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4貴臣
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雨の音が近い。それは、窓の傍だから。
美夕はゆっくりと手を伸ばしてベッドの脇のカーテンを捲った。
暗闇の中に灯る庭の外灯が、雨に濡れる森をぼんやりと浮かび上がらせていた。
小降りなのにしっかりと雨音が耳に届く夜。
美夕は横になったまま窓の外を眺め、あの日の雨音を思い出していた。
雨音は美夕の記憶を呼び起こす。
何故あの日、この離れに来たか。
それだけはどうしても思い出せないのだが、亡くなる3ヶ月前の、自宅療養中だった母の不可解な言葉だけが耳に残っていた。
『美夕、貴臣さんを見に行ってあげて。
お母さんの代わりに。……何があっても逃げては駄目よ。受け止めて――』
激しい雨が降る夜だった。雨音が、全ての音を消し去るような。
「貴臣兄さん?!」
美夕の身体をベッドの上に押し倒した貴臣は、具合の悪そうな顔をしていたが、その力だけは男のそれだった。
「美夕、悪いな。この離れは夜は俺だけしかいないんだ。それにこの雨だ。声を上げても、誰にも聞こえないだろうな」
美夕を見下ろす貴臣の美しい顔が、フッと意地悪く微笑んだ。
「美夕に罪はないんだけどな、――っ!」
貴臣のネイビーのパジャマを掴み、美夕は懸命に抵抗したが、腕を払われ、着ていたブラウスがいとも簡単に引き裂かれた。
「いやあぁあっ」
スカートが捲られ、ショーツの上から指が這った。
「やめて……っ、そんなとこ、あっ、んんっ、」
貴臣は、慣れた手付きで美夕の陰部を愛撫していく。
まだ経験の無かった高校生の美夕の躰は貴臣の手で強引に開かれていった。
「あ、あっ、やぁっ」
ショーツの間から侵入した指が美夕の花弁を捲る。
容赦無く膣を攻める貴臣の指に美夕は躰を震わせた。
悶える美夕に貴臣はフッと笑う。
「すごいな、初めてのくせに前戯がいらないくらいだ」
美夕は貴臣の口ぶりと表情で、その言葉の意味を察した。
涙を流す目で睨んだが、
「んぁ、やぁっ、あっ」
一際大きな波が美夕を襲った。
「あっぁ、ああっ! いや、ぁあっん、」
激しい水音が下腹部から聞こえ、躰の中で、意思とは違う何かが弾ける感覚を覚えた。
「美夕、ほら、こっちもだ」
貴臣の手が美夕胸に伸びた。
ブラジャーを乱暴に押し上げられ、露わになった乳房の先で、薄いピンク色の乳首が何かを待つように勃ち上がっていた。
貴臣は乳房を鷲掴みにし、指で乳首を刺激した。
「ああっ、いやぁっ」
休みない激しい愛撫の果て、貴臣は言った。
「美夕、力を抜け」
目を瞠る美夕の足が容赦なく大きく開かれ、そして、
「……っひっぃ、あっ」
みし、という音が聞こえた気がした。
「いぁああああっ、いたいっ、あああっ」
想像以上にきつい締め付けに一瞬顔を歪めた貴臣だったが、そのまま奥へと貫いた。
美夕の抜けるような白さに覆われた躰が仰け反る。
「やぁ、っああっ! ああああっ!」
弓なりに反った美夕の躰を抱きあげた貴臣は涙で頬を濡らす美夕の長い髪の毛を梳いた。
「いいぞ、美夕」
突き上げる度に、視界も記憶も、真っ白に塗られていった。
けれど、その後も何度も抱かれ、貴臣の躯の記憶は消えなかった。
全てを掻き消し、家中を染めるくらいの雨音と一緒に、あの日を全て押し流し、消し去ってくれたら良かったのに。
美夕は、今自分の躰を抱きしめて眠る男の、腕が、躯が、触れる肌全てが蘇らせる記憶を頭の中から追い出そうと目を閉じた。
駄目、やっぱり。
目を閉じれば襲う暗闇が、全てを思い出させてしまう。
小さく息を吐いた美夕はそっと寝返りを打った。
間接照明の薄闇の中、眠る貴臣の寝顔が目に映る。
長い睫毛。
通った鼻筋。
形の良い薄い唇。
静かな寝息。
まるで作り物のように美しい寝姿だった。
何故、この男はこんな無防備な寝姿を自分に晒すのだろう。
美夕は思う。
少なくとも、恨まれているかもしれない相手に、眠っている間に刺される、と考えたりしないのだろうか。
自分は、刺したりなんてしないけれど。
美夕は、今のうちにここから、とそっと起き上がった。
このままここにいて朝まで何もない保障はない。
それなら、とベッドから抜け出そうとした時だった。
腕を掴まれ、美夕は「ひっ」と声を上げた。
起きていた?
恐る恐る振り向いた美夕の目に、上半身を少しだけ起こして麗しく微笑む貴臣の姿が映った。
何かを持った手を顔の前にかざしている。
「このまま帰っても構わないが、これはもとに戻しておかなくていいのか」
貴臣が手にしているのは、楊によって入れられた楕円形のバイブだった。
美夕はゆっくりと手を伸ばしてベッドの脇のカーテンを捲った。
暗闇の中に灯る庭の外灯が、雨に濡れる森をぼんやりと浮かび上がらせていた。
小降りなのにしっかりと雨音が耳に届く夜。
美夕は横になったまま窓の外を眺め、あの日の雨音を思い出していた。
雨音は美夕の記憶を呼び起こす。
何故あの日、この離れに来たか。
それだけはどうしても思い出せないのだが、亡くなる3ヶ月前の、自宅療養中だった母の不可解な言葉だけが耳に残っていた。
『美夕、貴臣さんを見に行ってあげて。
お母さんの代わりに。……何があっても逃げては駄目よ。受け止めて――』
激しい雨が降る夜だった。雨音が、全ての音を消し去るような。
「貴臣兄さん?!」
美夕の身体をベッドの上に押し倒した貴臣は、具合の悪そうな顔をしていたが、その力だけは男のそれだった。
「美夕、悪いな。この離れは夜は俺だけしかいないんだ。それにこの雨だ。声を上げても、誰にも聞こえないだろうな」
美夕を見下ろす貴臣の美しい顔が、フッと意地悪く微笑んだ。
「美夕に罪はないんだけどな、――っ!」
貴臣のネイビーのパジャマを掴み、美夕は懸命に抵抗したが、腕を払われ、着ていたブラウスがいとも簡単に引き裂かれた。
「いやあぁあっ」
スカートが捲られ、ショーツの上から指が這った。
「やめて……っ、そんなとこ、あっ、んんっ、」
貴臣は、慣れた手付きで美夕の陰部を愛撫していく。
まだ経験の無かった高校生の美夕の躰は貴臣の手で強引に開かれていった。
「あ、あっ、やぁっ」
ショーツの間から侵入した指が美夕の花弁を捲る。
容赦無く膣を攻める貴臣の指に美夕は躰を震わせた。
悶える美夕に貴臣はフッと笑う。
「すごいな、初めてのくせに前戯がいらないくらいだ」
美夕は貴臣の口ぶりと表情で、その言葉の意味を察した。
涙を流す目で睨んだが、
「んぁ、やぁっ、あっ」
一際大きな波が美夕を襲った。
「あっぁ、ああっ! いや、ぁあっん、」
激しい水音が下腹部から聞こえ、躰の中で、意思とは違う何かが弾ける感覚を覚えた。
「美夕、ほら、こっちもだ」
貴臣の手が美夕胸に伸びた。
ブラジャーを乱暴に押し上げられ、露わになった乳房の先で、薄いピンク色の乳首が何かを待つように勃ち上がっていた。
貴臣は乳房を鷲掴みにし、指で乳首を刺激した。
「ああっ、いやぁっ」
休みない激しい愛撫の果て、貴臣は言った。
「美夕、力を抜け」
目を瞠る美夕の足が容赦なく大きく開かれ、そして、
「……っひっぃ、あっ」
みし、という音が聞こえた気がした。
「いぁああああっ、いたいっ、あああっ」
想像以上にきつい締め付けに一瞬顔を歪めた貴臣だったが、そのまま奥へと貫いた。
美夕の抜けるような白さに覆われた躰が仰け反る。
「やぁ、っああっ! ああああっ!」
弓なりに反った美夕の躰を抱きあげた貴臣は涙で頬を濡らす美夕の長い髪の毛を梳いた。
「いいぞ、美夕」
突き上げる度に、視界も記憶も、真っ白に塗られていった。
けれど、その後も何度も抱かれ、貴臣の躯の記憶は消えなかった。
全てを掻き消し、家中を染めるくらいの雨音と一緒に、あの日を全て押し流し、消し去ってくれたら良かったのに。
美夕は、今自分の躰を抱きしめて眠る男の、腕が、躯が、触れる肌全てが蘇らせる記憶を頭の中から追い出そうと目を閉じた。
駄目、やっぱり。
目を閉じれば襲う暗闇が、全てを思い出させてしまう。
小さく息を吐いた美夕はそっと寝返りを打った。
間接照明の薄闇の中、眠る貴臣の寝顔が目に映る。
長い睫毛。
通った鼻筋。
形の良い薄い唇。
静かな寝息。
まるで作り物のように美しい寝姿だった。
何故、この男はこんな無防備な寝姿を自分に晒すのだろう。
美夕は思う。
少なくとも、恨まれているかもしれない相手に、眠っている間に刺される、と考えたりしないのだろうか。
自分は、刺したりなんてしないけれど。
美夕は、今のうちにここから、とそっと起き上がった。
このままここにいて朝まで何もない保障はない。
それなら、とベッドから抜け出そうとした時だった。
腕を掴まれ、美夕は「ひっ」と声を上げた。
起きていた?
恐る恐る振り向いた美夕の目に、上半身を少しだけ起こして麗しく微笑む貴臣の姿が映った。
何かを持った手を顔の前にかざしている。
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