冥界の仕事人

ひろろ

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第四章: 新人仕事人

ユキトの災難2 ☆

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  青池掃除の手伝いをするようにと、ユキトに言われ、先に集合場所に着いたオストリッチである。


 ところが、せせらぎ川には、飛んでいる妙な格好の、小さなおじさんがいたのだ。


 あ、さいの河原で見たことがある……。


 そうだ、この妙ちくりんな人(?)は、確か……。


初めて会ったあの日の事を、先生に話したら、教えてくれたんだよね……。


先生は、何と言っていたかな?


 先生というのは、オストリッチの指導をしながら、何かと世話をしてくれる師匠の秦広王である。


 ええと、何だっけなぁ。


頑張れ自分!思い出せ!そうだ!思い出した!


『それはきっと、妖精であるな。
冥界で妖精に会ったなら、それは神様の化身であろうから、失礼のない様にしたまえよ』


 ……ということは、今、目の前にいる人は……。


 背に羽根のある 小さいおじさんが宙に浮き、ニヤニヤしている。


 そうだ、この人は、多分、他人の考えている事が、わかるみたいなんだよな。


「神様ですか?」


 オストリッチは、唐突に聞いてみた。


「違う、私は妖精だ!モンちゃんだぞ!
どっから どう見ても、可愛い妖精にしか見えないだろう?」


「……」


 ……何も考えてはいけない。


何も思うな!思っている事が全てばれてしまうから、頭の中を無にしよう。


「おはようございます。
 鳥さんも来てくれたのね、嬉しいわ。
 今日は、よろしくお願いしますね」

 金髪巻き髪の小さな美少女が飛んできた。


 あっ!また、神様だ!


 オストリッチは、ドキッとしたが、秦広王からの言いつけを守る。


「僕はオストリッチと申します。
よろしくお願い申し上げます」


オストリッチは、緊張しながら挨拶をしたのだった。


「私は、フェアリーのしょうちゃんです」


 フェアリーって、何だろう?


 オストリッチが考えていると、

 
「フェアリーってのは、妖精のことだぞ」


と、モンテンが教えてくれた。


「はい、すみません。わかりました」


 オストリッチは御礼を言ったあとは、頭の中を“無”にすることにした。


 それからすぐに、ユキト達と合流し、立ち入り禁止区域に入って行く。


ユキト達は、獣道の様な、えぐれている道を、ずっとずっと歩いているが、妖精2人とオストリッチは飛んでいた。


 ユキトは歩きながら、つい思ってしまう。


 天界事務所にある“転生専用エレベーター”に乗って来れたら、青池前に着いて、早いし楽だったのに……。


わざわざ、せせらぎ川で待ち合わせするなんて、吉祥天様の嫌がらせとしか思えない!


 「祥ちゃん、皆んなを歩かせているのは、嫌がらせなのか?

青池までの直通エレベーターがあるのに!って、ユキトが愚痴っているぞ」


 わっ、毘沙門天様!

 なんて事を言うのですか!


モンテンの言葉に、ユキトはギョッとした。


 は、早く訂正しないとっ!


「モンちゃん!私は、そんな事を言っていません!勝手に言わないで下さい」


 ユキトは、涙目だ。


「ユキト……あのエレベーターは、転生する方の為にあるのです。

 本来なら、転生者を見送った後、スタッフは歩いて帰るべきなのです。

ですが、心優しい吉祥天様が、帰りも乗って良い、と許可して下さっているのですから、それだけでも、有難いと思わなくてわね」


 祥ちゃんは、妖精になりきって言っているが、ここにいる全員が、神様だと知っている。


 自分で、自分のことを心優しいと言っているのだ。


もはや、変身する意味がないが、皆、黙って茶番に付き合っている状態だ。


 ユキトは、空気を変えようと、部下2人に声を掛ける。


「深くえぐられた獣道の道幅が広がってきたから 、もうすぐ着きますよ。

あと、少し頑張りましょう」


 それから、まもなくして、開けた場所に着いた。


 森の中にある青池の空間だけに、優しい光が注ぎ込んでいる。

青池の周囲は大理石のタイルが敷き詰められ、転生者が乗ってくるエレベーターから池までの通り道も 同じタイルが敷いてある。

エレベーターは、今は無く、乗ってくる時だけ、現れるのである。

青池の辺りは、お花畑になっていて、今はガーベラの花が咲いている。


転生者が、天界で見る おそらく最後の花だろう。

 「青池って、本当に水が青いのですね。
 とても綺麗です」


 オストリッチが覗き込んで言った。


「光の加減で青く見えているのですよ」
 

 ユキトが教えた。


 すると、祥ちゃんが、

「身を乗り出すと危ないわよ!

転生準備をしていないから、落ちたら
魔物に取り憑かれて、消滅してしまうわ」

 
「転生準備って、何ですか?」


「ああ、人のカタチから魂だけの存在になる事、その魂の塊を転生者と呼んでいるのだ」


 オストリッチが聞いたから、モンテンが答え、そのあと掃除の指示も出す。


「さて、さっそく掃除を始める!

 今から、池の水を半分くらい出すから、ゴミが行かないように、2人であそこにある大きなネットを立てて広げて!」


 続けて、祥ちゃんが言う。


 「あとの2人は、玉網を持って、獣道の所に立って、ゴミをすくって下さいね」


 モンテンと祥ちゃんは、青池を挟んで向かい合って立ち、呪文を唱えながら、


「えいっ!」


 その途端、青池の水が立ち上り、スタッフ2人が立てて持っているネットに当たりながら、獣道に勢いよく流れ出して行った。
 
 
 その勢いは凄まじく、ネットを立てている2人は、必死でネットの棒を支えていた。


 その時ユキトが、獣道からはみ出して勢いよく流れる水に、足をすくわれ水と一緒に流されてしまった。


「あっ、ユキトさんが!大変だー」


 オストリッチは、飛び立ちユキトの頭上まで行き、玉網でユキトの頭を捕まえた。


おかげでユキトは、止まる事かでき、自力で獣道から這い出る事ができた。


 ふむ、ふむ。この網って、こうやって使うのかー!


それにしても、丈夫な網だな!とオストリッチは感心したのだった。


「ユキトッ!何をしているのですか!
 ゴミが流れていったから、止めなさい!」


 祥ちゃんの容赦のない声がした。


 ユキトは、夢中で黒い玉を追いかけ、捕獲する。


 オストリッチも他の黒い玉をすくった。


 それから、ようやく水の流れが落ち着いた頃に、妖精2人が本来の姿を現したのだ。


 その姿を見たオストリッチは、腰を抜かした。


余りにも違い過ぎたからだ。


「この人が、モンちゃん?おお、仏像のような人だ!

この人が、祥ちゃん?信じられない、お姫様みたいだ!綺麗だな」


「さあ、これから大量の雨を降らせて、池を満タンにします。

傘は、あそこの木にあるから早くさしなさいね」


  吉祥天が言ったので、皆、急いで傘を取りに行く。


 ユキトは、木まで かなり離れている。


 3人は間に合ったが、ユキトは……


 ザザーン ザザーン ザザーン ザザーン


 土砂降りの滝のような雨に、打ち付けられいた。


「何で?何で?私がこんな目に遭わされるんですか?」

 
 これは、あおいさんが私に災難をもたらしたに違いない!きっとそうだ!
 

「ねえ、祥ちゃん、ユキトが酷い目にあったのは、あおいさんのせいだ!って言っているよ!

もう、意地悪はやめてあげたら?」


「何、言ってるの、あなた!

 私は、神様よ!そんな意地悪なんてしませんわ!
全て偶然に決まっているじゃない!」


吉祥天は、腹を立てた。


その瞬間である。


 ピカッ    ゴロゴロ  ドッカーン!


 その時、練習場では、


「キャァー!雷、怖ーい!」


 と、言って蓮にしがみつく、あおいがいた。


「天界で、雷って 珍しいなあ。
あおいちゃん、もう、大丈夫だよ!
 
雨が上がったし、空が明るいから、もう鳴らないよ」


「はい、すみません。
 蓮さん、これが泰山王様の白髪です。

今度、蓮に文句を言ってやるぞ!と伝えてと言われました」


「……はい、了解です。

それじゃあ、これが最後の練習だよ!

第3の門の所長室前に行ってから、タマミさんにこれを渡して、また、返してもらってね」


それは、手のひらにのるくらいの小さな封筒だった。


「了解です。所長室の前に着地ですね。
第3の門ですね」


 あおいは、メモをして見ながら移動する。

………………
 
 蓮の言いつけ通りに、宗帝王様のいる所長室の前に着地 成功した。


「えっと、タマキさんはどこだろう?
白札専用かな?覗いて見よう」

 
 ここにいたのは、ほんの少し前だったはずなのに、随分、懐かしい。


 白札専用のバーは、蛍の光が今日も幻想的だ。


 タマキさん、タマミさん、タマエさんもいる……。


 今の自分の制服から、ネクタイを取って、造花を挿したら、ここの一員になれるのに。


 あっ、いけない!
 そんな考えは、ダメだ!


 自分がやりたいと言っていた仕事なんだから、蓮さんに認めてもらえるように頑張らないとね!

 
 スタッフ専用通路出入り口から、あおいが覗き見ていると、タマキが気がついた。


「あおいさん、どうしたの?
 誰かに用でもあるの?」


「あっ、タマキさん。
 これを渡して、もらって帰って来い、と言われました」


「えっ?封筒……タマミ様?
これ、タマミさん宛てじゃないの!
誰から?」


 しまった!間違えて渡した!
でも、タマキさんが気づいてくれたから、セーフだ!


「あっ、間違えました。
すみません。蓮さんからタマミさんに渡すように言われていました」


 そう言うと、あおいはタマキの手から封筒を取り、タマミに渡しに行く。


手紙を受け取ったタマミは、とても嬉しそうに返事を書いて、あおいに託した。


 あおいは、これで練習から解放されると思い、ホッとして、天界に戻って行ったのだった。

 
 その後、第3の白札専用ウォーターバーが、記者会見場と化した事は、言うまでもない。

 
 すっ……

 ストン……


「只今、戻りました!はい、どうぞ」


 待っていた蓮に封筒を渡した。


 さっそく、手紙を見た蓮は片手を挙げ、ガッツポーズをする。


「よし、ご苦労様!


 練習は、終わりだから、あおいちゃんは、せせらぎ川に行ってみて」


「えーーー!まだ、自由になれないんですか?」


 蓮さんって、悪魔の様な人だ!


 ちょっと、少しは休ませてよ!


 心の中で呟きながらも、素直にせせらぎ川へ移動する

………………

 あおいが到着した頃は、青池の大掃除は終わり、ユキト達は、せせらぎ川の岸辺で休んでいた。


 オストリッチも含め、全員がずぶ濡れで、疲れ過ぎて動けない状態だ。


 えっ、なんて気の毒な姿なのだろう!


あおいは、瞬間移動が出来ない男性スタッフを、1人ずつ天界事務所まで送ってあげようと考えた。


 よし、ここは蓮さん方式を取ってみよう!


「スタッフさん……名前は……えーと、ソウスケさん、立って下さい。

抱きしめますからね?」


 ネームプレートを見て言った。


「えっ?えーー」


 そうして、あおいとソウスケは、消えて行った。


「わっ、消えちゃった……えっ?次は私?だ、大丈夫なんですか?不安だな」


 目の前で、同僚が消えたのを見て、不安に思うヨウスケが呟いた。


「お待たせしました」


  あおいがすぐに戻って来た。


「早っ!」

 
 ヨウスケは、あっという間に戻ってきた あおいに驚いた。


 「では、ヨウスケさん行きましょう。
抱きしめますね。

ユキトさん、リッチ君は、自分で来て下さいね」


 ヨウスケは、ドキドキとする。
女性から、抱きしめます!などと言われたのは、初めてだからだ。


 すっ……

 ストン……


「無事に着いたー!良かった。
どうもありがとうございました。では」


 事務所前に入って行くヨウスケを見届け、蓮がいるかもしれない練習場に、戻ってみた。


「おかえり!お疲れ様でした!
もう自由にしていいし、帰ってもいいよ。
じゃあ、明後日は仕事だからね」


 そして、蓮は事務所前に行き、ユキトをねぎらう。


「ユキト、今回は練習に巻き込んで、迷惑をかけて、本当にすまん。

御礼は、必ずするから!
近いうちに必ずする!
だから、許してくれ!本当に悪かった」


 ぐったりと事務所前のソファにもたれて座る ユキトは、右手を挙げるだけで、精一杯だった。


「オストリッチ君は、勝手に来てしまったのが、運の尽きだったね。

 でも、頑張ってくれて助かったよ。

 本当に お疲れ様でした。
 あとは、自由にしていいから。

あおいちゃんは、今、練習場だけど、移動したかもしれないよ!じゃあね」


 蓮は、言いたい事を言って消えてしまった。


「ユキトさん、疲れましたね……。
 あの黒い玉って、何ですか?」


「あれは、魔物の素なんです。
 人間界に通じている青池に、邪悪な気が入り込んで、玉になる。

池の中で邪気を吸い取り大きくなったり、結界を食べたりして、魔物に変化するんです。

さっき、それを回収したから、暫くは綺麗な池だと思います。
わかりましたか?」


「はい、ありがとうございました」


 オストリッチが、そろそろ、あおいを探しに行こうとしたら、向こうからやって来たのが見えた。


 「ユキト先生、今回は私の代わりに大掃除に行ってくださって、本当にありがとうございました。お疲れ様でした」


「リッチ君も本当にお疲れ様でした。
 せっかく、天界に来たから、利通さんに会いに行かない?

 では、ユキト先生、これで失礼します」


「えっ、帰ろうよ!もう動けません。
 僕は、帰ります」


クタクタのオストリッチは、家に帰ってしまった。


  あらら、帰っちゃった……。


まっ、いいか!


 利通さん、今、会いに行きますね。


 驚くかな?


 あおいは、歩いて居住区へと向かう途中、公園脇の小川近くにある紅葉を見つけた。


 えっ!あっ、ここだ!


私が舟に乗って、初めて着いた場所だ。


蓮さんが言っていた紅葉って、ここにあったんだ……。


 次は、失敗をしないように気をつけよう!
 
 あおいは、元気に歩き出した。
 
 
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