浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
536 / 1,093

俺の一生の運

しおりを挟む
近々また向こう側の、今組んでいる仲間の一人、彼が依頼人としてみんなを集めることになっているので。
手土産をさてどうしたものかとリーダーは思っている。
集合場所は彼の家、寄り合い状態の家族たちが住んでいる地域である。
そこで育った彼は冒険者という俗称ではあるが、その実は何でも屋に近い仕事を引き受けてきたが、コミュニケーションの高さから色んなところに顔が利いた。
子供も多いところなので、ある程度の量と美味しさを確保したいと、リーダーは自分の行きつけの店などがチラシやお知らせが出てないか見ているのだが、安くないだろうか?そんなに安い店が存在するのか?という値段なのだが、品物が悪い?いや、鮮魚コーナーのおすすめの写真を見る限りではそんなこともなさそうである。
「このぐらいで買えるなら、これかな」
その値段、もしくは以下ならばその場で買い、高くても範囲内ならば買おう、もしもそれよりならば今回は縁がなかったということで。
クーラーボックスを用意した。
そしてその店なのだが、建物も普通、店内も普通なのだが、置いているものはみな新鮮で安かった。
「すいません、この鯛を、下処理もお願いしたいのですが?」
海鮮バーベキューでもやるのかな?という注文のため時間はかかるというが、下処理が有料であっても得をした買い物だった。
この下処理は干物を作る時に主に使われるものなのだが、そのまま焼き魚にすると日持ちするのである。
まっすぐ帰って、そのまま焼き魚をひたすら焼いて、冷凍保存した。

「凍らせているからさ、溶けたら食べるといいよ」
「おい、みんな今日のメシは魚だぞ」
「魚って何?」
「美味しいの?」
子供たちが集まってきた。
「魚は贅沢なんだよ」
「ここは海から遠いものね」
「ああ、だから魚を食べるやつは金持っているやつだな」
もう少しで他の仲間が来るはずだが。
「お待たせ」
「相変わらず騒がしいな」
「子供は元気が一番よ」
そしてだ、本日のスペシャルゲスト。
「どうも、KCJです」
職員さんがキノコが生えている原木を持ってきた。
「立派だな、旨そうだ」
「明日ぐらいが食べ頃ですね、このぐらい大きいですと肉厚なので、焼くと美味しいです」
キノコに栄養を与えるため、原木の周囲を朝晩サメにぐるぐる回ってもらいました。
「まずは置き場所ですかね」
「案内するぜ」
キノコ栽培に向いてそうなところを準備してもらい。
「霧吹きとかで水をかけてもらうだけでいいのですが、今回苔も採取してくるので、水分の調整がしやすいようにしましょう、しかし楽しみだな」
KCJの職員さん趣味が高じてキノコ栽培をしているのだが、最近はサメがそばにいるとキノコはよく育つという言い伝えを守りながら栽培していた。
元々今回の話は、市場でリーダーがキノコを見つけたとき。
「こういうのを森に行って取ってくるんだ」
「栽培はしないの?」
「栽培?育てるのか?」
「そうそう、この種類ならば簡単に、こっちでもキットが売っているぐらいだし、水を吹き付けるだけで育つからさ」
それを聞いて、それならば子供でもできる仕事だと購入したいと切り出してきた。
そしてそこで頼ったのがKCJで、相談したらキノコ栽培をしている職員が。
「それならキットはキットで確保しておいて、そちらのキノコを森から木や土も一緒に持ってきて、栽培していったらいいですね」
そこでの打ち合わせで、現地のキノコの栽培は時間がかかるだろうから、その間の食べるぶんは、キットのキノコを栽培して、慣れてもらえばいいということになった。
「足元気を付けてね」
幸い森に詳しい仲間もいた。
「いいですね、こういうの、森の探索からというのは、なかなか難しいので」
「どういうこと?」
「キノコの場所って、親兄弟にも教えないものなんだよ」
「それだと、その人が死んじゃったらどうするの?」
「わからないままだよ、鮭の塩辛、この間持ってきたじゃない?」
「あれは旨かった、もちろん酒もな」
「あそこの近所でもキノコ採りの名人がお亡くなりになって、家族は誰も知らなかったそうだから」
「きっとにょきにょき生えてるよ」
「そう思う」
「この臭い、キノコが生えてそうな湿気ね」
森の奥、キノコが多い地帯は泥が多かった。
そこから食べれる品種のキノコと土をそれぞれ採取、何回か別の場所でも同じことをして、街まで戻る。

「お帰り、みなさんは?」
「ああ、帰ったよ、さすがに泥だらけだからな」
「そうかい、しかし良かったね」
「キノコが毎日取れるとなればメシの足しになる」
「違うよ、あの人たちはいい人たちだから、そんな人たちと巡りあえて良かったねって」
「俺の一生の運使い果たしたかな」
「それなら賭け事はもうほどほどにするんだよ」
「心配性だな、もうしてねえよ、リーダーたちと一緒にいたら、賭け事に面白味を感じねえ」
「そりゃあ、良かった、ああ持ってきた魚、まだ食べてないだろう?きちんと残してあるよ」
「ああ、悪いな…旨いな、これ」
「向こうでも高い魚なんだろ?こんなに美味しいものを食べれるだなんてね、生きてて良かったよ」
大袈裟だなと思ったのだが、ああここはそういうところだった。
夢から覚めたように、鯛の味を噛み締めた。
(もっとちゃんとやんねえとな)
そう、決めた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...