浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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今日は世界の終わりに繋がってない

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「確実にタイムリミットまでに俺らが合流できないようにしてるね」
「でしょうね」
この街はいつの間にか不穏な空気に、そう思ってるうちにほぼ陥落してしまった。
「それでも事前に短時間でも顔を合わせることができるとは思わなかったよ」
「これもここにいるミツチーのおかげだよ」
「ありがとねミツちゃん」
「いえいえ、そんな、お二人は歴戦の、この騒ぎの解決にわざわざお越しになられたのですから」
「何言ってるのさ、こっちはバカンスで来てるわけ」
「そうそう、俺なんか人手不足でってことで、こっち来てるわけだし、九時五時の仕事してるわけでしょう?だから事情を知ってるミツチーがいなかったら、自由に歩き回れないよ」
「しかし、10分も時間は作れませんでした、これではミーティングには足りません…」
「そこは歴戦の経験って奴で」
「へっ?」
「そうそう」
「じゃあ、明日ね」
「遅れないように行くから待っててね」
「というか、私がお二人の話に混ざって良かったんですか?今からでも見張りしますよ」
「すんごい出来る可愛い子って聞いてたもんだから、実際にお会いしないと」
(あ~)
この二人そうだった、ものすごいファンがいるイケオジなのを思い出した。
「では明日、必ずお届けします」
「受取人は俺でよろしく」


ザッザッザッ
「では先に確認します」
そういって迷いもなく彼女は前に出て、命の安い使い方をする。
この町の文化なのかはわからないが、そこはかなり気になるやり方である。
(けどもとんでもなく安定していると思うんだよね、見てて安心なんだ、これが無駄飯食いって言われることに驚愕する)
このやり方で足止めなどをしたときに。
「お前はなんでそうなんだ」
やり方を怒鳴り付けて注意が入ったが、本来面のやり方だと、怪我をする確率がとても高くなるから、これで正解なのだろう。
「安全は確認しました」
「サンキュ」
「でも二ヶ所間違えてしまいました」
この時の顔がしおらしい。
「人間なんてミスはあるし、俺がやったら二ヶ所じゃすまないし」
そういうと目が点になる、驚いているのだ。
「ここが一番のネックだったから」
「そしてここからは何故か不思議なことが起こり始めるですか」
例えば今日は学生たちがホールに集められ、退屈な講演を聞く授業が開かれる。後10分もすれば休憩時間で、ゾロゾロと、最寄りのコンビニまでが混むとされている。
その波に紛れ、横切り、追っ手をかわしていく。
「どうもこっちの人たちって、扱いが悪いというか、これでも名前が売れていると思ったんだよね、俺ってもしかして知名度低い?」
「すいません、すいません、本当にすいません、そうですよね、偉業をいくつとこなしている人たちに対して、この包囲網は甘すぎますよね」
「プッ」
「なんですか、俺になんで君が指導役としてつけられたのかわかっちゃったよ、もしも向こう側に回ったら、俺らに対して絶対油断しないじゃないか」
「私に出来ることなんて対してないですよ」
「そうかな?」
洗脳したかったが、結局この日まで洗脳しきれなかった切れ者、河川部長のヒロシが彼女をわざわざ用意したのを彼女自身は知らない。
「たぶんそうなったら、出来ることを全力でやってくるから、やっかいだと思うんだよね」
海へと向かう川、上流からすご勢いで何かが来る。
「また派手なものを用意しましたね」
「違うよ、あれは海までただ大急ぎで行きたいクルーザーさ」
(まさか飛び乗るの?)
「じゃあ、行くよ」
(やっぱり飛び乗るんだ)
「はーい、今日もいい天気だね、まだ先は長いから」
そういって差し入れをくれた。
「食べれる?」
「食べます」
「この後はどうなってる?」
「何故か水路の制御が三時間しにくくなってるようだよ、復旧は六時間後になるんじゃないかな?」
「というわけでこのまま予定の場所までお楽しみください」
「それとレディ」
「なんでしょうか?」
「今日はそんなに世界の終わりに繋がってない、ちょっとだけ命運にかかってるだけだからリラックス、リラックス」
「話には聞いてましたが、本当にみなさん世界規模と戦ってるんですね」
「そーね」
「あれ?それって実際に会ってみたら、なんかがっかりしちゃったってこと?」
「いえ、みなさんが守ってくださるので平和なんだなって、もっとしっかりしなければいけないなって思ったんですよ」
「そんな物は思わなくていいんだよ、俺らはいきなり現れて、やりすぎて怒られるっていうのが会うんだよ」
「サンタみたいですね」
「よく間違われるけども、違うからね、何て言うの、俺らは」
「キザな連中だよ」
「そう、それ」
戦い続けている人間はここまでメンタルが違うものなんだな、ここまで違うと真面目に考えない方がいいようだ。
「それと、気になったんだけどもさ」
「はい?なんでしょうか?」
「肩から相手を狙うのは癖?」
「そう習いました」
「こんな感じだったよね」
一度だけ見たものを目の前で再現される。
「でもこれを、狙いを0.5センチ上にするとグッとよくなる、けどこれはあくまで…」
その話を聞いて、すぐにやってみる。
自然にやっていた動作を、その時にわざと腕を引いて。
「…」
「とりあえずこれでやってみます」
「すぐに修正すると思わなかった」
「自分より優れている人の意見ならば意味があると思うんですよね」
「チッ!」
「どうした?」
「このまま行けると思ったが、レディ、すまないが迷子を届けてもらえるか?」
「俺が迷子?迷子には違いないけどもさ」
「よく遅刻してきたとき、その言葉使うだろう、悪いが、次の角を右に曲がると同時に降りてもらう、いけるか?」
「ええ、もちろん」
そこで、今着用しているしているものを船上のスタッフと交換する。
「なんかだんだんうちの奴らに感化されて行くんだけども」
「そこは諦めろよ」
「じゃあ、こっちはこっちで時間稼ぐから」
水飛沫をわざと立てて曲がると同時に落ちる。
「相変わらず濡れないテクニック持ちだね」
「通路はこちらです、他と違って旧道なので臭いもありません」
「これは迷路のようだ」
「そうですかね?子供の頃から住んでいるから、私が慣れているのかもしれませんが」
この時、追っ手は新水路側にばかり集まっていたが、ただここまで来ると集められている人間側も、おかしくないか?の疑問はわきだしている。
魔物が迷いこんでいるわけではない。
「イイカ、コノオトコノカオダゾ」
どう見ても人間を追えという。
「大多数の人間の、精神に影響を与える魔法使いは怖いですね」
「自分が出来ることをきっちりとやるからね、この規模の街を二週間ぐらいで掌握出来るって思ったんでしょ」
最初にかけられた掌握の魔法被害者が助かるリミットが明日なので、どうしても今日までに結構しなければならなかった。
「額に弾丸をプレゼントしなきゃ」
「そうですね、いえ…残念ですが、私もその瞬間を目撃できそうにないですね、すいません、後はまっすぐ行ってください」
「そっか、またお食事しようね」
「はい!」
カン、カン、カン…
遠ざかる足音
…カツ…カツ…カツ
近づく足音。
「ねえ」
暗がりから男の声がする。
「なんですか?」
「あんなおっさんが好みなの?」
「えっ?カガヤキさん、何をいってるんですか?あの方はとても格好いいですよ」
同期の出世頭カガヤキであった。
「というか、あなたも追っ手では?」
「まあ、そうなんだけどもね」
おかしいとは思ってても命令は聞いていたタイプ。
「だから後で嘆願書は出すから、ここはおとなしく」
「嫌ですよ」
「君にどうにかなると思ってるの?」
「いえ、もう私の役割は終わりですから」
チャキ
装備のロックははずされる。
向こうはこちらの技を知ってる、おそらく受けるつもりだろう。
(0.5センチ)
何故かさっきの言葉を思い出した。
どうせ負けるなら、捕まるなら、せっかくだからここで試せばいい。
(いつもの、いや違う)
途中で腕を引いたために、狙いが変わったことにあせるが。
「遅い」
そこから制圧の絞め技をかける隙さえ見つけてしまった。
(これは…)
何故かカガヤキは抵抗しなかった、彼女が洗ったシャンプーのいい匂いに負けたのだ。

プツリ
魔法使いの糸が切れると、操られている人は多少なりとも精神的なショックを受け、中には路上でへたりこんでいるひともいた。
運命の弾丸は魔法使いの額へ無事届いたようだ。
街を覆っていた何かは嘘のように晴れたが、裏で対策をしていた河川部長の配下は大忙しになったという。


「しかし、レディ、昇進と金一封は受け取ってからで良かったんじゃないの?」
「いや、あれは絶対になんかあるやつですよ」
「そりゃあね、この話を表に出したいとは思う?」
「それよりこうして動き回れる自由の方が大事でしょ」
「賢明な選択だよ、可愛いおばあちゃんになれるよ。ここには長生き出来ないようでしぶとい奴ばっかりだからさ」
「でも本当にあのお二人はモテるんですね」
眼下のカフェには若い女性に囲まれる男達。
「話には聞いてましたけども」
「だから、うちに入りたいって娘さんは多いんだよ、でもおっさんに目を奪われるお嬢さんは危ないから、ご遠慮してもらってるのさ」
「あれ?私は?」
「チビッ子がヒーローを憧れている目だからセーフ」
「ああ、そうでしたか」
「それとここは退屈せずに強くなれるから」
「生きていればでしょ?」
「そこまで死亡率は高くないさ、でも死ぬ間際もキザで意地が張れるなんて貴重だと思えばいい」
すると隣にいた男がカフェに向かっていく。
「お嬢さん達、ごめんね、こちらのおっさんらを迎えに来たんだ」
「えーそんな」
「もうちょっと」
「ごめんね、お仕事だから」
「じゃーねー」
扱いもこなれてる。これが歴戦のモテるイケオジというやつなのか。
「お待たせ」
「お二人ともお疲れ様です」
「堅苦しいな」
「前にお話したときは本当にちょっとだけだったから、興味はあるよ、しかし、ヒロシ部長も思いきった采配だね」
「よく出向という形をとれましたよね」
「日付の部分は無期限って話だし」
「返してっていっても返さないってことで」
「じゃあ、末長くよろしくね」
「螺殻(らがら)ミツです、本日よりよろしくお願いします」
「ミツは堅苦しいな」
「いいかい、こういうの奥ゆかしいというのだよ、さぁ、ミツ、みんなに紹介するよ」
二人は手を差しのべるが。
「こういうときは俺が紹介するべきじゃない」
「いやいや、今日は花を持たせてよ」
「ええ」
何故かそう言い争いが始めるところを。
「しょうがない、おっさんでごめんね、さあ、行くよ」
漁父之利、すすっと他の人にエスコートされ、仲間や協力者が集まる会場に連れてかれるのであった。
「おいおい、どっからつれてきたんだ」
「間違えたんじゃない?」
「いいんだよ、この子で」
「この前の報告書に出てきた子だ、よろしく!」
「あれ、私も読んだんですが、実際に文章にすると嘘くさいですよね」
「なるほど、これはうち向きの子だわ」
みんなは笑って迎え入れた。





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