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四十八話
しおりを挟む私の部屋に着いた
お茶を用意していつものテーブルに置き、
向き合って椅子に座る
私はジーナの話を聞けることに
ワクワクしていた
お茶をひと口啜り
私の笑顔を見てから
ジーナは話し出す
「私の夢は
街の外に出て洞窟などで
鉱物の発掘をすること
もともとは誕生石が好きでね
誕生石について調べていると
鉱物という言葉を知ったんだ
例外もあるが、鉱物というのは
どこを取っても同じ化学組成、結晶構造を
もっている天然の個体のことで
今まで約4700種類ほどの鉱物が
発見されているらしくてね
自然に産出されるダイヤモンドなども
鉱物に含まれるが、
真珠など生物が作ったものや
人が作ったものは鉱物に含まれないんだ」
ジーナは少し遠くを見ながら微笑む
感心しながら話を聞いていた私は
お茶を飲むのも忘れていた
「でもね、盗賊がいるから
街の外へは基本行けないだろう?
だから私は討伐隊に入ったんだよ
盗賊を名乗り悪さをする人がいなくなって
街の中や外を
なんの気兼ねもなく行き来できる
自分の夢のために
私は進んできたんだ」
ジーナは隊服の襟を立てネクタイの
スナップボタンの片方を右手で外し、
普段は隠れている
シャツの2番目のボタンを見せてくれた
「1番上だと何かの時に
見えてしまいそうだったから
2番目のボタンを私の誕生石の
ダイオプサイドをくっつけてるんだ」
深いグリーンのダイオプサイドが
外からの光を浴びた
「ただこれは偽物、おもちゃなんだ
本物は街では手に入らない
まぁ、割れやすいみたいだし
隊服にはつけられないから
これで満足してるけど」
そしてネクタイのスナップボタンをつけた
「まぁ、こんな感じかな?
こんなことなかなか人には話さないから
少し緊張したよ」
鼻の頭をポリポリと掻いて
軽く笑っていた
「素敵な夢だね
私もジーナが発掘した鉱物を見てみたい
楽しみだなぁ~」
両肘を机について顎を乗せ
首を左右に揺らしながら
私はその姿を想像し思いを募らせた
「ハハッ、ありがとう
私もナツに見せるのを楽しみにしているよ」
ところで、とジーナは続けた
「ナツには夢はあるのかい?」
夢‥‥
うーんと斜め上を見上げて考えてみるも
頭の中は何も出てこなかった
「どうなんだろう?
あったのかなかったのか、
それすら分かんないなぁ‥‥」
「なら、今から夢作り放題じゃないか
今のナツに夢が出来たら私は応援するよ
だからと言って
無理に作るものじゃないから
気負いしないでおくれよ」
私はジーナの話が聞けたことが嬉しくて、
心が温かくなった
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