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看護師の知識を使って、看護過程を展開していきます。
【閑話】(元)勇者は(元)魔王の幼妻
しおりを挟むこの裸クラバット紳士と一緒に居る、ボンテージ幼女は、名をゼウクシス・アドラフと言う。
四大公爵家である、アドラフ家の長女だった。
アドラフ家といえば、長寿で身体能力特化の人間が多く輩出される家であり、実は、勇者と呼ばれる人間が生まれる家系でもあった。
そして、このゼウクシス・アドラフも勇者として生を受けた一人だった。
例え多くの勇者を輩出するアドラフ公爵家の人間であっても、自らなりたいと願っていても勝手に勇者になれるものではない。
勇者は、レリックと言う名前の、意思を持った聖物というモノに選ばれる。
レリックは変幻自在の不思議な武器で、持ち主のを自ら選びその人が必要とする形に変わるのだ。
ゼウクシスの場合は、光輝く『多節鞭』という形だったらしい。
らしい。…と、言ったのは、私は実物を見た事が無いからだ。
私が生まれるずっと前に、レリックはゼウクシスの手から何処かへと去って行ってしまったらしい。
『それはそれは、戦時のあの多節鞭を振り回し闘う姿は美しき事この上無し。
地上に舞い降りた美の化身、もしくは麗しい女神かと見間違う程でした…。
けれど、今のゼウクシスもまた別種の美しき姿。
ねぇ、私の女王様。
私は今でも、どちらも愛して止まない』
と、今日もいつもの様に超絶美形の顔を輝かせながら、リゲルは、熱烈にゼウクシスを口説いている。
ちなみに、この二人の話は結構有名な話だ。
多節鞭のレリックを手に半獣神に挑む、美しき勇者の昔話は、いまだに民衆に人気の、定番美談な昔話だ。
そして、ここにいる二人は、その生き証人ならぬ、当事者だ。
更に、当事者らにより詳しい話を聞くと、
『死闘の末、再起不能にして我がこの手で胸の魔石を抉り取り出したまでは良かったのだが、その後でこの様な幼女の姿になる呪いを受けてしまってのう…。
こ奴から聞き出した、この呪いの解呪の方法は、呪いを掛けたこ奴を殺すか、呪いの媒介となった魔石を破壊するかの二つに一つとな。
それ迄、我は元の姿には戻れんのだよ。
魔石は、同行した我のパーティではなく、安全地帯にのうのうと居た、我の弟が我が物顔で持って帰ってしまってな。
慌てて破壊しようとしたのだが、既に勝手に、それを国に納められてしまっててな。
それを知った時、弟に手柄を横取りされて、一族からも見放されて、さらに魔王への生け贄にされて、果てにはそれを美談にされて…。
とても愉快な気分だったわ。…わははは…。』
と、遠い目をして言うゼウクシスに対して、リゲルは朗らかに
『うむうむ。
そして、その日からゼウクシスは、昼も夜も私の側を離れずに、常に私が逃げない様に監視し、いつでも私の命を狙っていましてな。
いつの間にかに、地下の魔王城に住み着いてしまった。
未婚の女性とこれ程長くいて、何の関係性も無いとは云えぬなー、どうしたものかなーと、考えてはいたのです。
そして、ある日私は悟りました。
『つまり、これは、事実婚と云うものか!』
と。
悟った私は、嫁の実家に挨拶に行っていなかったのを思いだし、慌てて嫁の実家のご両親に挨拶に行き(魔王襲来)、そして、そこで婚姻届なるものが存在するることを知り、慌てて国王の元へ行き(魔王降臨)手続きを済ませて、晴れて夫婦となったのです。
懐かしい、ね、ゼウクシス!』
との事。
ーーー…一人で過去の思い出に心を馳せて、悦って居るところスミマセン。
あの、そろそろツッコミ良いですか?。
『…それって…。
自分が、元魔王という特権をフルに有効活用して、有無を言わさぬ恐怖と混乱で外堀を完全に埋めてるよね?。
えっ、なにソレ?。確信犯??』
『いや、故意犯だ』
『ひぃっ!?。辺境警備隊の皆さぁぁぁん!!』
『…いや、むしろ勇者連れてこい…』
死んだ魚の様な目をしたお師匠様は、翳りを帯びた顔でため息を一つついていた。
あ~…でも、基本リゲルはお師匠様限定で変態なのであり、他人には無害…処か、かなり有益なので、周りの人たちは見て見ぬふりをして、お師匠様の処遇は放置されているんだよね。
むしろ、本人そっちのけで、定番美談な逸話にしてしまい、王公貴族民草含みお師匠様の訴えを総スルーしている有り様だ。
その為、お師匠様が一人で可哀想な思いをしている。
いつもこうやって口説いてくる気障なセリフと、止められない妄言に辟易しているのだ。
現に今も…。
『愛しているよ、ゼウクシス。
君がいるだけで、私は孤独感と罪の意識から遠ざかり、心から幸せを噛み締める事ができる。
ねえ、ゼウクシス。
絶対に幸せにするから、これからも末永く一緒に幸せになろうね』
『気色悪いわっっ!。勝手に幸せにでもなっておれっ!、この堕獣がっっ!!』
『…っ!、…はい♥️。…貴女と一緒なら、必然的私は幸せになりましょうとも!!。
過去も刹那の時も未来までも、貴女だけに唯一の愛を捧げます。この身が塵となり、魂までが果てた後まで。
ずっと離れず、貴女だけを。…愛していま…』
『…~っっっ!!!。あぁぁっ、もうっっっっ!!。我の耳元で話すの止めんかっ、この痴れ者めがぁっ!!!』
ーーー…グシャァァァッ!!!。
あ。
永遠のストーカー宣言をしていたリゲルが、お師匠様渾身の腹パン一発で強制終了させられた。
良い笑顔のまま地面に沈んだリゲルの中から色んなモノがはみ出し、浜辺に打ち上げられた魚の様にビチビチと辺り一面に飛び跳ねている。
『あぁん…、私の運命♥️』
『だ、ま、れ 』
恍惚とし潤む瞳でゼウクシスを見上げるリゲルの頭を、小さな足が踏み抜いた。
ーーー…ドグシャァァァッ!!!。
うん、相変わらず安定のスプラッタだね!。
ーーー…ん?。
あれ?。
そういえば、お師匠様?。
”勝手に幸せに~"って。そんな言い方じゃぁ、リゲルが挙げ足をとるに決まっているんじゃないの?。
裏を返せば、普通にリゲルの幸にせを望んでいるって意味にも聞こえちゃうよ??。
ーーー…解せぬ…。
毎回毎回毎回毎回懲りもせず、うっかりトラウマになる程ねっとりと蛇の如く纏わりついてきて、ただひたすら一方通行な愛を貫き通すリゲルが、蛇蝎の如く嫌いじゃなかったの?。
…ん?。
もしかして、今、あてられてる??。
そう思い至って、ふと思い返す。
リゲルの熱烈な愛情表現に対して、強烈な物理で返す、そんなお師匠様のアレやソレがザクザク出てきた。
まさか…、あれって…。
もしかして照れ隠し?。
そう考えたら、解せた。
途端に、疑問が確信に変わる。
『…アホくっさ…』
…さっきまであった、可哀想どこ行ったよ?。
えっ?辟易と共に家出中??。
夫婦である二人を、割りと本気で心配してたのに、なんだか途端にどーでも良くなった。
子供が水溜まりで戯れるが如く、派手な血飛沫をあげながら無表情でリゲルの肉片やら臓物やらを踏みまくるお師匠様を尻目に、私は相棒である一対の鉈の手入れを始める。
あー、そっかー…。
これが息子が言ってた、ツンデレならぬ、ツンツンってやつか~。
お師匠様が本気でリゲルを殺そうと、毎日頑張っているもんだから、おばちゃん、全く見抜けなかったわー…。
成る程、日常でこのやり取りを見せ付けられたら、そりゃあ皆スルーするよね。
だって、誰だってリゲルの蹄で、蹴られたくないもん!。
ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…
感謝感激感謝感激!!!。
お気に入り数が70越えました!!。
凄い!。
私の小説を気に入って下さった方々が、なんと72人もいるなんて!。本当~に夢の様です!!!。
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お気に入りして下さった皆様、誠に有り難う御座いました。
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