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龍吾
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ローザは古参の店ではなかったが、オーナーである剣崎セイジの辣腕により急成長を遂げた店だ。
この街では珍しい、落ち着いた内装と質の高いホステスを誇っていた。
龍吾は呼び込みなどではなく、常に店内の様子に目を光らせる。
ボーイとしてホールでの客の案内等が普段の仕事だが、たまに嫌がらせの為に入店する客の排除が龍吾の本当の仕事だった。
「龍ちゃん、5番テーブルあやのちゃんのお客よろしく」
ベテランボーイがすれ違う際に、そっと龍吾に耳打ちした。
「了解」
周囲のライバル店が妬む程の急成長は、敵を生む。ローザには営業妨害目当ての冷やかしの客が紛れ込む事も少なくなかった。
「ただの酔いドレなら龍ちゃんの手を煩わせなくてもいいんだが、ちょっと判断がつかなくてな」
龍吾は心配そうに眉を潜めた彼に、肩を竦めニッと笑った。
「どっちにしても営業妨害は排除だ。それが出来なければセイジさんから大メダマ喰らうから」
自分の立場、仕事はよくわかっている。剣崎セイジのこの店を、身体を張ってでも守る事だ。
賑やかな店内は、接客をする美しいホステス達が花を咲かせていた。
「やだ~ぁ、白河さん」
スカートのスリットから手を入れようとする男の手を押さえ、やんわりとした口調でホステスが拒絶していた。
そんな光景はよく見られるのだが。
彼女の肩を抱くその男の手は明らかに胸元にも触れている。
「お客様、ちょっと」
龍吾は客の背後から肩を叩き、ニッコリと微笑み自然な動作で何気なく外へ連れ出した。
あくまでも店内では失礼のないようにする為だ。
店の外に出ると男の胸ぐらを掴んで裏手に引っ張り込んだ。
「お客さん、うちはお触りパブじゃねぇんだよ。女触りてーんだったら他行ってくんな」
龍吾が地面に男を放り投げた時だった。
「キャー――――ッ!」
店内からホステスの悲鳴とガラスが割れるような派手な音がした。
「なっ!?」
龍吾は店の方へ向き直る。後ろでヘヘッという笑い声がした。
「バカだな。俺はオトリさ」
「なに?」
たった今、地面に叩きつけられた男が龍吾を見上げてニヤリと笑った。
「お前が店ん中にいたら何にもできねーからよ」
「てめえは一生ここで寝てろっ!」
大きなの頭に踵落としをお見舞いし、龍吾は店の中へ駆け込んだ。
ホール中央辺りのテーブルで男が2人暴れていた。
「なんだぁ!? もっといい女はいねーのかぁ!?」
「触ったら拒否しやがった。俺ぁ客だぞこらぁ!」
他の客達が遠巻きに見て、帰り支度を始めていた。
「てめえらは客じゃねぇよ」
2人の男の前に龍吾が立った。
テーブルから離れられずに脅えるように固まっていたホステス達に、目で「逃げろ」と合図をする。
一人の男がチッと舌打ちをした。
「なんだもう戻ってきたのかよ」
もう一人の男が勢いよく立ち上がった。
「てめえ1人なんて直ぐに片付かぁ!」
飛びかかって来た男に龍吾は頭突きを喰らわした。
脳震盪を起こしクラクラとする男の襟首を掴み、もう一人の男を睨み付けた。
「表出ろ。店ん中で暴れたらオーナーにどやされんだよ」
路地裏で三人の男は龍吾によって完膚なきまでに叩きのめされた。
「おい、誰からの依頼だ」
龍吾は男達に聞いたが、彼らは黙ったままだった。屈んで一人の胸ぐらを掴み上げる。
「言え」
凄味の効いた低い声はチンピラ以上の効果がある。
「た、田崎、さんだ」
田崎? どうしてあんなデカイ組織がうちみたいなところを。
この街では珍しい、落ち着いた内装と質の高いホステスを誇っていた。
龍吾は呼び込みなどではなく、常に店内の様子に目を光らせる。
ボーイとしてホールでの客の案内等が普段の仕事だが、たまに嫌がらせの為に入店する客の排除が龍吾の本当の仕事だった。
「龍ちゃん、5番テーブルあやのちゃんのお客よろしく」
ベテランボーイがすれ違う際に、そっと龍吾に耳打ちした。
「了解」
周囲のライバル店が妬む程の急成長は、敵を生む。ローザには営業妨害目当ての冷やかしの客が紛れ込む事も少なくなかった。
「ただの酔いドレなら龍ちゃんの手を煩わせなくてもいいんだが、ちょっと判断がつかなくてな」
龍吾は心配そうに眉を潜めた彼に、肩を竦めニッと笑った。
「どっちにしても営業妨害は排除だ。それが出来なければセイジさんから大メダマ喰らうから」
自分の立場、仕事はよくわかっている。剣崎セイジのこの店を、身体を張ってでも守る事だ。
賑やかな店内は、接客をする美しいホステス達が花を咲かせていた。
「やだ~ぁ、白河さん」
スカートのスリットから手を入れようとする男の手を押さえ、やんわりとした口調でホステスが拒絶していた。
そんな光景はよく見られるのだが。
彼女の肩を抱くその男の手は明らかに胸元にも触れている。
「お客様、ちょっと」
龍吾は客の背後から肩を叩き、ニッコリと微笑み自然な動作で何気なく外へ連れ出した。
あくまでも店内では失礼のないようにする為だ。
店の外に出ると男の胸ぐらを掴んで裏手に引っ張り込んだ。
「お客さん、うちはお触りパブじゃねぇんだよ。女触りてーんだったら他行ってくんな」
龍吾が地面に男を放り投げた時だった。
「キャー――――ッ!」
店内からホステスの悲鳴とガラスが割れるような派手な音がした。
「なっ!?」
龍吾は店の方へ向き直る。後ろでヘヘッという笑い声がした。
「バカだな。俺はオトリさ」
「なに?」
たった今、地面に叩きつけられた男が龍吾を見上げてニヤリと笑った。
「お前が店ん中にいたら何にもできねーからよ」
「てめえは一生ここで寝てろっ!」
大きなの頭に踵落としをお見舞いし、龍吾は店の中へ駆け込んだ。
ホール中央辺りのテーブルで男が2人暴れていた。
「なんだぁ!? もっといい女はいねーのかぁ!?」
「触ったら拒否しやがった。俺ぁ客だぞこらぁ!」
他の客達が遠巻きに見て、帰り支度を始めていた。
「てめえらは客じゃねぇよ」
2人の男の前に龍吾が立った。
テーブルから離れられずに脅えるように固まっていたホステス達に、目で「逃げろ」と合図をする。
一人の男がチッと舌打ちをした。
「なんだもう戻ってきたのかよ」
もう一人の男が勢いよく立ち上がった。
「てめえ1人なんて直ぐに片付かぁ!」
飛びかかって来た男に龍吾は頭突きを喰らわした。
脳震盪を起こしクラクラとする男の襟首を掴み、もう一人の男を睨み付けた。
「表出ろ。店ん中で暴れたらオーナーにどやされんだよ」
路地裏で三人の男は龍吾によって完膚なきまでに叩きのめされた。
「おい、誰からの依頼だ」
龍吾は男達に聞いたが、彼らは黙ったままだった。屈んで一人の胸ぐらを掴み上げる。
「言え」
凄味の効いた低い声はチンピラ以上の効果がある。
「た、田崎、さんだ」
田崎? どうしてあんなデカイ組織がうちみたいなところを。
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