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第一章: はじまり
涙のオストリッチ ☆
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「失礼します。
道先案内人のオストリッチと申します。
み、みずまし、あおいさんをお連れ致しました」
リッチ君!あー、あたしの苗字……惜しかったね!“あおい”は、合っているよ!
「おや?このデーターには、そんな名前はないな……」
「いえ、水島あおいと申します。
たいさんおう様よろしくお願い致します」
泰山王は、かなりの高齢者のようだ。小柄で、白髪を高い位置で短めに結き、仙人が持つような杖をついて、2人を出迎えてくれたのだ。
やはり黒い法服を着ている。
「……第7の門へようこそ!長い道のり お疲れ様でしたな。
ここは、白札の人々の行き先を決定する所なのだ。
判決が出た者は、この建物裏にある3つの“禊の鳥居”の1つにくぐってもらうんだな」
禊の鳥居をくぐって、生前の行いを償う場所に行くのである。
そこで、冥界の為に働き、輪廻転生を待つのだ。
「そうそう、緑札の一部の人も禊の鳥居にやって来るのだぞ。
まあ、君には関係ない話しですな。
君は金札ですから、判決を聞くまでもなく、天界へと行くことができますぞ」
「はい、わかりました」
「あのぉ、通行許可証に判子を頂きたいのですが……」
あっ、リッチ君、言っちゃった!
最後の判子……
「わかっておるぞ!さあ、最後のスタンプだな!」
ポン!
あっ、終わっちゃった……
「たいさんおー様、ありがとうございました」
リッチ君が通行証を受け取って、下を向いたまま、あたしに渡した。
「これで任務完了です。
私は、ここで失礼します。
どうか元気で……」
リッチ君は、あたしを見ないままで言った。
「それでは、失礼しま……ひっく…」
オストリッチは泰山王にお辞儀をして、急いで部屋から出て行ってしまった。
「リッチくーん、待ってー」
あおいもその後を追いかけようとしたら、あおいの胸辺りに杖がきて、足止めされたのだ。
「あっ、追わせて下さい!まだ、御礼を言っていません!」
「やめてあげなさい。泣き顔を見せずに任務完了したかったのだろうな。
君の感謝の気持ちは、きっとわかっておるはずぞ」
「うわーん、うわーん……」
あおいは、泰山王の前でポロポロ泣いた。各門の最後なのだから、とびきり偉い所長だろうと思ったが、もう止められない!
自分でも、こんなに出るのかと思うほどの涙の量だった。
「あーのー、あおいさん、そろそろ泣き止んではいかがかな?
言いたくはないが、私は多忙な身なのだが……困りましたぞ」
泰山王は、手を2回叩いた。
「スタッフー、誰でもいいぞぉ!」
奥にあるスタッフルームから、パンツスーツの女性が出てきた。
「お呼びでしょうか?」
「玲子さん、この子を天界エレベーターに案内してあげて下さいな」
「たいさんおうさまー、リッチ君を連れてきて下さーい、ひっく、ひっく」
「あ、あおいさん、もう泣くのはお辞めなさい。
君が天界に行ってから、どうするかは、君しだいなんだがな、また会える可能性もあるはずぞ!」
「ほんと、ひっく、本当で、すか?ひっく」
あおいの気持ちが落ち着いてきた。
「よろしいですか?さあ、御案内いたしますね」
「たいさんおう様、嘘言っていませんか?」
「何を言うか!私は、嘘などついた事がないぞ!それに、私は、泰山王です!たいざんですぞ!」
ヤバイ!
怒らせてしまった!
「失礼しました!ひっく、じゃあ、泰山王様を信じて行きます!ひっく」
「やっと、出て行ってくれ、あ、いや、元気を出してな、天界へと行くがよいぞ」
「さあ、参りましょう。こちらへ」
「泰山王様、お騒がせ致しました。
すみませんでした。ひっく。
それでは、また」
パタンとドアを閉めた。
「また?いや、来んでもいいぞ」
オストリッチと歩いた通路をスタッフの女性と歩いている。
壁も天井も通路も何から何まで、白で統一されていた、はずだったが、今のあおいには、全てが灰色に見えていた。
辺りを見回してみても、オストリッチの姿はない……
リッチ君に必ず会って、御礼を言わないと……
建物を出て、門の近くにあった噴水の池まで、やって来た。
その噴水手前の小道を進んで行くと、並木道となり、奥の方に小さな池があった。
スタッフの女性が、池の前で立ち止まり言う。
「こちらの池から天界へと参ります。
お迎えを呼びますので、お待ち下さい」
「えっ?池から行く?」
あおいは、何を言われているのか理解ができなかったのである。
そして、突然、女性が両手を挙げて何やら言う。
「風よ、我の声を運んでおくれ!天の神よ、舟を与え給え!出でよ!舟!」
えっ、何?舟?この狭い池に舟を呼んでいるのかな?
すると、上から舟が降りてきた!
ザッバアーン!
女性は、ヒョイと飛び退いた。
「うわぁ!びしょ濡れになった!」
あおいは、舟が降りた瞬間、盛大に水を被ってしまった。
「あらー、濡れてしまいましたね。
でも、すぐに乾くはずですから、ご心配なく」と笑顔で言われた。
池には、簡単に作ったような木の小舟が一艘あった。
「こちらに乗船して下さい。決してお立ちにならないで下さいね。バランスを崩して、ひっくり返りますから」
ふー
息を吐き、乗る覚悟を決めた。
「バランス感覚は、いいはずです。
乗ってみます……」
腰を屈めて、両手を舟に付けるようにして、さっと乗って見せた。
「お上手ですね。では、安らかなる時をお過ごし下さいませ」
スタッフの女性が深々と頭を下げた。
「この舟は、天界直通!途中下車無効船でございます。多少、揺れます。ご容赦願います」
舟の中から女の子の声がした!
ぐんぐんと舟が上昇する!
「これ、た、多少の揺れじゃないですよー、凄い揺れてまーす、おぇ、スピードが速すぎで……す……」
あおいは、気絶してしまったのである。
…………
「……到着しました」
えっ?着いた?
覗き込む人と目が合った。
人?小さいおっさん?飛んでいる?
何、ここ?
変な所に来たみたい……。
リッチくーん、側にいてよー!
あたしがリッチ君の所へ必ず行くから、さよならは言わないよ……。
******
道先案内人のオストリッチと申します。
み、みずまし、あおいさんをお連れ致しました」
リッチ君!あー、あたしの苗字……惜しかったね!“あおい”は、合っているよ!
「おや?このデーターには、そんな名前はないな……」
「いえ、水島あおいと申します。
たいさんおう様よろしくお願い致します」
泰山王は、かなりの高齢者のようだ。小柄で、白髪を高い位置で短めに結き、仙人が持つような杖をついて、2人を出迎えてくれたのだ。
やはり黒い法服を着ている。
「……第7の門へようこそ!長い道のり お疲れ様でしたな。
ここは、白札の人々の行き先を決定する所なのだ。
判決が出た者は、この建物裏にある3つの“禊の鳥居”の1つにくぐってもらうんだな」
禊の鳥居をくぐって、生前の行いを償う場所に行くのである。
そこで、冥界の為に働き、輪廻転生を待つのだ。
「そうそう、緑札の一部の人も禊の鳥居にやって来るのだぞ。
まあ、君には関係ない話しですな。
君は金札ですから、判決を聞くまでもなく、天界へと行くことができますぞ」
「はい、わかりました」
「あのぉ、通行許可証に判子を頂きたいのですが……」
あっ、リッチ君、言っちゃった!
最後の判子……
「わかっておるぞ!さあ、最後のスタンプだな!」
ポン!
あっ、終わっちゃった……
「たいさんおー様、ありがとうございました」
リッチ君が通行証を受け取って、下を向いたまま、あたしに渡した。
「これで任務完了です。
私は、ここで失礼します。
どうか元気で……」
リッチ君は、あたしを見ないままで言った。
「それでは、失礼しま……ひっく…」
オストリッチは泰山王にお辞儀をして、急いで部屋から出て行ってしまった。
「リッチくーん、待ってー」
あおいもその後を追いかけようとしたら、あおいの胸辺りに杖がきて、足止めされたのだ。
「あっ、追わせて下さい!まだ、御礼を言っていません!」
「やめてあげなさい。泣き顔を見せずに任務完了したかったのだろうな。
君の感謝の気持ちは、きっとわかっておるはずぞ」
「うわーん、うわーん……」
あおいは、泰山王の前でポロポロ泣いた。各門の最後なのだから、とびきり偉い所長だろうと思ったが、もう止められない!
自分でも、こんなに出るのかと思うほどの涙の量だった。
「あーのー、あおいさん、そろそろ泣き止んではいかがかな?
言いたくはないが、私は多忙な身なのだが……困りましたぞ」
泰山王は、手を2回叩いた。
「スタッフー、誰でもいいぞぉ!」
奥にあるスタッフルームから、パンツスーツの女性が出てきた。
「お呼びでしょうか?」
「玲子さん、この子を天界エレベーターに案内してあげて下さいな」
「たいさんおうさまー、リッチ君を連れてきて下さーい、ひっく、ひっく」
「あ、あおいさん、もう泣くのはお辞めなさい。
君が天界に行ってから、どうするかは、君しだいなんだがな、また会える可能性もあるはずぞ!」
「ほんと、ひっく、本当で、すか?ひっく」
あおいの気持ちが落ち着いてきた。
「よろしいですか?さあ、御案内いたしますね」
「たいさんおう様、嘘言っていませんか?」
「何を言うか!私は、嘘などついた事がないぞ!それに、私は、泰山王です!たいざんですぞ!」
ヤバイ!
怒らせてしまった!
「失礼しました!ひっく、じゃあ、泰山王様を信じて行きます!ひっく」
「やっと、出て行ってくれ、あ、いや、元気を出してな、天界へと行くがよいぞ」
「さあ、参りましょう。こちらへ」
「泰山王様、お騒がせ致しました。
すみませんでした。ひっく。
それでは、また」
パタンとドアを閉めた。
「また?いや、来んでもいいぞ」
オストリッチと歩いた通路をスタッフの女性と歩いている。
壁も天井も通路も何から何まで、白で統一されていた、はずだったが、今のあおいには、全てが灰色に見えていた。
辺りを見回してみても、オストリッチの姿はない……
リッチ君に必ず会って、御礼を言わないと……
建物を出て、門の近くにあった噴水の池まで、やって来た。
その噴水手前の小道を進んで行くと、並木道となり、奥の方に小さな池があった。
スタッフの女性が、池の前で立ち止まり言う。
「こちらの池から天界へと参ります。
お迎えを呼びますので、お待ち下さい」
「えっ?池から行く?」
あおいは、何を言われているのか理解ができなかったのである。
そして、突然、女性が両手を挙げて何やら言う。
「風よ、我の声を運んでおくれ!天の神よ、舟を与え給え!出でよ!舟!」
えっ、何?舟?この狭い池に舟を呼んでいるのかな?
すると、上から舟が降りてきた!
ザッバアーン!
女性は、ヒョイと飛び退いた。
「うわぁ!びしょ濡れになった!」
あおいは、舟が降りた瞬間、盛大に水を被ってしまった。
「あらー、濡れてしまいましたね。
でも、すぐに乾くはずですから、ご心配なく」と笑顔で言われた。
池には、簡単に作ったような木の小舟が一艘あった。
「こちらに乗船して下さい。決してお立ちにならないで下さいね。バランスを崩して、ひっくり返りますから」
ふー
息を吐き、乗る覚悟を決めた。
「バランス感覚は、いいはずです。
乗ってみます……」
腰を屈めて、両手を舟に付けるようにして、さっと乗って見せた。
「お上手ですね。では、安らかなる時をお過ごし下さいませ」
スタッフの女性が深々と頭を下げた。
「この舟は、天界直通!途中下車無効船でございます。多少、揺れます。ご容赦願います」
舟の中から女の子の声がした!
ぐんぐんと舟が上昇する!
「これ、た、多少の揺れじゃないですよー、凄い揺れてまーす、おぇ、スピードが速すぎで……す……」
あおいは、気絶してしまったのである。
…………
「……到着しました」
えっ?着いた?
覗き込む人と目が合った。
人?小さいおっさん?飛んでいる?
何、ここ?
変な所に来たみたい……。
リッチくーん、側にいてよー!
あたしがリッチ君の所へ必ず行くから、さよならは言わないよ……。
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