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桜のプロムナード
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胸踊るキャンパスライフは桜のトンネルから始まった。
大学の入学式、わたしは桜吹雪の中に立っていた。辺り一面、春の優しい風に舞った花びらに染められている。ここが川面なら、花筏といった素敵な光景が目の前に拡がっていた。
桜ピンク色はこれから新生活を始める者に昂揚感と力を与えてくれるから、不思議。
ドキドキする。このワクワクは、まるで小さな子供。これが、新しい世界に踏み出すってことなのかな。
パパとママの反対を押しきって猛勉強して女の子だけの学園から飛び出したわたしは、生れた時からずっと一緒の幼馴染と同じ大学に入学した。そう、共学の!
でもそこは、目がチカチカするくらい、あまりにも刺激的な環境でした。入学式、門をくぐって大学構内に入ったわたしは、今までいた「ごきげんよう」のシスターが出迎えてくれる世界とはまるで違う世界に、気後れしてしまった。
サークルの勧誘?
新入生の歓迎?
当然ながら、父兄とはあきらかに違う若くてエネルギッシュな男の人達が溢れ賑わうキャンパスに圧倒され、立ち尽くしてしまったわたしは、迷子になった。
入学式に一緒に来てくれたパパとママと完全にはぐれてしまった。
「どうしよ、パパー、ママ―?」
初めて外に飛び出した子供みたいにおろおろと駆けだしたわたしは、緊張もあって足がもつれ、こともあろうに、転んでしまった。
あ、膝から血、出てる。痛さよりも、顔を上げられないくらいの恥ずかしさが込み上げて涙が出そうになった時。
「何にもないとこで転ぶなよー」
頭上から優しい声が振ってきた。顔を上げたわたしの心臓が、ドキンッ!と跳ね上がる。
真っ黒に日焼けして白い歯を見せて笑う、背が高くて、まるで雑誌やテレビから飛び出してきたような男の人が前に立ち、少し前屈みになってわたしの顔を覗き込んでいた。
舞い散る桜の花びらと同じような桜色のシャツを着た彼は、春の柔らかな風に黒い髪がさらりと揺れ、絵のようだった。
お、男の人が、こんな色のシャツ着て、似合うなんて、ホントに、モデルさんかも?
男の人を知らないわたしにとって刺激強過ぎの素敵すぎる殿方の突然の出現に頭の中はパニック寸前だった。
ど、どうしようっ。
地べたに座り込んだまま、わたしはあわあわおろおろとしてしまう。男の人に免疫のないわたしには到底まともな受け答えなんて出来そうになくて、もはや完全に挙動不審。
そんな怪しい新入生に素敵殿方はクスクスと笑い出した。
「そんな恰好でいつまでも座り込んでるわけにいかねーだろ。ほら、立てるか」
顔を上げて目が合った瞬間、心臓が壊れてしまうんじゃないかしら、ってくらいドキーン! となった。
手が差し伸べられたけれど戸惑い躊躇うわたしに彼はまた、ほら、と促した。わたしは恐る恐る手を伸ばして、差し出された彼の手に掴まった。
大きくて、固くて、温かい手。勿論、わたしが初めて触れる男の人の手だ。
「よ……っと!」
フワッと身体が浮いた。彼が、私を一瞬で引っ張り上げて立たせてくれたのだ。
「ああ、膝から血、出てるな。医務室連れて行ってやろうか?」
その人は私の膝を見て、心配そうな顔をした。わたしとは、頭一つ以上違う背の高い彼に顔を覗き込まれて狼狽えた。
「あっ、と、いえっえと……っ」
だめ、まともに顔、見られない。顔、上げられない。頬が火照ってる。わたし、今絶対に真っ赤になってる……!
えっと、この感情は、はずかしい、そう、恥ずかしい――――っ!
「あ、あのぉっ! パ、いえ、父と母がここに来る筈だからここでっ、まっ待ってないと……なのでっ」
うつ向いたまま、何度も何度も手を横に振った。
「そ? じゃあ大丈夫だな」
彼はそう言ってうつ向いたままのわたしの頭を優しくポンポンと叩いた。
「もう転ぶなよ」
さっきからどの言葉もぞんざいな感じなのに、なんでだろう、不思議と優しい響きが胸を打つ。
「あっ、ありがとうござ……」
精一杯の勇気を振り絞ってそう言いながら顔を上げた時にはもう、目の前に彼の姿はなかった。わたしの視線の先には、手を挙げながら「ケンー!」と呼ぶ女の人がいて、そちらの方に歩いて行くスラリと背の高い後ろ姿があった。
あの人、ケンさん、っていうんだ。ぼんやりと思うと同時にわたしの胸にぽこりと浮かんだ結論は。
恋人さん、かな。そう、だよね、あんな素敵な人だもん。当然、恋人さん、いるよね。
胸がチクンと痛んだ。初めて感じた種類の痛みだった。
あれ、どうして、痛いのかな? なんだろ……? どうしてこんなに胸が締め付けられるようキュウッてなるんだろう。ドキドキと胸を打つ鼓動にちょっと息が苦しい。
視界に映り込む周りの景色が、一面ピンク色に染まって見えた。桜のせいだけじゃないと思う。
わたしは胸を押さえて目を瞑り、深呼吸した。今目の前で繰り広げられた光景が、瞼の裏に浮かんでしまう。胸に当てた手に残るぬくもりが、ドキドキを呼ぶ。
わたしは、どうしちゃったのかな。説明のつかない自分の感情を不思議に思いながら、彼について色々考えた。
同じ1年生なのかなぁ。ケンさん、っていうの。また、どこかでお会いできるかな。
小さな願いと彼の名前をそっと胸にしまった時。
「ひまり――……!」
幼なじみの野々村慶子ちゃん、通称おケイちゃんがわたしのところに駆け寄ってきた。
「ごめんね、お待たせ、おじ様とおば様がひまりとはぐれて向こうで困ってた……って、なに!? その姿は!?」
おケイちゃん、転んでボロボロになっていたわたしの姿を見てビックリ。
「あ、うん、転んだの」
「もーっ! なにやってんのーっ!」
赤ちゃんの時から一緒のケイちゃんは、とても世話好きです。わたしの服の汚れを掃いながらおケイちゃん、ストッキングが破れてしまって血が出ていた膝を見て、ああもう、と顔を上げた。
「医務室行こう。ストッキングは私が替えを持ってるから。そうそう、おじ様とおば様には携帯で連絡して入学式の会場に行っててもらって。ほら、急ごう」
「うん……」
入学式早々お世話になっちゃいます。
おケイちゃんに手を引かれて小走りに歩き出したわたしは「おケイちゃんあのね、今ね」って報告しようと思ったんだけど、話せなかった。
わたしの中でまだ、ちゃんとまとまった形になっていない掴みどころのない感情が頭の中を靄のように覆っていて、転んで直ぐに助けてくれた人がこんな人だったの、という事象を話すだけの単純な事が出来なかった。
胸が高鳴って、上手く話せないと思ったの。何故こんなに胸がドキドキと高鳴るのか、この時は本当にまだ、わからなかったの。
この日の記憶は、桜の花びら舞うキャンパスの思い出と一緒にわたしの胸にそっとしまわれた。次に、彼に会う日まで。
大学の入学式、わたしは桜吹雪の中に立っていた。辺り一面、春の優しい風に舞った花びらに染められている。ここが川面なら、花筏といった素敵な光景が目の前に拡がっていた。
桜ピンク色はこれから新生活を始める者に昂揚感と力を与えてくれるから、不思議。
ドキドキする。このワクワクは、まるで小さな子供。これが、新しい世界に踏み出すってことなのかな。
パパとママの反対を押しきって猛勉強して女の子だけの学園から飛び出したわたしは、生れた時からずっと一緒の幼馴染と同じ大学に入学した。そう、共学の!
でもそこは、目がチカチカするくらい、あまりにも刺激的な環境でした。入学式、門をくぐって大学構内に入ったわたしは、今までいた「ごきげんよう」のシスターが出迎えてくれる世界とはまるで違う世界に、気後れしてしまった。
サークルの勧誘?
新入生の歓迎?
当然ながら、父兄とはあきらかに違う若くてエネルギッシュな男の人達が溢れ賑わうキャンパスに圧倒され、立ち尽くしてしまったわたしは、迷子になった。
入学式に一緒に来てくれたパパとママと完全にはぐれてしまった。
「どうしよ、パパー、ママ―?」
初めて外に飛び出した子供みたいにおろおろと駆けだしたわたしは、緊張もあって足がもつれ、こともあろうに、転んでしまった。
あ、膝から血、出てる。痛さよりも、顔を上げられないくらいの恥ずかしさが込み上げて涙が出そうになった時。
「何にもないとこで転ぶなよー」
頭上から優しい声が振ってきた。顔を上げたわたしの心臓が、ドキンッ!と跳ね上がる。
真っ黒に日焼けして白い歯を見せて笑う、背が高くて、まるで雑誌やテレビから飛び出してきたような男の人が前に立ち、少し前屈みになってわたしの顔を覗き込んでいた。
舞い散る桜の花びらと同じような桜色のシャツを着た彼は、春の柔らかな風に黒い髪がさらりと揺れ、絵のようだった。
お、男の人が、こんな色のシャツ着て、似合うなんて、ホントに、モデルさんかも?
男の人を知らないわたしにとって刺激強過ぎの素敵すぎる殿方の突然の出現に頭の中はパニック寸前だった。
ど、どうしようっ。
地べたに座り込んだまま、わたしはあわあわおろおろとしてしまう。男の人に免疫のないわたしには到底まともな受け答えなんて出来そうになくて、もはや完全に挙動不審。
そんな怪しい新入生に素敵殿方はクスクスと笑い出した。
「そんな恰好でいつまでも座り込んでるわけにいかねーだろ。ほら、立てるか」
顔を上げて目が合った瞬間、心臓が壊れてしまうんじゃないかしら、ってくらいドキーン! となった。
手が差し伸べられたけれど戸惑い躊躇うわたしに彼はまた、ほら、と促した。わたしは恐る恐る手を伸ばして、差し出された彼の手に掴まった。
大きくて、固くて、温かい手。勿論、わたしが初めて触れる男の人の手だ。
「よ……っと!」
フワッと身体が浮いた。彼が、私を一瞬で引っ張り上げて立たせてくれたのだ。
「ああ、膝から血、出てるな。医務室連れて行ってやろうか?」
その人は私の膝を見て、心配そうな顔をした。わたしとは、頭一つ以上違う背の高い彼に顔を覗き込まれて狼狽えた。
「あっ、と、いえっえと……っ」
だめ、まともに顔、見られない。顔、上げられない。頬が火照ってる。わたし、今絶対に真っ赤になってる……!
えっと、この感情は、はずかしい、そう、恥ずかしい――――っ!
「あ、あのぉっ! パ、いえ、父と母がここに来る筈だからここでっ、まっ待ってないと……なのでっ」
うつ向いたまま、何度も何度も手を横に振った。
「そ? じゃあ大丈夫だな」
彼はそう言ってうつ向いたままのわたしの頭を優しくポンポンと叩いた。
「もう転ぶなよ」
さっきからどの言葉もぞんざいな感じなのに、なんでだろう、不思議と優しい響きが胸を打つ。
「あっ、ありがとうござ……」
精一杯の勇気を振り絞ってそう言いながら顔を上げた時にはもう、目の前に彼の姿はなかった。わたしの視線の先には、手を挙げながら「ケンー!」と呼ぶ女の人がいて、そちらの方に歩いて行くスラリと背の高い後ろ姿があった。
あの人、ケンさん、っていうんだ。ぼんやりと思うと同時にわたしの胸にぽこりと浮かんだ結論は。
恋人さん、かな。そう、だよね、あんな素敵な人だもん。当然、恋人さん、いるよね。
胸がチクンと痛んだ。初めて感じた種類の痛みだった。
あれ、どうして、痛いのかな? なんだろ……? どうしてこんなに胸が締め付けられるようキュウッてなるんだろう。ドキドキと胸を打つ鼓動にちょっと息が苦しい。
視界に映り込む周りの景色が、一面ピンク色に染まって見えた。桜のせいだけじゃないと思う。
わたしは胸を押さえて目を瞑り、深呼吸した。今目の前で繰り広げられた光景が、瞼の裏に浮かんでしまう。胸に当てた手に残るぬくもりが、ドキドキを呼ぶ。
わたしは、どうしちゃったのかな。説明のつかない自分の感情を不思議に思いながら、彼について色々考えた。
同じ1年生なのかなぁ。ケンさん、っていうの。また、どこかでお会いできるかな。
小さな願いと彼の名前をそっと胸にしまった時。
「ひまり――……!」
幼なじみの野々村慶子ちゃん、通称おケイちゃんがわたしのところに駆け寄ってきた。
「ごめんね、お待たせ、おじ様とおば様がひまりとはぐれて向こうで困ってた……って、なに!? その姿は!?」
おケイちゃん、転んでボロボロになっていたわたしの姿を見てビックリ。
「あ、うん、転んだの」
「もーっ! なにやってんのーっ!」
赤ちゃんの時から一緒のケイちゃんは、とても世話好きです。わたしの服の汚れを掃いながらおケイちゃん、ストッキングが破れてしまって血が出ていた膝を見て、ああもう、と顔を上げた。
「医務室行こう。ストッキングは私が替えを持ってるから。そうそう、おじ様とおば様には携帯で連絡して入学式の会場に行っててもらって。ほら、急ごう」
「うん……」
入学式早々お世話になっちゃいます。
おケイちゃんに手を引かれて小走りに歩き出したわたしは「おケイちゃんあのね、今ね」って報告しようと思ったんだけど、話せなかった。
わたしの中でまだ、ちゃんとまとまった形になっていない掴みどころのない感情が頭の中を靄のように覆っていて、転んで直ぐに助けてくれた人がこんな人だったの、という事象を話すだけの単純な事が出来なかった。
胸が高鳴って、上手く話せないと思ったの。何故こんなに胸がドキドキと高鳴るのか、この時は本当にまだ、わからなかったの。
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