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商売繁盛
責任を感じちゃってます!
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5つ目の虹の玉を見つけてから、数日経過したアンティーク影山は、相変わらず、客の入りがぱっとしていない。
もちろん、人気の無い店だというのは以前からの事だが、それにも増して閑古鳥が鳴く始末だ。
〈ねえ、皆さん、今日も暇ですわね。
仕方がないから、私が外に出て呼び込みをしてみようかしら〉
アンティーク ビスクドールから飛び出たルシェが仲間に向けて言った。
〈外に人がいるなら、それもいいだろうが……。もし、人気が無かったら、ツボの種の無駄遣いだ。
ところで、ルシェ、現在、ツボの種はどれくらいあるんだい?〉
モロブに聞かれ、ツボの種を管理しているルシェは、白目になる。
〈先日の件で大分、使いましたわね……。わ、私が、責任を持ってお客さんを連れてきますわ。だから、き、貴重なツボの種を食べますわよ。よろしいでしょ?〉
ルシェは、焦っていた。
実は、先日の任務に多くのツボの種を使ってしまい、底が尽きかけている状態だ。
常日頃から暇だと言っては、ツボの種を無駄に食べていたルシェは、責任をちょっとだけ感じているのだった。
(ツボの種がほとんど無いなんて、皆んなに言えないわ……稼がないとヤバイのよ)
ルシェが考え事をしていると、庄三郎から命令がくだる。
〈あの新米店主が、お客を連れてくるのが筋ってもんだろう!ルシェ、ちょっと言ってこい!〉
〈庄三郎さん、新米さんにはきっと無理ですわ。私が門前通りに行って、お客さんを呼んでくるわ。私達の声って、この姿だと聞こえないし、あの人が砂糖3個入りレモンティーを飲まないかぎり会話は無理よ。私が行った方が早いわ。じゃあ、早速……〉
〈なら、私が一緒に行って、呼び込みの手伝いをしますよ!〉
〈あっ、セロル、大丈夫よ。ツボの種がね……もったいな……いえ、一人で平気ですわ。じゃあね〉
…………………
妖精たちは、何故か この店の自動ドアから直接 外には出られず、いちいち中庭に行き、出入り口を作って店の脇に出ているのだ。
ルシェは、そこで人型になり、店の自動ドアの前を通り、門前通りへと続く間道に入った。
ちょうど、中庭にある垣根と平行となっている道だが、背の高い垣根だから、中の秘密は守られている。
それから、すぐに店の垣根は終わり、古いブロック塀が続く道を歩き、やがて人通りの多い門前通りに合流した。
ルシェは、黄緑色の半袖膝丈ワンピースに白いフリルのエプロンをしたメイド姿で、近くの土産物店の前に立つ。
(ちょっと私のキャラではないけれど、仕方がないわ。思い切って声を出さなくっちゃ)
「すぅ……はぁー」
ルシェは深呼吸をして、覚悟を決めた。
「この間道をまっすぐ行って右手に、美味しい飲み物がある“アンティーク影山”があります。どうぞお立ち寄り下さい」
ルシェの良く通る声に、道行く人々が振り向いたり、気づいて足を止めてくれた。
そこでルシェは、空かさず呼び込みをする。
「こちらの道をまっすぐに行くと、落ち着いたお店があります。どうぞ、いらして下さい。きっと ゆっくりとできますよ」
年配のご夫婦に声をかけてみた。
「どうしようかしら。人混みで疲れたし、でも遠くないかしら?」
奥さんが迷っていると、旦那さんが言う。
「この人の言う通り、疲れたからゆっくり休ませてもらおうか」
(やった!お客さん、ゲット!そろそろ、あの人が休憩になるかしら……)
「ルシェさん!」
(あ、グットタイミングですわ!)
「ルシェさん、お店の呼び込み中なの?
今から影山に行くところだから、僕がお客さんを案内してあげるよ」
「えっ?麻木さん!案内をしてくださるの?
嬉しいわ。では、よろしくお願いします」
ルシェの立っていたお土産屋の前は、麻木の勤めている店だったのだ。
(さあ、どんどん呼びましょう)
恥ずかしさを我慢して呼び込みを続けていると、声をかけられた。
「あのぉ、アンティーク影山さんって、骨董品を売っているお店ですか?」
「はい……」
(あっ、何て素敵な男性なのかしら!オールド国には、まずいないわ!)
「この道を真っ直ぐに行けばいいんですよね?」
ルシェが思わず見とれてしまっていると、再度、尋ねられた。
「あ、はい、その通りです。まっすぐに行って、すぐ右にあります。私がご案内します」
「いえ、お仕事の邪魔をしては悪いので、一人で行けますから。ありがとう。じゃあ、また」
そう言って素敵な男性は、間道に入って行った。
(じゃあ、また!だって……ふふふ。早く戻ろう!あー、でも、あと一人くらい連れて行かないと格好がつかないわね。急ぎましょう)
俄然、やる気を出すルシェだった。
もちろん、人気の無い店だというのは以前からの事だが、それにも増して閑古鳥が鳴く始末だ。
〈ねえ、皆さん、今日も暇ですわね。
仕方がないから、私が外に出て呼び込みをしてみようかしら〉
アンティーク ビスクドールから飛び出たルシェが仲間に向けて言った。
〈外に人がいるなら、それもいいだろうが……。もし、人気が無かったら、ツボの種の無駄遣いだ。
ところで、ルシェ、現在、ツボの種はどれくらいあるんだい?〉
モロブに聞かれ、ツボの種を管理しているルシェは、白目になる。
〈先日の件で大分、使いましたわね……。わ、私が、責任を持ってお客さんを連れてきますわ。だから、き、貴重なツボの種を食べますわよ。よろしいでしょ?〉
ルシェは、焦っていた。
実は、先日の任務に多くのツボの種を使ってしまい、底が尽きかけている状態だ。
常日頃から暇だと言っては、ツボの種を無駄に食べていたルシェは、責任をちょっとだけ感じているのだった。
(ツボの種がほとんど無いなんて、皆んなに言えないわ……稼がないとヤバイのよ)
ルシェが考え事をしていると、庄三郎から命令がくだる。
〈あの新米店主が、お客を連れてくるのが筋ってもんだろう!ルシェ、ちょっと言ってこい!〉
〈庄三郎さん、新米さんにはきっと無理ですわ。私が門前通りに行って、お客さんを呼んでくるわ。私達の声って、この姿だと聞こえないし、あの人が砂糖3個入りレモンティーを飲まないかぎり会話は無理よ。私が行った方が早いわ。じゃあ、早速……〉
〈なら、私が一緒に行って、呼び込みの手伝いをしますよ!〉
〈あっ、セロル、大丈夫よ。ツボの種がね……もったいな……いえ、一人で平気ですわ。じゃあね〉
…………………
妖精たちは、何故か この店の自動ドアから直接 外には出られず、いちいち中庭に行き、出入り口を作って店の脇に出ているのだ。
ルシェは、そこで人型になり、店の自動ドアの前を通り、門前通りへと続く間道に入った。
ちょうど、中庭にある垣根と平行となっている道だが、背の高い垣根だから、中の秘密は守られている。
それから、すぐに店の垣根は終わり、古いブロック塀が続く道を歩き、やがて人通りの多い門前通りに合流した。
ルシェは、黄緑色の半袖膝丈ワンピースに白いフリルのエプロンをしたメイド姿で、近くの土産物店の前に立つ。
(ちょっと私のキャラではないけれど、仕方がないわ。思い切って声を出さなくっちゃ)
「すぅ……はぁー」
ルシェは深呼吸をして、覚悟を決めた。
「この間道をまっすぐ行って右手に、美味しい飲み物がある“アンティーク影山”があります。どうぞお立ち寄り下さい」
ルシェの良く通る声に、道行く人々が振り向いたり、気づいて足を止めてくれた。
そこでルシェは、空かさず呼び込みをする。
「こちらの道をまっすぐに行くと、落ち着いたお店があります。どうぞ、いらして下さい。きっと ゆっくりとできますよ」
年配のご夫婦に声をかけてみた。
「どうしようかしら。人混みで疲れたし、でも遠くないかしら?」
奥さんが迷っていると、旦那さんが言う。
「この人の言う通り、疲れたからゆっくり休ませてもらおうか」
(やった!お客さん、ゲット!そろそろ、あの人が休憩になるかしら……)
「ルシェさん!」
(あ、グットタイミングですわ!)
「ルシェさん、お店の呼び込み中なの?
今から影山に行くところだから、僕がお客さんを案内してあげるよ」
「えっ?麻木さん!案内をしてくださるの?
嬉しいわ。では、よろしくお願いします」
ルシェの立っていたお土産屋の前は、麻木の勤めている店だったのだ。
(さあ、どんどん呼びましょう)
恥ずかしさを我慢して呼び込みを続けていると、声をかけられた。
「あのぉ、アンティーク影山さんって、骨董品を売っているお店ですか?」
「はい……」
(あっ、何て素敵な男性なのかしら!オールド国には、まずいないわ!)
「この道を真っ直ぐに行けばいいんですよね?」
ルシェが思わず見とれてしまっていると、再度、尋ねられた。
「あ、はい、その通りです。まっすぐに行って、すぐ右にあります。私がご案内します」
「いえ、お仕事の邪魔をしては悪いので、一人で行けますから。ありがとう。じゃあ、また」
そう言って素敵な男性は、間道に入って行った。
(じゃあ、また!だって……ふふふ。早く戻ろう!あー、でも、あと一人くらい連れて行かないと格好がつかないわね。急ぎましょう)
俄然、やる気を出すルシェだった。
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