浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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時には奇声を

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仕事が一段落したのだが、体の疲れはなかなか取れてはくれず。
「そんな時はベストフレンド、ベストフレンドの湯でございます」
甘い言葉に乗ってみた。
ワンコインでお釣りが出る、それならば甘い言葉も悪くない。
そのためここ三日ほど、ベストフレンドのお湯に世話になったところ。
(肩こりと背中が全然違う)
重力からの解放を感じる。
そのぐらい張り、また凝っていたのだろう。
(もう本当にあいつら許さねえ)
忙しさの原因に怒りはわくのだが…
ゴゴゴ~
湯の水流が肩甲骨の辺りに当たると。
(確かに許せないが、今はそれどころじゃない)
これは疲れすぎて、名湯から離れられなくなっている人類です。
ベストフレンドの湯は時間制限がないので、それこそ気に入った人は長時間滞在する。
「そういうお客さんは、連日激務でやっと解放された人ですかね」
今日は今日だけは名湯に甘えたいんだといって、食事も休憩室に出前で頼んだりする。
「食堂もやりたかったんですがね、場所が取れなかったんですよね」
でも今はこのスタイルが正解だと言える。
「本当に昔ながらのやり方なんですが、出前してもらうか、うちのスタッフがお店までいって受け取ったりしてますね」
これが良かったのだ。
「古いお店だと、家族経営で、出前できないんですよ、それに途中気づいたんですよ、出前の利益は悪くないが手がでないって、今は全国的にそういうサービスはありますが、この辺はまだサービス外というか、たぶんサービスが始まらないんじゃないかな、そのぐらいは寂れてますから」
この出前を使う人にはアンケートに協力してはもらってる。
「それこそ何を食べたいかですね、いくらぐらいならば出すよって書いてくれる人もいますし、こういうのはきちんと書いてくれるのならば書けるだけ書いてほしいです、それが利益に繋がるので」
定期的に利用してくれる人には健康を考えているがいて。
「本当は薬膳とか、アフターヌーンティーとかもやれたらやりたいんですがね、まずはね、できることなんです」
さすがにここではKCJの炊き出しはたべれないのだが、浜薔薇出張所にキッチンカーを出しているお店は日によって注文が可能であり。
「これは本当にありがたかったですね、日替わりメニューがあると、毎日来てくれるお客さんが出るでしょ、ご近所のお店は日替わりメニュー出せないんですよね、チャーハンならチャーハン、サンドイッチならサンドイッチって」
キッチンカーのお店は、ベストフレンドの湯に本日のメニューを送信してくる、売り切れもリアルタイムで更新できるので、本当に便利であった。
「よくを言えば、カスターニャのカレーも作ってくれないかなっては思うんですが」
その昔、この辺にあった人気店だと知っている人が懐かしいなっていって頼むし、また家族なんかは子供をつれてきてくれるが考えられた。
「どうして浜薔薇はそういうお店がよしやろうっていって、協力してくれるんですかね」
ベストフレンドの湯も頼んでないわけではないが。
「ちょっと難しいな」
と言われて、未だにいい返事はもらえてない。
「クッ!」
そういう意味ではベストフレンドの湯の店長は、蘆根に対して「クッ」なんて感情が出てしまう。
もちろん、蘆根の方は気にしてない。
気にするタイプではない。
彼は損得勘定を考えて行動していない。
「先輩はそういう人間ではないですからね」
傑がこの店にやって来たとき、驚いたことがたくさんあった。
まずKCJ浜薔薇出張所は、大家が浜薔薇に当たるのだが、家賃をとってなかった。
「支払うという話をしたら、タモツさんも含めて、うちは困ってないから、先に困っている人に使ってくれって言いましたからね、もうその話を報告したら、会議になりました」
このタイプは気を付けないと、現金が足りなくなって大変なことになるというわけで。
「道路を挟んで向かいの建物に衛生班と今はヴィーチェ先生がいますが、先にヴィーチェ先生、医師をこの地域に派遣するのだけは決まりましたからね」
なお、この地域、地方にもにも病院はないわけではないが、年収1000万でも医師が見つからないような場所である。
「先生は日本語上手いな」
近所の人からはヴィーチェ先生は海外から来た先生と思われている、若さと髪の色からであるが、そこ昔日本で400人以上の行方不明者が出た台風被害が起きたさいに、運命のいたずらか異世界に流されてしまっただけである。
そこから帰還したところ髪の色は変わらず、年齢もそれこそ自分でジジイだからというが、姿も若いままであった。
「学会の偉い人、みんな年下になっちゃった」
そんなわけで向こうも気を使うので、異世界帰還者に理解があるKCJに長らく世話になっている。
ベストフレンドの湯の店長は普通の人なので、さすがにこの事情までは知らない。これからもなんであそこだけ「クッ」といい続けはするだろうが、浜薔薇が繁盛している分ベストフレンドにもいい影響はある。
「あっ…」
このお客さんはベストフレンドにじっくり入浴したあとに、浜薔薇に来た。
昨日歩き疲れ、汗をかき、また筋肉痛があったために、今日はじっくり風呂入ろう、そして浜薔薇で髪を切って耳掃除をしてもらう、そんな思いでここまで来たのだ。
蘆根が耳かきを奥まで入れて、少し厚みがある耳垢を剥がした。
汗をかくとやはり耳の中にも影響は出る。
いつもよりも、蒸れた耳、その中を丁寧に垢を取り除く。終わる頃には微睡み、リラックス状態であった。
「ありがとうございました」
浜薔薇から出ると、お腹が空いた。いつもはこんなに食べる方ではないのに、モリモリ食べたくてしょうがないのだ。
検索をしてみよう。
するとおすすめのお店が何件か出てくるのだが。
『浜薔薇に来店していただいたお客様向けのグルメガイドは更新しておきました』
「ありがとう助かるよ」
それは宰相の指示でシャンプーモデル1号2号3号がまとめあげたものである。
そうつまりは浜薔薇の繁盛の理由、それはKCJだけではないということ、浜薔薇ファンクラブ、ここも大きな要素と言える。
それがわからぬようでは、いつまでもベストフレンドの湯は「クッ」をいい続けなくてはならない。
時には奇声をあげる気勢の集まり浜薔薇ファンクラブ、その中核、宰相の手腕は事前に読めるものではない。
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