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盈月
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「なんか、前にもこんなことあったね」
公園でブランコに座りながら賢太郎を待つ。あれはたしか、瑠璃と仲良くなって欲しいと伝えた時だ。現れた彼は、その時と重なった。
「何の用だよ」
ぶっきらぼうに告げて、賢太郎はブランコの柵に腰掛けた。前は、腰掛ようとすらしなかったな。見つめた彼の?を夕陽が赤く染めていく。
「遊びのお誘い。明日、瑠璃と三人で街に行こう」
「……俺は行かない」
軽快な声は即座に否定される。
「なんで?」
「…………」
少年はきまり悪そうに目を背けるだけだった。何かを言おうか迷っているようにも見える。
ーーやっぱり何かあるんだ。
少しほっとする。最近、賢太郎はあからさまに私達を避けていた。登下校にも来なくなったし、私が話しかけようとしても逃げてしまう。それに彼自身も、いつもの悪ガキ二人と居る訳でもなくひとりぼっちだった。明らかに様子がおかしい。
「理由無いなら行こうよ」
煽ってみる。原因を話して欲しい。賢太郎にも嫌われたのかもしれないなんて疑惑を早く消したい。
「俺は行けない。昇と約束したんだ、もう西山には近づかないって」
耐えきれないようにそうこぼした。賢太郎の目はまだ地面を向いている。
ーー昇くんね。
頭には、いろんな思いが同時に巡った。彼はまだ瑠璃のことが好きだったのか。賢太郎はようやく彼にも罪滅ぼしをすることに決められたのか。ほっとした。
「ふーん、でもそれって私には関係ないでしょ。私は賢太郎には瑠璃と仲良くなって欲しい。それで、賢太郎は私にも負い目がある。なら、私からのお誘いも断れないよね」
だけど、私は彼と遊びたい。これとそれは話が別だ。どさくさに紛れて瑠璃を誘えたのだ。何が何でも賢太郎を誘ってみせる。私は三人で遊びたい。
ーーなんか、瑠璃みたいな物言いしちゃったな。
それはそれでなんだか嬉しい。
「そんな……」
だけど賢太郎は裏切られたような顔をした。罪滅ぼしのためならば協力してくれると思っていたのだろう。
「はい、決まり。明日9時に駅集合。約束破ったら賢太郎の黒歴史をクラスにバラすから。じゃあね」
反論をさせる暇も与えず走り出す。
「えっ、ちょ、待てよ!」
追いかけてくる足音を振り向きもしないで速度を上げた。
多分こうやったら彼の性格上、明日は来るだろう。来なければいけない大義名分まで作ってやったのだ。
昇くんには悪いけれど、わたしはわたしの好きなようにやるよ。
空想の中、眼鏡の少年に言葉をかけた。
公園でブランコに座りながら賢太郎を待つ。あれはたしか、瑠璃と仲良くなって欲しいと伝えた時だ。現れた彼は、その時と重なった。
「何の用だよ」
ぶっきらぼうに告げて、賢太郎はブランコの柵に腰掛けた。前は、腰掛ようとすらしなかったな。見つめた彼の?を夕陽が赤く染めていく。
「遊びのお誘い。明日、瑠璃と三人で街に行こう」
「……俺は行かない」
軽快な声は即座に否定される。
「なんで?」
「…………」
少年はきまり悪そうに目を背けるだけだった。何かを言おうか迷っているようにも見える。
ーーやっぱり何かあるんだ。
少しほっとする。最近、賢太郎はあからさまに私達を避けていた。登下校にも来なくなったし、私が話しかけようとしても逃げてしまう。それに彼自身も、いつもの悪ガキ二人と居る訳でもなくひとりぼっちだった。明らかに様子がおかしい。
「理由無いなら行こうよ」
煽ってみる。原因を話して欲しい。賢太郎にも嫌われたのかもしれないなんて疑惑を早く消したい。
「俺は行けない。昇と約束したんだ、もう西山には近づかないって」
耐えきれないようにそうこぼした。賢太郎の目はまだ地面を向いている。
ーー昇くんね。
頭には、いろんな思いが同時に巡った。彼はまだ瑠璃のことが好きだったのか。賢太郎はようやく彼にも罪滅ぼしをすることに決められたのか。ほっとした。
「ふーん、でもそれって私には関係ないでしょ。私は賢太郎には瑠璃と仲良くなって欲しい。それで、賢太郎は私にも負い目がある。なら、私からのお誘いも断れないよね」
だけど、私は彼と遊びたい。これとそれは話が別だ。どさくさに紛れて瑠璃を誘えたのだ。何が何でも賢太郎を誘ってみせる。私は三人で遊びたい。
ーーなんか、瑠璃みたいな物言いしちゃったな。
それはそれでなんだか嬉しい。
「そんな……」
だけど賢太郎は裏切られたような顔をした。罪滅ぼしのためならば協力してくれると思っていたのだろう。
「はい、決まり。明日9時に駅集合。約束破ったら賢太郎の黒歴史をクラスにバラすから。じゃあね」
反論をさせる暇も与えず走り出す。
「えっ、ちょ、待てよ!」
追いかけてくる足音を振り向きもしないで速度を上げた。
多分こうやったら彼の性格上、明日は来るだろう。来なければいけない大義名分まで作ってやったのだ。
昇くんには悪いけれど、わたしはわたしの好きなようにやるよ。
空想の中、眼鏡の少年に言葉をかけた。
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