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第二十四話
しおりを挟む「さて…行くか…」
翌朝。
日が登る前に目を覚ました俺は、朝食をとり、クロに餌を与えた。
そして動きやすい格好に着替え、玄関から外に出る。
昨日決めた方針の通り、今日からモンスターを倒し、レベルを上げ、スキル獲得に努めるつもりだった。
俺はまず自身の現在のステータスを確認する。
名前:西村博隆
レベル:18
スキルポイント:130
スキル:回復、収納
獲得可能スキル一覧
・加速スキル(必要スキルポイント10)
・浮遊スキル(必要スキルポイント200)
「特に変化はないな」
昨日最後に見た時と比べて、特に変化はない。
一晩経てば、ひょっとすると獲得可能なスキルが増えていたりしないかと思ったがそういうこともないようだ。
「モンスター討伐が契機になったりしているのか…?」
今まで獲得可能スキルが増えたタイミングを思い起こしてみると、その全てがモンスターを倒してレベルが上がった直後だった。
ひょっとすると、レベルが上がるごとに獲得可能スキルも増えていくのかもしれない。
「さて…いよいよだな」
いざモンスターを倒しに行くとなるとそれなりに緊張する。
俺は昨日に引き続き、武器に選んだ金属バットをぐっと握ってから家の敷地から出た。
「一応…な…」
最初のうちは、俺は物陰に身を隠しつつ慎重に進んでいった。
もしかしたら今日になって、自分のモンスターに襲われないという特性が失われているかもしれなかったからだ。
しかし、前方からやってきた一匹のゴブリンが、俺の真横を通って素通りして行ったのを見て、まだこの特性は維持されていることを確認した。
「それじゃあ、一発目…おりゃあ!!!」
俺は見えていないあのように素通りしていったゴブリンの後頭部に、思いっきり金属バットを振り下ろす。
メキョ!!!
『…』
一撃でゴブリンの頭蓋は完璧に破壊され、ゴブリンは悲鳴をあげることなく地面に倒れた。
「…レベルアップは…なしか…」
俺はゴブリンを倒したことによりレベルアップを期待したのだが、特にあのお決まりのアナウンスは頭の中で流れなかった。
ステータスにも変化はない。
おそらく、これはレベルが高くなるごとに上がりにくくなるシステムだろうと予想を立てた。
レベルが低いうちは、ゴブリンをいっぴき倒すだけで、いくつもレベルが上がっていた。
だが、レベルが18になった今は、ゴブリン程度の雑魚を倒したところで、そう簡単にレベルアップはさせてもらえないということなのだろう。
「ま、そうだよな。ずっと同じペースでレベルが上がるわけないか」
もとより、予想していたことだ。
俺は気を取り直して、ゴブリンの死体を放置し、次のモンスターを探して住宅街を歩き回るのだった。
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