97 / 129
〔番外編〕??? 見定め
(ここから3話は新キャラ視点による話になります)
僕の名前はエルド。つい1ヶ月ほど前に騎士になった男だ。ただ年は18と騎士になるには少し年齢が高すぎる。本来ならば10代前半に入るのが普通であり、生活に窮する家庭では10になってすぐに入ることがある。だが僕の場合は事情があったため、ここまで遅くなってしまったのだ。
僕の両親は騎士。ーーいや、今は元騎士といった方がいいだろう。
父は元団長のルレイド。母は副隊長のエマだ。これだけ聞けば家柄として最良だといえよう。だがこれが大問題だといえる。
母であるエマは、かつてヘテロイヤル帝国の間者だった。母は生まれも育ちもノンケルシィ王国ではあるが、その両親が帝国から紛れて入ったのだ。既に2人とも間者であることがバレてすぐに自害している。密告したのは母だった。母も処刑されるはずであったが、監視という形で父が母と結婚したのだ。当時は父にも疑惑の目があったようだが、それをすべて父ははねのけたのだ。そして母は敵国の元間者であったが、その腕と親よりも国をとった忠誠を評価され後に副隊長にまで登りつめたのだった。
だがヘテロイヤル帝国の元間者であったことは覆らない。母はあえてそれを見せつけるように、未だに下手くそな帝国語で話すのだ。
そんなことがあるから、騎士になることを止められていた。幼少期から両親の姿を見て憧れていた時期もあったから、剣を振り、魔法を覚え、副団長の家にお邪魔しては元騎士である爺様に知識や技術を拾得していった。ちなみに両親からは何も教わっていない。特に母からは国のことも騎士のことも、家庭では一切口にしなかった。
だが意外なことに3年前。父が突然こう口にした。
『20になるまで職につくな』
騎士は無理だと悟り、傭兵か用心棒を雇う場所がないかと探しているときだった。
何を突然と思いながらも、父の雰囲気にうなずくしかなかった。だからひたすら腕を磨くことに専念した。
そしてつい先月両親が騎士を退き、僕は騎士となることが許されたのだ。
何故、この時期だったのか。父に問いかけると
『今が変わる時期だからだよ。騎士だけじゃない。国がーー世界が』
と静かに返ってきた。
+++
そして僕は騎士になった。といっても初めの1年は指導される立場であって正式な騎士ではない。これまでひたすら鍛錬を積んできた自分としては、特に問題ないことである。だが半数以上がこの1年で騎士を辞めることになる。それが普通のことで指導役は残った騎士をどう鍛えるか、配属させるか見極めるのだ。
つまり指導役は名前の通り、指導することが目的ではない。
だから苛立ちながら宙を見つめるこの男は、指導役に向いていないだろう。
「ロッドさん」
「ーーん? あぁ、エルドか。なんだよ?」
「それはこっちの台詞です。何やってるんですか」
騎士舎の壁に寄りかかって苛立っている様子のロッドさん。彼が僕の代の指導役だ。
ロッドさんは僕の問いに、ため息をつきながら右手で頭をかいた。
「指導する人間が指導される人間に悩みを話すかよ」
「貴族子息の扱いに苛立っているんじゃないんですか?」
「・・・・・・わかってんなら聞くんじゃねぇよ」
そう言ってロッドさんがにらんできた。
怒りの形相ではあるけれど、相手に恐怖を与えるまでにはいかない。本当に恐ろしい人というのは笑っていても畏怖させる力がある。僕の両親のように。
ロッドさんが苛立っているのは訳がある。ただ沸点が低いだけではない。
今回ロッドさんが指導する見習い騎士の中には、通常よりも貴族の数が増えている。理由は簡単だ。貴族が騎士に価値を見い出した。
勇者によって魔王が変わり、それに伴い帝国との一時休戦が決まったからだ。さらに先の魔の森での活躍によりダグマル第1部隊長ーー今は役職が変わり、ダグマル補佐官によって初めて貴族が騎士内で高い地位についた。
つまり命を懸ける可能性が大幅に下がったことと、貴族が騎士内で地盤を固めることが可能になったことで、貴族たちが跡取りを除く子息を騎士に入れさせたのだ。
だが彼らは僕のように鍛えていたわけではない。温い環境にいた彼らにとって、ここは厳しすぎる。そして精神も脆い。精神を病むような者もいれば、貴族であることを盾に威張り散らす者もいる。後者は平民出の者を見下す傾向もある。つまり指導役であるロッドさんに背くこともあるのだ。
上の命令を聞かない者に騎士をやる資格はない。それは僕の持論だ。だからこそ上に着く人は選ばせてもらうけれど。
「半年我慢すればいいじゃないですか。そしてあなたが書類を提出すれば、資格なしとして除隊されるんですから」
指導役を中心とした騎士数名から適正なしと判断されれば、その者は騎士にはなれない。たとえ貴族からの圧力があろうとそれは変わらない。かつて幾度も貴族の干渉があったが、平民出が大部分を占めている騎士団は常にそれを跳ね返している。100年後はどうかわからないが、よっぽどの地位でない限り貴族の圧力はないと言っていいだろう。何より貴族がしゃしゃり出るのを公爵でもあるダグマル補佐官がそれを許さないはずだ。
僕が思うに、おそらく今回の見習い騎士の8割は除隊させられるだろう。貴族はほとんど機能しないだろうし、貴族じゃない者もついていけないやつはいっぱいいる。
だから僕はそう進言したというのに、ロッドさんの様子にあまり変化はなかった。少しばかり冷静になったようだが、僕に対して苛立ちを向けてくる。
「お前が口を出すことじゃない」
さらにそう言い捨ててきた。
苛々をこっちにまで持ってこないでほしい。八つ当たりにも程がある。
ーーダメだな。この人は。
指導役というのはただ見習いを指導するだけではない。今後の重要な役職を担えるかどうかの判別をされるのだ。だから指導役は自分勝手に指導しても、騎士を選別してもいいわけでもない。その人の評価によって出世の道が絶たれる。
この人は上に立つ人間ではない。
「そうですか。それなら僕はここでーー」
「エルド」
去ろうとすれば、ロッドさんに呼びかけられたため仕方なく立ち止まる。
「何ですか?」
「お前、自分は問題ないって思ってるのか?」
その内容に、指導役の前で目が据わりそうになるのを耐えた。
「ーー何か、問題でもありますか?」
「いや、ねぇよ。お前自身は誰もが認める優等生だ。良かったな」
なら何だその言い方は。能力がある者に対しての皮肉か。それなら尚更この人の性分は腐っている。ああ、そうか。父はこの人が出世しないよう止めるために僕をこのタイミングで入隊させたのか。それなら僕が正式に入隊したときに訴えればいいだけだ。もしこの人が、僕をやっかんで入隊を拒否しようとしても僕の成績を考えればそれも無理だ。
ロッドさんは俺の反応を見ながら、言葉を続ける。
「お前、同期のやつらがどんなやつらがいるのか。ちゃんと見てるのか?」
「・・・・・・見てますよ」
何を聞くかと思えば。同期の顔は把握している。だからこそ通常よりも不作だと思っているのだ。
「何割、残ると思ってる? 余計な肩書きを無視してだ」
「8割は無理だと思います。少なくとも貴族のほとんどは役に立たないでしょう」
「俺は、5割は残してやりたいと思ってる。今のところはだ」
その発言に呆気にとられた。
「貴族に尻尾を振るんですか?」
「んなわけねぇだろ。それでも、5割はやれると思っている」
「何故? いらないものは切り捨てるべきです。そうやって騎士団は大きな問題もなくやってこれた。不要なものを捨てなければ、やがてそれは大きな膿になりますよ」
「何をもって不要と判断するんだ? お前もまだ見習いだろ」
「わかるでしょう。両親のそばにいて、騎士がどういうものかは見てきたつもりです」
何もしていないわけじゃない。騎士に入れないながらも、どんな情勢か、どんな体勢をとっているのか、常に把握しようと努めていた。
それが間違っていると言われているのならば、黙っていられない。
「こちらからも言わせていただきますが。ロッドさん、あなた指導役に向いていないですよ。指導そのものに問題はありませんが、上へ立つには気が短すぎる。そして人を見る目も悪すぎる。何故あのメンツで5割残そうとしてるのかが理解できない。あなたじゃ団長どころか副隊長にすらなれませんよ」
「凄い言われようだな」
そこでロッドさんが小さく笑う。嘲るような笑い方だ。
「まぁ、間違ってねぇよ。俺は上に立つような人間じゃないって自覚はある。正直お前の方が今の騎士団の団長には向いてるよ」
「・・・・・・はっ?」
変な声を出してしまったが、ロッドさんが嘘をついているようには見えなかった。
「意味がわからない。上に立つ気がないなら指導役など、やる必要はないでしょう?」
指導役はやることが大量に増えるが、ただの一騎士と立場は変わらない。上に立つ気がないのなら、今のまま仕事をしている方がいい。指導役だからと通常の仕事の量が減るわけではないからだ。立身出世を狙うからこそ、この役目を受けているはずだ。
「正直、指導役ってのをナメてたのもあるがな。回復魔法使えて助かったわ。睡眠時間削って仕事に当てられるからな」
「それでもやる意味を聞いているんですが?」
「向いてないってのは自覚してる。だが、上に立ちたいって気持ちはあるんだよ」
それをただの自己顕示には思えなかった。もしそれならこんなことを、わざわざ口にするわけがない。
理由を追及しようとしたが、先にロッドさんが俺に尋ねてくる。
「エルド。フェバルは知ってるよな?」
その質問には肯定の返事をした。
フェバル。平民出身の少年だ。それもまだ10になったばかりの、やせっぽちで、体力はない。運動神経も悪く、走らせても途中で力尽き完走することすら出来ずにいる。
まさかと思うが、あの子を残しておくつもりなのか。僕の思いは言わずともロッドさんに届いたようだ。
「おそらくあれは高い魔力を持ってる。ただでさえ魔力は普通の食事量じゃ足りないが、フェバルの場合はその普通の量すら与えられていないと思う」
「だから騎士団で保護しろと? 騎士団は慈善事業じゃないんですよ」
「当たり前だ。ただ半年だけであれを判断するのは早すぎる。騎士として入れれば食事の問題はないはずだ。もし体力も万全の状態で魔法の能力が高ければ、人材として申し分ないだろ」
いや、おかしいだろう。
騎士は本来魔法よりも剣だ。その影響で脳筋が増えているのも事実であるが、魔法ならば魔導師がいる。わざわざ騎士が魔法にかまけている意味はない。使えるかどうかもわからないやつを入隊させて様子見するなんて以ての外だ。
「理解に苦しみます」
「そうだろうな。本来なら1番に切り捨てるだろうよ。だが魔法は出来て損することはないだろ。前団長だって炎魔法に関しては、魔導師並だったはずだ」
「父は魔法だけではありません」
「わかってるよ。魔法が出来るからって団長になれるわけがねぇだろうが。だが魔法が得意なやつがいるだけで、出来る幅が増えるのは確かだろ」
言っていることは間違っていない。そう思ってしまい僕は言葉を止めてしまった。
「もちろん騎士の基本は剣だ。そこは忘れてない。でも剣以外にも武器になるものはあるはずだ。俺もそうだしな」
そういや、この人も魔法はそれなりに出来るんだったか。だから魔法が出来そうなやつを拾うつもりなのか。
だが僕のその考えもすぐに改めることとなった。
「それとシーエンスだがーー」
「シーエンス!? まさか彼も残すつもりですか!?」
信じられない。そう言いたくて声を荒げた。
シーエンスは貴族出身で、伯爵の三男。貴族でない者に対して見下すような発言が見られる。僕に対しても嫌味をぶつけてくる。実力で大きな差を見せつけても態度は変わらず、事あるごとにつっかかってくる。
「不安材料ではあるがな」
「正気ですか。あれこそ入隊させたら欲で騎士団を汚す男ですよ」
「そうしないよう見張るのも上の仕事じゃねぇのかよ」
「わざわざいらぬ泥を被るつもりですか」
「シーエンスは未だ貴族意識が抜けないだけで、それ相応の努力はしてる。お前は知らないだろうが、貴族でないお前に負けたことがショックで隠れて鍛えてる。お前は面倒に思うだろうが、卑怯な真似をせずに堂々とお前に勝負を挑んでるだろ? 他のやつらからお前を罠にはめる話も、あいつは拒否してるんだ。貴族でないお前にいつまでも負けるはずはないってな」
それは・・・・・・僕にとって面倒なだけじゃないか。僕を罠にはめようとしているやつらは大体把握してる。やれるものならやってみればいい。返り討ちにするだけだ。
「言っておくが、卑怯なことをしようとしていたやつらは罰を与えてる。あれで反省しなけりゃもう無理だな。半年待たずに追い出す」
「むしろすぐに追い出してくださいよ」
「はっ。やっても返り討ちに出来ると思ってるくせに、そう急かす必要はねぇだろ」
考えていたことを的中されて、僕は視線をそらす。
「甘いですね」
「自覚はしてる」
「それで、上に立ちたいと思う理由を伺ってもよろしいですか?」
尋ねようとして遮られてしまった質問をし直す。
するとロッドさんは少し黙って、そして「おもしろい話じゃねぇが」と前置きをしてから話してくれた。
「友人が死んだと聞かされた。結局は誤情報だったが、それをさも当然のように受け入れてた上司にブチ切れた」
「ーー上司に切れた? 何をやっているんですか」
「しばらくは騎士って意義も見失ってたな。何が正しいのか、間違ってるのかがわからなかった。今でもあのときのことは納得いってない」
この人は、何で指導役が出来ているんだろう。心底思った。
上司に楯突く。魔法に関心がある。面倒な貴族でも受け入れようとしている。
いつ内部で反乱を起こしてもおかしくないだろ、この人。
「だから上に立とうと思った。俺が思う正しいってことを貫くために」
「いや、それマズいでしょう。何堂々と騎士の思想に反することを口にしてるんですか」
「反してないだろ。騎士は守ることが本分だろうが。ただ俺は無駄死にさせたくないだけだ」
そう語るロッドさんの目がギラギラと光る。
その瞳に邪心も悪心も見受けられない。
初めてこの人に恐怖を感じた。威圧感とかではなく、異質過ぎるという意味でだ。
この人の出身は知っている。経歴も知っている。特に違和感を覚えたことはなかった。回復魔法は使えるが、ただの平凡な一騎士であったはずだ。唯一例外があるとすればーー。
「勇者の、影響ですか? 彼があなたを唆したのですか?」
勇者である男との接点が多いということだった。
「勘違いするなよ。あいつは何もしてねぇよ」
「しかし彼の目は相手を思いのままにする力があります。気づかない間に、記憶を操られている可能性も」
「俺がお前を気にくわないのはそこだよ。何もかも決めつけてることだ。俺も人のこと言える義理じゃないけどな。俺も決めつけてたよ。勇者は何をしでかすかわからない、最低なやつだって」
ロッドさんはそういうと視線を落とす。どこか後悔しているかのような表情だ。
「俺は見ようとしなかっただけだ。勇者も賢者も魔導師も。全部が全部素晴らしいやつらだとか、そんな綺麗めいたことは言わねぇよ。実際ムカつくことばかりだ。でも欠点ばかりじゃなかった。そんなやつらを見てるから、今指導してるやつらも見捨てられないんだよ」
「それはただの甘えです。優しさだけで仕事は出来ません」
「わかってんだ。自覚はしてる。俺の行動で今後の騎士団に支障を起こすわけにはいかねぇ。性根が腐ってるやつや諦めるやつまで贔屓しねぇよ。だが半年間はきっちり見定めさせてもらう」
再度、ロッドさんの視線がこちらを貫く。
意志の込められた強い視線だ。おそらく僕も見定められる1人なのだろう。
『今が変わる時期だからだよ。騎士だけじゃない。国がーー世界が』
父の言葉を思い出す。あれはこのことを言っていたのか。いや、これはほんの一部なのかもしれない。
撤回しよう。この人をダメだと判じるのは早すぎる。僕らを見定めるように、こちらもこの人を見定めなければならない。
僕の、騎士団の上に立つ人間たる器に成り得るか。今のままでは無理だ。現実はそんなに甘くない。だがもしこの人がさらに成長し、現実を見据え、そして力を手にすれば変わる可能性はある。
この人の見方が変わったのは、この日からだ。
「あ、そういえばロッドさん」
「あ?」
ついでだから思い出したことも聞いてみる。
「ロッドさんが勇者や魔導師の男と、泥沼の恋愛を繰り広げてるって本当ですか?」
その問いに、ロッドさんの頭から何かが切れる音がした。
「んなわけねぇだろうがああああああ!!! どいつもこいつも、わけわかんねぇ噂を本気にしやがって! やらねぇよ! 何が悲しくてクウガやシャンケとそういう関係にならなくちゃいけねぇんだ! 普通に女が好きだよ! 男となんか恋愛なんかしてたまるかああああああああああ!!!」
そう怒りのままに叫ばれた。
・・・・・・まず第一に、この短気を治さないとダメだと思う。
~~~~~~~~~~
(もしここにクウガがいれば、「おま、それはフラグだから」と言っていたに違いない笑)
僕の名前はエルド。つい1ヶ月ほど前に騎士になった男だ。ただ年は18と騎士になるには少し年齢が高すぎる。本来ならば10代前半に入るのが普通であり、生活に窮する家庭では10になってすぐに入ることがある。だが僕の場合は事情があったため、ここまで遅くなってしまったのだ。
僕の両親は騎士。ーーいや、今は元騎士といった方がいいだろう。
父は元団長のルレイド。母は副隊長のエマだ。これだけ聞けば家柄として最良だといえよう。だがこれが大問題だといえる。
母であるエマは、かつてヘテロイヤル帝国の間者だった。母は生まれも育ちもノンケルシィ王国ではあるが、その両親が帝国から紛れて入ったのだ。既に2人とも間者であることがバレてすぐに自害している。密告したのは母だった。母も処刑されるはずであったが、監視という形で父が母と結婚したのだ。当時は父にも疑惑の目があったようだが、それをすべて父ははねのけたのだ。そして母は敵国の元間者であったが、その腕と親よりも国をとった忠誠を評価され後に副隊長にまで登りつめたのだった。
だがヘテロイヤル帝国の元間者であったことは覆らない。母はあえてそれを見せつけるように、未だに下手くそな帝国語で話すのだ。
そんなことがあるから、騎士になることを止められていた。幼少期から両親の姿を見て憧れていた時期もあったから、剣を振り、魔法を覚え、副団長の家にお邪魔しては元騎士である爺様に知識や技術を拾得していった。ちなみに両親からは何も教わっていない。特に母からは国のことも騎士のことも、家庭では一切口にしなかった。
だが意外なことに3年前。父が突然こう口にした。
『20になるまで職につくな』
騎士は無理だと悟り、傭兵か用心棒を雇う場所がないかと探しているときだった。
何を突然と思いながらも、父の雰囲気にうなずくしかなかった。だからひたすら腕を磨くことに専念した。
そしてつい先月両親が騎士を退き、僕は騎士となることが許されたのだ。
何故、この時期だったのか。父に問いかけると
『今が変わる時期だからだよ。騎士だけじゃない。国がーー世界が』
と静かに返ってきた。
+++
そして僕は騎士になった。といっても初めの1年は指導される立場であって正式な騎士ではない。これまでひたすら鍛錬を積んできた自分としては、特に問題ないことである。だが半数以上がこの1年で騎士を辞めることになる。それが普通のことで指導役は残った騎士をどう鍛えるか、配属させるか見極めるのだ。
つまり指導役は名前の通り、指導することが目的ではない。
だから苛立ちながら宙を見つめるこの男は、指導役に向いていないだろう。
「ロッドさん」
「ーーん? あぁ、エルドか。なんだよ?」
「それはこっちの台詞です。何やってるんですか」
騎士舎の壁に寄りかかって苛立っている様子のロッドさん。彼が僕の代の指導役だ。
ロッドさんは僕の問いに、ため息をつきながら右手で頭をかいた。
「指導する人間が指導される人間に悩みを話すかよ」
「貴族子息の扱いに苛立っているんじゃないんですか?」
「・・・・・・わかってんなら聞くんじゃねぇよ」
そう言ってロッドさんがにらんできた。
怒りの形相ではあるけれど、相手に恐怖を与えるまでにはいかない。本当に恐ろしい人というのは笑っていても畏怖させる力がある。僕の両親のように。
ロッドさんが苛立っているのは訳がある。ただ沸点が低いだけではない。
今回ロッドさんが指導する見習い騎士の中には、通常よりも貴族の数が増えている。理由は簡単だ。貴族が騎士に価値を見い出した。
勇者によって魔王が変わり、それに伴い帝国との一時休戦が決まったからだ。さらに先の魔の森での活躍によりダグマル第1部隊長ーー今は役職が変わり、ダグマル補佐官によって初めて貴族が騎士内で高い地位についた。
つまり命を懸ける可能性が大幅に下がったことと、貴族が騎士内で地盤を固めることが可能になったことで、貴族たちが跡取りを除く子息を騎士に入れさせたのだ。
だが彼らは僕のように鍛えていたわけではない。温い環境にいた彼らにとって、ここは厳しすぎる。そして精神も脆い。精神を病むような者もいれば、貴族であることを盾に威張り散らす者もいる。後者は平民出の者を見下す傾向もある。つまり指導役であるロッドさんに背くこともあるのだ。
上の命令を聞かない者に騎士をやる資格はない。それは僕の持論だ。だからこそ上に着く人は選ばせてもらうけれど。
「半年我慢すればいいじゃないですか。そしてあなたが書類を提出すれば、資格なしとして除隊されるんですから」
指導役を中心とした騎士数名から適正なしと判断されれば、その者は騎士にはなれない。たとえ貴族からの圧力があろうとそれは変わらない。かつて幾度も貴族の干渉があったが、平民出が大部分を占めている騎士団は常にそれを跳ね返している。100年後はどうかわからないが、よっぽどの地位でない限り貴族の圧力はないと言っていいだろう。何より貴族がしゃしゃり出るのを公爵でもあるダグマル補佐官がそれを許さないはずだ。
僕が思うに、おそらく今回の見習い騎士の8割は除隊させられるだろう。貴族はほとんど機能しないだろうし、貴族じゃない者もついていけないやつはいっぱいいる。
だから僕はそう進言したというのに、ロッドさんの様子にあまり変化はなかった。少しばかり冷静になったようだが、僕に対して苛立ちを向けてくる。
「お前が口を出すことじゃない」
さらにそう言い捨ててきた。
苛々をこっちにまで持ってこないでほしい。八つ当たりにも程がある。
ーーダメだな。この人は。
指導役というのはただ見習いを指導するだけではない。今後の重要な役職を担えるかどうかの判別をされるのだ。だから指導役は自分勝手に指導しても、騎士を選別してもいいわけでもない。その人の評価によって出世の道が絶たれる。
この人は上に立つ人間ではない。
「そうですか。それなら僕はここでーー」
「エルド」
去ろうとすれば、ロッドさんに呼びかけられたため仕方なく立ち止まる。
「何ですか?」
「お前、自分は問題ないって思ってるのか?」
その内容に、指導役の前で目が据わりそうになるのを耐えた。
「ーー何か、問題でもありますか?」
「いや、ねぇよ。お前自身は誰もが認める優等生だ。良かったな」
なら何だその言い方は。能力がある者に対しての皮肉か。それなら尚更この人の性分は腐っている。ああ、そうか。父はこの人が出世しないよう止めるために僕をこのタイミングで入隊させたのか。それなら僕が正式に入隊したときに訴えればいいだけだ。もしこの人が、僕をやっかんで入隊を拒否しようとしても僕の成績を考えればそれも無理だ。
ロッドさんは俺の反応を見ながら、言葉を続ける。
「お前、同期のやつらがどんなやつらがいるのか。ちゃんと見てるのか?」
「・・・・・・見てますよ」
何を聞くかと思えば。同期の顔は把握している。だからこそ通常よりも不作だと思っているのだ。
「何割、残ると思ってる? 余計な肩書きを無視してだ」
「8割は無理だと思います。少なくとも貴族のほとんどは役に立たないでしょう」
「俺は、5割は残してやりたいと思ってる。今のところはだ」
その発言に呆気にとられた。
「貴族に尻尾を振るんですか?」
「んなわけねぇだろ。それでも、5割はやれると思っている」
「何故? いらないものは切り捨てるべきです。そうやって騎士団は大きな問題もなくやってこれた。不要なものを捨てなければ、やがてそれは大きな膿になりますよ」
「何をもって不要と判断するんだ? お前もまだ見習いだろ」
「わかるでしょう。両親のそばにいて、騎士がどういうものかは見てきたつもりです」
何もしていないわけじゃない。騎士に入れないながらも、どんな情勢か、どんな体勢をとっているのか、常に把握しようと努めていた。
それが間違っていると言われているのならば、黙っていられない。
「こちらからも言わせていただきますが。ロッドさん、あなた指導役に向いていないですよ。指導そのものに問題はありませんが、上へ立つには気が短すぎる。そして人を見る目も悪すぎる。何故あのメンツで5割残そうとしてるのかが理解できない。あなたじゃ団長どころか副隊長にすらなれませんよ」
「凄い言われようだな」
そこでロッドさんが小さく笑う。嘲るような笑い方だ。
「まぁ、間違ってねぇよ。俺は上に立つような人間じゃないって自覚はある。正直お前の方が今の騎士団の団長には向いてるよ」
「・・・・・・はっ?」
変な声を出してしまったが、ロッドさんが嘘をついているようには見えなかった。
「意味がわからない。上に立つ気がないなら指導役など、やる必要はないでしょう?」
指導役はやることが大量に増えるが、ただの一騎士と立場は変わらない。上に立つ気がないのなら、今のまま仕事をしている方がいい。指導役だからと通常の仕事の量が減るわけではないからだ。立身出世を狙うからこそ、この役目を受けているはずだ。
「正直、指導役ってのをナメてたのもあるがな。回復魔法使えて助かったわ。睡眠時間削って仕事に当てられるからな」
「それでもやる意味を聞いているんですが?」
「向いてないってのは自覚してる。だが、上に立ちたいって気持ちはあるんだよ」
それをただの自己顕示には思えなかった。もしそれならこんなことを、わざわざ口にするわけがない。
理由を追及しようとしたが、先にロッドさんが俺に尋ねてくる。
「エルド。フェバルは知ってるよな?」
その質問には肯定の返事をした。
フェバル。平民出身の少年だ。それもまだ10になったばかりの、やせっぽちで、体力はない。運動神経も悪く、走らせても途中で力尽き完走することすら出来ずにいる。
まさかと思うが、あの子を残しておくつもりなのか。僕の思いは言わずともロッドさんに届いたようだ。
「おそらくあれは高い魔力を持ってる。ただでさえ魔力は普通の食事量じゃ足りないが、フェバルの場合はその普通の量すら与えられていないと思う」
「だから騎士団で保護しろと? 騎士団は慈善事業じゃないんですよ」
「当たり前だ。ただ半年だけであれを判断するのは早すぎる。騎士として入れれば食事の問題はないはずだ。もし体力も万全の状態で魔法の能力が高ければ、人材として申し分ないだろ」
いや、おかしいだろう。
騎士は本来魔法よりも剣だ。その影響で脳筋が増えているのも事実であるが、魔法ならば魔導師がいる。わざわざ騎士が魔法にかまけている意味はない。使えるかどうかもわからないやつを入隊させて様子見するなんて以ての外だ。
「理解に苦しみます」
「そうだろうな。本来なら1番に切り捨てるだろうよ。だが魔法は出来て損することはないだろ。前団長だって炎魔法に関しては、魔導師並だったはずだ」
「父は魔法だけではありません」
「わかってるよ。魔法が出来るからって団長になれるわけがねぇだろうが。だが魔法が得意なやつがいるだけで、出来る幅が増えるのは確かだろ」
言っていることは間違っていない。そう思ってしまい僕は言葉を止めてしまった。
「もちろん騎士の基本は剣だ。そこは忘れてない。でも剣以外にも武器になるものはあるはずだ。俺もそうだしな」
そういや、この人も魔法はそれなりに出来るんだったか。だから魔法が出来そうなやつを拾うつもりなのか。
だが僕のその考えもすぐに改めることとなった。
「それとシーエンスだがーー」
「シーエンス!? まさか彼も残すつもりですか!?」
信じられない。そう言いたくて声を荒げた。
シーエンスは貴族出身で、伯爵の三男。貴族でない者に対して見下すような発言が見られる。僕に対しても嫌味をぶつけてくる。実力で大きな差を見せつけても態度は変わらず、事あるごとにつっかかってくる。
「不安材料ではあるがな」
「正気ですか。あれこそ入隊させたら欲で騎士団を汚す男ですよ」
「そうしないよう見張るのも上の仕事じゃねぇのかよ」
「わざわざいらぬ泥を被るつもりですか」
「シーエンスは未だ貴族意識が抜けないだけで、それ相応の努力はしてる。お前は知らないだろうが、貴族でないお前に負けたことがショックで隠れて鍛えてる。お前は面倒に思うだろうが、卑怯な真似をせずに堂々とお前に勝負を挑んでるだろ? 他のやつらからお前を罠にはめる話も、あいつは拒否してるんだ。貴族でないお前にいつまでも負けるはずはないってな」
それは・・・・・・僕にとって面倒なだけじゃないか。僕を罠にはめようとしているやつらは大体把握してる。やれるものならやってみればいい。返り討ちにするだけだ。
「言っておくが、卑怯なことをしようとしていたやつらは罰を与えてる。あれで反省しなけりゃもう無理だな。半年待たずに追い出す」
「むしろすぐに追い出してくださいよ」
「はっ。やっても返り討ちに出来ると思ってるくせに、そう急かす必要はねぇだろ」
考えていたことを的中されて、僕は視線をそらす。
「甘いですね」
「自覚はしてる」
「それで、上に立ちたいと思う理由を伺ってもよろしいですか?」
尋ねようとして遮られてしまった質問をし直す。
するとロッドさんは少し黙って、そして「おもしろい話じゃねぇが」と前置きをしてから話してくれた。
「友人が死んだと聞かされた。結局は誤情報だったが、それをさも当然のように受け入れてた上司にブチ切れた」
「ーー上司に切れた? 何をやっているんですか」
「しばらくは騎士って意義も見失ってたな。何が正しいのか、間違ってるのかがわからなかった。今でもあのときのことは納得いってない」
この人は、何で指導役が出来ているんだろう。心底思った。
上司に楯突く。魔法に関心がある。面倒な貴族でも受け入れようとしている。
いつ内部で反乱を起こしてもおかしくないだろ、この人。
「だから上に立とうと思った。俺が思う正しいってことを貫くために」
「いや、それマズいでしょう。何堂々と騎士の思想に反することを口にしてるんですか」
「反してないだろ。騎士は守ることが本分だろうが。ただ俺は無駄死にさせたくないだけだ」
そう語るロッドさんの目がギラギラと光る。
その瞳に邪心も悪心も見受けられない。
初めてこの人に恐怖を感じた。威圧感とかではなく、異質過ぎるという意味でだ。
この人の出身は知っている。経歴も知っている。特に違和感を覚えたことはなかった。回復魔法は使えるが、ただの平凡な一騎士であったはずだ。唯一例外があるとすればーー。
「勇者の、影響ですか? 彼があなたを唆したのですか?」
勇者である男との接点が多いということだった。
「勘違いするなよ。あいつは何もしてねぇよ」
「しかし彼の目は相手を思いのままにする力があります。気づかない間に、記憶を操られている可能性も」
「俺がお前を気にくわないのはそこだよ。何もかも決めつけてることだ。俺も人のこと言える義理じゃないけどな。俺も決めつけてたよ。勇者は何をしでかすかわからない、最低なやつだって」
ロッドさんはそういうと視線を落とす。どこか後悔しているかのような表情だ。
「俺は見ようとしなかっただけだ。勇者も賢者も魔導師も。全部が全部素晴らしいやつらだとか、そんな綺麗めいたことは言わねぇよ。実際ムカつくことばかりだ。でも欠点ばかりじゃなかった。そんなやつらを見てるから、今指導してるやつらも見捨てられないんだよ」
「それはただの甘えです。優しさだけで仕事は出来ません」
「わかってんだ。自覚はしてる。俺の行動で今後の騎士団に支障を起こすわけにはいかねぇ。性根が腐ってるやつや諦めるやつまで贔屓しねぇよ。だが半年間はきっちり見定めさせてもらう」
再度、ロッドさんの視線がこちらを貫く。
意志の込められた強い視線だ。おそらく僕も見定められる1人なのだろう。
『今が変わる時期だからだよ。騎士だけじゃない。国がーー世界が』
父の言葉を思い出す。あれはこのことを言っていたのか。いや、これはほんの一部なのかもしれない。
撤回しよう。この人をダメだと判じるのは早すぎる。僕らを見定めるように、こちらもこの人を見定めなければならない。
僕の、騎士団の上に立つ人間たる器に成り得るか。今のままでは無理だ。現実はそんなに甘くない。だがもしこの人がさらに成長し、現実を見据え、そして力を手にすれば変わる可能性はある。
この人の見方が変わったのは、この日からだ。
「あ、そういえばロッドさん」
「あ?」
ついでだから思い出したことも聞いてみる。
「ロッドさんが勇者や魔導師の男と、泥沼の恋愛を繰り広げてるって本当ですか?」
その問いに、ロッドさんの頭から何かが切れる音がした。
「んなわけねぇだろうがああああああ!!! どいつもこいつも、わけわかんねぇ噂を本気にしやがって! やらねぇよ! 何が悲しくてクウガやシャンケとそういう関係にならなくちゃいけねぇんだ! 普通に女が好きだよ! 男となんか恋愛なんかしてたまるかああああああああああ!!!」
そう怒りのままに叫ばれた。
・・・・・・まず第一に、この短気を治さないとダメだと思う。
~~~~~~~~~~
(もしここにクウガがいれば、「おま、それはフラグだから」と言っていたに違いない笑)
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。