弟を 雅な公爵令嬢に育てようと思う。

ママさん看護師

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看護師の知識を使って、看護過程を展開していきます。

【情報収集】それってどうよ?

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…ノリノリっすね、お父様。
何でそんなに、やたらと楽しそうなの?。

涙と鼻水と涎を垂らし、命乞いをしながらギャーギャーワーワー必死に逃げ惑う、人さらい三人。

そして、それを嬉々として刃物を振り回しながら、奇声を上げて追いかけまわすお父様。

うん。
間違ってはいない。
間違いなく、正しいナマハゲの在り方だ。

…けれど…、

「(う~ん…。日々、皆様から敬われ慕われる聖者として、)…それってどうよ?」

楽しげに役に徹する父を見て、私の中には残念感しかなかった…。


一通り、人さらい共を追いかけまわして気が済んだのか。
森の中に散りじりに逃げる三人を見逃した父が、あきれて項垂うなだれた私の居る檻の上に降り立った。

「あ~っ、楽しかったぁ!…ところでハイド、何で檻なんかに入って馬車に乗ってるの??」

いつもの、ノホホンとした父の声が、上からかけられた。

「入って居たくて、入っていた訳じゃあないよ」

「え?。でも、こんな檻、ハイドだったらすぐに壊して出てこれるよね?」

「まぁ、そうなんだけどね~…」

鉄格子を両手でグッと掴むと、父が上から地面に降り立ったので、そのまま力を込めて左右に引っ張る。

ーーーメキッ、バキッ!!。

すると、鉄格子のついていた上下の分厚い板ごと檻が壊れた。

…こんな普通の猛獣用の檻ごときで、私を拘束できると思っていたのか。
全く、情報収集不足が甚だしい。

呆れながら手に持った鉄の柵を、ガコンと粗雑に落とす。

「その人がマリア婦人だね。
あ、案の定、気絶してる」

父の背負う飼い葉桶に、ぐったりとしておさまっている人物を、馬車の上から確認した。

「うん。私を見たら気絶した」

「…だろうね…」

まぁ、怯えて暴れられて怪我をさせるよりは、…良いのか?。

まぁ、何はともあれ。

「お父様。そろそろ、有象無象の魔物が此方に向かって来るだろうから、いつまでもここに居るのはマズイよ。
一先ず詳しい事は後で話すから、先に感染病棟に行ってマリア婦人を助けてあげて」

「あ、うん、そうだね。
この人も、あの少年同様、苦しんでるものね。
少しでも早い方が良い。よし、急ごう!!。
ー…って、あれ?、ハイドは?」

感染病棟に向けて走り出したが、ついて来ようとしない私に、父が振り向き小首を傾げる。

「あ~。私は、逃げたズラウト先生が心配だから、ズラウト先生が無事に逃げたのを確認してから戻るよ」
と、苦笑いしながら答える。

「んー、でも、この辺は森の端だし、遭遇したとしても普通の動物と小型の魔物だし、大丈夫じゃない?」

「いやいや。一般人には、狼とか魔兎とかは十分脅威なんだからね!」

ここは、夜明けの森だ。
昼の森と夜の森、そして明けの森は、全くの別世界。
夜の森は夜行性の野性動物や魔物などの遭遇率がぐんと高くなり、明け方になると、起き出した腹ペコの昼間の魔物や動物なども行動し始める為に、森の中の危険度は半端なく高くなる。

こうして話している間も、実は、森の中に逃げていったズラウト先生が、魔物に襲われていないか、気が気じゃないのだ。

そりゃ、まあ、連れ去り犯人の一人だった訳だけれども…。
でも、やり方はどうあれ、私を育ててくれた事には変わりない。
生まれた時から毎日顔を合わせ、こっちの話を聞いてくれない、頑固で自分が一番正しいと信じて行動し、それを押し付け様とする、ウザくて口煩い人だけれど。

私の母親代わりの人には違いないから、それでも情みたいな物は私の中に在るのだ。

「わかった。
じゃあ、先にかえっているね」

「うん。
マリア婦人を、宜しくね」

音もなく、もの凄いスピードで森の中を疾走するナマハゲを肩越しにチラリと見送り、私はすぐさま逃げていったズラウト先生の後を追った。


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