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第一章
驚愕
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(なんだ?何が起こってるんだ?)
突然苦しみだした男達にレオナルドは呆然としてしまう。二人同時に苦しみだすなんてただ事ではない。
罠、とは考えにくい。男達の方が圧倒的に有利だったのだから。
そんなことを漫然と思いながら男達の様子を見ていたレオナルドはある事実に気づいた。
(魔力が膨れ上がってる?それに―――)
今まで見えていた魔力とは明らかに違う量の魔力が男達から漏れていた。それになんだか魔力の色がどんどん黒ずんでいっているようにレオナルドには見えた。
すると男達にこれまでと違う変化が起きた。
「アガッ……アアアアァァァァッッッ……!!!!」
「ウガアアアアアァァァァッッッ……!!!!」
まるで獣のような叫び声を上げ始めたのだ。
「っ!?」
それだけではない。
筋肉が膨れ、肌が黒く変色していき、額からは二本の角のようなものが生え、犬歯が伸びていき、指の爪が異常な長さに伸びていく。———人間が化け物のように変化していく。
(いったい何が……?)
あまりの出来事にレオナルドはその様子を見つめていることしかできなかった。
男達が苦しみ始めたのと時を同じくして、セレナリーゼもまた自身の体に起きた変化に苦悶の表情を浮かべていた。
まるで全身の血液が沸騰しているかのような激しい痛みがセレナリーゼを襲ったのだ。
(な、に……これ……?)
痛くて苦しくて呼吸もまともにできない。
意識が朦朧とするのと痛みによる覚醒を繰り返すうちに段々自分がどういう状況なのかもわからなくなっていく。
実際にはそれほど長くはない時間だが、セレナリーゼにとっては永遠にも感じるほどの苦痛だった。
そして朦朧とする意識の中、セレナリーゼは内側から何かが膨れ上がり外へと飛び出そうとするのを感じた。
(これ……ダメだ……)
直感で自分に起きた異変がよくないものだと悟るセレナリーゼ。だが、膨れ上がる何かを抑えることができない。
(レオ、兄さま……。に、げて……)
そこでセレナリーゼの意識は完全に途切れ、セレナリーゼから魔力が魔法となって放たれた。
「なっ!?」
レオナルドの見ている前で男達の変化が続く中、突然男の一人が氷に包まれた。変化途中の男は完全に凍りついており全く動かない。レオナルドは思わず目の前の光景に目を見開く。
いったい何が起こったのか、次々と起こる変化に頭の処理が追いつかない。
だが、魔力の見えるレオナルドはすぐに気づいた。
男を凍らせたのが魔法だということを。そしてその魔法が放たれたのは一つの布袋。そう、セレナリーゼが入れらている布袋からだった。
「セレナ……?」
レオナルドは今の魔法を知っている。ゲームでよく使った魔法に似ていたのだ。魔法名はフロストノヴァ。セレナリーゼのレベルが上がると使用できるようになる、敵を凍らせる強力な魔法だった。
(っ、まさか―――!?)
セレナリーゼの入った布袋を見れば、布袋は大きく破け、中にいたセレナリーゼが見える。口に布を巻かれており、手足を縛られ、気を失っているのかぐったりとしていた。
痛々しいセレナリーゼの状態を早くどうにかしてやりたいが、それよりもレオナルドの脳裏に嫌な想像が過る。
目の前の男達のようにセレナリーゼまで化け物のように変化してしまうのではないか、と。なぜならセレナリーゼの漏れ出る魔力も膨れ上がっていたから。そして銀色に数滴の黒を混ぜたような色をしていたセレナリーゼの魔力が男達と同じようにその黒さを増していたから。
「セレナ!」
すぐにでもセレナリーゼのところに駆け寄ろうと思ったレオナルドだったが、そこで凍っていない方の男の変化が終わった。
「ギシャアアアァァァッッッ!!!!」
「っ!?」
明らかに人間とは思えない声を上げる元人間だった何か。とても理性が残っているようには見えない。レオナルドは足を動かすことができず、再び視線を人間だったものに向け、驚愕した。
レオナルドはその姿に見覚えがあった。
人間サイズで黒い肌。角と牙を持ち、特徴的な長い爪。まるで前世の世界における悪魔のような姿。
それはゲーム中盤で出てくる『クラントス』という名の魔物だったから。
(人間が魔物になったっていうのか!?)
目の前で起きた現実ではあるが意味がわからない。
なぜならそんなことが起こるなんてゲームでも言われていなかったからだ。
だが、今のレオナルドに考えている余裕はない。
クラントスが、セレナリーゼの方を向いたのだ。魔物の本能でセレナリーゼの魔力を感じ取り脅威に思ったのかもしれない。
(まずいっ!)
クラントスがセレナリーゼを見た瞬間、レオナルドはセレナリーゼに向かって走り始めた。
クラントスもレオナルドとほとんど同時にセレナリーゼ目掛けて突っ込んでいく。
クラントスは爪を武器とする物理特化の魔物のため、身体能力はクラントスの方が圧倒的に上だ。このままではクラントスが先に辿り着いてしまう。クラントスは流れのままその鋭く長い爪でセレナリーゼを攻撃しようというのか、腕を突き出した。
このままではセレナリーゼはクラントスに殺されてしまう。レオナルドはクラントスの爪がセレナリーゼに突き刺さっている姿を幻視した。
セレナリーゼが死ぬ?そんなことあっていい訳がない。そんなことになったら自分を許せない。いったい何をやってるんだ自分は。このままじゃダメだ。守る、守るんだ。助ける。絶対に!
クラントスよりも速く、速く、速く、速く―――――。
クラントスを倒せるほど強く、強く、強く、強く――――。
レオナルドの想いがその二つに集約されていく。
その瞬間―――――。
レオナルドの全身から白い光が発せられた。
(間に合え―――――!!!!)
レオナルドは自身が白い光を発していることに気づくことなくセレナリーゼの元へと駆けた。
突然苦しみだした男達にレオナルドは呆然としてしまう。二人同時に苦しみだすなんてただ事ではない。
罠、とは考えにくい。男達の方が圧倒的に有利だったのだから。
そんなことを漫然と思いながら男達の様子を見ていたレオナルドはある事実に気づいた。
(魔力が膨れ上がってる?それに―――)
今まで見えていた魔力とは明らかに違う量の魔力が男達から漏れていた。それになんだか魔力の色がどんどん黒ずんでいっているようにレオナルドには見えた。
すると男達にこれまでと違う変化が起きた。
「アガッ……アアアアァァァァッッッ……!!!!」
「ウガアアアアアァァァァッッッ……!!!!」
まるで獣のような叫び声を上げ始めたのだ。
「っ!?」
それだけではない。
筋肉が膨れ、肌が黒く変色していき、額からは二本の角のようなものが生え、犬歯が伸びていき、指の爪が異常な長さに伸びていく。———人間が化け物のように変化していく。
(いったい何が……?)
あまりの出来事にレオナルドはその様子を見つめていることしかできなかった。
男達が苦しみ始めたのと時を同じくして、セレナリーゼもまた自身の体に起きた変化に苦悶の表情を浮かべていた。
まるで全身の血液が沸騰しているかのような激しい痛みがセレナリーゼを襲ったのだ。
(な、に……これ……?)
痛くて苦しくて呼吸もまともにできない。
意識が朦朧とするのと痛みによる覚醒を繰り返すうちに段々自分がどういう状況なのかもわからなくなっていく。
実際にはそれほど長くはない時間だが、セレナリーゼにとっては永遠にも感じるほどの苦痛だった。
そして朦朧とする意識の中、セレナリーゼは内側から何かが膨れ上がり外へと飛び出そうとするのを感じた。
(これ……ダメだ……)
直感で自分に起きた異変がよくないものだと悟るセレナリーゼ。だが、膨れ上がる何かを抑えることができない。
(レオ、兄さま……。に、げて……)
そこでセレナリーゼの意識は完全に途切れ、セレナリーゼから魔力が魔法となって放たれた。
「なっ!?」
レオナルドの見ている前で男達の変化が続く中、突然男の一人が氷に包まれた。変化途中の男は完全に凍りついており全く動かない。レオナルドは思わず目の前の光景に目を見開く。
いったい何が起こったのか、次々と起こる変化に頭の処理が追いつかない。
だが、魔力の見えるレオナルドはすぐに気づいた。
男を凍らせたのが魔法だということを。そしてその魔法が放たれたのは一つの布袋。そう、セレナリーゼが入れらている布袋からだった。
「セレナ……?」
レオナルドは今の魔法を知っている。ゲームでよく使った魔法に似ていたのだ。魔法名はフロストノヴァ。セレナリーゼのレベルが上がると使用できるようになる、敵を凍らせる強力な魔法だった。
(っ、まさか―――!?)
セレナリーゼの入った布袋を見れば、布袋は大きく破け、中にいたセレナリーゼが見える。口に布を巻かれており、手足を縛られ、気を失っているのかぐったりとしていた。
痛々しいセレナリーゼの状態を早くどうにかしてやりたいが、それよりもレオナルドの脳裏に嫌な想像が過る。
目の前の男達のようにセレナリーゼまで化け物のように変化してしまうのではないか、と。なぜならセレナリーゼの漏れ出る魔力も膨れ上がっていたから。そして銀色に数滴の黒を混ぜたような色をしていたセレナリーゼの魔力が男達と同じようにその黒さを増していたから。
「セレナ!」
すぐにでもセレナリーゼのところに駆け寄ろうと思ったレオナルドだったが、そこで凍っていない方の男の変化が終わった。
「ギシャアアアァァァッッッ!!!!」
「っ!?」
明らかに人間とは思えない声を上げる元人間だった何か。とても理性が残っているようには見えない。レオナルドは足を動かすことができず、再び視線を人間だったものに向け、驚愕した。
レオナルドはその姿に見覚えがあった。
人間サイズで黒い肌。角と牙を持ち、特徴的な長い爪。まるで前世の世界における悪魔のような姿。
それはゲーム中盤で出てくる『クラントス』という名の魔物だったから。
(人間が魔物になったっていうのか!?)
目の前で起きた現実ではあるが意味がわからない。
なぜならそんなことが起こるなんてゲームでも言われていなかったからだ。
だが、今のレオナルドに考えている余裕はない。
クラントスが、セレナリーゼの方を向いたのだ。魔物の本能でセレナリーゼの魔力を感じ取り脅威に思ったのかもしれない。
(まずいっ!)
クラントスがセレナリーゼを見た瞬間、レオナルドはセレナリーゼに向かって走り始めた。
クラントスもレオナルドとほとんど同時にセレナリーゼ目掛けて突っ込んでいく。
クラントスは爪を武器とする物理特化の魔物のため、身体能力はクラントスの方が圧倒的に上だ。このままではクラントスが先に辿り着いてしまう。クラントスは流れのままその鋭く長い爪でセレナリーゼを攻撃しようというのか、腕を突き出した。
このままではセレナリーゼはクラントスに殺されてしまう。レオナルドはクラントスの爪がセレナリーゼに突き刺さっている姿を幻視した。
セレナリーゼが死ぬ?そんなことあっていい訳がない。そんなことになったら自分を許せない。いったい何をやってるんだ自分は。このままじゃダメだ。守る、守るんだ。助ける。絶対に!
クラントスよりも速く、速く、速く、速く―――――。
クラントスを倒せるほど強く、強く、強く、強く――――。
レオナルドの想いがその二つに集約されていく。
その瞬間―――――。
レオナルドの全身から白い光が発せられた。
(間に合え―――――!!!!)
レオナルドは自身が白い光を発していることに気づくことなくセレナリーゼの元へと駆けた。
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