不幸でも異世界チーレム!

荒葉千歳

文字の大きさ
25 / 29

■第23話 西の国 マフォール その11

しおりを挟む

カミルさんとレベッカさんとエリーとの三人を、
初めて相手してからもう3日経った。
呪いの解呪から既に1週間は経とうとしている。

あれから3日3晩ずっといちゃいちゃこらこらしていた。
レベッカさんも最初は「優しくしてくだされ」とか言っていたものの、
3日目になってからは慣れたのか自分から求めるようになった。
人の体力は亜人と比べると少ない。だがレベッカさんはその域を既に超えていた。
亜人のカミルさんと、人のレベッカさんとエリーを三人相手にするには余裕はあるにせよ、3人とも元気すぎる。
まぁまだ俺はあと4人増えても問題ないくらいには有り余ってるけどね。
その4人分を3人にぶつけているのだ。そこのベットで3人ともぐったりしているのは仕方がないのだろう。

まぁそういう話もしていて尽きないのだが、
そろそろセシルの動向が気になる。
あれから1週間も経っているのになんの音沙汰もない。
逆に心配になってくる。
これはあれだな、
校舎裏に呼び出して告白をして、
OKが出たのにも関わらず、相手からは挨拶さえなにも返ってこない。
本当に付き合っているのか分からなくなってくるという不安と同じだね!!
え?ちょっと違うんじゃないかって?細かいことは気にしない気にしない。

さて、呪いの方は本当に解呪出来ているので、
もしかしたら既に気づいてなにか仕掛けに来る準備をしているのではないだろうか。
それとも俺のことを探っていて、国王がそれを阻止しているのか。
まぁどっちにしろそろそろケリつけたいし俺から出向こうかな。

と考えていたその時。

コンコンコン

ノックの音が聞こえてきた。ドアは開けようとしない。
そのままの状態で向こうから声が聞こえてきた。

「マサキ様。早急にお伝えしたことが御座います。
国王様の私室へ来ていただけませんでしょうか。」

「分かりました。準備したら向かいます。
あ、カミルさん達はどうしますか?」

「いえ、カミル様はまだお休みでしょう。そのままで結構です。」

「分かりました。」

さてなんの話なんだろう。





◆◆◆





準備を整え、早急に国王の私室へ向かう。

コンコンコン

「私です。マサキです。」

「入ってくれ。」

「失礼致します。」

ドアを開けるとそこには国王と王妃、それから見慣れない金髪オールバックがそこに座っていた。
服装を見たところいい所の人っぽい。凄く高そうなネックレスに指輪までしている。
その男を見るとすぐに口を開いた。

「この男が?見るからに貧相の無い奴だ。私に歯向かおうとは100年早いわ。
そこで土下座でもして謝罪でもしてみれば許してやってもよいぞ。」

なんだこの野郎。やってもいい?やってもいいか?
いや国王の前だ。流石にやめておこう。
だがちょっとムカついた。威圧までは出さないにしろそれ相応の言い方をしてやろう。

「あ?誰だこいつ。てめぇこそなに失礼なこと並べてくれちゃってんの?八つ裂きにされたいの?」

「き、貴様!!!我に口答えするつもりか!!!」

「あ?自己紹介も自分から出来ないやつがなに言ってんだ。それともママにそんなことも習わなかったのでちゅか~?」

「き、貴様!!!!!!!!!首と胴が未来でくっついているとは思うなよぉぉぉぉ!!!!」

そいつ。金髪オールバックは俺に向かって帯刀していた、剣を首の所をめがけて右から左へ抜刀してきた。
そんな攻撃はマサキには通用するわけもなく、左手の人差し指と中指で剣先を挟む。

「き、貴様...!」

「おい金髪オールバック。抜刀してきたってことは死の覚悟があって、この剣を俺に向けてきたんだよな?」

「な、なにを...。」

「だーかーらー。これを俺に向けてんだ。死ぬ覚悟くらいあるんだろ?」

「貴様が私に歯向かったのだ!!死の覚悟うんぬんなんてあるわけがないだろう!!!!」

「はぁ。これだからお偉いさんは...困ったもんだねぇ...ねぇ?アルさんティアさん。」

国王と王妃は金髪オールバックが、
マサキに剣を振るって剣先を指で挟まれるまで一度たりとも声を発してない。
それもそのはず。マサキが金髪オールバックを煽るとは微塵も思っておらず、
あまつさえ、そんな煽り文句で怒りに任せて剣を振るうとは思っていなかったのだ。

「あ、あぁ。マサキの言う通りだ。」

「そ、そうですね...。」

「ほら。国王も王妃もあんな事言ってるぞ。どうすんだこの後始末。」

「き、貴様ら!!呪いの事を忘れたわけではあるまいな!!!」

あぁ...こいつセシルだったのか。どうりで国王と王妃が強く言えないわけだ。
というかセシルは呪いが解呪された事を知らないのか?
もしかして契約書は金庫の中でそれを随時確認してないってことなのか?

《その通りですマスター。》

おいおいまじかよ...ってなんでメーティス知ってんだ。

《常にセシルを監視しておりました故。》

あ、そうなのね...メーティス...恐ろしい子!!
というわけでこの男、セシルはなにも知らない。
というかなにに歯向かったって国王さんは言ってくれたんですかね?ちょっとあとでお仕置きかな?
そして、1から説明するのは面倒、というより俺の事が知れるのはどうあがいても、面倒事に直結する。
なので俺が解呪した。それだけ言っておこう。
力の末端も見せたくはないけど威厳ってのを見せなければな。もちろん国王と王妃のね?

「さて。セシル。お前の後始末どうつけようか。」

「な、なんの話だ!」

「いやね?この王族の呪いさ。俺が解呪したからさ。
もうあんたの言いなりになることなんて一切ないのよね。」

「っは!なにを馬鹿な!貴様如きが呪いの解呪が出来るはずもない!!
むしろ宮廷魔道士100人呼んでも大丈夫なはずだ!!!」

なにそのツッコミ入れて下さいと言ってるかのようじゃない?

「あ~まぁ俺の力知らないもんね。
あ、そういえばマイザンは捕縛してるから。あいつは極刑で死刑になるから。」

「な、なんの話だ。そのマイザンとやらは我は知らん!!!」

「しらばっくれても無駄だって。
どうせカミルさんがいなくなった所で契約違反とかなんだの言って王座を取ろうとしたんだろ?
情けないね~自分の力でのし上がれもしないのに人の力でのし上がろうなんて。他力本願も良いところだわ。」

「なにを根拠もない事を!!」

「根拠って言われてもなぁ知ってるんだから仕方ない。なんなら契約書今から持ってくるか?」

「お前にあの在り処を探せる訳がない!!」

「おっと。とうとう口走っちゃったよ。よくそんな頭で大公になれたもんだな。まぁお前の力じゃない訳だけど。」

「ぐぬぬ...うるさいうるさいうるさい!!...こうなったら...皆殺しだ!!!
リング発動!隷従の証!!ハッハッハッ!!!これでお前も俺の配下だ!!!
お前の四肢もろとも切り落として牢屋に一生ぶち込んでくれるわ!!!
さぁ俺の前で跪け!!!!」

.........。

「な、なぜだ!!なぜ言うことを聞かない!!!」

「何故って俺にその魔法の耐性があるからな。てかちょっとは危機感ってのを覚えろよ。脳筋(脳みそ筋肉)かよ。」

俺はそのセリフを吐くのと同時にショルダーホルスターに装備していたコルトパイソンをセシルの額に押し当てる。

「な...な...。」

「あぁこれ?これねぇ。銃ってやつなんだわ。この世界にあるのかな?まぁどっちでもいいけど。
これの威力ね。一発山に打ち込んだら山もろとも吹き飛ぶくらいには調整できるよ。
まぁ今は鉛よりも脆い土でできてるから、人1人くらいが吹っ飛ぶ計算かな。」

そのセリフを聞いてか聞かずか、セシルの足から暖かく、アンモニア臭のする液体が流れていた。

「うわ。きったな。お前それでも男かよ。はぁ...。ここの掃除は流石に女性にはさせられないな。
おいセシル。自分で掃除しろよ。自分のケツは自分で拭けってな。あ、これ違うかな?」

うんうんいい気味だ。長年カミルさんを精神的に傷つけてきたんだ。
このくらいの腹いせはさせてもらって当然だろう。
あんな幸せそうなカミルさんの笑顔をこんな碌でもないやつなんかに傷つけられてたまるか。

そんなこんなでセシルは色々白状した。
自分が王座を取ろうとしていた事。民を裏で操っていた事。女を女と見ず自分の私利私欲の為に使っていたこと。
奴隷商から女や金を巻き上げていたこと。契約書の在り処の事。ホント全部だ。
それにしてもまじで屑野郎だな。裏がこれなら民のみんなは怒りを通り越して呆れるんだろうな。
まぁそもそも解呪したんだ。セシルの処遇は死刑なんて甘ったるいだろ。
俺なら無期懲役で一生牢屋暮らしで裁くだろうな。それも餓死寸前で一生。





◆◆◆





そして3日が経った日のこと。セシルの処遇が決まった。死刑だ。
俺はまさかとは思っていたが、本当の事らしい。
そしてセシルの家で私利私欲の為に使われていた女性達は、
全て国王の元でメイドとして扱う事になった。
全ての女性。それも妻となった者や子供でさえもセシルを嫌っていた。ある意味凄い。
ここまでの嫌われ者はそうそういない。
ホント私利私欲の為だけに集めていたんだな。しかも逆らったら体罰だ。そりゃあ嫌う。
中には四肢がなくなっていた者までいた。止血はされているので死にはしない、が、心が既に壊れていた。
それも1人じゃない。そんな女性達には俺からのささやかなプレゼントとして全て元通りにしてあげた。
かなり泣きつかれた。一生お側で仕えたいという者はまだいい。だが未だ心が壊れて居るものまでいた。
心が壊れている者に関しては国王が全面的に癒やしを与えると断言していた。四肢をなくした女性にも子供がいた。
その子達には何不自由なく暮らせるようにするとも言っていた。
とりあえずはいいとして。仕えたいと申し出てきた女性を数えてみた。...10人は居た...。
どうするか...。てか俺本当に面倒事しか関わってないな!?その時...。

「マサキよ。君には大公の爵位を与えたいと思っている。な~に別に何かを成し遂げろとは言わんよ。
自由にしてくれて構わない。それこそそこの者たちが仕えたいと言っているのだ。
貴族たるもの一件くらい家がなくてなは。なのでこれはティアからだ。」

国王は右手にもっている1枚の羊皮紙を渡してきた。
そこには、



----------------------------------------------------------------------
               贈呈


カンザキ・マサキ殿

貴殿は類稀なる才能と力を持って
王族と民を非道な者から守ってくれた
その礼として貴殿にいくつかのものを贈呈しよう

・大公の爵位を授与する。
・王妃の持ち家1つ
・白金貨500枚
・メイド10名ならびにメイドに教育するメイド長1名


----------------------------------------------------------------------



「いいのですか?こんな待遇処置。俺には宝の持ち腐れになるのでは...。」

「マサキよ。本当に自由にしてくれ。これは王族と民の皆からの礼なのじゃ。
この国代表として渡している。素直に受け取ってくれる事を願っているよ。」

「分かりました。引き受けます。ありがとうございます。」











そして俺はこの日から、大公の爵位と11名のメイドと大金と持ち家を持つことになった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...