パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

21

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「初めてだったからかな、私と似た人に会ったの。私と西山さん、ある意味似てるでしょ?」
告げて彼女を観察する。そう、似てるから。だから私はこの子に惹かれる。退屈な人間ばかりの世界で、この子の姿が違って見える。危険でもいいかなと魅せられてしまう。私の視線に引かれてか、ゆっくりと黒い瞳がこっちを向いた。絡み合う視線。私を見つめる少女の瞳はガラス玉みたいだった。
「……そうかもね、ある意味」
西山さんは視線を外す。きっと彼女も気づいた。自分と私が似ている事に。
「だから、興味があるの、あなたに。友達になりたいの」
畳み掛ける言葉。
「そう」
静かな返答。私の熱い言葉に、少女は感慨も無く読書を再開した。
「ちょっと、そこ、じゃあ友達になろうって言う所じゃない?」
「最初に言ったでしょ? 友達なんて必要ないって」
「必要ないって思うなら理由なんて聞かないでよ。期待しちゃうでしょ」
「そんなの知らない」
まったく、なんなのこの子は! ふざけたように心の中で怒って笑いを洩らした。もちろん、最初から上手くいくとは思っていなかったし、西山瑠璃がこういう子だってもの分かっていた。
「じゃ、今日はこのくらいにしとくけど、諦めないから。じゃあね」
言い捨てて彼女の席から離れる。これ以上いると、後ろで睨みをきかせる私の親衛隊長が怒り出しそうだ。
「ごめん沙羅、香水見せて!」
繕うように叫んで、私は元の居場所へ駆け出した。

 
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