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それぞれの決意2
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「ああ、ごめんな。俺、どうしても納得出来なくてさ。今姉貴に電話してたんだ」
言い終わらないうちに、みちるは保に抱きついていた。
「みちる?」
保の身体に顔を埋め、何も言わずに首を振る。
暫くこのままでいさせて、と言っているようだった。
保は自分にしがみつくみちるの身体に優しく腕をまわした。
みちるにはみちるの葛藤があって、必死にそれと闘っているんだ。
保は目を閉じ、慈しむように優しく優しくみちるの頭を撫で続けた。
まだ濡れる髪からシャンプーがフワリ香り、保の胸を締め付ける。
「嫌だ」と「踊り子になんてなりたくない」と言ってくれたら。
みちるの口からそう言ってくれたらいいのに。いや、言ってくれよ! みちる! そうしたらーー、
「ありがとう、保さん」
保の胸元で、みちるが小さく囁いた。
「え……」
みちるはゆっくりと顔を上げた。
「心配しないで」
みちるは両手をしなやかに伸ばして、そっと保の頬に触れた。柔らかな手は感触を確かめるかのようにスルスルと耳の方へ移っていく。
保の顔を優しく抱いたみちるは真っ直ぐに双眸を覗き込んだ。
「心配しないで、保さん。私は大丈夫よ 」
「みちる……」
複雑な表情を浮かべる保に、みちるはニコッと笑ってみせた。
「だってね、遠くに行くわけじゃないんだよ。これからも、ううん、ずっとはムリなのかもしれないけれど……私を傍に置いてくださーー」
言い終わらないうちに保はみちるの手首を掴み、もう片方の腕で彼女の腰を抱き、唇を重ねていた。
今までの保のキスとは違うキスだった。
「ん……ぅ」
保さん。
唇の間から滑り込む舌は絡まり、掬い上げる。躰の力が抜けた。
胸が熱くなる。みちるは掴まれていない手で保のワイシャツを握り締めていた。
今までのキスが優しく触れ合うものだとしたら、これは、このキスは、求められるキス。
優しく吸われる舌と唇は、全てを委ねてごらん、と心にダイレクトに語りかけるようだった。
保がゆっくりと唇を離すと、みちるは目を閉じたままだった。
まるで誘うような。保の脳裏を一瞬本能が掠めていった。
みちるの着けているものはキャミソールとショーツのみだった。首筋から胸元にかけて滑らかなラインを描く白い肌が目に眩しい。
この肌は、誰にも見せて欲しくはないのに。
保はそっと、一歩踏み出していた。
「……ぁん……」
耳に滑り込む声は痺れを誘う。みちるの手が保の胸を突いた。
「……たもつ……さんっ……」
喘ぐように呼ぶ声が、保の中から離脱しそうになっていた理性を掴み、引き戻した。
保はみちるの胸元に寄せていた唇をそっと離した。
いつしかフローリングの床に横になっていた二人は指を絡め、足を絡めていた。
微かに息が上がるみちるは保を見上げる。
保さんは大好きです、でも。
「保さん、これ以上は、ダメです」
涙目の瞳が保を見つめていた。
「ああ、ごめん……」
ゆっくりと身を起こしたみちるは伸ばした手を保の頬に添えた。
「謝らないでください」
私は保さんも星児さんも、選べません。
「これは保さんと私の大事な時間でしょう? 大事な、スキンシップの、時間」
みちるの瞳に柔らかな色が挿した。
スキンシップ。
決して互いを求め合ってはいけなくとも、〝スキンシップ〟なら許される。
便利な言葉だな、と苦笑いした保にみちるはゆっくりと言った。
「保さん、もう1回キスしてください」
保さんの、優しいキスをください。私を癒してください。
保はみちるのすがるような瞳を見てクスリと笑い、優しく微笑んだ。
「いいよ、何度でも」
許されるだけ存分に。
〝スキンシップ〟をしよう。
†††
「ねぇ星児。今夜はうちに来て」
「麗子、どうした?」
電話から、愛しい甘い声が耳に届く。
今夜は貴方の愛撫が欲しい。
「あのね」
「ん?」
麗子と話す星児の声は、いつも優しい。それはずっと変わらない。
けれど、いつしか微妙に変化した。声のトーンの変化は麗子しか気付かないだろう。
決して星児が麗子を嫌いになった訳ではない事は分かる。それどころか、星児が麗子を捨てる事など絶対にない事も。
〝感情の深淵〟が変わったのだ。
一生口にしないであろう、心の深淵に秘める想いを抱える〝感情〟が。
「みちるちゃんに私から話しをしたわ」
「ああ、悪ぃな……。イヤな役をさせちまった」
「ううん」
星児がみちるの反応を気にかけている事は伺えたが、麗子にそれ以上聞かなかった。
麗子も――ちょっと悔しいから教えてあげない。
「じゃぁ、遅くはなるけどよ、行くから」
「うん、待ってる」
†††
言い終わらないうちに、みちるは保に抱きついていた。
「みちる?」
保の身体に顔を埋め、何も言わずに首を振る。
暫くこのままでいさせて、と言っているようだった。
保は自分にしがみつくみちるの身体に優しく腕をまわした。
みちるにはみちるの葛藤があって、必死にそれと闘っているんだ。
保は目を閉じ、慈しむように優しく優しくみちるの頭を撫で続けた。
まだ濡れる髪からシャンプーがフワリ香り、保の胸を締め付ける。
「嫌だ」と「踊り子になんてなりたくない」と言ってくれたら。
みちるの口からそう言ってくれたらいいのに。いや、言ってくれよ! みちる! そうしたらーー、
「ありがとう、保さん」
保の胸元で、みちるが小さく囁いた。
「え……」
みちるはゆっくりと顔を上げた。
「心配しないで」
みちるは両手をしなやかに伸ばして、そっと保の頬に触れた。柔らかな手は感触を確かめるかのようにスルスルと耳の方へ移っていく。
保の顔を優しく抱いたみちるは真っ直ぐに双眸を覗き込んだ。
「心配しないで、保さん。私は大丈夫よ 」
「みちる……」
複雑な表情を浮かべる保に、みちるはニコッと笑ってみせた。
「だってね、遠くに行くわけじゃないんだよ。これからも、ううん、ずっとはムリなのかもしれないけれど……私を傍に置いてくださーー」
言い終わらないうちに保はみちるの手首を掴み、もう片方の腕で彼女の腰を抱き、唇を重ねていた。
今までの保のキスとは違うキスだった。
「ん……ぅ」
保さん。
唇の間から滑り込む舌は絡まり、掬い上げる。躰の力が抜けた。
胸が熱くなる。みちるは掴まれていない手で保のワイシャツを握り締めていた。
今までのキスが優しく触れ合うものだとしたら、これは、このキスは、求められるキス。
優しく吸われる舌と唇は、全てを委ねてごらん、と心にダイレクトに語りかけるようだった。
保がゆっくりと唇を離すと、みちるは目を閉じたままだった。
まるで誘うような。保の脳裏を一瞬本能が掠めていった。
みちるの着けているものはキャミソールとショーツのみだった。首筋から胸元にかけて滑らかなラインを描く白い肌が目に眩しい。
この肌は、誰にも見せて欲しくはないのに。
保はそっと、一歩踏み出していた。
「……ぁん……」
耳に滑り込む声は痺れを誘う。みちるの手が保の胸を突いた。
「……たもつ……さんっ……」
喘ぐように呼ぶ声が、保の中から離脱しそうになっていた理性を掴み、引き戻した。
保はみちるの胸元に寄せていた唇をそっと離した。
いつしかフローリングの床に横になっていた二人は指を絡め、足を絡めていた。
微かに息が上がるみちるは保を見上げる。
保さんは大好きです、でも。
「保さん、これ以上は、ダメです」
涙目の瞳が保を見つめていた。
「ああ、ごめん……」
ゆっくりと身を起こしたみちるは伸ばした手を保の頬に添えた。
「謝らないでください」
私は保さんも星児さんも、選べません。
「これは保さんと私の大事な時間でしょう? 大事な、スキンシップの、時間」
みちるの瞳に柔らかな色が挿した。
スキンシップ。
決して互いを求め合ってはいけなくとも、〝スキンシップ〟なら許される。
便利な言葉だな、と苦笑いした保にみちるはゆっくりと言った。
「保さん、もう1回キスしてください」
保さんの、優しいキスをください。私を癒してください。
保はみちるのすがるような瞳を見てクスリと笑い、優しく微笑んだ。
「いいよ、何度でも」
許されるだけ存分に。
〝スキンシップ〟をしよう。
†††
「ねぇ星児。今夜はうちに来て」
「麗子、どうした?」
電話から、愛しい甘い声が耳に届く。
今夜は貴方の愛撫が欲しい。
「あのね」
「ん?」
麗子と話す星児の声は、いつも優しい。それはずっと変わらない。
けれど、いつしか微妙に変化した。声のトーンの変化は麗子しか気付かないだろう。
決して星児が麗子を嫌いになった訳ではない事は分かる。それどころか、星児が麗子を捨てる事など絶対にない事も。
〝感情の深淵〟が変わったのだ。
一生口にしないであろう、心の深淵に秘める想いを抱える〝感情〟が。
「みちるちゃんに私から話しをしたわ」
「ああ、悪ぃな……。イヤな役をさせちまった」
「ううん」
星児がみちるの反応を気にかけている事は伺えたが、麗子にそれ以上聞かなかった。
麗子も――ちょっと悔しいから教えてあげない。
「じゃぁ、遅くはなるけどよ、行くから」
「うん、待ってる」
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