもう一つ重要な行事がある。
車が寺の門前で止まった。
「俺が出来るのはここまでだ」
おや、この人は見たことがある、KCJの…
「送ってくださいましてありがとうございました」
助手席にいる彼もKCJの職員で、確か二人とも先日誕生日お祝いし隊に所属していた顔である。
「俺はサンタに憧れはしたが、結局サンタにはなれなかった、けどもいつも心にはサンタさんがいる」
「…先輩」
「行ってこい、そして実力を認めてもらい、サンタの座を勝ち取ってこい」
「はい!」
誕生日お祝いし隊は、このようにサンタに憧れたものが多かった。まあ、何しろサンタに憧れた者がその隊を作ったのだから、当たり前なのかもしれない。
何しろ異世界帰還者にとっては、サンタは特別な存在だ。
この世界から強制転移や誘拐された人たちの機関にはサンタが大きく関わっている、という噂は聞いたことがないだろうか?
「サンタさんはクリスマス以外は何をしているんですか?」
その答えがこれだ。
そしてサンタはクリスマスを一番のピークする。
「26日のサンタは、クリスマスが終わったばかりで、これから休養をとるものも多いから」
その日にサンタはサンタに志願する者を試すのである。
「我々は人々の夢や期待にいつまでも答え続けなければならない、それがサンタという生き方だ」
これは神事でもある。
ズラリと並んだ大勢のサンタの前で、なりたいものは戦うことになるのだが。
「その心が折れぬ限り、試されることになる」
少なくとも3名のサンタと引き分け以上、そしてその戦いを見て、十名以上の推薦が取れなければならない。
(勝つつもりで来たけども)
ひしひしと伝わるプレッシャーに勝つイメージが全然わかないのである。

(頑張れ、お前なら出来る)

「あ~今日はすいませんね、手伝いに来ていただいて」
「いや、何、どっちにしろ体を動かしていた方がいいさ」
先程の先輩職員はそのまま浜薔薇出張所に来ていた。
「今だから言うけども、波里も無手じゃん?だからサンタを目指しているのかと思っていた」
「よく言われるんですけども、人の夢を背負えるほど私は強くないので」
「そっか…」
KCJは炊き出しを行っている支部は年始年末ももちろん行います。
「行ってない支部には、その地域の行っている団体に食品などの提供をしていますからね」
それはそれで忙しいというやつだ。
「早いところ静かになってもらいたいものだな」
「そうですね、不安があると、どうしても人の心はかき乱されますからね」
今日も美味しい匂いが浜薔薇出張所に漂ってくる、今日のメニューは一体なんだろうか?
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