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英雄の娘の罪人が知る、真実の嘘。
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ビリッ!!
ビリリリッ!!!!
「…え?」
オーメル・ガーカスは鈍い思考の中で、何の音だろう?と首を回した。
周囲の影が、自分を小突いているように見えるが、痛みもなかった。
ビリィッ!!
何かの破れる音に、そちらを向くと、誰かが淡いピンク色のヒラヒラとした何かを手にしていた。
「…え?」
そのまま下を見ると、自分のドレスと同じに見える。
「え?」
考えていると、反対側から手が伸びて、またビリリッと引き裂く音。
それはどう見ても自分のドレスだ、とそこにきてようやくオーメル・ガーカスは気がついた。
「やっ、やめて!!アルさまの…いやぁっ!!」
アル様からもらったドレス、など男達には関係ない。
引き裂き、ボロ布のように剥いでいく。
そうして、もう辛うじて一部を隠しているかいないかの状態になって初めて男達が少し離れた。
「さあ嬢ちゃん、練習だ」
「手始めに、王太子殿下好みの厭らしいポーズ、やってみろよ」
ギャハハハハッ
と下卑た嗤い声が牢に響く。
(ふざけないでよ!!)
心の中で悪態をついても、体も口も動かない。
何とか動いた手も、大切な部分が見えないように隠しているから、動くことすら出来ない。
「……ひっ?!」
固まっていると突然後ろから両手を掴まれ、引き離された。
服が捲れて、隠していた部分が男達の目に晒される。
「やめっ!!」
体を捻るが、後ろからガッチリと固定されて動けない。
「嬢ちゃんみたいなお貴族様、しかも英雄に大切に大切にされていた箱入りお嬢様にはできねぇよなあ」
だから、教えてやるよ。
そう言ったのは、エイブン・マラーだ。
自分では見えないが、明らかに卑猥だとわかるポーズを取らされ、男達が騒ぐ。
「お頭、他のポーズももっとやらせてくださいよ!!」
野次に応えるように、次々に恥ずかしいポーズをさせられ、羞恥に逃げようと身を捩っても逃れられない。
「微妙だな」
ひとりが言う。
「ああ分かった!地味すぎるんじゃないか?」
別の男が言う。
「王太子殿下の好む娼婦がこんな地味な髪色好むわけないな!」
「だったらいっそ、無い方が興奮するんじゃねぇか?」
そんなやりとりで、毛を剃り落とされることが決まった。
オーメル・ガーカスは恐怖と嫌悪で逃げようとするのをドレスの残りを引かれ、引きずり戻され、男達に仰向けに押さえつけられた。
「やめて!いや!!お願いやめて!!」
血と涙と色々なもので顔をグチャグチャにしながら懇願するが、その様は下卑た男達には笑いを誘うものでしかなかった。
「嬢ちゃん、王太子殿下の恋人なら、相応しくしないとな」
楽しそうに言われながら、ザッと頭皮をナイフが掠め、ブルネットの髪が剃り落とされる。
「お゛ね゛か゛い゛し゛ま゛っ……か゛み゛…そ゛ら゛な゛い゛……「きけねぇな」
一刀両断され、泣きながら剃り落とされる髪を見ていることしか出来ないオーメル・ガーカスは、徐々に焦点の合わない虚な表情になっていく。
綺麗なスキンヘッドが出来上がり、剃った男が満足そうにニヤつく。
「我ながら最高傑作」
ニヤニヤする男に、周りも頷く。
「これで当面坊主頭だな。あとは……」
そう言った男が目をやったのは、オーメル・ガーカスが隠していた箇所。
男達は寄ってたかってそこを暴き、平気でナイフで剃り落とした。
しかしオーメル・ガーカスは反応しない。
ちぇっ、と剃り落とした男が詰まらなさそうにする。
「お頭、こうも無反応になられるとやりがいがねぇんですが」
「あー、まあそうだな」
言われたエイブン・マラーは嫌な嗤いを浮かべ、オーメル・ガーカスの耳元に囁く。
「なあ嬢ちゃん、王太子殿下に会いたいだろう?」
ピク、と指が動く。
「王太子殿下に、見てもらわねえとな。きっと今の嬢ちゃんみたら惚れ直すぜ」
薄茶色の瞳が、意思を持って覗き込んでくるエイブン・マラーを見た。
「まあ、お前の知る王太子殿下はいなくなっちまったけどなあ」
薄茶色の瞳が大きく見開かれ、跳ね起きようとしたのか、体がビクンッと波打つ。
その唇が、うそよ、と音を出さずに小さく動く。
「しかも婚約者がいるって体面を無視して恋人つくっただけでも顰蹙なのに、あんな大騒動おこして許されるほど、国は甘くねぇよ」
その瞳にみるみる涙が溜まり、流れ落ちる。
「皆が噂してるぜ?次の王太子殿下は誰になるのかってな」
「可哀想に、恋人がよりによって国に忠誠を誓っているはずの英雄の娘だからな。放っておいても王になれるのにわざわざ王の意に背いて反逆罪ってのも不思議だが、どっちにしろ死罪一択なんだよなあ」
そう言った男の顔が、わざとらしく歪む。
ビリリリッ!!!!
「…え?」
オーメル・ガーカスは鈍い思考の中で、何の音だろう?と首を回した。
周囲の影が、自分を小突いているように見えるが、痛みもなかった。
ビリィッ!!
何かの破れる音に、そちらを向くと、誰かが淡いピンク色のヒラヒラとした何かを手にしていた。
「…え?」
そのまま下を見ると、自分のドレスと同じに見える。
「え?」
考えていると、反対側から手が伸びて、またビリリッと引き裂く音。
それはどう見ても自分のドレスだ、とそこにきてようやくオーメル・ガーカスは気がついた。
「やっ、やめて!!アルさまの…いやぁっ!!」
アル様からもらったドレス、など男達には関係ない。
引き裂き、ボロ布のように剥いでいく。
そうして、もう辛うじて一部を隠しているかいないかの状態になって初めて男達が少し離れた。
「さあ嬢ちゃん、練習だ」
「手始めに、王太子殿下好みの厭らしいポーズ、やってみろよ」
ギャハハハハッ
と下卑た嗤い声が牢に響く。
(ふざけないでよ!!)
心の中で悪態をついても、体も口も動かない。
何とか動いた手も、大切な部分が見えないように隠しているから、動くことすら出来ない。
「……ひっ?!」
固まっていると突然後ろから両手を掴まれ、引き離された。
服が捲れて、隠していた部分が男達の目に晒される。
「やめっ!!」
体を捻るが、後ろからガッチリと固定されて動けない。
「嬢ちゃんみたいなお貴族様、しかも英雄に大切に大切にされていた箱入りお嬢様にはできねぇよなあ」
だから、教えてやるよ。
そう言ったのは、エイブン・マラーだ。
自分では見えないが、明らかに卑猥だとわかるポーズを取らされ、男達が騒ぐ。
「お頭、他のポーズももっとやらせてくださいよ!!」
野次に応えるように、次々に恥ずかしいポーズをさせられ、羞恥に逃げようと身を捩っても逃れられない。
「微妙だな」
ひとりが言う。
「ああ分かった!地味すぎるんじゃないか?」
別の男が言う。
「王太子殿下の好む娼婦がこんな地味な髪色好むわけないな!」
「だったらいっそ、無い方が興奮するんじゃねぇか?」
そんなやりとりで、毛を剃り落とされることが決まった。
オーメル・ガーカスは恐怖と嫌悪で逃げようとするのをドレスの残りを引かれ、引きずり戻され、男達に仰向けに押さえつけられた。
「やめて!いや!!お願いやめて!!」
血と涙と色々なもので顔をグチャグチャにしながら懇願するが、その様は下卑た男達には笑いを誘うものでしかなかった。
「嬢ちゃん、王太子殿下の恋人なら、相応しくしないとな」
楽しそうに言われながら、ザッと頭皮をナイフが掠め、ブルネットの髪が剃り落とされる。
「お゛ね゛か゛い゛し゛ま゛っ……か゛み゛…そ゛ら゛な゛い゛……「きけねぇな」
一刀両断され、泣きながら剃り落とされる髪を見ていることしか出来ないオーメル・ガーカスは、徐々に焦点の合わない虚な表情になっていく。
綺麗なスキンヘッドが出来上がり、剃った男が満足そうにニヤつく。
「我ながら最高傑作」
ニヤニヤする男に、周りも頷く。
「これで当面坊主頭だな。あとは……」
そう言った男が目をやったのは、オーメル・ガーカスが隠していた箇所。
男達は寄ってたかってそこを暴き、平気でナイフで剃り落とした。
しかしオーメル・ガーカスは反応しない。
ちぇっ、と剃り落とした男が詰まらなさそうにする。
「お頭、こうも無反応になられるとやりがいがねぇんですが」
「あー、まあそうだな」
言われたエイブン・マラーは嫌な嗤いを浮かべ、オーメル・ガーカスの耳元に囁く。
「なあ嬢ちゃん、王太子殿下に会いたいだろう?」
ピク、と指が動く。
「王太子殿下に、見てもらわねえとな。きっと今の嬢ちゃんみたら惚れ直すぜ」
薄茶色の瞳が、意思を持って覗き込んでくるエイブン・マラーを見た。
「まあ、お前の知る王太子殿下はいなくなっちまったけどなあ」
薄茶色の瞳が大きく見開かれ、跳ね起きようとしたのか、体がビクンッと波打つ。
その唇が、うそよ、と音を出さずに小さく動く。
「しかも婚約者がいるって体面を無視して恋人つくっただけでも顰蹙なのに、あんな大騒動おこして許されるほど、国は甘くねぇよ」
その瞳にみるみる涙が溜まり、流れ落ちる。
「皆が噂してるぜ?次の王太子殿下は誰になるのかってな」
「可哀想に、恋人がよりによって国に忠誠を誓っているはずの英雄の娘だからな。放っておいても王になれるのにわざわざ王の意に背いて反逆罪ってのも不思議だが、どっちにしろ死罪一択なんだよなあ」
そう言った男の顔が、わざとらしく歪む。
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