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百五話
しおりを挟む「‥なんだ、あいつは?」
暗い路地に入り、ライハはボソッと呟いた
シオンもシギという名前や
ナツと同じ状況などは知っているが
知らない展開に何も答えなかった
途中で手短にタリアが説明をし、
シギ本人かどうか分かるか尋ねた
「シギ、だと思うんだけどなぁ‥
あの顔にあの声、シギなんだけど‥」
ライハも混乱しているのか声が弱々しい
「何かシギにしかない特徴とかないか?
ほくろや‥怪我の跡なんかでも‥」
怪我の跡、と言う時に
少し辛そうに見えた気がした
きっと、前に話してくれた人が
怪我をしていた事を
思い出しながら言ったのだろう
少し考えた後、ライハは
何かを思い付いた顔をして手を叩いた
「キトなら何か分かると思う!
俺が入ったときにはすでに
キトとシギは仲良しだったからなぁ」
仲良し、だったなら
何か分かるかもしれないと思うのは
私も同じ意見だが、
シギのことを話していた時の
キトの悲しそうに笑う顔がふと頭をよぎる
「‥シギと会って
キトのこと分からないって言われたら
キト、傷つかないかな?」
「さぁね
しかもシギ本人じゃないかもしれねぇし
分かんねぇ」
「‥そう、だね」
シギ本人だった場合、
キトのことも分からないと言われたら
キトは傷つき、私もこれ以上何も進まない
シギ本人じゃなかった場合、
保管庫には、シギという名前と
この顔の人は他にいないから
手がかりがなくてこれ以上何も進まない
どっちに転んでも
何も分からない結果になりそう
不安な気持ちがなくなるように
隊服越しに胸のお守りを握りしめた
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