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私は人生を諦めていたの
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その時、私は人生を諦めていたの…
「それならば面白いところにいかない?」
だからそういう誘いに簡単に乗ってしまった。
「でもさ、門(かど)さん」
「何かな、モナミさん」
「面白いところと言いましたが、さすがにこんなところはないんじゃないですかね」
ギャー
響き渡る悲鳴。
「ここってさ、古い建物だから、防音性能があまり良くないんだよね」
「それを冷静に、いえ、そんなことをいっている場合では…」
「なんで?」
「なんでって」
「ここも招待客のみなさんには折り込み済ってやつだよ」
滞在した古い別荘を利用した宿泊施設には様々な人間が、招待され、私はいくつかの会話をかわしたのだが。私のような理由以外にも人生を迷ったり、退屈していたり、落胆の中にいたりと、生きるという意味がわからなくなった人たちというのは、こんなにも多いものなんだなと驚いてしまった。
「君は優しいと思うよ、それに比べたら俺はどうにかしているんだ、こういう催しが定期的になければ上手くバランスが取れないんだよ」
「そういう人だとは知りませんでした」
「よく言われる。だからあまり人には見せないように生きているわけ、けど我慢し続けるのはできないから、破裂する前にさ、先にこういうところで発散させているわけよ」
「それでなんとかなるようなものなんですか?」
「今のところはね」
ここでの食事も変わっている。
注文する形を取っているのだが。
「こちらがメニューになっております」
ハンバーグや、肉じゃが、日替わり定食もあるらしい。
「しかしお客様、滞在の際に節約をもしもお考えなのでしたら、こういったものもありますよ」
ルーレットメニュー、当たりハズレが存在する食事は一般的なメニューに比べたら、ずっと安いし。
「もしもご注文からお食べになるところまで撮影させていただけましまら、無料で提供させることもできます」
「すいませんが、日替わり定食で」
「畏まりました」
宿には消灯の時間もある。
シングルの部屋には必要なものが全て備え付けられているので、困りはしないのだが。
キャー
夜ともなれば悲鳴。
パリン!
ガラスが割れる音。
ドンドンドン
ドアを乱暴に叩かれたり。
「助けてください、お願いします」
救援の叫びが聞こえたりする。
「そうであっても、決して出てはいけないよ」
これが門さんからのメッセージで先に送られてきたこともあり、怖いながらも待っていると。
この宿泊施設というのは、滞在の受付の際に、当館からのお知らせをアカウントフォローしてメッセージとして送られてくるのだが、そこから…
「お騒がせして申し訳ありません、それではごゆっくりお過ごしください、良い夜を」
が届くと、さっきまでのあれはなんだったのかわからないほど、静かな夜がやってくる。
「ハプニング?アクシデント?どっちでも良いんだけども、だから飽きずに楽しんだよ」
「そういうの…日常生活であまり出さない方がいいですよ」
「ん~それはわかっているんだけどもね…あれ?もしかして心配してくれてる?」
「そうですか?」
「そうなんだ…なんか嬉しい」
チェックアウトをする日の朝食。
「君は…」
門の顔を見た滞在客が気づいた。
「何度かこういった場所で見かける顔だね」
「はい」
「それでいつも女の子と一緒だが、毎回違う子だし、いつも初日で怒らせて帰ったりしてたけども」
「今回の子は、まだそんなことありませんでした」
「そうか…それは良かったと思うが、正直君ぐらいの年の人間がこういう催しに参加するのは、私としてはちょっとどうかなって思っているよ。最終日まで一緒の子がいたのならば、もうこんなところに来なくてもね~ともさ」
「私がいうのもなんだがね」
「そちらの心の傷は言えましたか?」
「娘を失った傷がありふれた悲劇なんかで癒えると思ってるとでも?」
「無理ですね」
「だろ?」
「ではまたお会いしましょう」
「それまでに君が心がわりすることを祈ってるよ」
「はっはっはっ、それでは彼女が来たので」
最終日の朝食は連日のものよりも豪華な食事が提供された。
この集まりの参加者は、それを食べながら、今日まであった非日常を思いだしていることだろう。
「モナミさんは食べれている?」
「なんとかね、一人だったらやっぱりまだダメだったかもしれないし」
「そう、それは良かった」
「最初に話を持ってこられたときは、何を言ってるのかしらって思ったんだけどもね」
「気に入ってくれて良かったよ」
「それは本当にそう思ってるの?」
信じられないという顔をされた。
「ごめんなさい」
「感謝はちゃんとしているわ」
「そっか…」
こうして私の非常に珍しい体験は終わった。
「モナミさん、次の招待が来たんだけども、行ってみない?」
ただその続きはこんな感じであれからも来るようになってしまった。
「それならば面白いところにいかない?」
だからそういう誘いに簡単に乗ってしまった。
「でもさ、門(かど)さん」
「何かな、モナミさん」
「面白いところと言いましたが、さすがにこんなところはないんじゃないですかね」
ギャー
響き渡る悲鳴。
「ここってさ、古い建物だから、防音性能があまり良くないんだよね」
「それを冷静に、いえ、そんなことをいっている場合では…」
「なんで?」
「なんでって」
「ここも招待客のみなさんには折り込み済ってやつだよ」
滞在した古い別荘を利用した宿泊施設には様々な人間が、招待され、私はいくつかの会話をかわしたのだが。私のような理由以外にも人生を迷ったり、退屈していたり、落胆の中にいたりと、生きるという意味がわからなくなった人たちというのは、こんなにも多いものなんだなと驚いてしまった。
「君は優しいと思うよ、それに比べたら俺はどうにかしているんだ、こういう催しが定期的になければ上手くバランスが取れないんだよ」
「そういう人だとは知りませんでした」
「よく言われる。だからあまり人には見せないように生きているわけ、けど我慢し続けるのはできないから、破裂する前にさ、先にこういうところで発散させているわけよ」
「それでなんとかなるようなものなんですか?」
「今のところはね」
ここでの食事も変わっている。
注文する形を取っているのだが。
「こちらがメニューになっております」
ハンバーグや、肉じゃが、日替わり定食もあるらしい。
「しかしお客様、滞在の際に節約をもしもお考えなのでしたら、こういったものもありますよ」
ルーレットメニュー、当たりハズレが存在する食事は一般的なメニューに比べたら、ずっと安いし。
「もしもご注文からお食べになるところまで撮影させていただけましまら、無料で提供させることもできます」
「すいませんが、日替わり定食で」
「畏まりました」
宿には消灯の時間もある。
シングルの部屋には必要なものが全て備え付けられているので、困りはしないのだが。
キャー
夜ともなれば悲鳴。
パリン!
ガラスが割れる音。
ドンドンドン
ドアを乱暴に叩かれたり。
「助けてください、お願いします」
救援の叫びが聞こえたりする。
「そうであっても、決して出てはいけないよ」
これが門さんからのメッセージで先に送られてきたこともあり、怖いながらも待っていると。
この宿泊施設というのは、滞在の受付の際に、当館からのお知らせをアカウントフォローしてメッセージとして送られてくるのだが、そこから…
「お騒がせして申し訳ありません、それではごゆっくりお過ごしください、良い夜を」
が届くと、さっきまでのあれはなんだったのかわからないほど、静かな夜がやってくる。
「ハプニング?アクシデント?どっちでも良いんだけども、だから飽きずに楽しんだよ」
「そういうの…日常生活であまり出さない方がいいですよ」
「ん~それはわかっているんだけどもね…あれ?もしかして心配してくれてる?」
「そうですか?」
「そうなんだ…なんか嬉しい」
チェックアウトをする日の朝食。
「君は…」
門の顔を見た滞在客が気づいた。
「何度かこういった場所で見かける顔だね」
「はい」
「それでいつも女の子と一緒だが、毎回違う子だし、いつも初日で怒らせて帰ったりしてたけども」
「今回の子は、まだそんなことありませんでした」
「そうか…それは良かったと思うが、正直君ぐらいの年の人間がこういう催しに参加するのは、私としてはちょっとどうかなって思っているよ。最終日まで一緒の子がいたのならば、もうこんなところに来なくてもね~ともさ」
「私がいうのもなんだがね」
「そちらの心の傷は言えましたか?」
「娘を失った傷がありふれた悲劇なんかで癒えると思ってるとでも?」
「無理ですね」
「だろ?」
「ではまたお会いしましょう」
「それまでに君が心がわりすることを祈ってるよ」
「はっはっはっ、それでは彼女が来たので」
最終日の朝食は連日のものよりも豪華な食事が提供された。
この集まりの参加者は、それを食べながら、今日まであった非日常を思いだしていることだろう。
「モナミさんは食べれている?」
「なんとかね、一人だったらやっぱりまだダメだったかもしれないし」
「そう、それは良かった」
「最初に話を持ってこられたときは、何を言ってるのかしらって思ったんだけどもね」
「気に入ってくれて良かったよ」
「それは本当にそう思ってるの?」
信じられないという顔をされた。
「ごめんなさい」
「感謝はちゃんとしているわ」
「そっか…」
こうして私の非常に珍しい体験は終わった。
「モナミさん、次の招待が来たんだけども、行ってみない?」
ただその続きはこんな感じであれからも来るようになってしまった。
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