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二十一話
しおりを挟むデイスの班は被害も消費もなかったが
ナツの班の物資が全て取られたので
また物資の補給をすることになった
会議室でタリアが1人、
無表情で物資の計算をしている
私はタリアの向かいに立っていた
「タリア、ごめんね」
私はお金や労力を使わせることが
悪いと思って謝った
「盗られたのは救護用の物資だ
誰かを助けているだろうと思う
そしてまた補給することにより、
お金だって回る
別に悪いことばかりじゃない」
「‥ありがとう」
「‥‥」
お礼を言った私を少し見つめた後、
タリアは計算を続けた
邪魔にならないよう会議室から出た私は
見回りがてら中庭に移動した
中庭には木が等間隔で並び、
周りにはお花がたくさん咲いている
ベンチもあり、
夜は綺麗な星がたくさん見えるので
みんなが癒される場所の1つだ
私は木の近くのベンチに座り
少し休むことにした
すると、木の影で見えなかったのか
私には気付かず3人組が荷物を運びながら
歩いているのが見えた
ナロンがゾフィアとヤーナに
何か責められているように見える
「謝りに行ってそれは無理だろう」
「なーんでだよー
部屋まで行って
その流れで終わりはないだろうよー」
「そうだぞー
俺だったらその状況なら言うな、
たとえ腹が痛くとも」
「お前、腹弱いもんなー」
あはははーっと笑い声が響く
本当にあの3人は仲が良い
その近くにシオンとリク、
トキワ、ダンがいた
どうやら掃除中らしい
4人ともほうきを持っていた
シオンとトキワが一緒の空間にいると
いい意味のドキドキじゃなくて
悪い意味でのドキドキがする
「なにため息なんてついてんだよ
こっちまで気分が滅入る」
ため息に気づいた
トキワがシオンに言った
「あぁ?
それは俺に言ってんのか?」
シオンはほうきを掃く手を止め、
トキワを睨みつけた
どうやら悪い予感は当たりそうだ
止めに行くべきか
新入隊のあとの2人に任せるべきか
あまり上官が入り込みすぎるのは
良くないからなぁ‥
「ただでさえ掃除なんてさせられて
イラついてんだから
ため息つくなら向こう行けや」
「おいトキワー
ため息ぐらいいいじゃん
気にすんなよなー」
ダンが2人の間に立ち、制そうとする
「テメェのせいで掃除させられてんだ
ため息ぐらいでガタガタ抜かすな」
「ちょっとシオン!
トキワだけのせいじゃないよ
2人が訓練中に揉めたからなんだよ」
「そうだそうだー
俺とリクは巻き込まれたんだからなー」
なるほど
揉めた罰として掃除してるんだな
ふとシオンがこっちを見て
私に気づいたように見えた
「‥‥」
無愛想な表情のまま
視線を逸らされて
そのまま歩き出して行ってしまった
「おまっ!
掃除中だろうが!
どこ行くんだよ!」
「シオン?」
リクが追いかけて寄り添う
「まぁ、誰だって調子悪い日ぐらいあるわ
俺があの2人の分まとめてやるから
トキワも頑張ってくれぃ!」
ダンがトキワの肩に手を乗せ
シオンとは逆方向に進む
「はぁ!?」
トキワは納得行ってないようだが
どうやら力はダンの方が上みたいで
引きずられながら進んで行った
成り行きを見守っていると
仲直り‥はしてないが
なんとか収まったみたいだ
‥そして1つ気になる事がある
私に気づいたみたいだけど、目逸らした‥
いや、揉めてる途中に
ニコってするのも変だし
腹立ちすぎて挨拶も
出来なかったのかもしれないけど‥
悲しい‥
最近慣れてきてくれたのか
話してくれるの嬉しかったのになぁ‥と
思いながら歩いていたら
いつの間にかジーナの部屋の中に入っていた
「おいおい、何も言わずに急に入ってきて
ソファに座ってるのは怖いぞ」
「ごめんね、とりあえず
お茶お願いします」
「‥相変わらず素直だと誉めておくよ」
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