冥界の仕事人

ひろろ

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第四章: 新人仕事人

久しぶりの天界へ

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 トントントントン。


 ちゃぶ台を人差し指で叩いている。


 トントン……。


「もう、蓮さん!さっきから、その音が気にニャります!
いったい、どうしたんですか?」


「あぁ、考え事をしていました。

 あおいちゃんの瞬間移動の着地点に問題があって……。

どうやら、目的地を覚えられないようなんです」

 
「ニャるほど!

ニャら、モバリスやメモを見ニャがら、集中する訓練をするしかニャいですね」


「そうなんです!オストリッチ君は、自分で工夫して、そうやっています。

あおいちゃんが、同じにできればいいですが……」


「そうだ!合宿訓練をすればいいんじゃニャいですか?」


グレースが、短期集中の合宿を提案した。


「そうですね!やってみます。合宿場所は、天界が適していますよね?」


 蓮は、グレースに聞いてみた。


 今は猫のグレースだが、実は、蓮の憧れている死神の紅鈴くれいなのである。


 以前、天界に魔物が現れた時、

久々に死神の姿に戻った紅鈴の姿を見て、蓮は心の底から、嬉しかったのだった。


 ただ、自らの意志で、再び猫に戻ってしまい、蓮としては残念に思っているのだ。


「天界ニャら、泊まる所も練習する場所も、誰にも気がねしニャいで、できますね」


「はい。明日と明後日は、休みだから今から行こうかな。天界に電話してから、あおいちゃんにも電話だ」


「私は、孝蔵さんが帰って来るまで、ちょっと出掛けます。

じゃあ、頑張って下さいね」


 そう言って、台所の収納庫があった穴へと降り、床下から穴が開いた通風孔を抜けて外に出て行った。


これが、グレース用の出入り口なのだ。


 プルルル プルルル プルルル


「リッチ君、なんかモバリスから、電話みたいな音がする!何だろう?電話かな?どうやって出るんだろうね?」


 プルルル プルルル プルルル

 
 ここを押してみるか、プチっ!


「はい、あおいです」

……………

 お姉ちゃん、今から天界に行くの?


蓮さんと?


ずるい!ずるい!ずるいです!


 僕だって、行きたいのに!


 オストリッチは、あおいだけ合宿に誘われたから、不貞腐れている。


「仕方がないでしょう。

リッチ君は優秀だけど、私は落ちこぼれだから、特訓しないといけないんだって!」


 えっ、僕が優秀?そういうこと?


 ぐふ ぐふ、僕、優秀なのかぁ!


「わかった!お留守番しています。
 いってらっしゃい」


 リッチ君、単純で可愛いね……。


 天界の何処に行ったらいいのかな?


 しまった、聞いていなかった!


 今は夜だから、天界は暗いんだよね。


 天界の事務所に行ってみよう!

……………
 
 夜の天界事務所は、割と静かである。


 そもそも金札の方が少ないので、各門に比べると、日中も事務所は落ち着いているのだ。


 事務所の窓口から、中を覗いて見る。


「あっ、ユキト先生!

 こんばんは!ご無沙汰しています。
 今日は、夜勤ですか?」


「あれ?あおいさん!そう、夜勤です。
どうしたんですか?蓮と会えなかったんですか?」


「はい、待ち合わせ場所を聞くのを忘れてしまいました」


 ユキト先生に瞬間移動練習場前だと聞いて、あおいは急いで走る 。


事務棟の裏側から出て、隣の体育館の様な建物に急ぐのだった。


「れーんさーん、すみませーん」

 あおいは、手を振って駆け寄った。


 なんか、デートに遅れて走る彼女みたいかな?へへ。


「はい、やり直し!何故、瞬間移動で来ない?

事務所のユキトの所まで行って、戻って来い!

よーい、スタート!」


 ひぃ!何これ!蓮さん、別人になってる!


 あおいは、走り出す。


「走るな!瞬間移動じゃないと、意味がない!」


「はい!」


 事務所に戻り、ユキト先生に「来ました」と言い、引き返す。


「ここの夜は暗いのだが、明後日までに瞬間移動を完璧にする為、今から練習をする。筆記用具は持ってきたな?」


 あおいは、いつものポシェットの中からメモ帳とペンを出す。


「公園の脇に小川があって、紅葉の木が1本だけあるから、葉を1枚取って来い」


 ええと、これをメモるのね。


 脇の小川、もみじ。


「行きます」


 あおいは姿を消した。


 ちゃんとに行ったのだろうか?


 蓮は、モバリスを出し電話をする。


「ユキト、あおいちゃんは、小川に着いたか?」


 ユキトは、講習会で使う見本のモバリスを使って、連絡を取っているのである。


「いや、いない!真っ直ぐ歩いてみるよ」


 公園の脇を流れている小川、近くにベンチがある。


 紅葉の木があるのは、ここの川の土手だ。


 いないな。
もしかして、違う川に行ったとか?


 「蓮、いないぞ!もしかしたら、山奥のせせらぎ川に行ったのかもしれない!

もし、あそこに行ってしまったとしたら、夜は危険過ぎる所だぞ!」


「何だと!」

…………………

 ホッ、ホ、ホッ、ホ、ホッ、ホ


 鳥の声が不気味。


 ザーザーザー……川の流れの音?


「えー、真っ暗だぁ!

公園には街灯があるけど、ここには無いじゃん!

もしかして、せせらぎ川に来ちゃった?
やばい、やば過ぎだよ!
なんか出そうだよー!」

 
 ガサガサ


 ひぃ、なんかいるの?


 急にライトの光りを当てられたのだった!
 
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