巡り合い、

アミノ

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百三十二話

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バァァァァァァーン!

「おっはよー、ナツ!
今日も爽やかな良い風が吹いてるよー」

まだ眠たい目を擦りながら私は起き上がる

「おはよう、ジーナ」

私の目を見て
うん、と頷くとニコッと笑った

そして頭をくしゃくしゃっと撫でられた

「変な事は、考えないでおくれよ」

何の事か分からないが、
私を見つめていたジーナの目が
なんだか切なく見えたので、
咄嗟にうん、と頷いた

「じゃあ、ご飯行こうか!」

「着替えるからちょっと待ってー」

ライハから返してもらったネクタイではなく
タリアから新しくもらったネクタイを付ける

用意が終わると2人で
食堂に向かい歩き出した

「おっはよー!」

後ろから元気な声が聞こえたので
振り向くと、ゾフィアが手を振っていた

ナロンとヤーナも一緒だ

「おはよう、みんなも今からご飯?」

「おぅ、朝は大体みんな時間被るよな」

私の問いかけには
ナロンが答えてくれた

なんとなく、胸が熱い気がするのは
こっちのナツの想いなのだろうか‥

「ぎゃー!!
そっち行くなー!!」

急に誰かの大声が廊下に響き渡り、
私たちは声のした方へ顔を向け耳を澄ませる

姿は見えないが複数人のドタドタと走る音と
何かの鳴き声が聞こえてきた

「なんだぁ?」

ヤーナが静かに呟くと同時に
近くの曲がり角から何かが飛び出してくる

「あっ、ねこ‥?」

小さなトラ猫がシャーと言いながら
すごい勢いでヤーナの胸元に飛びかかった

「猫ー!」

次に叫びながら曲がり角から
飛び出して来たのはシオンとダンだった

叫んでたのはダンだ

「あっ、おはようございます!」

ダンが走りながら挨拶をし、
私たちのところまで来て
廊下には7人と猫1匹が集まっていた

シオンも私達に頭を下げている

ヤーナは左手で猫を抱いたまま
尻もちをついたらしく、
床に右手をつき体を支えながら
少し顔を歪ませていた

「いててて‥」

ヤーナの腕に爪を立て興奮気味の猫が
シャーと言っている

大丈夫?と心配しながら聞くと
へへっと笑いながら猫の頭を撫でた

「大丈夫大丈夫、
俺、動物に好かれる体質なんだ」

猫がうっとりと
気持ち良さそうに目を閉じ大人しくなり、
ヤーナに身を委ねている

さっきまでの猫と違う猫なのかと
思ってしまうほどだ

「すげぇな、大人しくなったぜ」

「ヤーナにこんな才能があるとは
知らなかったよ」

ナロンとジーナが感心したように
猫とヤーナを見ていた

「何でこんなところに猫がいるんだ?」

ゾフィアがシオンとダンに問いかける

「朝の掃除の為に
講義で使う部屋を開けたら
何故かその猫がいたんです
本とかバケツとか倒して暴れまくってて‥
捕まえようとしたら逃げたんで
追いかけてました」

ダンが説明し、
シオンは横で頷いている

「まぁ、本能的に
追いかけたら逃げちまうわな
首輪してるし、どっかの飼い猫かもしれん
探してる人いないか確認してみるわ」

討伐署の外には掲示板があって
ペットが迷子になったりすると
そこに情報が貼られることがある

それを確認しに行くみたいだ

話してる間も猫を撫でているヤーナを
じっと見つめているシオンが目に入る

「ありがとうございます!
掃除あるので俺達行きますね、
シオン、行くぞ!」

「お、おぅ‥失礼します」

何となくこちらを気にしながら
去って行くシオンが気になったが、
ナロン、ゾフィア、ヤーナの3人が
外の掲示板を見に行くと言うので別れ
私とジーナは食堂へと歩き出した


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