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カルテ10 非情な宣告
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夕方、立川に戻って来た。緒方君は事務所の入ったビルの脇の細い道に車を停めた。
少しでも長く緒方君と一緒にいたい、って素直に思ったのだけど、いくら人通りも車の通りも少ない場所とはいえ、白くて大きな外車セダンはちょっと目立つ。
早いとこ降りないと、誰に会うか分かったものではない。
わたしは助手席のドアを開け、足を下ろしながら運転席の緒方君の方を見た。
「ありがとう、緒方君。すごく楽しかった。わたし、また頑張れる」
緒方君はふわりと笑った。
「それなら良かった」
わたしの胸を掴むような柔らかな笑顔と声に、自然と笑みが浮かんでしまう。
「その笑顔、また見せて」
緒方君はサラリとそんなことを言ってわたしをドキンとさせる。
じゃあ、わたしもお返し。
「また、誘ってくれたらね」
どんな反応する? と思ったけど緒方君は冷静に。
「はい、お誘いしますよ」
もう。それじゃ本心が分からない。
でも、まだ二人とも分からないのかもしれない。
互いの、距離の取り方。もっと、近づいていいのか。もう少しこのままの距離を保った方がいいのか。
若い時と違うから。がむしゃらに手を伸ばすことができない。
自分の感情も、どう読んでいいのか分からない。
リスク。そう、年を重ねた分だけ、リスクを知っているから。
「ここまで送ってくれて、ありがと。また連絡するわね」
そう言って車から降りようとした時。クッと腕を掴まれた。
予想外の緒方君の行動に、わたしはびっくりして振り返る。
緒方君?
アーモンド型の、綺麗な目が真剣な色を見せている。澄んだ黒い目に、わたしの顔が映りそう。
「どうしたの?」
ドキドキする鼓動がどんどん加速して、声が震えそうだった。
「一つ、聞いてもいい?」
どきん、という大きな拍動に身体全体が震えそうになった。わたしは固唾の呑んで、
「なに?」
緒方君の言葉を促した。
「昨日、翠川さんが僕に電話をしてきたのは、精神科医としての僕を頼ってくれたから? それとも、僕を一人の男として頼ってくれたから?」
ずきゅん、という音を聞いた気がした。心臓を、撃ち抜かれたかと思った。
どっち?
実は、自分でも分からないの。ううん、昨日のあの時点では、どちらとも断言できなかった。昨日のわたしは、半々くらいだったかもしれない。
でも、今のわたしは?
「今は、教えない。次に会った時に。また誘ってくれるんでしょう?」
一瞬、緒方君の切れ長の目が大きくなった。そして、アハハと笑う。
「参りました」と緒方君はわたしの腕を掴んでいた手をゆっくりと離した。わたしは解放された手をすっと伸ばして緒方君の頬に添えた。
「誘うのも、約束?」
緒方君の優しく笑う目がわたしを見つめている。
「そう、約束」
互いの顔が、自然とそっと近づいて。本当に自然に。
こんなキス、久しぶりだった。
重ねた唇の感触は緒方君の全てを物語る。
柔らかくて、優しかった。
ずっと、ずっと。もっともっと。
そう思ったけれど、唇はそっと離れて。
「またね」
「うん」
わたし達はゆっくりと離れた。
もう、言葉になんてしなくていいのかな。
わたしが車を降りてドアを閉めた時、パワーウインドウが開いた。
ハンドルに手を掛けた緒方君が少しだけこちらに身を乗り出して、フッと笑った。
「翠川さん」
ちょっぴり妖艶な笑みにドキッとさせられながらわたしが「なあに?」と車の中を覗くと。
「僕は、仕事を頑張る君も、好きだよ」
好き?
思いがけずもたらされた言葉の意が直ぐに理解できないわたしを残し、緒方君は「また連絡する」と微笑み掛けて助手席の窓を閉め、去って行った
走り去る白いセダンが見えなくなるまで見送るわたしの胸に押し寄せるのは、期待、不安、希望――。言葉では言い表せない。
〝好き〟はどんな意味? どう受け取っていいの?
緒方君、ずるい。わたしに、なにも言わせないで。わたしの応えも、聞かないで。
次に会った時はなんて言ってやろうかしら。
そんな風に思いながらも、わたしは胸に浮き立つような感情が湧くのを感じていた。これから訪れる何かの予感に期待する、胸の鼓動と共に。
浮かれる感情が声に現れないよう、ドアの前でパンッと頬を叩いて、わたしは事務所の中に入った。
「ただいまもどりましたー」
事務所には、蓉子先生もこのみさんもいた。
「菊乃ちゃん、お帰りなさい」
明るく出迎えてくれたこのみさんの奥、デスクに座る蓉子先生はくわえタバコで難しい顔で何かを読んでいた。
その姿を見たわたしの胸に、一抹の不安が過る。
なんだろう。
わたしが自分のデスクに着いた時、蓉子先生が顔を上げた。
「菊乃、ちょうといいところに帰って来たわ。今電話しようと思っていたところ」
そう言って、蓉子先生が今読んでいた書類をわたしに差し出した。先生の傍に行き、受け取った書類を見たわたしの顔が固まった。
「少し前に、菊乃の元婚約者だった弁護士の使いだっていう男がここに来て、そんなとんでもないこのを置いていったわ」
書類に目を落とし、サッと目を通したわたしの心が、凍りつく。
「慰謝料5000万、請求……?」
震える声で読み上げたわたしに蓉子先生が言う。
「菊乃の元カレ、昨日ここに来たそうね。相手方の代理人になったって?」
血の気が失せる、とはまさにこの事か。
書類は、わたしが抱える案件、あの、近藤恵果さんに対する慰謝料請求の内容証明だった。
まさか、こんな方法に出るなんて。しかも、こんな早く。昨日の今日じゃない。
今日、これから仕事を終えた恵果さんに会いに行く約束を取り付けていた。これからのことを話し合う為と、ご主人の〝病気〟を何故話してくれていなかったのかを聞く為。
それなのに、こんな……。
昨日の玲さんを思い浮べて、わたしの背中がゾクリと冷たくなった。
蓉子先生の問いかけにわたしは「はい」と掠れる声を絞り出すしか出来なかった。蓉子先生は盛大なため息と共にタバコの煙を吐き出した。
「さすが、〝法廷の悪魔〟」
〝法廷の悪魔〟。
それは、敏腕だけれど冷酷非情、そんな玲さんを揶揄した言い方だった。わたしはそんな玲さんの傍にずっといた。ずっと見て来た。
「はい、そうです。これが、彼のやり方です……」
だから、知ってる。
「そのようね。とんでもない額を吹っ掛けて、こちらを折れさせるつもりか……」
そう。玲さんのやり方に、優しさも思いやりもない。
「かなりヤバい男が相手方に付いたわね」
少し前にわたしの胸を一杯にしていた雪解けの春にも似た気持ちを暗転させる。一気に極寒の地に引き戻させる破壊力を持った、目の前の現実。
わたしは茫然と書類を見つめていた。
蓉子先生はもくもくと漂う煙を手で掃いながら言葉を継いだ。
「この案件、私が変わろうか」
救いの神から天の声かと思ってしまった。
到底敵わない相手に立ち向かったって、クライアントに迷惑がかかるだけかもしれない。
それならいっそのこと丸投げしてしまえば――そう考えた時、でも待って、とわたしの思考にもう一人のわたしがストップを掛けた。
ここで近藤さん夫婦のことを蓉子先生に丸投げしてしまったら、本当にこの夫婦は終わってしまう。
もっと違う何かの方法がある筈。今こんな中途半端な形で投げ出して逃げてしまったら、わたしはこの先後悔する。
玲さんは怖い。きっと、これからもっと非情な手段でわたしを潰しにくる。でもここで逃げてしまったら、わたしはいつまでも甘ったれのまま。蓉子先生の影でぬくぬく守られたまま。
自立したいの。もっと、仕事が出来るようになりたいの。
これからもっと、色々な問題を抱えた人の力になれる弁護士になりたいの。
そう思った時、わたしの脳裏にフッと緒方君の姿が過った。
『僕が、助けてあげるから――』
ありがとう、緒方君。
その言葉があるから、頑張れる。
無理に強がらないわ。
あなたがいるから。
わたしは、蓉子先生を真っ直ぐに見据えて言った。
「わたしにやらせてください。解決させてみせます」
少しでも長く緒方君と一緒にいたい、って素直に思ったのだけど、いくら人通りも車の通りも少ない場所とはいえ、白くて大きな外車セダンはちょっと目立つ。
早いとこ降りないと、誰に会うか分かったものではない。
わたしは助手席のドアを開け、足を下ろしながら運転席の緒方君の方を見た。
「ありがとう、緒方君。すごく楽しかった。わたし、また頑張れる」
緒方君はふわりと笑った。
「それなら良かった」
わたしの胸を掴むような柔らかな笑顔と声に、自然と笑みが浮かんでしまう。
「その笑顔、また見せて」
緒方君はサラリとそんなことを言ってわたしをドキンとさせる。
じゃあ、わたしもお返し。
「また、誘ってくれたらね」
どんな反応する? と思ったけど緒方君は冷静に。
「はい、お誘いしますよ」
もう。それじゃ本心が分からない。
でも、まだ二人とも分からないのかもしれない。
互いの、距離の取り方。もっと、近づいていいのか。もう少しこのままの距離を保った方がいいのか。
若い時と違うから。がむしゃらに手を伸ばすことができない。
自分の感情も、どう読んでいいのか分からない。
リスク。そう、年を重ねた分だけ、リスクを知っているから。
「ここまで送ってくれて、ありがと。また連絡するわね」
そう言って車から降りようとした時。クッと腕を掴まれた。
予想外の緒方君の行動に、わたしはびっくりして振り返る。
緒方君?
アーモンド型の、綺麗な目が真剣な色を見せている。澄んだ黒い目に、わたしの顔が映りそう。
「どうしたの?」
ドキドキする鼓動がどんどん加速して、声が震えそうだった。
「一つ、聞いてもいい?」
どきん、という大きな拍動に身体全体が震えそうになった。わたしは固唾の呑んで、
「なに?」
緒方君の言葉を促した。
「昨日、翠川さんが僕に電話をしてきたのは、精神科医としての僕を頼ってくれたから? それとも、僕を一人の男として頼ってくれたから?」
ずきゅん、という音を聞いた気がした。心臓を、撃ち抜かれたかと思った。
どっち?
実は、自分でも分からないの。ううん、昨日のあの時点では、どちらとも断言できなかった。昨日のわたしは、半々くらいだったかもしれない。
でも、今のわたしは?
「今は、教えない。次に会った時に。また誘ってくれるんでしょう?」
一瞬、緒方君の切れ長の目が大きくなった。そして、アハハと笑う。
「参りました」と緒方君はわたしの腕を掴んでいた手をゆっくりと離した。わたしは解放された手をすっと伸ばして緒方君の頬に添えた。
「誘うのも、約束?」
緒方君の優しく笑う目がわたしを見つめている。
「そう、約束」
互いの顔が、自然とそっと近づいて。本当に自然に。
こんなキス、久しぶりだった。
重ねた唇の感触は緒方君の全てを物語る。
柔らかくて、優しかった。
ずっと、ずっと。もっともっと。
そう思ったけれど、唇はそっと離れて。
「またね」
「うん」
わたし達はゆっくりと離れた。
もう、言葉になんてしなくていいのかな。
わたしが車を降りてドアを閉めた時、パワーウインドウが開いた。
ハンドルに手を掛けた緒方君が少しだけこちらに身を乗り出して、フッと笑った。
「翠川さん」
ちょっぴり妖艶な笑みにドキッとさせられながらわたしが「なあに?」と車の中を覗くと。
「僕は、仕事を頑張る君も、好きだよ」
好き?
思いがけずもたらされた言葉の意が直ぐに理解できないわたしを残し、緒方君は「また連絡する」と微笑み掛けて助手席の窓を閉め、去って行った
走り去る白いセダンが見えなくなるまで見送るわたしの胸に押し寄せるのは、期待、不安、希望――。言葉では言い表せない。
〝好き〟はどんな意味? どう受け取っていいの?
緒方君、ずるい。わたしに、なにも言わせないで。わたしの応えも、聞かないで。
次に会った時はなんて言ってやろうかしら。
そんな風に思いながらも、わたしは胸に浮き立つような感情が湧くのを感じていた。これから訪れる何かの予感に期待する、胸の鼓動と共に。
浮かれる感情が声に現れないよう、ドアの前でパンッと頬を叩いて、わたしは事務所の中に入った。
「ただいまもどりましたー」
事務所には、蓉子先生もこのみさんもいた。
「菊乃ちゃん、お帰りなさい」
明るく出迎えてくれたこのみさんの奥、デスクに座る蓉子先生はくわえタバコで難しい顔で何かを読んでいた。
その姿を見たわたしの胸に、一抹の不安が過る。
なんだろう。
わたしが自分のデスクに着いた時、蓉子先生が顔を上げた。
「菊乃、ちょうといいところに帰って来たわ。今電話しようと思っていたところ」
そう言って、蓉子先生が今読んでいた書類をわたしに差し出した。先生の傍に行き、受け取った書類を見たわたしの顔が固まった。
「少し前に、菊乃の元婚約者だった弁護士の使いだっていう男がここに来て、そんなとんでもないこのを置いていったわ」
書類に目を落とし、サッと目を通したわたしの心が、凍りつく。
「慰謝料5000万、請求……?」
震える声で読み上げたわたしに蓉子先生が言う。
「菊乃の元カレ、昨日ここに来たそうね。相手方の代理人になったって?」
血の気が失せる、とはまさにこの事か。
書類は、わたしが抱える案件、あの、近藤恵果さんに対する慰謝料請求の内容証明だった。
まさか、こんな方法に出るなんて。しかも、こんな早く。昨日の今日じゃない。
今日、これから仕事を終えた恵果さんに会いに行く約束を取り付けていた。これからのことを話し合う為と、ご主人の〝病気〟を何故話してくれていなかったのかを聞く為。
それなのに、こんな……。
昨日の玲さんを思い浮べて、わたしの背中がゾクリと冷たくなった。
蓉子先生の問いかけにわたしは「はい」と掠れる声を絞り出すしか出来なかった。蓉子先生は盛大なため息と共にタバコの煙を吐き出した。
「さすが、〝法廷の悪魔〟」
〝法廷の悪魔〟。
それは、敏腕だけれど冷酷非情、そんな玲さんを揶揄した言い方だった。わたしはそんな玲さんの傍にずっといた。ずっと見て来た。
「はい、そうです。これが、彼のやり方です……」
だから、知ってる。
「そのようね。とんでもない額を吹っ掛けて、こちらを折れさせるつもりか……」
そう。玲さんのやり方に、優しさも思いやりもない。
「かなりヤバい男が相手方に付いたわね」
少し前にわたしの胸を一杯にしていた雪解けの春にも似た気持ちを暗転させる。一気に極寒の地に引き戻させる破壊力を持った、目の前の現実。
わたしは茫然と書類を見つめていた。
蓉子先生はもくもくと漂う煙を手で掃いながら言葉を継いだ。
「この案件、私が変わろうか」
救いの神から天の声かと思ってしまった。
到底敵わない相手に立ち向かったって、クライアントに迷惑がかかるだけかもしれない。
それならいっそのこと丸投げしてしまえば――そう考えた時、でも待って、とわたしの思考にもう一人のわたしがストップを掛けた。
ここで近藤さん夫婦のことを蓉子先生に丸投げしてしまったら、本当にこの夫婦は終わってしまう。
もっと違う何かの方法がある筈。今こんな中途半端な形で投げ出して逃げてしまったら、わたしはこの先後悔する。
玲さんは怖い。きっと、これからもっと非情な手段でわたしを潰しにくる。でもここで逃げてしまったら、わたしはいつまでも甘ったれのまま。蓉子先生の影でぬくぬく守られたまま。
自立したいの。もっと、仕事が出来るようになりたいの。
これからもっと、色々な問題を抱えた人の力になれる弁護士になりたいの。
そう思った時、わたしの脳裏にフッと緒方君の姿が過った。
『僕が、助けてあげるから――』
ありがとう、緒方君。
その言葉があるから、頑張れる。
無理に強がらないわ。
あなたがいるから。
わたしは、蓉子先生を真っ直ぐに見据えて言った。
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