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王太子アルファーフと黒髪の美しい子。
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(ここは••••••?)
気がつくと、庭園の一画、その茂みの中にいた。
視界の端に黒が映り、反射的にそちらを向くと先程の美しい子がいた。
しかし先程までの柔らかな雰囲気からかけ離れた険しい表情で、垣根の向こう側を睨むように見ている。
自分の心臓も、痛い程緊張していた。
何から嫌なことから隠れているような緊張感。
(こんなこと、あったか?)
記憶にない事態に困惑していると、向こう側で声がした。
「おい、いたか?」
「いねぇぞ」
「一旦引いた方がいいんじゃねぇの?」
「バグウバーダがついているんだろう?見つかったらやっかいだぜ」
「けどなあ、ちっこいガキ2人だけで遠くまで逃げられるとは思えねぇんだよな」
「案外この辺の垣根に埋まっていたりして」
話しながら、自分たちのいるところよりほんの少し先の草に手を突っ込んだのは明らかに柄の悪そうな奴らだった。
しかし自分は何を言っているかわかるが、これはルスノア王国の言葉だ。
幼い自分には分からないはずで、隣の子もわからないはずだと、アルファーフは思った。
相変わらず険しい表情をして、動く様子もない隣の子に手を伸ばすと、こちらを見ないまま、手を握り返してきた。
「でんか、だいじょうぶです。もうすこし、このままでいてくださいね」どうやら逃げる様子のない彼に、男達の話してる内容を伝えなければと口を開いた瞬間、
ドゴォォォォッ!!!!
と土煙をあげて男の一人が吹っ飛んだ。
「うちの坊ちゃん達に何の用だい?」
悪鬼の形相で笑うティリーが立っていた。
隣では「まにあった••••••」と息を吐く音がした。
こちらを向いた美しい子は、繋いだ手と反対の手で、アルファーフの頬を撫でる。
「でんか、もうだいじょうぶですよ。ティリーがきてくれましたから」
自分の中に、安堵が押し寄せるのを感じる。
それに比例して、もう何年も流したことのない涙がとめどなく溢れてくるのを、美しい指がぬぐってくれる。
「こわいおもいさせて、ごめんなさい••••••」
後悔しているような声に、自分が答えている。
「セジーのせいじゃないよ。ぼくが行きたいって言ったから••••••ごめんね、セジー」
そんなやりとりをしている間に片付け終わったのだろう。
暴漢たちを騎士に放り投げたティリーが迷いなく自分達のところに来る。
「アル坊、セジ坊、大丈夫かい?」
当然のように引っ張り上げられて、女性にしては逞しい胸にギュッと抱きしめられた。
きっとこの自分は怖くてたまらなかったのだろう。わんわんと泣くのを抑えられなかった。
気がつくと、庭園の一画、その茂みの中にいた。
視界の端に黒が映り、反射的にそちらを向くと先程の美しい子がいた。
しかし先程までの柔らかな雰囲気からかけ離れた険しい表情で、垣根の向こう側を睨むように見ている。
自分の心臓も、痛い程緊張していた。
何から嫌なことから隠れているような緊張感。
(こんなこと、あったか?)
記憶にない事態に困惑していると、向こう側で声がした。
「おい、いたか?」
「いねぇぞ」
「一旦引いた方がいいんじゃねぇの?」
「バグウバーダがついているんだろう?見つかったらやっかいだぜ」
「けどなあ、ちっこいガキ2人だけで遠くまで逃げられるとは思えねぇんだよな」
「案外この辺の垣根に埋まっていたりして」
話しながら、自分たちのいるところよりほんの少し先の草に手を突っ込んだのは明らかに柄の悪そうな奴らだった。
しかし自分は何を言っているかわかるが、これはルスノア王国の言葉だ。
幼い自分には分からないはずで、隣の子もわからないはずだと、アルファーフは思った。
相変わらず険しい表情をして、動く様子もない隣の子に手を伸ばすと、こちらを見ないまま、手を握り返してきた。
「でんか、だいじょうぶです。もうすこし、このままでいてくださいね」どうやら逃げる様子のない彼に、男達の話してる内容を伝えなければと口を開いた瞬間、
ドゴォォォォッ!!!!
と土煙をあげて男の一人が吹っ飛んだ。
「うちの坊ちゃん達に何の用だい?」
悪鬼の形相で笑うティリーが立っていた。
隣では「まにあった••••••」と息を吐く音がした。
こちらを向いた美しい子は、繋いだ手と反対の手で、アルファーフの頬を撫でる。
「でんか、もうだいじょうぶですよ。ティリーがきてくれましたから」
自分の中に、安堵が押し寄せるのを感じる。
それに比例して、もう何年も流したことのない涙がとめどなく溢れてくるのを、美しい指がぬぐってくれる。
「こわいおもいさせて、ごめんなさい••••••」
後悔しているような声に、自分が答えている。
「セジーのせいじゃないよ。ぼくが行きたいって言ったから••••••ごめんね、セジー」
そんなやりとりをしている間に片付け終わったのだろう。
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「アル坊、セジ坊、大丈夫かい?」
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きっとこの自分は怖くてたまらなかったのだろう。わんわんと泣くのを抑えられなかった。
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