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第五章: 新人仕事人 恋模様
お化け屋敷は……
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あおい達は、お化け屋敷が有名な、トンデルランドにやって来た。
「蓮さん、さっき女将さんが宿泊料金は無料ですとか、約束とか言っていたけど何ですか?」
優が聞いたが、皆が気になっていた事だった。
「あー、それは……。
あの旅館に泊まることが、可能かを聞きに行った時、女将さんが無料でいいからと言ってくれて。
でも、それでは悪いから、何か手伝う事があれば、やりますと言ったんだよ。
そしたら、行方不明死者……。
幽霊が出て、除霊をするけど、また戻って来るって言ってたから。
ほら、冥界の調査員としては、聞いた以上は捕獲をしないと……ねえ?」
「なるほど、捕獲する代わりに、無料にするという約束ですね。
蓮さんは、あそこに問題があると知って、我々を連れて行ったんですよね?
我々にとっては、当然の仕事ですから、いいですけど……。
まさか、この遊園地でも、仕事をしようって思っていませんよね?」
「えっ!いや、優、何てこと言うんだよ!
まさか、そんなわけないじゃないか!
純粋に遊んで下さい。
さあ、好きなアトラクションに乗っていいから。何がいい?」
あれ?蓮さん、動揺しているみたいだ。
優は、蓮を怪しんでいるが、何も気にしないオストリッチが、すかさず言う。
「あっ、あれに乗ってみたいです!
優さん、あの空を飛んでいるみたいなヤツに乗りましょう」
「えー!足をブラブラさせて座り、高速で動いたり、止まったり、バックしたりしているアレに乗るの?
無理、僕は無理だよ!絶叫系は苦手だな。
僕は、パスするから!」
「私もアレは、無理だから!乗れない」
あおいは、誘われる前に断った。
当然、オストリッチの視線は、蓮へと注がれた。
「えー!アレに乗るの?私が?……。
……はい、わかりました」
蓮も絶叫系は、少し苦手であるが、仕事をさせた弱みがあるので、オストリッチに、付き合うことにしたのだった。
オストリッチと蓮は、空いている席に座った。
ガッガッガッ ……
絶叫マシンが動き出す。
ガーーーガツン ガガガーーーガーーーー!!
「うおー!うおー!うーおーーひぃー」
あおいと優が、下から見上げていると、蓮の悲痛な叫び声が、聞こえてきたのだ。
2人は、顔を見合わせ吹き出した。
オストリッチはと言えば、キャッキッャと、楽しげに笑っていたのだった。
リッチ君が楽しそうで良かった。
でも、蓮さんは、ちょっと可哀想だな。
あおいは、そう思いながら、2人の姿を見ていた。
「魔性の女、いや、あおいちゃん、昨日の蓮さんとの夜は、どうだったの?」
少し皮肉 混じりに、優が聞いたのだ。
「よ、夜って!べ、別に何もありませんでしたよっ!
私は、リッチ君と一緒に暮らしているから、それと同じです。
何か期待していたんですか?
残念でしたねっ!」
あおいは、プクッと膨れ面になった。
「もう、ごめん。そんな顔をしないで!
なんかさ、こっちが勝手に誤解をして、振られた!
みたいな感じだったから、意地悪したくなったんだよ!
もうさ、魔性の女なんて、言わないからね。ごめん」
「私こそ、誤解をさせてしまって、すみませんでした。それと……。
私との事を、真剣に考えてくれたみたいで、ありがとうございました。
ちょっと嬉しかったです」
あぁ、こういう所が魔性の女なんだよ!
人の心をかき乱す言葉を、サラッと言っちゃうんだよねー、騙されないぞ!
「もう、気にしなくていいから」
バツの悪さも、さらりとジョークに変え、いい関係にしておいてくれる、優の優しさに感謝をする あおいなのだった。
あおい達が話をしていると、オストリッチが元気に帰ってきた。
その後方から、蓮がフラフラで、歩いて来てやっと話す。
「2人ともお待たせ……。
フー、じゃあ行こうか……」
「はあ?どこへ?」
嫌な予感しかしない優が、聞いてみた。
「ここの大人気のアトラクションに行くんだよ。 お化け屋敷にね!」
「は?嫌、無理です!それも苦手です。パスします」
あおいが言ったのだが、
「だーめ!全員、入るんだよ。
ペアになって、入ろう。
グーとパーで別れるぞ!」
「蓮さん、グーとパーって何ですか?」
「オストリッチ君は、知らないのか!
手をぎゅっと握ってみて、出来る?
そう、できたね。これが、グーだ。
そしたら、手をパーっと開いてみて、3本指を開いて、そう、それがパーだからね。
で、掛け声をかけてグーの人、パーの人で別れるんだ!わかった?」
蓮が簡単に説明をして、ペアを決めたのだった。
「最初に私たちが行く。おいで、行こう。
中は暗いから、手を繋いで行くよ」
「はい……蓮さん」
お化け屋敷の入口のカーテンの向こうへ、身長差のある2人の姿が消えて行った。
「このペア決めは、ガチでやったんだね。
蓮さんと示し合わせたんじゃなかったんだね」
優が感心したように言った。
「えー、当たり前です!何も話し合っていませんから!
もう、優さん、意地悪を言わないで下さい!」
「ごめん、僕の考え過ぎだったね!
では、あおいちゃん、僕と仲良く入りましょう。
入口に書いてあったけど。
ここは、小学校という設定で、矢印の順に歩いて行くんだってよ」
「次の方、2名、お入り下さい」
係員に促され、優が先に歩く。
もちろん、係員は、あおい達の後ろに、並んでいた人間に対して、言っていたのだった。
「ひゃー、怖いな。
お化け屋敷は、お金を払ってまで、入りたくないものなのに……。
わっ、優さん、待って、先に行かないでー」
入口のカーテンを開け、中に入った。
真っ暗な部屋の下方に、非常口の案内の明かりが見えて、安心する。
「あおいちゃん、僕から離れないで歩くんだよ」
「はい、怖いから離れません!
優さんこそ、置いて行かないで下さいよ!」
あおいは、優の着ているカジュアルシャツの裾を掴んで歩く。
真っ暗闇だったが、目が慣れてきて、見えるようになってきた。
教室の前に立つと、ドアが開いた。
「ぎゃあっ、優さん、勝手にドアが開いたよっ!」
「そりゃあ、自動ドアだからね。
中に入ったら、この紙にスタンプを押すんだよ。教卓の上にある。
ほら、行こう」
教卓に行き、1-1のスタンプを押して、後ろのドアから出ようとしたら、窓にいくつもの人影が浮かび上がった。
それから、子ども達の話し声が聞こえてきた。
「優さん、怖い、早く出よう」
あおいは、机にぶつかりながら教室から出た。
あちこちから叫び声が、聞こえる廊下を歩く2人。
矢印の方向へ向かって、優の足が止まった。
「ど、どうしたの?急に止まらないで」
あおいは、優に敬語を使う余裕が無かった。
「女子トイレの中に、スタンプがあるって、押してきて!」
「ヤダ、1人で行けるわけないじゃん!
一緒に来てよ!無理無理、来てよ」
あおいは、優の背中を押して、一緒に女子トイレに入った。
「あおいちゃん、強引だなー!
スタンプは、手洗い場の、鏡の前にあるってさ。
はい、押せたね。出よう」
優が言った時、トイレの水が流れる音と共に、キィーっと、音がしてトイレの戸が開いた。
「うわぁ!人が出て来たー!ぎゃあー」
優が走るから、あおいも走る。
うわぁ、おばけが追いかけてくるー!
うん?おばけ?何で僕は、怖がっているんだ?
冥界の人間なのに、つい怖がってしまった!
足音に振り向くと、あおいが走ってついて来ていたのだった。
なんだ、あおいちゃんだったのか……。
トイレから出てきた幽霊役が言う。
「あれ?お客さんの気配がしたから、トイレから出たのに、誰も居ない!えー!怖っ」
幽霊役のバイトは、客を狭くて暗いトイレの中で待っているから、ある意味 客より怖いのだった。
「優さん、置いて行かないでって言ったのに!
酷すぎです!まったく、もう」
「はい、ごめんなさい。
気をつけます!じゃあ、進もっか?」
あおいを置いて逃げ出した優は、素直に謝るしかなかったのだ。
再び、優のシャツをガシッと掴んで、あおいは階段を上がる。
ニャーニャー
「何?猫の鳴き声?不気味だなー
優さん、もう怖すぎるよー」
優は、黙々と歩き、図書室の前で止まった。
「入らないんですか?」
あおいが聞いたが、黙ったままだ。
数秒して、優が話す。
「戸を開けるけど、気をつけて!
ここには、行方不明の死者、つまり本物の幽霊がいるよ!
さあ、お仕事 開始だね!」
あおいは、緊張の顔つきになる。
優が戸を開けた途端、本が飛んできた。
キャッ!
避けても避けても、本が飛んでくる!
見ると、若い男性が本を投げつけてきていた。
優は、囁やく。
「あおいちゃんは、前から行って。
僕は後ろから!
挟みうちで、捕まえるんだ。行くよっ」
あおいは、投げつけられた本を、受け止め投げ返しながら、前に進んで行く。
「あなたは、行くべき所があるのに、どうしてここにいるんですか?
図書室にいるって事は、本が好きなんですか?」
「うるさい、女だなっ!お前は、誰だ!お前に関係ないだろう!」
むっ!ムカつく男、私が捕まえてやるんだから!
パシッ!
本を両手で受け止め、逆に、男に投げると命中した。
男は、激昂し、あおいに飛び掛かろうとした。
「乱暴なんて、僕がさせないっ!」
その時、後ろから優が、男を羽交い締めにした。
「この野郎、離せ!くそっ、離せよっ」
「あおいちゃん、モバリスで札を読み取って!
早く!ぐっ、おとなしくしろってば」
「はいっ!えーと、えーと、このボタンかな」
モバリスを男の額に向けて、生前の行いを調べ始めた。
「お前、何やってんだよっ!俺をどうする気だっ?
こうしてやるっ!」
男が、あおいを蹴ろうとした瞬間、その足を掴んだ者が現れた。
「蓮さん、さっき女将さんが宿泊料金は無料ですとか、約束とか言っていたけど何ですか?」
優が聞いたが、皆が気になっていた事だった。
「あー、それは……。
あの旅館に泊まることが、可能かを聞きに行った時、女将さんが無料でいいからと言ってくれて。
でも、それでは悪いから、何か手伝う事があれば、やりますと言ったんだよ。
そしたら、行方不明死者……。
幽霊が出て、除霊をするけど、また戻って来るって言ってたから。
ほら、冥界の調査員としては、聞いた以上は捕獲をしないと……ねえ?」
「なるほど、捕獲する代わりに、無料にするという約束ですね。
蓮さんは、あそこに問題があると知って、我々を連れて行ったんですよね?
我々にとっては、当然の仕事ですから、いいですけど……。
まさか、この遊園地でも、仕事をしようって思っていませんよね?」
「えっ!いや、優、何てこと言うんだよ!
まさか、そんなわけないじゃないか!
純粋に遊んで下さい。
さあ、好きなアトラクションに乗っていいから。何がいい?」
あれ?蓮さん、動揺しているみたいだ。
優は、蓮を怪しんでいるが、何も気にしないオストリッチが、すかさず言う。
「あっ、あれに乗ってみたいです!
優さん、あの空を飛んでいるみたいなヤツに乗りましょう」
「えー!足をブラブラさせて座り、高速で動いたり、止まったり、バックしたりしているアレに乗るの?
無理、僕は無理だよ!絶叫系は苦手だな。
僕は、パスするから!」
「私もアレは、無理だから!乗れない」
あおいは、誘われる前に断った。
当然、オストリッチの視線は、蓮へと注がれた。
「えー!アレに乗るの?私が?……。
……はい、わかりました」
蓮も絶叫系は、少し苦手であるが、仕事をさせた弱みがあるので、オストリッチに、付き合うことにしたのだった。
オストリッチと蓮は、空いている席に座った。
ガッガッガッ ……
絶叫マシンが動き出す。
ガーーーガツン ガガガーーーガーーーー!!
「うおー!うおー!うーおーーひぃー」
あおいと優が、下から見上げていると、蓮の悲痛な叫び声が、聞こえてきたのだ。
2人は、顔を見合わせ吹き出した。
オストリッチはと言えば、キャッキッャと、楽しげに笑っていたのだった。
リッチ君が楽しそうで良かった。
でも、蓮さんは、ちょっと可哀想だな。
あおいは、そう思いながら、2人の姿を見ていた。
「魔性の女、いや、あおいちゃん、昨日の蓮さんとの夜は、どうだったの?」
少し皮肉 混じりに、優が聞いたのだ。
「よ、夜って!べ、別に何もありませんでしたよっ!
私は、リッチ君と一緒に暮らしているから、それと同じです。
何か期待していたんですか?
残念でしたねっ!」
あおいは、プクッと膨れ面になった。
「もう、ごめん。そんな顔をしないで!
なんかさ、こっちが勝手に誤解をして、振られた!
みたいな感じだったから、意地悪したくなったんだよ!
もうさ、魔性の女なんて、言わないからね。ごめん」
「私こそ、誤解をさせてしまって、すみませんでした。それと……。
私との事を、真剣に考えてくれたみたいで、ありがとうございました。
ちょっと嬉しかったです」
あぁ、こういう所が魔性の女なんだよ!
人の心をかき乱す言葉を、サラッと言っちゃうんだよねー、騙されないぞ!
「もう、気にしなくていいから」
バツの悪さも、さらりとジョークに変え、いい関係にしておいてくれる、優の優しさに感謝をする あおいなのだった。
あおい達が話をしていると、オストリッチが元気に帰ってきた。
その後方から、蓮がフラフラで、歩いて来てやっと話す。
「2人ともお待たせ……。
フー、じゃあ行こうか……」
「はあ?どこへ?」
嫌な予感しかしない優が、聞いてみた。
「ここの大人気のアトラクションに行くんだよ。 お化け屋敷にね!」
「は?嫌、無理です!それも苦手です。パスします」
あおいが言ったのだが、
「だーめ!全員、入るんだよ。
ペアになって、入ろう。
グーとパーで別れるぞ!」
「蓮さん、グーとパーって何ですか?」
「オストリッチ君は、知らないのか!
手をぎゅっと握ってみて、出来る?
そう、できたね。これが、グーだ。
そしたら、手をパーっと開いてみて、3本指を開いて、そう、それがパーだからね。
で、掛け声をかけてグーの人、パーの人で別れるんだ!わかった?」
蓮が簡単に説明をして、ペアを決めたのだった。
「最初に私たちが行く。おいで、行こう。
中は暗いから、手を繋いで行くよ」
「はい……蓮さん」
お化け屋敷の入口のカーテンの向こうへ、身長差のある2人の姿が消えて行った。
「このペア決めは、ガチでやったんだね。
蓮さんと示し合わせたんじゃなかったんだね」
優が感心したように言った。
「えー、当たり前です!何も話し合っていませんから!
もう、優さん、意地悪を言わないで下さい!」
「ごめん、僕の考え過ぎだったね!
では、あおいちゃん、僕と仲良く入りましょう。
入口に書いてあったけど。
ここは、小学校という設定で、矢印の順に歩いて行くんだってよ」
「次の方、2名、お入り下さい」
係員に促され、優が先に歩く。
もちろん、係員は、あおい達の後ろに、並んでいた人間に対して、言っていたのだった。
「ひゃー、怖いな。
お化け屋敷は、お金を払ってまで、入りたくないものなのに……。
わっ、優さん、待って、先に行かないでー」
入口のカーテンを開け、中に入った。
真っ暗な部屋の下方に、非常口の案内の明かりが見えて、安心する。
「あおいちゃん、僕から離れないで歩くんだよ」
「はい、怖いから離れません!
優さんこそ、置いて行かないで下さいよ!」
あおいは、優の着ているカジュアルシャツの裾を掴んで歩く。
真っ暗闇だったが、目が慣れてきて、見えるようになってきた。
教室の前に立つと、ドアが開いた。
「ぎゃあっ、優さん、勝手にドアが開いたよっ!」
「そりゃあ、自動ドアだからね。
中に入ったら、この紙にスタンプを押すんだよ。教卓の上にある。
ほら、行こう」
教卓に行き、1-1のスタンプを押して、後ろのドアから出ようとしたら、窓にいくつもの人影が浮かび上がった。
それから、子ども達の話し声が聞こえてきた。
「優さん、怖い、早く出よう」
あおいは、机にぶつかりながら教室から出た。
あちこちから叫び声が、聞こえる廊下を歩く2人。
矢印の方向へ向かって、優の足が止まった。
「ど、どうしたの?急に止まらないで」
あおいは、優に敬語を使う余裕が無かった。
「女子トイレの中に、スタンプがあるって、押してきて!」
「ヤダ、1人で行けるわけないじゃん!
一緒に来てよ!無理無理、来てよ」
あおいは、優の背中を押して、一緒に女子トイレに入った。
「あおいちゃん、強引だなー!
スタンプは、手洗い場の、鏡の前にあるってさ。
はい、押せたね。出よう」
優が言った時、トイレの水が流れる音と共に、キィーっと、音がしてトイレの戸が開いた。
「うわぁ!人が出て来たー!ぎゃあー」
優が走るから、あおいも走る。
うわぁ、おばけが追いかけてくるー!
うん?おばけ?何で僕は、怖がっているんだ?
冥界の人間なのに、つい怖がってしまった!
足音に振り向くと、あおいが走ってついて来ていたのだった。
なんだ、あおいちゃんだったのか……。
トイレから出てきた幽霊役が言う。
「あれ?お客さんの気配がしたから、トイレから出たのに、誰も居ない!えー!怖っ」
幽霊役のバイトは、客を狭くて暗いトイレの中で待っているから、ある意味 客より怖いのだった。
「優さん、置いて行かないでって言ったのに!
酷すぎです!まったく、もう」
「はい、ごめんなさい。
気をつけます!じゃあ、進もっか?」
あおいを置いて逃げ出した優は、素直に謝るしかなかったのだ。
再び、優のシャツをガシッと掴んで、あおいは階段を上がる。
ニャーニャー
「何?猫の鳴き声?不気味だなー
優さん、もう怖すぎるよー」
優は、黙々と歩き、図書室の前で止まった。
「入らないんですか?」
あおいが聞いたが、黙ったままだ。
数秒して、優が話す。
「戸を開けるけど、気をつけて!
ここには、行方不明の死者、つまり本物の幽霊がいるよ!
さあ、お仕事 開始だね!」
あおいは、緊張の顔つきになる。
優が戸を開けた途端、本が飛んできた。
キャッ!
避けても避けても、本が飛んでくる!
見ると、若い男性が本を投げつけてきていた。
優は、囁やく。
「あおいちゃんは、前から行って。
僕は後ろから!
挟みうちで、捕まえるんだ。行くよっ」
あおいは、投げつけられた本を、受け止め投げ返しながら、前に進んで行く。
「あなたは、行くべき所があるのに、どうしてここにいるんですか?
図書室にいるって事は、本が好きなんですか?」
「うるさい、女だなっ!お前は、誰だ!お前に関係ないだろう!」
むっ!ムカつく男、私が捕まえてやるんだから!
パシッ!
本を両手で受け止め、逆に、男に投げると命中した。
男は、激昂し、あおいに飛び掛かろうとした。
「乱暴なんて、僕がさせないっ!」
その時、後ろから優が、男を羽交い締めにした。
「この野郎、離せ!くそっ、離せよっ」
「あおいちゃん、モバリスで札を読み取って!
早く!ぐっ、おとなしくしろってば」
「はいっ!えーと、えーと、このボタンかな」
モバリスを男の額に向けて、生前の行いを調べ始めた。
「お前、何やってんだよっ!俺をどうする気だっ?
こうしてやるっ!」
男が、あおいを蹴ろうとした瞬間、その足を掴んだ者が現れた。
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