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さあ行こう!
舞踏会
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「ルシェは覚えているかな?こちらは、私の友人でプランツ国王のボード殿だ。それで、その隣が第二王子のカーソル君だ。ルシェが幼い頃、一緒に遊んだことがあるのだよ」
「え?私が?えーと……第二王子様と遊んだのですか?あ……そういえば、そんな事があったかもしれませんわ……ほほほ……」
(ごめんなさい!まったく覚えておりませんわ!)
「そうか、覚えていたのだな。それは良かった!それから、知っているかもしれないが、一番奥が我国のトリノ伯爵で、手前がセサミ伯爵、二人とも若いがなかなか頼もしいのだよ。将来、君達の側近となるであろう」
「あ、はい……」
王の言葉に引っかかりながらも一応、返事をするルシェなのだった。
(君達?達って?誰のこと?私の妹のこと?
そういえば、今日はいないのね。どうしたのかしら?気になるわ。でも、この場では聞けないわね)
「さあ、ルシェ!せっかくの舞踏会なのだから、カーソル君と踊ってきなさい」
(うわっ!仲間の前でワルツを踊るのですか?恥ずかしいですわ……。でも、彼と親しくなるチャンスでもあるし……)
「ルシェ様、お相手をしていただけますか?」
「はい、カーソル様……」
ルシェは、カーソルに手を引かれ歩いている。
「お嬢さんが王女様だったなんて……。とても驚きました。こんな偶然があるんですね」
「私も驚きましたわ。あなたが王子様だったなんて!」
………………………
ズン、チャッ、チャッ、ズン、チャッ、チャッ……。
「ねえ、ねえ、あそこ見て!ルシェちゃんが踊っているよ!」
タムが教えたから、庄三郎とモロブもじっと見ている。
「王女様だから、そりゃあ踊るだろうさ!
おお、手と手を握り、見つめ合い、前後左右に動き、回ったりして忙しそうだな!
ワシらは、ジュースでも飲もうぜ!」
「はい、庄さん。それにしても、すっごく笑顔で踊っていますね。あの男性は、誰なんでしょうね」
「ま、ワシらとは住む世界が違うから、何処かの坊ちゃんだろうさ。モロブ、タム、行くぞ」
「面白そう!僕も、あんな風に踊ってみたいな。モロブさん、一緒に踊ってくれる?」
「悪いがタム、それは却下だな!
あれは、男女で踊るものなんだ」
「えー!なんだつまんない!僕、りんごのジュースを飲もー!」
……………………
ルシェは、カーソルの目を見つめながら踊っている。
(見れば見るほど、カッコ良い顔だわ!私をエスコートして踊ってくれて、あー、幸せ!
カーソル様と知り合うきっかけを作って下さったお父様に、感謝ですわ)
「ルシェ様」
カーソルが話しかけた。
「はい?あ、その様って言うのは、やめていただけますか?」
「あ、そうですね。お互いにやめましょう。
じゃあ、ルシェさん……」
「はい、では、カーソルさん、何でしょうか?」
踊りながら話しを聞いたルシェは、思わず握っていた手を離した。
「えっ!お見合い中ですって?今?私たちが?えー!本当ですの?」
「知らなかったのですか?はい、本当に見合い中なんですよ。向こうの椅子に座って、話しましょうか?」
(私のお見合いだったから、妹がいないのね。そうね、あの子が来たら、私が霞んでしまうもの……)
「ルシェさん?向こうに行きましょうか?」
ルシェは、ぼうっと考え事をしていたから、再度、聞かれてしまった。
「は、はい、そうですね」
(そうよね、そろそろ結婚を考えないといけないわね……。まさか、カーソルさんが王子様で、私の旦那様になる方だったなんて!
なんて素敵な偶然なんでしょうか!)
ルシェは、わくわく、ドキドキして椅子に座った。
(いつ頃、結婚になるのかしら?
うん?お父様とお母様がこちらをチラチラと見ているわね。娘に内緒でお見合いをさせているから、心配なのですわね?ご安心下さいませ。私、この縁談を受け入れますわ……)
「ルシェさん、驚かせてしまい申し訳ありません。幼い頃から親同士で、私達を結婚させようと決めていたそうです。今どき、許婚だなんて、古いですよね?」
「はい、そうですね!って、えっ?」
カーソルの言葉に思わず頷きそうになり、ルシェは混乱したのだった。
「え?私が?えーと……第二王子様と遊んだのですか?あ……そういえば、そんな事があったかもしれませんわ……ほほほ……」
(ごめんなさい!まったく覚えておりませんわ!)
「そうか、覚えていたのだな。それは良かった!それから、知っているかもしれないが、一番奥が我国のトリノ伯爵で、手前がセサミ伯爵、二人とも若いがなかなか頼もしいのだよ。将来、君達の側近となるであろう」
「あ、はい……」
王の言葉に引っかかりながらも一応、返事をするルシェなのだった。
(君達?達って?誰のこと?私の妹のこと?
そういえば、今日はいないのね。どうしたのかしら?気になるわ。でも、この場では聞けないわね)
「さあ、ルシェ!せっかくの舞踏会なのだから、カーソル君と踊ってきなさい」
(うわっ!仲間の前でワルツを踊るのですか?恥ずかしいですわ……。でも、彼と親しくなるチャンスでもあるし……)
「ルシェ様、お相手をしていただけますか?」
「はい、カーソル様……」
ルシェは、カーソルに手を引かれ歩いている。
「お嬢さんが王女様だったなんて……。とても驚きました。こんな偶然があるんですね」
「私も驚きましたわ。あなたが王子様だったなんて!」
………………………
ズン、チャッ、チャッ、ズン、チャッ、チャッ……。
「ねえ、ねえ、あそこ見て!ルシェちゃんが踊っているよ!」
タムが教えたから、庄三郎とモロブもじっと見ている。
「王女様だから、そりゃあ踊るだろうさ!
おお、手と手を握り、見つめ合い、前後左右に動き、回ったりして忙しそうだな!
ワシらは、ジュースでも飲もうぜ!」
「はい、庄さん。それにしても、すっごく笑顔で踊っていますね。あの男性は、誰なんでしょうね」
「ま、ワシらとは住む世界が違うから、何処かの坊ちゃんだろうさ。モロブ、タム、行くぞ」
「面白そう!僕も、あんな風に踊ってみたいな。モロブさん、一緒に踊ってくれる?」
「悪いがタム、それは却下だな!
あれは、男女で踊るものなんだ」
「えー!なんだつまんない!僕、りんごのジュースを飲もー!」
……………………
ルシェは、カーソルの目を見つめながら踊っている。
(見れば見るほど、カッコ良い顔だわ!私をエスコートして踊ってくれて、あー、幸せ!
カーソル様と知り合うきっかけを作って下さったお父様に、感謝ですわ)
「ルシェ様」
カーソルが話しかけた。
「はい?あ、その様って言うのは、やめていただけますか?」
「あ、そうですね。お互いにやめましょう。
じゃあ、ルシェさん……」
「はい、では、カーソルさん、何でしょうか?」
踊りながら話しを聞いたルシェは、思わず握っていた手を離した。
「えっ!お見合い中ですって?今?私たちが?えー!本当ですの?」
「知らなかったのですか?はい、本当に見合い中なんですよ。向こうの椅子に座って、話しましょうか?」
(私のお見合いだったから、妹がいないのね。そうね、あの子が来たら、私が霞んでしまうもの……)
「ルシェさん?向こうに行きましょうか?」
ルシェは、ぼうっと考え事をしていたから、再度、聞かれてしまった。
「は、はい、そうですね」
(そうよね、そろそろ結婚を考えないといけないわね……。まさか、カーソルさんが王子様で、私の旦那様になる方だったなんて!
なんて素敵な偶然なんでしょうか!)
ルシェは、わくわく、ドキドキして椅子に座った。
(いつ頃、結婚になるのかしら?
うん?お父様とお母様がこちらをチラチラと見ているわね。娘に内緒でお見合いをさせているから、心配なのですわね?ご安心下さいませ。私、この縁談を受け入れますわ……)
「ルシェさん、驚かせてしまい申し訳ありません。幼い頃から親同士で、私達を結婚させようと決めていたそうです。今どき、許婚だなんて、古いですよね?」
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カーソルの言葉に思わず頷きそうになり、ルシェは混乱したのだった。
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