35 / 56
ニアミス2
しおりを挟む
星児はくゆる煙に目を細めながら目の前に立つ青年を見た。
津田、武明。
みちると恋仲にあった男。今日初めて、面通しした。星児は以前聞かされたこの男の〝印象〟を思い出していた。
ただの育ちの良い坊っちゃんではない。
政治家の目をした男。
なるほど、と星児は煙草を口から外し煙を一気に吐き出した。
コイツ、マジで〝政治家の目〟をしてやがる。
抜け目無さと計算高さを内包しているのだろう。まるで隙が無い。端麗な容姿の内面にある感情は、まるで読めなかった。
灰皿で煙草を揉み消し星児は心の中で微かに笑う。
優雅な仮面、被ってっけど、やっぱアイツの息子だ。
向き合う二人は互いを警戒し牽制し合うように動かない。一瞬の隙を見せたら負け、そんな空気に包まれていた。
星児が口角を上げてフッと笑う。
「見るからにお坊っちゃんのアンタが俺みてーなゴロツキに何の用だ」
スラックスのポケットに手を突っ込む星児は斜に構えた姿勢で武明を見据え、凄味を効かせた声音で言った。動じない武明はクスリと笑い答えた。
「そんな立派な紳士のなりをしたゴロツキはいませんよ。貴方がご自分をどう思おうと勝手ですが、僕は少なくとも、みちるが今身を寄せている男がそんな男とは思いたくもありませんね」
星児の表情が微かに動いた。
コイツは、知ってる。
「みちるは、いずれ返して貰います」
武明の顔から微笑が消えた。端正な顔が一変する。刺すような瞳に氷のような冷たさを浮かべていた。
「本性を現したか」
蛇みてえだな。星児がクックと笑いながら言う。
「随分とみちるの事調べたみてーだけどよ、そんじゃあアンタ、自分自身とみちるの関係も分かってんだろうよ」
初めて武明の表情が、僅かだが歪んだが、直ぐに元のにこやかな表情に戻る。目だけは笑っていなかった。
「だから何だと言うのですか。関係ありませんよ、そんな事。僕がみちるを愛している事に変わりはないのですから。それに……」
美しい氷の微笑を浮かべた武明は星児に言う。
「僕には父親はいませんから」
踵を返した武明の背中に星児は何喰わぬ調子で声を掛けた。
「みちるには会わねーのかよ」
武明は歩みが止めたが振り向く事なく答えた。
「言ったでしょう、いずれ返してもらう、と。必ず迎えに行く。そう信じているから今は会いません」
強い意思を感じる言葉だった。自信の根拠は何処にあるのか。
みちるを愛してる、か。父親はいない、とまで言い切りやがった。
星児は去って行く武明の後ろ姿を見、フンと鼻で笑った。
みちるはあの男と再会した時どんな反応をするのだろうか。あの男の元へ帰る、と言うだろうか。
背筋の伸びた後ろ姿を、星児は苦々しい思いで見詰めていた。
そもそも、返す返さない、とか言う問題じゃねーだろ。みちるが戻ってくる、という自信はどっから湧いてくんだよ。
小さく舌打ちをし、奥歯を噛みしめた。
「言ってくれるじゃねぇか」
〝愛してる〟。
俺達の言えない言葉を、堂々と。
武明が去って間もなくして、御幸邸の勝手口の方角から風呂敷包みを抱えて走ってくるみちるがが見えた。
手を挙げた星児にみちるは笑顔で応え、走り寄る。星児は愛しげに目を細め、みちるを抱き留めた。
みちるから話しを聞いた星児はその包みを「持ってやる」と受け取りながら言った。
「焼香済ませたら早々に退散するぞ」
「……うん」
星児を見上げるみちるは悲しげに頷いた。
歩き出し、ふと屋敷の庭を一望したみちるの脳裏を過った男の影が胸を締め付ける。
武明。この何処かに貴方がいる。
みちるは、想いを掻き消し、振り切る。
ここには思い出がありすぎる。星児さんの言う通りだ。
星児の袖をギュッと掴んだ。
「星児さん、早く帰ろう」
「ああ」
星児は袖を掴む頼りない儚げな手を優しく握る。少し冷たい大きな手の感触を感じながらみちるは目を閉じた。
右京さん、さようなら。
風に乗って漂う梅の花の優しい香りがみちるの鼻先を掠めていった。目を開けた視線の先に白い椿の花が咲いていた。
開いた門扉の間をゆっくりと通過した白い車が庭先に停まり、助手席のドアが開くと和装の喪服姿の美しい婦人が降り立った。黒一色というのにその艶やかな姿は人目を引いた。
焼香を終えて帰る弔問客の間でまことしやかに囁かれる。
「銀座の胡蝶のママじゃないか」
「ああ。でも御幸さんご自身にそういった付き合いがあると聞いた事はないが」
「津田氏の関係だろ」
車から降りたエミコの視線がある一点で止まった。
助手席のドアに手を掛けたまま動かないエミコに運転席にいたホスピス・幸陽園の院長が声を掛けた。
「エミコママ、どうかなされましたか。誰かお知り合いでも?」
ハッと我に返ったエミコは院長ににこやかに微笑みかけた。
「いいえ、知り合いに似てる方をお見かけしましたの。でも人違いのようです」
「そうでしたか」
「わたくしは先に御焼香の列に並んでおりますわね」
「では私は車を置いてまいります」
短い会話を交わし、エミコは助手席のドアを静かに閉めた。車が走り去った先を見詰める視線の先に、一人の娘が立っていた。
長い黒髪。白い肌。愛らしい顔立ち。エミコが失ってしまった大事な娘がそこにいた。間違いない、美術館で束の間の時を共にしたあの娘だ。
こんなところに、何故。
御幸氏との関わりのある、姫花とそっくりの娘。
エミコは、全てを察した。
御幸さん、貴方はこんな大事なものをお隠しになっていたの。
声を掛けたい。衝動を堪えエミコは立ち尽くす。エミコの見詰める中、娘は前に滑り込んできた車に乗り込み去って行った。
彼女を乗せた車が門から出て行ってもエミコは暫く動かずに立っていた。スミ子の言葉が脳裏を横切る。
『きっと、姫花の娘よ。アタシ、彼女に名刺を渡したの。姫花が引き合わせてくれた、そう信じてるの。これは宿命なのよ、きっと』
銀ちゃん、これが宿命と言うのなら。アナタが街で出会った娘は、きっとあの子。
フワッと吹き抜けた風にセットした髪を押さえてエミコは微笑んだ。
そうよ、あの日、私は信じる事にしたの。あの子が姫花の娘なら、必ずもう一度巡り会える。あの子は必ず私達の元に来る。姫花が必ず、私達にあの子を返してくれる。
「どうした、みちる?」
助手席に座り、膝の上に置かれた包みをじっと見詰めるみちるに車を運転する星児は前を向いたまま静かに聞いた。
ん……、と小さく声を発したみちるは少し思案してからポツリポツリと話し始めた。
「右京さんは、どうしてその、愛した女のお着物を私にくれる、って言ったんだろう?」
星児は自らの脈動に僅かな変化を感じた。
みちるの実の母親のものだから。言えない言葉は呑み込む。
「そうだな」
御幸邸の屋根付きの門を潜り抜け、道路に出た車は徐々に速度を上げる。
「何でだろうな」
今は、それしか言えなかった。
車内が沈黙に包まれる中、みちるは振り向いた。だんだんと小さくなってゆく立派な門構えの御幸邸。ミキエは別れ際、以前の時と同じようにみちるはをギュッと抱き締めた。
みちるの耳元で別れの言葉が短く囁かれた。
『みちるさんは、必ず幸せにおなりなさいね』
短い言葉がみちるの心にズシンと重く響いた。たった一言に、何か沢山の意味が込められていたように思えたのだ。
ミキエは何を知っているのか。
〝幸せ〟。
あまりにも漠然とし過ぎた言葉だ。みちるには、まだ自分の未来も見えず、歩む道も方向も見つけられていない。
ただ、父親と同じ匂いを感じた大事な人を失ってしまい、心の中に大きな穴を開けてしまったようだった。
津田、武明。
みちると恋仲にあった男。今日初めて、面通しした。星児は以前聞かされたこの男の〝印象〟を思い出していた。
ただの育ちの良い坊っちゃんではない。
政治家の目をした男。
なるほど、と星児は煙草を口から外し煙を一気に吐き出した。
コイツ、マジで〝政治家の目〟をしてやがる。
抜け目無さと計算高さを内包しているのだろう。まるで隙が無い。端麗な容姿の内面にある感情は、まるで読めなかった。
灰皿で煙草を揉み消し星児は心の中で微かに笑う。
優雅な仮面、被ってっけど、やっぱアイツの息子だ。
向き合う二人は互いを警戒し牽制し合うように動かない。一瞬の隙を見せたら負け、そんな空気に包まれていた。
星児が口角を上げてフッと笑う。
「見るからにお坊っちゃんのアンタが俺みてーなゴロツキに何の用だ」
スラックスのポケットに手を突っ込む星児は斜に構えた姿勢で武明を見据え、凄味を効かせた声音で言った。動じない武明はクスリと笑い答えた。
「そんな立派な紳士のなりをしたゴロツキはいませんよ。貴方がご自分をどう思おうと勝手ですが、僕は少なくとも、みちるが今身を寄せている男がそんな男とは思いたくもありませんね」
星児の表情が微かに動いた。
コイツは、知ってる。
「みちるは、いずれ返して貰います」
武明の顔から微笑が消えた。端正な顔が一変する。刺すような瞳に氷のような冷たさを浮かべていた。
「本性を現したか」
蛇みてえだな。星児がクックと笑いながら言う。
「随分とみちるの事調べたみてーだけどよ、そんじゃあアンタ、自分自身とみちるの関係も分かってんだろうよ」
初めて武明の表情が、僅かだが歪んだが、直ぐに元のにこやかな表情に戻る。目だけは笑っていなかった。
「だから何だと言うのですか。関係ありませんよ、そんな事。僕がみちるを愛している事に変わりはないのですから。それに……」
美しい氷の微笑を浮かべた武明は星児に言う。
「僕には父親はいませんから」
踵を返した武明の背中に星児は何喰わぬ調子で声を掛けた。
「みちるには会わねーのかよ」
武明は歩みが止めたが振り向く事なく答えた。
「言ったでしょう、いずれ返してもらう、と。必ず迎えに行く。そう信じているから今は会いません」
強い意思を感じる言葉だった。自信の根拠は何処にあるのか。
みちるを愛してる、か。父親はいない、とまで言い切りやがった。
星児は去って行く武明の後ろ姿を見、フンと鼻で笑った。
みちるはあの男と再会した時どんな反応をするのだろうか。あの男の元へ帰る、と言うだろうか。
背筋の伸びた後ろ姿を、星児は苦々しい思いで見詰めていた。
そもそも、返す返さない、とか言う問題じゃねーだろ。みちるが戻ってくる、という自信はどっから湧いてくんだよ。
小さく舌打ちをし、奥歯を噛みしめた。
「言ってくれるじゃねぇか」
〝愛してる〟。
俺達の言えない言葉を、堂々と。
武明が去って間もなくして、御幸邸の勝手口の方角から風呂敷包みを抱えて走ってくるみちるがが見えた。
手を挙げた星児にみちるは笑顔で応え、走り寄る。星児は愛しげに目を細め、みちるを抱き留めた。
みちるから話しを聞いた星児はその包みを「持ってやる」と受け取りながら言った。
「焼香済ませたら早々に退散するぞ」
「……うん」
星児を見上げるみちるは悲しげに頷いた。
歩き出し、ふと屋敷の庭を一望したみちるの脳裏を過った男の影が胸を締め付ける。
武明。この何処かに貴方がいる。
みちるは、想いを掻き消し、振り切る。
ここには思い出がありすぎる。星児さんの言う通りだ。
星児の袖をギュッと掴んだ。
「星児さん、早く帰ろう」
「ああ」
星児は袖を掴む頼りない儚げな手を優しく握る。少し冷たい大きな手の感触を感じながらみちるは目を閉じた。
右京さん、さようなら。
風に乗って漂う梅の花の優しい香りがみちるの鼻先を掠めていった。目を開けた視線の先に白い椿の花が咲いていた。
開いた門扉の間をゆっくりと通過した白い車が庭先に停まり、助手席のドアが開くと和装の喪服姿の美しい婦人が降り立った。黒一色というのにその艶やかな姿は人目を引いた。
焼香を終えて帰る弔問客の間でまことしやかに囁かれる。
「銀座の胡蝶のママじゃないか」
「ああ。でも御幸さんご自身にそういった付き合いがあると聞いた事はないが」
「津田氏の関係だろ」
車から降りたエミコの視線がある一点で止まった。
助手席のドアに手を掛けたまま動かないエミコに運転席にいたホスピス・幸陽園の院長が声を掛けた。
「エミコママ、どうかなされましたか。誰かお知り合いでも?」
ハッと我に返ったエミコは院長ににこやかに微笑みかけた。
「いいえ、知り合いに似てる方をお見かけしましたの。でも人違いのようです」
「そうでしたか」
「わたくしは先に御焼香の列に並んでおりますわね」
「では私は車を置いてまいります」
短い会話を交わし、エミコは助手席のドアを静かに閉めた。車が走り去った先を見詰める視線の先に、一人の娘が立っていた。
長い黒髪。白い肌。愛らしい顔立ち。エミコが失ってしまった大事な娘がそこにいた。間違いない、美術館で束の間の時を共にしたあの娘だ。
こんなところに、何故。
御幸氏との関わりのある、姫花とそっくりの娘。
エミコは、全てを察した。
御幸さん、貴方はこんな大事なものをお隠しになっていたの。
声を掛けたい。衝動を堪えエミコは立ち尽くす。エミコの見詰める中、娘は前に滑り込んできた車に乗り込み去って行った。
彼女を乗せた車が門から出て行ってもエミコは暫く動かずに立っていた。スミ子の言葉が脳裏を横切る。
『きっと、姫花の娘よ。アタシ、彼女に名刺を渡したの。姫花が引き合わせてくれた、そう信じてるの。これは宿命なのよ、きっと』
銀ちゃん、これが宿命と言うのなら。アナタが街で出会った娘は、きっとあの子。
フワッと吹き抜けた風にセットした髪を押さえてエミコは微笑んだ。
そうよ、あの日、私は信じる事にしたの。あの子が姫花の娘なら、必ずもう一度巡り会える。あの子は必ず私達の元に来る。姫花が必ず、私達にあの子を返してくれる。
「どうした、みちる?」
助手席に座り、膝の上に置かれた包みをじっと見詰めるみちるに車を運転する星児は前を向いたまま静かに聞いた。
ん……、と小さく声を発したみちるは少し思案してからポツリポツリと話し始めた。
「右京さんは、どうしてその、愛した女のお着物を私にくれる、って言ったんだろう?」
星児は自らの脈動に僅かな変化を感じた。
みちるの実の母親のものだから。言えない言葉は呑み込む。
「そうだな」
御幸邸の屋根付きの門を潜り抜け、道路に出た車は徐々に速度を上げる。
「何でだろうな」
今は、それしか言えなかった。
車内が沈黙に包まれる中、みちるは振り向いた。だんだんと小さくなってゆく立派な門構えの御幸邸。ミキエは別れ際、以前の時と同じようにみちるはをギュッと抱き締めた。
みちるの耳元で別れの言葉が短く囁かれた。
『みちるさんは、必ず幸せにおなりなさいね』
短い言葉がみちるの心にズシンと重く響いた。たった一言に、何か沢山の意味が込められていたように思えたのだ。
ミキエは何を知っているのか。
〝幸せ〟。
あまりにも漠然とし過ぎた言葉だ。みちるには、まだ自分の未来も見えず、歩む道も方向も見つけられていない。
ただ、父親と同じ匂いを感じた大事な人を失ってしまい、心の中に大きな穴を開けてしまったようだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる