アンティーク影山の住人

ひろろ

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進むべき道を探して

只今、打ち合わせ中

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「行方知れずになっているのは、私の幼い頃からの友人なんです。我国でもほとんどの者が修行に行くことになっているので、友人も私と同じ頃に修行に出たのです。私は一昨年、戻って来ました。ですから、本来なら友人も国に戻っているはずなのですが……」


 とても心配な様子でカーソルが話した。


(友人?ただの友人?本当に?女性なの?男性なの?誰か聞いてちょうだい!)


 モヤモヤしているルシェが思い切って、口を開く。


「……カーソルさん、そのお友達……の修行先をご存知ですの?」


(わっ!違う事を聞いてしまったわっ!)


「はい、本人から聞いて知っています」


 そしてカーソルは、アンティーク影山の面々に説明したのだった。


 要約すると、プランツ国の妖精達の修行というのが大抵、木に宿り木の成長を促し、守ってゆくことだというのだ。


 しかも、宿った木から妖精が出て行ってしまうと、その木が枯れてしまうから、交代して宿るという。


 だから、大木を先祖代々で守ってゆく家が多いそうだ。


「それでは、私みたいな家族のいない者は、交代をしてくれる人がいないから、修行ができないのですか?」


 カーソルが話している途中にモロブが聞いてきた。


「いいえ、修行はできます。全ての妖精は、修行前後に国役所に届け出をします。そこで、フリーの妖精は修行先を指定されますから、家族がいなくても交代ができるのです」


モロブは、オールド国の者だが安心したような顔付きになり、カーソルの話を聞く。


 再び要約すると、妖精との交代が目前となったある日、猛烈な嵐が友人のいる地域を襲ったのだった。


 その後、人伝えに嵐の事を知った友人家族が見に行ったら、周辺の木々は倒れ、友人のいる大木も倒れて、どこかへ消えてしまったというのだ。


「えっ?妖精は、大木の中から外へと出られないの?」


 タムが驚き、雑に聞いた。
カーソルが王子様だということを忘れたようだ。


「もちろん、伐採前や倒木前なら出る事は可能です。危険を感じたら、木から出るように言われています。でも、嵐の時に絶対にこの木は倒れないだろうと思い、我慢をしていたら……」


「えっ、えっ、ねえ、どうなっちゃうの?」


「こらっ、タム!それ以上、聞くなっ!」


「庄三郎さん、お気遣い、ありがとうございます。タム君、木の中にいて木が倒れてしまったら、出られないんだ。それで、放って置かれ、やがて朽ちてしまったら、中の妖精も死ぬんだよ」



「えー!そんなぁ」


 それを聞いてタムはショックを受けたのだった。


 ルシェは、以前にトキエからプランツ国について教育を受けていて、忘れ去られた倒木にいる妖精の行く末を知ってはいたが、改めて聞くと、また神妙な気持ちになってしまっていた。


(うん?あれ?変だわ!倒れた大木を修行先付近に探しに行けばいいのに、先日、このお店に探しに来たわね。なぜ?)


「ああ、タム君、心配しなくてもいいよ。実はね、捜索を始めて大木が製材所に行った事を突き止めたから!だから、家具とかになっているかもしれないんだ!でね、今まで家具屋さんを中心に見て、一応、買取りをしているアンティークショップも見ていて、ここにも来たことがあるんだよ」


「なんだ、ああ、良かった」


 タムだけではなく、全員が思わずホッとしていた。


「それにしても、もしも家具になったとして、新品をすぐに骨董品店には売る人はいねえだろう?そう思わねえか?カーソルさん、読みが浅いぞ」


 庄三郎もタム同様、カーソルを王子様とは思わなくなっているようだ。


「わっ、庄さんっ!無礼過ぎます!カーソルさん、すみません!お許しを!」


 慌ててモロブが謝ると、カーソルは笑って構わないと言ったのだった。


「それで、どこを探すか決まっているのでしょうか?」


 真剣な表情でセロルが聞いた。


「はい、友人はけやきの大木に宿っていて、材木になったようです。本来、材木になる時点で、木の中から抜け出ることができるのですが、敢えて加工された物に宿っていると思われます。何か理由があると思うので、友人が修行をしていた場所付近に行ってみようと思います」


「なるほど、そうですね。何か手掛かりがあるといいですね。早速、行ってみましょう。
……あ、そういえば探しているのは、男性ですか?女性ですか?」


(そうなの!私が知りたかったのは、そこですわっ!セロルさん、聞いてくれてありがとうございます。さあ、どっちなの?男性だと言って下さい!)
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