浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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あなたを一人にしないって言ったろ!

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雨のせいで、気温はどんどん下がっていく。

女性が書き仕事をしていたが、寒さに気づいて、一枚羽織る。

ふと窓の方を見上げると、落ち葉がひらりと離れて、それを視線で追う、すると端に自分の配偶者の姿が…

「これは旦那様」
「あぁ、いいよ、いいよ、楽にして」
「はい」
「未だに僕に慣れてくれないね」
「そういうわけでは…」
「まあ、そこもおいおいってところだね。何か飲まない?僕が準備するよ」
「すいません、ではいただきます」
「元々こういうのは自分でやってたからね」
旦那さんは教育機関出身。
「学生時代はどうだったんですか?」
「そんなにおもしろい話は…ないかも、勉強してばっかりだったし」
「それでも上位に入れるのですから」
「そうだけどもさ、あんまり僕は勉強には意欲はないほうだよ」
意欲なくて、成績上位者に名前が上がるとはいったい。
「意欲があったら、その赴任のお話なんかも変わっておられたのでは?」
「そうだね、3席までに入ると、出世コースだよね」
首席、次席、3席のいずれかが、現在、そして今後を担う産業やポストに強制的につくことになる。
「ただ僕の年は、イレギュラーっていうのかな、首席が体弱くてね」
「それは大変ですね」
「そう…季節の変わり目は辛そうだった、悪いやつではないんだけども、あまり友達としても付き合いはなかったからさ。うん、いい感じに蒸らし上がった、それじゃあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
「君は勤勉だね、こっちに来てからずっと欠かさず仕事をしている」
「そういうものでしょ?」
「そういうものだけども、なかなか有言実行ではてきることじゃないよ、お茶はどう?」
「美味しいですね」
「今は紅茶を練習しているんだ」
「紅葉をですか?」
「そう、なんとしてもゴールデンルールを物にしてやろうと思ってて」
「そうなんですか」
「だって紅茶が飲みたい時に、美味しい紅茶が出てきたら…」
「ちょっと嬉しいかな」
「でしょ、でしょ!」
「あれ?でも旦那様って紅茶はお飲みになりましたか?私もたまに飲むぐらいで」
「そのたまにが大事なんじゃないな」
「そうですが」
「君は調子が悪いときにあたたかい紅茶を飲みたくなるみたいだしさ」
「ああ、そうですね。なんか…そうなんですよね」
「だから夫としてここは是非ともキメて見せなくっちゃって思うわけ」
「へぇ~」
「ダメ?」
「ダメではありませんけど、ちょっとビックリするんですよ」
「なんで?」
「えっ?わざわざとか、う~んなんだろう。いいんですか?そういうことをしてくださって」
「君のためなら悪くないよ」
「…」
「何かな、その顔、お礼のチュ!ぐらいはあってもいいんじゃないかな」
「そういう下心があるんですか?」
「あるよ、男なんてそんなもんだよ。見栄のためな努力する」
「それはすごい行動力というか、なんと言うか」
「ただ、俺の場合は結構空回りするから、無難な方がうまく行くんだよね」
「そういうのが嫌なんですか?」
「ちょっとね」
「でも、そういうところは素敵だと思いますよ。一生懸命になれる、誰かのためにというのは…」
「そう?」
「ええ、そう思いますよ」
「君のためなら結構色んなことができると思うよ」
「それは望みませんから、どうかそのお心を困ってる人のためにお使いください」
「そこはもちろんだし、フラれちゃったな」
「フッてはいませんが、あっ、すいません、勘違いさせてしまいました。もう何も言いませんよ」
「えっ?」
一礼して、下がろうとするので。
「待って、待って、今の本当になし、それは本当にやめて」
「いえ、しかし」
「やめて、やめて、他の人間は、人の意思とか尊重しないタイプの人間ならば、そこに喜ぶと思うんだけども、俺はそれはダメだから、そういうのは本当にダメだから」
「なんで旦那様の方が泣きそうになってるんですか?」
「そりゃあ、なるよ。悲しいじゃないか、人間がせっかく備わっている感情を、素直に出すことが出来ないというのは」
「それは…よくあることですよ」
「僕じゃそれを全部解決は出来ないけども、ここにいる間は、どうか、感じるがままにいて欲しい」
「感じるがままにって」
そこまで器用ではない。
「君と仲良くなりたいんだよ。子供じみてはいるけどもね」
「そうですか」
「そうだよ。まあ、できればそのままお嫁さんに、もうなってはいるけどもさ、お嫁さんとして…いや何か違うな。身も心もお嫁さんにって奴で」
感情が入ってくると、どんどん言葉が独創的になっていく。
「もうスイートエンジェルなわけですけどもね、そこは不動、センターです」
何に例えているのかいまいちわからないが。
「大事にしようと思ってるのはわかります」
「ほっ」
「でも、旦那様も、その~」
「なんだい?」
「成績上位者まで取れば、自分の好きな道をある程度選べると思いますが、何故にこのお話をお受けになったんですか?」
「骨を埋めるっていう期間ではないけども、落ち着きたかったはある。安定はしているからね」
「安定ですか」
「まあ、成績上位者とかまでなると、婿入りの話はされるよ」
「それでお子さんでもできたら、安泰かな」
「定番コースだね」
「私は旦那様には好きな道を選んではいただきたいですけども」
「へぇ珍しいね、なんで?」
「えっ?そういうのって都合のいい話しかせずに、引き返せないところで実は…っていうじゃありませんか。それならば好きな道を選んでもらって、成功しても失敗しても納得できるのかなって」
「失敗は出来ればしたくないよ、納得もそうできるわけがない」
「でもあの時こうしていれば違ったかもは、引き返せなくなってからわかるじゃありませんか」
「そうなんだけどもさ、そうなんだけどもさ、なんか悔しいじゃん!」
「じゃん!って何ですか、じゃんって」
「ちょっとでも楽しく言わないと、決断を後悔しそうで」
「ああ、嫁選びに失敗したからですかね。それならばもうちょっと待ってくれたら、書類作り終わりましたら、さっそく別居でも」
「ストップ、俺はそれを望んでない」
「えっ?何故です?」
「君は魅力的なプリティさんなわけですから、そんな人が僕の嫁、最高ですね」
「はぁ、そうですか」
「屋敷の外と室内ぐらいの温度差を感じるね」


「う~んとまずですね、奥さんになる人ならば、若くて美人、生まれ的にもよろしい方とかはたくさんおられるので」
それこそ、この奥さんに話が実際に来るまで、世の中には美人だわ、料理とか上手だわ、勝てるところなんてないわね。という女性陣たちも結婚のシーズンを迎えていたのである。
「だから普通に考えたら、まずはそっちじゃないかと、断った…いや、領主の妻辺りならば、断らないんじゃないかな」
って感じ。
「1440年に亡くなった貴族みたいな扱いをされていたのかな?」
「その人も政略結婚した人ではあるけどもね、いや、そこと一緒にしてほしくないよ」
「旦那様、そう見られないよう振る舞うのも、大事なお仕事ですよ」
「本当はそうじゃなくても」
「そうです、そうです。そういうものでしょ、うちみたいに考えなしに着飾ろうとして、危ないところ歩いちゃったとか、そういうタイプでは旦那様はありませんから、賢明な方ですから、それがどういう意味を持つのか、おわかりになるはずです」
「でも割りきれない、気持ち的にね、そこまで…がどうしても出てしまう」
「珍しいですね、弱気というか、なんというか」
「僕はあんまり気の強い方ではないなら」
「それはそうですが、その割には一言申し上げますとかになると、強いんですよね」
「あれは言わないと、大変なことになる、それは訓練の代物だ、普段の僕はとても弱い」
「私に気弱なところを見せてもよろしいんですか?私はあなたの敵ですわよ」
「いいね、それならば好敵手になろうよ」
「気軽にそうやって乗せて、この後苦労しても知らないわよ」
さっきとはちょっと語尾が強め。
「そういう所好き、こう…悪女感というか、悪役をかってでれる、必要に応じて、そこで無難とは言わないけども、物事を着地させようとするところが…好き…」
もじもじされた。
「あのですね~」
「情けない部分もさらせるんだよな、君はそんな僕を否定しない、強くあって欲しいと願わない」
「あるがままの方がいいでしょ、特にあなたは、そういうタイプだ」
「へぇ、僕のことをそう見てるんだ」
「ぎっちぎちに締め付けてもしょうがない」
「寒い夜の日の毛布みたいな、そんなふんわり感でよろしくお願いします」
「甘いのと厳しいのどっちがいいんですか?」
「そりゃあ適度な締めつけで、君はそういうのが上手い、誉めて叱って鼓舞させてってさ」
「あのね、それが全部甘えているんですよ」
「そう?」
「そうですよ、そこまで気持ちを預けない」
「そりゃあ、無理だな。もう惚れてしまってるからさ、もっと早くに会いたかったぐらいだから」
「早くだと、たぶんこういう仕事もできてないから、役に立ちませんよ」
「そうなんだよな」
ほら、やっぱり出来るからこそ求められているのだ。
出来ない私には意味がないのだ。
「それなら機関にいるときに知り合って、ああそれだと君に苦労させるか、あそこは最低限の支給しかないようなものだし」
「安いとは聞きますが、あれ、確か、私が聞いた時よりも大変だと」
「うん、そして悪いことにさらに悪いんだよね」
「ん~どうします?旦那様の直接の後輩にでも、返済要らない奨学金出すとか」
「えっ?」
「旦那様の名前で、永続ではなく、期間区切ってぐらいならば今の段階でもいけるんじゃないですかね。そうしたら、来るか、来ないかわかりませんけども、将来的にこちらの領への人材に、ただここまで来ると不確定ではありますが」
「悪い話ではないが」
「それこそ成績上位者、旦那様と今年同じ順位の人にとかね」
「粋なことするね、それならば3席までの人間以外もチャンスはあるし、僕もいい格好は出来るけどもさ」
「おや、浮かないお顔になりましたね」
「言われるまで気づかなかったもん、これなら、僕が領主になったときのタイミングでもやれたぐらいだし、逆に君と結婚したから出来る以外だと、なんでここでやるの?裏があるの?とか言われても、面倒なんだよな」
「将来的なことも、考えなきゃいけないから、休む暇もないんですがね」
「そうだねー実際に休息を取るのをいやがる人はいると聞くよ」
領主になったのだから、寝る間も惜しんで働け!
「ああ、それ、地盤とか血縁関係もないところだとあるから」
「君はそこら辺問題ないじゃん、実家にいたとき、そちらの地域に嫁いできた人たちのために力を貸してたんだし」
「逃げ道がない人を困らせるのは、ちょっとどうかと思いますよ」
「優しいじゃないか」
「そうですかね、う~ん、ここら辺は凄く難しい、色んな所と上手くやらなけらばならない、って教わってきている方からすると、後ろから撃たれるような真似はしないで欲しい」
「それはわかる、家庭を針のムシロにしてどうするんだって」
「そう、それ、ただでさえ、その我々を見る目は厳しいと思うんですよ。だからね、準備はたくさんしておいても、問題はないというか、それでも足りないんじゃないかと思うぐらいです」
「難しい問題だね」
「そうです、そうです。まあ、私がいるうちはあなたを精一杯守りますから」
それは王子様のようにキラキラしてて、騎士のように力強くも感じるが。


そんな時だ。
「お助けくださいませ!お助けくださいませ!」
外が騒がしくなった。
「旦那様!」
家のものがやってくる。
「何の騒ぎだ?」
「今は父が対応していますので、まだ何も」
「わかった。すまないが、妻を安全な所へ」
「奥様こちらへ」
「私は…」
「大丈夫、これも僕の仕事だから」
手をギュッと強く握ってきて。
「わかりました、お気を付けて」
「じゃあ、行ってくる」
簡単に自分の身なりを整えて、領主として対応するらしい。
「奥様…」
「あぁ、ごめんなさい、あなた方の仕事を増やすことになってしまいますね」
「いえ、そんなことは…」
離れに移動中に。
「先程の私は…やはり私は失格ですわね。…あなたもほら、そう思ってる」
「申し訳ありません、これはその失笑ではありません、なんというか、微笑ましくて。その仲がよろしくて結構でございます。それに奥様、旦那様はああ見えて、あの手の要望、要求は上手く交わすお方ですよ」
「そうだといいのだけども」
「それとも旦那様の実力をお疑いで?」
「そういわれると、全く心配はないかな、むしろそうね、私がいると邪魔ね」
「そういうわけでは…たぶん終わったら、奥様の顔をひょっこり見に来るでしょうから、その時はいつもより優しくしてあげるといいと思いますよ」
「私は人に優しくするのは苦手なのよね」
「えっ?」
離れに到着、ここにも書類はあるが、そこまで重要なものはなく、余裕があったら手をつけるぐらいのものが整理されておかれていたので。
「すいませんが、何かあたたかいものをいただけますか?」
「はい、直ちに」
彼女はそれならばこういう形で力になろうと、書類の見直しを行い始める。
自分がいつも持ち歩いている手帳とペンに気になるところを洗い出すと、不思議なもので今まで気づかなかった新しい発見というのは見つかるものであった。
それらをいくらか書き記し、まとめたところで、ちょっと区切りがいいかなと、伸びをしたら。
「お戻りになられたのならば、お声をかけてくださいよ」
「いや~可愛い伸びだなって、猫みたいだ」
「猫ですか?」
「うん、僕の可愛い子猫ちゃん」
「疲れてますね」
「そうかな~」
「いつものあなたではないかな~って」
「そりゃあね、さすがにああいうことは、対応しなければならないとはいえ、疲れるよ」
「声を聞いただけで、感情的になっておられましたからね」
「気持ちはわかる、僕もあんな声をあげたことはあるから、声をあげる方というのはいつも必死だし、きちんと対処しなければ、それならば道を踏み外しても構わないという、そういう考えに陥りがちだからね」
「お疲れ様でした」
「うん、ただいま」
そこで微笑まれたら、微笑み返して、時がしばらく止まるのだ。
「お帰りのチュウとかしてもいいんだよ」
ニコっ
すると、さらににこやかに微笑まれたと思うと、夫の顔のそばに、自らの顔もよせると。

ふぅ~


耳に吐息をかけた。

一気に真っ赤になる夫。
「お、お、お…」
言葉にならない、なんか「お」で止まる。
「あら?自分から何かして欲しいのに、こんなことで真っ赤になっていいんですか?」
「くっ」
息をかけられた方の耳を抑えながら、そんな返ししかできなかった。
「お仕事のことは一区切りついたのですから、まずは一回終わらせましょう、ずっと考えすぎると、体力が続かない」
「それもそうだね」
「あなたを一人にしないって言ったろ?」
「俺、男なんだよな」
「あら、ごめんなさいね」
「ただ俺の中にいる乙女心はときめいてしまってるよ、えっ?もう、そういうことなの!」
「そういうつもりはないんだけども」
「もう!いつもそういう、けど好き!もっとして!」
「旦那様はどっちなんです?私に真面目に接してもらいたいのか、それとも冗談を入れてもらいたいのか」
「それがね、時と場合によっては、どっちも欲しいんだよね、そのぐらい君と話すのは楽しいんだろうね」
「嬉しいな、私と話をしても面白くないとか言いますから」
「それって、ただの話ではなく、展望とかも話さなければならないときに、そう答えられたりしているんでしょ?それは…申し訳ないが、話し相手が悪いよ、このような話の一つも出来ない、返事も出来ない人間は、必要とされない生まれや育ちや立場だったりするんだからさ」
「旦那様」
「だから君も僕で我慢するといいよ、僕なら…」
「そういうことは言わないで、あなたは素晴らしい人なのだから」
「…」
「あなたが時々そうやって見せることがあるのは、知ってはいるけども、私にはしないでほしいかな」
「なんで?」
「逆効果!」
「そっか、逆効果か」
「うん、そう、そんなことをしなければならない時もあるかもしれないけどもさ、出来ればそういう方向に持っていかないでくれるといいかなって」
「なんで?」
「そういうことを言った後のあなたは、寂しい顔を、いえ、そんな顔は出してはいませんが、たぶん寂しいのではなかろうかと思うのですよ」
「そうだね~いつの間にか、そんなやり方覚えちゃったね」
「他のやり方も探していくといいですよ。それは心を傷つけてしまうから」
「君はやっぱりよく見ているね、僕が忘れてしまった僕を見つけてくれるような、泣いている僕を探しに来て、見つけた!っていってくる子だ」
「かくれんぼは、もうおしまいですよ」
「上手いこというね、じゃあ、帰ろうか、離れはやっぱりちょっと寒いし」
「北向きだし、建物も古いですからね」
「君も僕も暖かい所が必要さ」
「あたたかい…」
「それとも何かい?どこぞの修行僧のように、寒いときこそ、寒い中にいたいとでも?」
「それは少しあるかも」
「僕はごめんだよ」
「あなただけ戻ります?」
「嫌だ、君はさ、もう少し自分を許してあげなよ」
「許せたらいいんですけどもね」
「じゃあ、罰を与えます、僕の面倒を見てください」
「はいはい」
まさか了承されるとは思わなかったので。
「それはずっとってこと?」
「今夜ぐらいはいいでしょう」
「それは…それでね…」
「あら?私は何か変なことをいいました?」
そのままの君でいてください、現場から本日は以上となります!
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