浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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男心は七不思議のうちの一つ

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「あら?どうしたの?急な仕事?」

「昨日まではね、何もなかったし、時間があいたんでさ、顔を…いや、会いに来た」

「えっ?」

「あんまり嬉しそうじゃないね…」

「いえ、まさか来るとは思わなかったから」

「ひどいな、まあ、今まではっきりしなかった俺も悪いんだけどもさ」

「来てくれて嬉しいわ」

「そういってくれると、あっ、これね、そのお土産」

「ずいぶんと遠いところまで行ってきたのね」

「うん、でも何もなかったから、延長もなしで戻ることにはなったんだ」

「何もない方がいいわよ」

「そうだね、もしも、は、あるからね」

ここ来るまで、それこそ馴染みの景色が見えた辺りでほっとした。

「お土産これで良かったかな、なんて考えてたんだ」

「一緒に食べましょうよ、お茶を淹れるわ」

「少し離れていたつもりだったんだけども、町中の病気、薬もないみたいだな」

「ここは街から離れているもんだから、聞こえているのは話だけだし、ほら私自身はお店ではないから、薬がないから代わりに何を使えばいいのかって、そういう話の相談にはのったりするぐらいね」

「頼りになるよね」

「それだと嬉しいわ」

「もらったクリームもつかったんだけども、あれのおかげで肌ツルツルだよ、いつもは真っ赤になるのにさ」

「ああ、それは結構いいものなのよ、ご婦人の肌の悩みを、それこそ若々しくってやつね、そのまま使い続ければあなたもそのままよ」

「…」

「あら、どうかした?はい、お茶」

「ありがとう、いや、男としてはいつまでも見た目が若いというのはね」

「下に見られちゃうから?」

「それは…少しあるし、君の隣に立ったときに、釣り合いがとれるぐらいの方がいいよねって」

「私は見た目と年齢離れているし」

「30年変わらないって、30年前知らないけども、そういうことってあるの?」

「あるみたいね、上手くいっちゃったみたいなもんよ、まあ、だから故郷から離れて、こっちに来たんだけども、あっちだと、二十歳越えた女で未婚はね、居づらいから」

「それもどうにかしていると思うんだけども」

「あなたはそうは思うけども、それこそこちらの男性はとても優しいと思うわ」

「俺だけじゃなくて」

「親切ね、あら、どうしたの?拗ねた?」

「あんまり面白くはないかな、時間がさ、できたから、どっかいかない?そのデートで」

「いいわね」

「じゃあ、この後とか」

「早い、早い、歩くための格好してないから、疲れちゃうわ」

「お姫様抱っこでもいいよ」

「力持ちなのはわかってるけどもさ」

二の腕はたくましい。

「その腕は絡ませるだけにさせてちょうだい」

「…はい」

「女の子ともちゃんと話せるはずなのに、なんでかしらね、たまにそうなっちゃうの」

「君だからだよ」

「私だからなの?」

「そうです」

ふさぎこんでしまった彼を、彼女は覗きみる。真っ赤で、いつもとは本当に違う。

「デートはどこに行くの?」

「どこにする?」

大分調査したのか、パンフレットずらっと見せる。

「俺はどこでもいいよ」

「そういえばクリスマスも近いし 」

「定番がいい?混まないところがいい」

「混んでない時間に定番はどうかな?」

「水族館でいいん」

「そういえば行ったことないわね」

「じゃあ、水族館へ」

「ペンギンとか可愛いわね、水族館って一回ぐらいかな、行ったことがあるの、修行の研修で」

サメを見よう、わかるかな?サメだよ、サメ、サメは再生と力の象徴なんだよ。

「サメのお話の記憶しかないわね」

「サメ好きにサメの話をさせると、止まらないからな」

「そうなのよね、大抵、先生、サメの話はわかりますが、今日はみんなの骨休めも兼ねてますって、早々と食事に行ったわよ、でもそっか、水族館か、ちょっと楽しみね」



待ち合わせ場所に彼女がいると。

「ねえ、お姉さん、遊ばない?」

(私の子供ぐらいの年かしらね)

「ごめんなさいね」

実はこのとき彼氏は見かけて、急いで近づいていたのだが。

「これから大好きな人に会うのよ」

「それはお幸せに」

と声をかけた男も本気ではなかったようで、さっさと離れ。

「あのさ」

「あら、来たのね」

「大好きな人って本当?」

「嘘の断り文句としては適当だったかしらね」

「そこは嘘って言わないでよ、あれ聞こえたらすんごい嬉しかったのに」

「じゃあ、本当で」

「本当?嘘じゃなくて?」

「どっちがいい?」

「そりゃあ、本当の方がいいな、それなら舞い上がっちゃうよ」

「舞い上がると、失敗しちゃうから、どうしようかな」

「…そこを言われると弱いかもしれない」

「じゃあ、失敗しない程度に、今日のデートは楽しみましょ?」

「あぁ」

「本当に、照れ屋さんね」

「君は俺の心をいつもえぐるんだよ」

「えぐったつもりはないのよ」

「それが嬉しいんだけどもさ」

「男心は複雑ね」

「知らなかった?男心は七不思議のうちの一つに入ってるぐらいだよ」

「それは知らなかった、この辺はよく知らないの」

「ここら辺は俺は子供の頃から来てるからさ」

そういって二人は町を歩いていく。



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