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長々とした自己紹介は終わったので、本編が次から始まります(弟、なかなか出てこなくてゴメンナサイ)。
この世界を詳しく紹介致します。
しおりを挟むさてさて。
この世界の貴族の階級ですが、イギリス様式でした。
…スイスじゃ、ないんかーい!!。
国王が一番上で、その後が、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・準男爵・騎士の順。
私の父は伯爵だけど、辺境伯爵だ。
普通の伯爵とは違い、辺境であるアルプスもどきの山々や、魔の森の一切を任される危険と隣り合わせのために、扱いは侯爵と同等の扱いを受けている。
だから、治める領地も広大で、それなりの力量(物理含む)を必要とされる辺境伯爵の仕事となれば、さぞかし大変な量であろうと推測されるが、全て人任せにしてしまっている。
そして、自分は医者をしているのだ。
伯爵家を改装して、貴族専用の病院を作り、小川と林を隔てた西側には一般人用の病院も作った。
ここからは見えないが、感染症患者専用の隔離病棟も有ったりする。
敷地内には林も池もあり、畑や牧場、ニジマスやナマズの養殖場もある。
無駄に土地が広いために、付き添い者や使用人の格安宿泊施設も完備。
しかも、それら施設にはすべて、地下1000メートルから温泉が引かれているのだ!。
患者とその家族にとっては、まさに至れり尽くせりだ。
そんな、他人の為にばかり奔走する父に、周りの人達はいつもハラハラしている。
…聖者と言われるゆえんでもあるのだが…、人が良すぎるせいで、かなり騙され易いのだ。
病人を装って近寄る、下級貴族の女性や愛人志願の一般女性。
または、寄生虫が如く搾取しようと画策する輩がとにかく後を絶たない。
けれど、今のところ、父に助けられて恩義を感じている人達に守られている。
まず、そんな輩が父に近づいてきたら、スタッフ一同で即排除だ。
領主の役割も、父のに救われた信頼のおける貴族達が数人で、父の代わりに執り行っていた。
この土地に住まう人達は、皆、愚直な父を見てきた人達ばかりだ。
常勤の医者も、医術を学ぶ学生も、メイド達も、食堂のシェフや雑用のおばちゃん達も、患者やその家族も、領民達も…。
皆、父に救われ、父から学び。
思いやりの心を持つに至った、良い人達ばかりだ。
良い人の周りには、良い人が集まる。
これが、人徳ってやつだね!。
私も見習わなくっちゃ!!。
…そして、私の身の周りだが…。
一般病院棟の敷地内に居るなら、ありのままの自分でいられて心穏やかに過ごせるのだが、貴族病院棟に行くと最悪だ。
誰も彼もが、私を辺境伯爵令嬢として扱う。
そして、母親が私に付けた乳母…もとい、監視者だ。
そいつが常に監視し、母親に報告するのだ。
母親と私は、別に仲が悪い訳ではない。
仲が悪い訳ではなく、産まれた時から他人だから、悪くなりようがないだけなのだが。
母親は辺境の地に嫌気がさして、私と父を捨てて出て行った、とても自己中で自分勝手な女性だ。
あんな人、心底どうでもいい。
私の父と母親は、駆け落ち事実婚の夫婦だった。
母親は、四大公爵家の令嬢だった。
四大公爵家とは、王族の次に力を持つ家で、それぞれ
長寿のアドラフ家(身体能力特化)
知恵のセファム家(頭脳特化)
魔法のゼーゼマン家(内在魔力特化)
信仰のディルア家(神法特化)
と呼ばれ、それぞれに特殊特化した人間が生まれやすい特徴を持ち、その家に産まれた令嬢達はプレミアムとよばれて、次の王となる世継ぎに必要な資質を与える為の母体となる。
その魔力を司る公爵家に生まれた、プレミアムの一人。
私の産みの親、アーデルハイド・ゼーゼマンは、内在魔力は微量だわ、子供は産めないだろうと予測できるほど脆弱だわで、ついたあだ名が"落ちこぼれのプレミアム"。
プレミアムになれない人達からは馬鹿にされ、同じプレミアムからは居ないものとして扱われた。
だだ、顔はとても美しく儚げで。
おっとりとした性格と分け隔て無い優しさは、まるで少女漫画の健気な主人公のよう。
だが、同じ性別の女性達は、それが作られた性格と見抜いていた。
そして、更に嫌われていたのだが、女性から媚びられる事に慣れている男性貴族には、うけが良かったのだ。
そのせいで、観賞用としての男性人気は、頗る高かった。
そんなこんながあって、次期国王が正妃にと望んだのは、神法特化のディルア家の令嬢だった。
これより宗教色の強い国となり、周辺諸国とは和平を維持している。
さて。
余ったプレミアムは、一体どうなったかというと…。
争奪戦が貴族の中で勃発していた。
それぞれの令嬢達は、早々に良い物件の婚約者を見つけて、その地位に納まった。
アーデルハイドも例外でなく、神法特化のディルア家の長男と無事に婚約が決まった。
本来だったなら、娘が王族に輿入れした家は王家との繋がりが密接となり、社会的地位が他の四大公爵家を押さえてトップに躍り出る。
だから、それに見合う地位と能力のある家の令嬢がトップの公爵家に輿入れする事になるはずなのだが、嫁にするには向いていない、役立たずのアーデルハイドが選ばれた。
その訳は、えげつないものだった。
まず、"落ちこぼれのプレミアム"を嫁にする。
すると、周りの評価が「なんと慈悲深い!。流石は、神に愛されたディルア家」…となる。
そのあとは、暫くは観賞用として楽しみ、飽きたら性具として楽しむ。
死んだら、そしたら今度こそ子供の産める母体を迎える算段だったのだ。
それを偶然知ってしまったのは、母親ではなく父だった。
父は母親の幼なじみで、母親の乳母が父の母なのだ。
体が弱く幼い頃からほぼベッドで過ごす、健気で優しい猫かぶりのアーデルハイドの麗しい姿に父は一目惚れ。
初恋のテンションのままに、「アーデルハイドの病は、僕が必ず治す!!」と、本業本分の合間に医学を学び出した。
なまじ頭が良かった為に、後に、特級医術師の資格を最年少でとってしまうまでになる。
そんなアーデルハイド大好き人間の父が、死ぬ…いや、殺されると分かって送り出す訳がなかった。
父は、アーデルハイドを口説いたのだ。
身分の違いから、自分のもとに来てくれるのは嫌だろうけど、死なせたくない。
愛しているのだと。
ディルア家の企みも証拠を見せて、ゼーゼマン家からはもう見捨てられている事を伝えた。
正攻法で口説くだけでは絶対に首を縦に振らないと分かっていたので、残酷な現実を見せ付けたのだ。
時間がなく、仕方がなかったのだ。
そのせいもあり、公爵婦人の地位に固執していたアーデルハイドもすんなりと父と駆け落ちした。
そして、身分を隠して父の辺境伯爵領で生活するうちに、アーデルハイドはみるみるうちに体が丈夫になってきたのだった。
歩いても息切れしない。
少し風に当たっただけでは、熱は出さない。
水あたり食あたりせず、食べ物が美味しく感じる。
胸や尻に健康的な肉が付いてきた。
表情が生き生きとして、活力に満ちている。
内在魔力が溢れて、どんな魔法でも使うことができるようになった。
献身的な父の看病のもと、母親は健康で美しい体を手に入れたのだ。
…そして、健強となった母親から産まれたのが。
私だ。
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