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第一章: はじまり
暗闇から座布団
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「わあ、やめろ、離してくれ!
あおい! 駄目だ!あおい、札所を通ってはダメだ!あおいっ、行くなーー」
「おじいちゃん!おじいちゃーん!」
赤鬼の脇に抱えられるように孝蔵は、あっという間に姿を消して行った。
「おじいちゃんを……酷い目にあわせないでください」
「ふぅ、大丈夫。貴女と孝蔵さんに少しだけ会う時間をつくれたらと思ってね。
孝蔵さんをまっていたのよ。
ふふっ、会えてよかったねぇ」
ひっく、ひっく、と泣くあおいだったが、ノリタケのあまりに軽い口調に涙も引いていく。
「それじゃあ、受付しちゃってねぇ」
「ありがとうございました」
お辞儀をして改札口へと向かう。
おじいちゃんごめんね……。
特に問題もなく受付を済ませ、金札所へと入っていく。
「おそらく貴女はこれまでの記憶をなくすけれど……またここへ来ることでしょうね、じゃあねー」
なんか聞こえた気がしたような……?
振り返ってみても辺りは真っ暗、何も見えない。
おじいちゃん……。
家に戻してもらえるのかな……。
それにしても、トンネルの様な暗闇が不気味で歩きづらい。
病院で着せてもらった経帷子(死装束)と冥界に来る時に調査員に渡された草履がより一層、歩きづらくさせている 。
「この着物と草履じゃあ走れないよ……。
助けてぇ、おじいちゃぁああーん」
叫ばないと正気ではいられない。
“ちゃぁああーん” と響く不気味な声に出口付近を歩いていた品の良さそうなおじいさんがギョッとして振り返る。
ビクッ
「な、なんの声ですかね、まさか……鬼が追いかけてきた……?」
歩くスピードを上げるのであった。
あたしの札は金色だったはずよね。
まっすぐに伸びる道の左右に並び置かれた蝋燭の灯りを頼りに歩く。
もしかして、ここって地獄への道だったりして……は、は、は、まさかね。悪いことはしていないはずだし……。
だけど、生前の頃から、おじいちゃんを通じて冥界の事を知ったり、死神さんや調査員さん達と知り合いになった事がまずかったのか?
ある事情から、この冥界で園芸のバイトをしているおじいちゃんはともかく、部外者のあたしが秘密を知ってしまったから、死ぬことになってしまったのかもしれない。
足がぶるぶると震えてくる。
モヤモヤと頭の中で考えていると、パァーッと眩しい光に当てられた。
手で目を覆い光りを遮る。
ライトの光?
「お乗りください」
え?なに?恐る恐る指の合間から声の主を探す。
「えっ、誰もいない」
どうやら外へ出たらしい。川沿いのお花畑がずっと先まで続いている。
お花も川もキラキラ輝いていて綺麗。
「ここです。ここ!下を見てください!」
小学生くらいの少年の声。
「へっ?」
そこにあるのは、座布団……。
紺色地で黄色の犬がプリントされた普通の座布団がひとつ。
間違えた。普通ではない座布団がひとつ……空飛ぶ座布団?
「早く乗ってください」
「浮いて……喋る……座布団……」
絶句するしかない。空飛ぶ絨毯ならぬ空飛ぶ座布団って……。
冥界って何でもありなのね。
「それで、これに乗れと? あたしが乗ったら浮くことが出来ないと思うけど……」
「大丈夫です!乗ってくれないと僕が叱られてしまいます。
だから、早く乗ってください」
「あっ、そうなの? もう少し下に降りてもらえる?」
地面スレスレまで降りてくれた座布団に片膝から素早く、なるべくそーっと乗ったつもりが……、ぐらり
あっけなく地面に転がってしまう。
「あぁ、乗るのにはコツがあるんです。
僕が照らすライトの方向に頭が来るようにして、両手をついたままで正座してください」
「こんな感じでいいのかな?」
出来ればはじめに言って欲しかったな。
ゆらゆらとバランスを取りながら小さく丸くなるように姿勢をとった。
「では、行きます」
はいどうぞ!なんて構えてから数秒……。
ようやく上昇しているようだ。
「うんしょ、うんしょ」
「わっ、浮いてる! わぁ、バランスが難しい。 おおお、飛んでるー!
って、ちょっと、ちょっと、速すぎるぅ。 スピードが速いよー! 降ろしてー!!」
あおい! 駄目だ!あおい、札所を通ってはダメだ!あおいっ、行くなーー」
「おじいちゃん!おじいちゃーん!」
赤鬼の脇に抱えられるように孝蔵は、あっという間に姿を消して行った。
「おじいちゃんを……酷い目にあわせないでください」
「ふぅ、大丈夫。貴女と孝蔵さんに少しだけ会う時間をつくれたらと思ってね。
孝蔵さんをまっていたのよ。
ふふっ、会えてよかったねぇ」
ひっく、ひっく、と泣くあおいだったが、ノリタケのあまりに軽い口調に涙も引いていく。
「それじゃあ、受付しちゃってねぇ」
「ありがとうございました」
お辞儀をして改札口へと向かう。
おじいちゃんごめんね……。
特に問題もなく受付を済ませ、金札所へと入っていく。
「おそらく貴女はこれまでの記憶をなくすけれど……またここへ来ることでしょうね、じゃあねー」
なんか聞こえた気がしたような……?
振り返ってみても辺りは真っ暗、何も見えない。
おじいちゃん……。
家に戻してもらえるのかな……。
それにしても、トンネルの様な暗闇が不気味で歩きづらい。
病院で着せてもらった経帷子(死装束)と冥界に来る時に調査員に渡された草履がより一層、歩きづらくさせている 。
「この着物と草履じゃあ走れないよ……。
助けてぇ、おじいちゃぁああーん」
叫ばないと正気ではいられない。
“ちゃぁああーん” と響く不気味な声に出口付近を歩いていた品の良さそうなおじいさんがギョッとして振り返る。
ビクッ
「な、なんの声ですかね、まさか……鬼が追いかけてきた……?」
歩くスピードを上げるのであった。
あたしの札は金色だったはずよね。
まっすぐに伸びる道の左右に並び置かれた蝋燭の灯りを頼りに歩く。
もしかして、ここって地獄への道だったりして……は、は、は、まさかね。悪いことはしていないはずだし……。
だけど、生前の頃から、おじいちゃんを通じて冥界の事を知ったり、死神さんや調査員さん達と知り合いになった事がまずかったのか?
ある事情から、この冥界で園芸のバイトをしているおじいちゃんはともかく、部外者のあたしが秘密を知ってしまったから、死ぬことになってしまったのかもしれない。
足がぶるぶると震えてくる。
モヤモヤと頭の中で考えていると、パァーッと眩しい光に当てられた。
手で目を覆い光りを遮る。
ライトの光?
「お乗りください」
え?なに?恐る恐る指の合間から声の主を探す。
「えっ、誰もいない」
どうやら外へ出たらしい。川沿いのお花畑がずっと先まで続いている。
お花も川もキラキラ輝いていて綺麗。
「ここです。ここ!下を見てください!」
小学生くらいの少年の声。
「へっ?」
そこにあるのは、座布団……。
紺色地で黄色の犬がプリントされた普通の座布団がひとつ。
間違えた。普通ではない座布団がひとつ……空飛ぶ座布団?
「早く乗ってください」
「浮いて……喋る……座布団……」
絶句するしかない。空飛ぶ絨毯ならぬ空飛ぶ座布団って……。
冥界って何でもありなのね。
「それで、これに乗れと? あたしが乗ったら浮くことが出来ないと思うけど……」
「大丈夫です!乗ってくれないと僕が叱られてしまいます。
だから、早く乗ってください」
「あっ、そうなの? もう少し下に降りてもらえる?」
地面スレスレまで降りてくれた座布団に片膝から素早く、なるべくそーっと乗ったつもりが……、ぐらり
あっけなく地面に転がってしまう。
「あぁ、乗るのにはコツがあるんです。
僕が照らすライトの方向に頭が来るようにして、両手をついたままで正座してください」
「こんな感じでいいのかな?」
出来ればはじめに言って欲しかったな。
ゆらゆらとバランスを取りながら小さく丸くなるように姿勢をとった。
「では、行きます」
はいどうぞ!なんて構えてから数秒……。
ようやく上昇しているようだ。
「うんしょ、うんしょ」
「わっ、浮いてる! わぁ、バランスが難しい。 おおお、飛んでるー!
って、ちょっと、ちょっと、速すぎるぅ。 スピードが速いよー! 降ろしてー!!」
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