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第五章: 新人仕事人 恋模様
ハプニング
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離れの笹の間に戻って来た2人。
玄関の戸を開けて入る。
人間の目には、戸が開いたり閉まったりするのは、基本、見えない。
通り抜ければいいのだが、律儀に開けて閉めている。
因みに、人間界での通り抜けは、かなりの集中力が必要なのだ。
蓮や優は、面倒なのか、滅多に通り抜けをしていない。
さて、話しを戻そう。
あおいが6畳間に入り、次の8畳間に続く襖を開け、中に入って言う。
「蓮さん、まだ、優さん達は帰っていないみたいですね」
「えー、随分 遅いな。あおいちゃん、お茶飲む?淹れようか」
6畳間から、蓮が言った。
「はい、飲みます。お願いします」
あおいは、そう言いながら、テラスに続く磨りガラスの格子戸を開けた。
そして、置いてあった旅館のサンダルを見つけ、これを履けないのかな?
と思いつつ、前を向く。
「……ごくん」
その瞬間、息を飲む。
えっ?何? 優さん!きゃっ!
あおいは、声にならないくらい驚いた。
「 ! 」
ひいっ!あおいちゃん!
部屋専用の、4人くらい入れる露天風呂から出て、身体を拭いていた優と目が合ってしまった!
優は、反射的にタオルで下を隠す。
ヤバイ!見られたよっ!
ジャバ、ジャバン!
優は、急いで露天風呂の中に入って、身体を隠した。
「わぁ優さん、ごめんなさい!
へ、部屋に戻ります!」
「あ、ぼ、僕こそ、なんかごめん!」
あおいは、戸を閉めてから、立ち尽くす。
やっばーい、優さんの無防備な姿を見てしまった……。
お父さん以外 の裸なんて初めて見た!
ふー、驚いた。
若い男の人って、ああなのか……。
あおいは、これまで男性経験どころか、交際の経験もなく、冥界にやって来てしまったのだ。
心臓があるのか、無いのか、知らないけど、ドキドキする感じ……。
落ち着け私……。
見なかった事にするんだ!
「あおいちゃん、お茶だよ」
「は、は、はーい」
努めて何事も無かったように、6畳間に戻ってお茶を飲んでいると、優が部屋に入ってきた。
げっ、優さん!と思った瞬間、あおいは むせてしまって、咳込んだ。
「あおいちゃん、大丈夫?」
蓮が、あおいの背中に手を添え、軽く叩こうとする。
「蓮さん、僕が背中をさするからいいですよ」
えー?何でー?
優さん、何てことを言うんですかっ!
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」
「は? どうして、そんな事を、言うんだ?」
蓮は、不思議に思って聞いた。
「実は、僕は あおいちゃんと付き合うつもりでいるんです。
あおいちゃんの想いに、応えてあげようと思っています」
「ち、ちが、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」
そんな事、思ったことないし、告白もしたことが無いのに、何故そうなるのか!
「知らなかった!2人がそんな仲になっていたなんて!」
「違います!ゴホッ、誤解です!優さんは誤解しています」
やっと言えた!
「えっ、僕の誤解だって言うの?
だって、観覧車の中で言っていたじゃない?
優さんと結ばれるかしら?って……。
それに……好きだよ……とか……」
「はぁ?何で?そんな事を言ったことがありません」
あおいは、きっぱりと否定をした。
それを聞いていた蓮は、少しホッとした。
あれ?なぜ、ホッとしたんだろう?
まあ、それは置いておこう。
そんな事を、蓮は考えていた。
「えー!言ってないのー?じゃあ何て言ってたんだろう?」
優は、軽く衝撃を受けている。
「うーん、よく覚えていません……。
うーん、あっ、結ばれるかしらって言葉いったような?
あっ、そうだ!この2人、結ばれるかしら?って言ったかも」
「そうだよ!口パクで言っていたよ!
って、えっ?“この2人”?
“優さんと”じゃないの?
僕は、そう解釈して あおいちゃんの想いに、応えようとしていたんだよ!」
優は、気が抜けたようだ。
僕の裸も見られちゃったし、いろいろショックだ……。
「ふーん、2人で観覧車に乗ったんだあ」
そこへ、蓮の突っ込みが入った。
あー、知られたくなかったのに!
「里帰りの時に、暇だから行くことになって、そうですよね?優さん」
「あおいちゃんが、遊園地に行きたいって言うから、行ったんだよねー!
あおいちゃんは、僕を惑わせた魔性の女だったんだねー!
まあ、遊園地は楽しかったよねぇ?」
えっ!私から行きたいって、言ったっけ?
ま、魔性の女ぁ?変なレッテル貼られたー!
「ま、魔性の女なんて、優さん、酷いです!まあ、遊園地は楽しかったです。ははは。
そういえば、優さん、リッチ、いえ、ツルノ君は、どこですか?」
あおいは、話題を変えた。
「そうそう、僕たち大変だったんだよ!
さっきまで、仕事をしていたんだから」
それから優は、簡単に説明をする。
「えー!優さん、私も浮遊霊を見たんですよ。
私の泊まる部屋にいたけど、消えてしまって、今まで そのことで、話しをしていました」
「もし、浮遊霊が同一人物ならば、スピード解決という事だな。
じゃあ、これから、あの部屋に行ってみようか」
「そうですね、蓮さん。
確かめに行きましょう。
魔性の女の あおいちゃんも、一緒に行こう!」
「優さん!その呼び方は、辞めて下さい」
その時、襖が開いて、
「ただ今、帰りましたー」
オストリッチが帰って来た。
「オストリッチ君、お疲れ様!話しは、優から聞いた。
よく冥界エレベーターの扉を開けれたね。大したものだよ。
それに、浮遊霊の最後の言葉を、伝えに行ったんだって?」
「はい、旦那さんが引っ越しをして、出て行くところでした。
間に合ってよかったです。
もう、誰かと一緒に暮らすみたいです。
同棲と言っていました」
「そうだったのか、あの女性が、知らずに冥界に行ってくれて良かった。
知ってしまっていたら、どうなっていたことか。
ツルノ君、お疲れ様でした」
蓮や優に 労いの言葉をもらい、とても嬉しそうなオストリッチなのだった。
あおいは、お疲れ様と言いながら、先を越された思いが、心の片隅に出来ていた。
あっ、ダメダメ。
比べたらいけない、気にしない!
天界にいる利通さんに、言われたでしょっ?
向上心を忘れなければいいんだもん!
「あおいちゃん、何してるの?
あおいちゃんの部屋に行ってみよう」
あおい達は、本館へ行きフロントの前を通り過ぎた。
「お待ち下さい」
女将の声が聞こえ、皆 立ち止まる。
「はい?」と他の客達も、立ち止まった。
「あっ、お客様方、何でもございませんでした。大変、失礼いたしました。
申し訳ございません」
立ち止まっていた客達が、立ち去ったところで、女将が付いてくるように、指し示し、廊下を凄い速さで歩き出した。
辺りに誰も居ないことを、確かめ話し始める。
「丁度、蓮さんの所へ、行こうと思っていました。
先程、柊の間に行ってみたら、女性の霊が来ていたので、お知らせしようとしていたところです」
「さっきですか?わかりました」
さっそく、蓮が皆に指示を出す。
「優とオストリッチ君は、柊の間の外に、瞬間移動して待機。
もし、霊がいたら捕獲するんだ!
女将さんと あおいちゃんは、走って柊の間へ行って。
私は、今、瞬間移動で柊の間に行く」
皆、一斉に動き出した。
女将は、走る。
「女将さん、どうしたんですかー?」
仲居が驚いて、声を掛けた。
「ちょっと、花畑よー」
息を切らしながら、走り去る。
あおいも仲居の横を、通過した。
「花畑……トイレかぁ。あんなに血相変えて、そんなに我慢していたの?」
優とオストリッチは、部屋の外から中を伺っている。
霊の姿は、見えない。
蓮は、気配を感じさせないように、玄関に立つ。
それから、襖を通り抜け、コタツのある部屋へと入った。
ぐるりと見渡すが、霊は見当たらない。
蓮は、目を閉じ意識を集中させる。
そこか!
次の間に続く襖を通り抜け、隣の部屋へと入った!
外にいる優も意識を集中させ、霊の気配を感じ取ろうとしている。
そこだ!
優は、ガラスを通り抜けて、部屋に入った。
「優さん!待って!」
ゴツ!
優を真似てオストリッチも、ガラスを通り抜けようとしたが、嘴をガラスにぶつけてしまったのだった。
変なの、冥界では、通り抜けも出来たはずなのにな……。
「どうして、僕は通れないの?
でも、優さんって、かっこいいなぁ」
オストリッチは、弱くてカッコ悪かった優の事を、忘れたのだった。
一方、コタツの部屋に到着した あおいと女将。
次の間に行こうとする あおいを、霊感の強い女将が制する。
自分たちが霊の捕獲に、邪魔になってはいけないと思ったからだ。
今、蓮と優は、女性の霊と対峙していた。
女性を一目見ただけで、着ている服装から、かなり前に亡くなっていることがわかる。
「私たちは、死者の国である冥界の調査員です。
あなたは、亡くなってから長い年月が、経っているように思えます。
この土地に、思いがあるのかもしれませんが、もう冥界へ参りましょう」
蓮が言うと、
防災頭巾にモンペ姿の女性は、首を横に振った。
「私は、どこへも参りません。
主人と会う約束をしていますから。
戦争が終わったら、川のほとり温泉に行くと約束していたから、ここに来て、ずっと待っているのです。
でも、主人がなかなか来てくれなくて」
「多分、御主人も亡くなられています。
冥界に行ったから、ここへと来ないのだと思います。
さあ、あなたも冥界へ行きましょう」
今度は、優が説得してみる。
「嫌です」
そう言って、女性は姿を消してしまった。
「優、追うぞ!」
蓮と優は、意識を集中させ瞬間移動をしたのだった。
玄関の戸を開けて入る。
人間の目には、戸が開いたり閉まったりするのは、基本、見えない。
通り抜ければいいのだが、律儀に開けて閉めている。
因みに、人間界での通り抜けは、かなりの集中力が必要なのだ。
蓮や優は、面倒なのか、滅多に通り抜けをしていない。
さて、話しを戻そう。
あおいが6畳間に入り、次の8畳間に続く襖を開け、中に入って言う。
「蓮さん、まだ、優さん達は帰っていないみたいですね」
「えー、随分 遅いな。あおいちゃん、お茶飲む?淹れようか」
6畳間から、蓮が言った。
「はい、飲みます。お願いします」
あおいは、そう言いながら、テラスに続く磨りガラスの格子戸を開けた。
そして、置いてあった旅館のサンダルを見つけ、これを履けないのかな?
と思いつつ、前を向く。
「……ごくん」
その瞬間、息を飲む。
えっ?何? 優さん!きゃっ!
あおいは、声にならないくらい驚いた。
「 ! 」
ひいっ!あおいちゃん!
部屋専用の、4人くらい入れる露天風呂から出て、身体を拭いていた優と目が合ってしまった!
優は、反射的にタオルで下を隠す。
ヤバイ!見られたよっ!
ジャバ、ジャバン!
優は、急いで露天風呂の中に入って、身体を隠した。
「わぁ優さん、ごめんなさい!
へ、部屋に戻ります!」
「あ、ぼ、僕こそ、なんかごめん!」
あおいは、戸を閉めてから、立ち尽くす。
やっばーい、優さんの無防備な姿を見てしまった……。
お父さん以外 の裸なんて初めて見た!
ふー、驚いた。
若い男の人って、ああなのか……。
あおいは、これまで男性経験どころか、交際の経験もなく、冥界にやって来てしまったのだ。
心臓があるのか、無いのか、知らないけど、ドキドキする感じ……。
落ち着け私……。
見なかった事にするんだ!
「あおいちゃん、お茶だよ」
「は、は、はーい」
努めて何事も無かったように、6畳間に戻ってお茶を飲んでいると、優が部屋に入ってきた。
げっ、優さん!と思った瞬間、あおいは むせてしまって、咳込んだ。
「あおいちゃん、大丈夫?」
蓮が、あおいの背中に手を添え、軽く叩こうとする。
「蓮さん、僕が背中をさするからいいですよ」
えー?何でー?
優さん、何てことを言うんですかっ!
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」
「は? どうして、そんな事を、言うんだ?」
蓮は、不思議に思って聞いた。
「実は、僕は あおいちゃんと付き合うつもりでいるんです。
あおいちゃんの想いに、応えてあげようと思っています」
「ち、ちが、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」
そんな事、思ったことないし、告白もしたことが無いのに、何故そうなるのか!
「知らなかった!2人がそんな仲になっていたなんて!」
「違います!ゴホッ、誤解です!優さんは誤解しています」
やっと言えた!
「えっ、僕の誤解だって言うの?
だって、観覧車の中で言っていたじゃない?
優さんと結ばれるかしら?って……。
それに……好きだよ……とか……」
「はぁ?何で?そんな事を言ったことがありません」
あおいは、きっぱりと否定をした。
それを聞いていた蓮は、少しホッとした。
あれ?なぜ、ホッとしたんだろう?
まあ、それは置いておこう。
そんな事を、蓮は考えていた。
「えー!言ってないのー?じゃあ何て言ってたんだろう?」
優は、軽く衝撃を受けている。
「うーん、よく覚えていません……。
うーん、あっ、結ばれるかしらって言葉いったような?
あっ、そうだ!この2人、結ばれるかしら?って言ったかも」
「そうだよ!口パクで言っていたよ!
って、えっ?“この2人”?
“優さんと”じゃないの?
僕は、そう解釈して あおいちゃんの想いに、応えようとしていたんだよ!」
優は、気が抜けたようだ。
僕の裸も見られちゃったし、いろいろショックだ……。
「ふーん、2人で観覧車に乗ったんだあ」
そこへ、蓮の突っ込みが入った。
あー、知られたくなかったのに!
「里帰りの時に、暇だから行くことになって、そうですよね?優さん」
「あおいちゃんが、遊園地に行きたいって言うから、行ったんだよねー!
あおいちゃんは、僕を惑わせた魔性の女だったんだねー!
まあ、遊園地は楽しかったよねぇ?」
えっ!私から行きたいって、言ったっけ?
ま、魔性の女ぁ?変なレッテル貼られたー!
「ま、魔性の女なんて、優さん、酷いです!まあ、遊園地は楽しかったです。ははは。
そういえば、優さん、リッチ、いえ、ツルノ君は、どこですか?」
あおいは、話題を変えた。
「そうそう、僕たち大変だったんだよ!
さっきまで、仕事をしていたんだから」
それから優は、簡単に説明をする。
「えー!優さん、私も浮遊霊を見たんですよ。
私の泊まる部屋にいたけど、消えてしまって、今まで そのことで、話しをしていました」
「もし、浮遊霊が同一人物ならば、スピード解決という事だな。
じゃあ、これから、あの部屋に行ってみようか」
「そうですね、蓮さん。
確かめに行きましょう。
魔性の女の あおいちゃんも、一緒に行こう!」
「優さん!その呼び方は、辞めて下さい」
その時、襖が開いて、
「ただ今、帰りましたー」
オストリッチが帰って来た。
「オストリッチ君、お疲れ様!話しは、優から聞いた。
よく冥界エレベーターの扉を開けれたね。大したものだよ。
それに、浮遊霊の最後の言葉を、伝えに行ったんだって?」
「はい、旦那さんが引っ越しをして、出て行くところでした。
間に合ってよかったです。
もう、誰かと一緒に暮らすみたいです。
同棲と言っていました」
「そうだったのか、あの女性が、知らずに冥界に行ってくれて良かった。
知ってしまっていたら、どうなっていたことか。
ツルノ君、お疲れ様でした」
蓮や優に 労いの言葉をもらい、とても嬉しそうなオストリッチなのだった。
あおいは、お疲れ様と言いながら、先を越された思いが、心の片隅に出来ていた。
あっ、ダメダメ。
比べたらいけない、気にしない!
天界にいる利通さんに、言われたでしょっ?
向上心を忘れなければいいんだもん!
「あおいちゃん、何してるの?
あおいちゃんの部屋に行ってみよう」
あおい達は、本館へ行きフロントの前を通り過ぎた。
「お待ち下さい」
女将の声が聞こえ、皆 立ち止まる。
「はい?」と他の客達も、立ち止まった。
「あっ、お客様方、何でもございませんでした。大変、失礼いたしました。
申し訳ございません」
立ち止まっていた客達が、立ち去ったところで、女将が付いてくるように、指し示し、廊下を凄い速さで歩き出した。
辺りに誰も居ないことを、確かめ話し始める。
「丁度、蓮さんの所へ、行こうと思っていました。
先程、柊の間に行ってみたら、女性の霊が来ていたので、お知らせしようとしていたところです」
「さっきですか?わかりました」
さっそく、蓮が皆に指示を出す。
「優とオストリッチ君は、柊の間の外に、瞬間移動して待機。
もし、霊がいたら捕獲するんだ!
女将さんと あおいちゃんは、走って柊の間へ行って。
私は、今、瞬間移動で柊の間に行く」
皆、一斉に動き出した。
女将は、走る。
「女将さん、どうしたんですかー?」
仲居が驚いて、声を掛けた。
「ちょっと、花畑よー」
息を切らしながら、走り去る。
あおいも仲居の横を、通過した。
「花畑……トイレかぁ。あんなに血相変えて、そんなに我慢していたの?」
優とオストリッチは、部屋の外から中を伺っている。
霊の姿は、見えない。
蓮は、気配を感じさせないように、玄関に立つ。
それから、襖を通り抜け、コタツのある部屋へと入った。
ぐるりと見渡すが、霊は見当たらない。
蓮は、目を閉じ意識を集中させる。
そこか!
次の間に続く襖を通り抜け、隣の部屋へと入った!
外にいる優も意識を集中させ、霊の気配を感じ取ろうとしている。
そこだ!
優は、ガラスを通り抜けて、部屋に入った。
「優さん!待って!」
ゴツ!
優を真似てオストリッチも、ガラスを通り抜けようとしたが、嘴をガラスにぶつけてしまったのだった。
変なの、冥界では、通り抜けも出来たはずなのにな……。
「どうして、僕は通れないの?
でも、優さんって、かっこいいなぁ」
オストリッチは、弱くてカッコ悪かった優の事を、忘れたのだった。
一方、コタツの部屋に到着した あおいと女将。
次の間に行こうとする あおいを、霊感の強い女将が制する。
自分たちが霊の捕獲に、邪魔になってはいけないと思ったからだ。
今、蓮と優は、女性の霊と対峙していた。
女性を一目見ただけで、着ている服装から、かなり前に亡くなっていることがわかる。
「私たちは、死者の国である冥界の調査員です。
あなたは、亡くなってから長い年月が、経っているように思えます。
この土地に、思いがあるのかもしれませんが、もう冥界へ参りましょう」
蓮が言うと、
防災頭巾にモンペ姿の女性は、首を横に振った。
「私は、どこへも参りません。
主人と会う約束をしていますから。
戦争が終わったら、川のほとり温泉に行くと約束していたから、ここに来て、ずっと待っているのです。
でも、主人がなかなか来てくれなくて」
「多分、御主人も亡くなられています。
冥界に行ったから、ここへと来ないのだと思います。
さあ、あなたも冥界へ行きましょう」
今度は、優が説得してみる。
「嫌です」
そう言って、女性は姿を消してしまった。
「優、追うぞ!」
蓮と優は、意識を集中させ瞬間移動をしたのだった。
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