弟を 雅な公爵令嬢に育てようと思う。

ママさん看護師

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長々とした自己紹介は終わったので、本編が次から始まります(弟、なかなか出てこなくてゴメンナサイ)。

改めまして。

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私。
笹野海空ことハイド・クラッセンは、そんなこんなが有りまして。

元の現代日本に生まれ変わるために、この蒙昧もうまいな世界で少しでも善いことをして(ちなみに悪い事をしたら、善いことがその分帳消しになる)、天寿を全うしなければならない訳ですが…。

全く違う世界だったのならば、こういうもんだと割りきれるのだが、前の世界と同じところがいくつもあるのだから、つい混同してしまう。

例えば動物。
元の世界にも居た動物が、普通にいる。

逆に見たこともない動物は、ほとんど魔物と呼ばれる動物の類いだった。


そして、この世界にもはっきりした四季がある。
…アルプスはアルプスでも、日本アルプスだな。ここ。


反対に、全く違う所は、世界が不思議な力で満ちていること。

とても空気が軽い。
走ると、まるで飛んでいるかのように速く走れて、跳び跳ねると5~6メートル位はジャンプすることができた(ちなみに、父はもっと速くもっと高く飛べる)。

世界からもたらされる恩恵が、自分の体にみなぎっているのを、ひしひしと感じる。

…体がとてつもなく、強化されてる感じがする…。

まず、動体視力が凄く良い。遠くまで良く見える目になった。
そして、耳が小さな音まで拾えるし、沢山の人が同時に話しても、全て聞き分けられる。
鼻もまるで犬にでもなったかのように、微細なニオイも分かる。
食べ物を食べると、味の違いがわかり、それの素材が何から作られているのかが知れた。
肌の感覚が鋭敏になり、まるでレーダーの様に周りに何があるのかが分かる様になった。

けれど、私に備わっていた恩恵はそれだけではなかった。

元の世界には全くなかった、魔法も使えるのだ。


この世界には、魔法と神法と滅法がある。

ここは前の世界と違い、世界が不思議な力に満ちている。
それは魔力だったり、神力だったりと言うらしい。


使い勝手がよく、一般的に使用可能なのは魔力の方。

つまり、魔法だ。

ゆえに、一般的な魔法…生活魔法ならば、ある程度訓練すれば大抵の人は魔法が使えた。

ただ、魔法には自分自身の力…前世風に言えば世界中のそこかしこにある"気"ってやつかな?。
それを体の中に一度貯めてから、自分の魔力に変質させて、それから放出して使うことになるので、大きい魔法を使うのならば、それなりの内在できる魔力が必要になり、内在された魔力が無くなれば、当然力尽きる。

魔力枯渇を起こすのだ。


世界の力を魔力に変質させて使うのには、意思の力も必要になる。
その原動力コアは、自分自身の"欲"だ。

欲というものは、自分がこうしたい、ああしたいという意志である。


魔法には、生活魔法や攻撃魔法とか色々と種類があるが、その種類の中には、他者を満たしたり護ったり癒したりする魔法は含まれていない。

高度だからとか、そういったものではなく、だだ単に原動力は欲ではないから。

と、いうことらしい。



次に神法だが、これは一般的ではない。

一般的でない理由は凄く簡単。
信仰心や、相手に対する慈悲と慈愛の心の強さが反映されるからだ。

つまり、神力の原動力コアは、"愛"。
他者への、思いやりの心なのだから。

喧騒は日常茶飯事。
弱いものからどんどん搾取され、淘汰される世界だ。
ここは安全には程遠く、他人は信用できない。

他者を出し抜くしたたかさが、時には必要となってくる。
ある程度の汚さを持っていなければ、やって行けない世知辛い世界なのだ。


この神法で使われる力は、神力という。
世界のどこかにいる、善いことを好む神様が、善い心根を持つ者に神様の力を貸してくれているらしい。
善人であれば善人である程、強い神法が使える。

だから神力は、世俗を離れて祈る聖女や神官など。
若しくは、その神力特化に育てられた者。
あと、とてつもない善人。
など、極少数が使えるものだ。


ちなみに、私も、そして父親も神力はとても強い。
私の場合は、長年日本人をしていた事と、あの世で沢山の仏や菩薩に慈悲や慈愛について話を聴いたりしてたせいで、負の感情を抱きにくく、差別や偏見があまりない。

おそらく、価値観が現代人とあの世よりなのだろう。

けれど、聖女ってわけじゃないよ。
全く穢れを知らないって訳じゃないから。

人の醜さなんて、前の世界とあの世から散々見てきた。
私自身も生前、実際にやらかしてもきたから。

そらゃあもう、エグいし醜いし見るに堪えない人間の愚かしさを見てきたし。
自分のイライラを私にぶつけて、八つ当たりして鬱憤ばらしをされた事も多々ある。
もちろん、その人を醜い心で憎んだ。
そして私も、同じ事を自分よりも弱い人間に、無意識だったが、いつの間にか同じ事をしていたこともあった。

だから、"醜い"ということが、どういうモノかを身をもって知っている。

自分が純粋無垢だとは、とても言えない。


『醜いが故に、人。
罪を犯すが故に、人。

それを悔やむから、人はいじらしい。
それを、正そうとするから、人はいとおしい』
…って、あの世に居るときに、誰かが言っていたなー。


間違えを犯さない人間なんて、人間じゃない。

そんなに完璧ならば、輪廻の必要性がなくなるしね。

…間違えたなら、方向修正すれば良い。
大事なのは、その先これからだ。

罪はけして結果じゃない。
結果は、その後からついてくるものだ。

私の輪廻で出した結果は、それだったから。
そう、私は思っている。


はてさて。
話は長くなるが。
ついでに、滅法の事も話しておこう。

これは、アレだ。
オカルト的な、アレだ。
生け贄を代償に召還したり、悪霊をけしかけて呪殺したり。
言うなれば、陰陽道みたいなモノだ。

…わー。ふぁんたじー…。

人を呪わば穴二つ。

呪いは、自爆テロと同じだ。

相手の墓穴を掘っているはずが、自分の墓穴も掘っているから、穴が二つあいている。
呪殺が成功すれば、因果は応報し自分の命も持っていかれる。

自分の命を持っていかれる事を知りながら、人は滅法に手を染める…。


命の対価は、命。
呪術ダメ、絶対。

これ以上退転したくない私は、絶対に滅法には手を出さないゾ☆、と誓う。



そうそう。

言うのを忘れていたが、私には魂が輪廻しただけの記憶。
"笹野海空"以外の記憶が、他にもある。

よく覚えているのは、前前前世の鉄砲を片手に持った、いかつい熊みたいな大男で、継ぎはぎだらけの着物を着て、頭に菅笠を被っている男だった頃の記憶だ(それ以前のもあるにはあるが、古すぎて記憶ではなく記録として覚えている)。

そんな大男だった頃の記憶もあるのだ。

だから、たまに口調が男っぽくなることがある。


…今は女の子なんだから、気を付けよう。うん。


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