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第19話「ダンジョン要塞の誕生」
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月光が村全体を銀色に染め上げる中、地面からは青い光が漏れ始めていた。それは最初、中央広場の一点から始まり、やがて村中の地面を走る魔力の脈のように広がっていった。
リオは広場の中央に立ち、その光景を見守っていた。周囲の村人たちも家から出て、この異変を見つめていた。
「来る…」
リオは小さく呟いた。彼の体が僅かに震えていたが、それは恐怖ではなく、期待と高揚のためだった。
議事堂の下では、クロードが急いで儀式の準備を進めていた。彼の前には五人の村人が強制的に連れてこられ、魔法の円の中に立たされていた。
「急げ!」
クロードは焦りを隠せず、部下の騎士たちに指示を飛ばしていた。
「魔力の流れが変わり始めている。『場所の意志』が目覚める前に儀式を完了させねば」
彼は古い羊皮紙に書かれた呪文を詠唱し始めた。呪文が進むにつれ、連れてこられた村人たちの周りに赤い光が現れ、彼らから生命力が少しずつ吸い取られていった。
「やめろ!」
突然の声にクロードが振り向くと、そこにはエリシアとミラが立っていた。二人は合わせた魔法で騎士たちを押しのけ、儀式場に突入していた。
「この儀式は中断する!」
エリシアが宣言し、魔法の障壁を展開して村人たちを守った。
クロードの顔に怒りが浮かんだ。
「邪魔をするな!これは王国の未来のための必要な犠牲だ!」
ミラが冷たく答えた。
「必要な犠牲?他者の命を奪い、『場所の意志』を歪める行為が?」
クロードは笑った。
「お前たちには理解できまい。ダンジョンと村の融合体であるこの場所の力は、王国の繁栄に不可欠なのだ。姉上と私はそれを見抜いた」
エリシアとミラの連携魔法がさらに強まり、儀式の円に亀裂が入り始めた。それを見たクロードは、自ら剣を抜いて二人に向かって突進した。
村の上空では、雲が月を隠し始め、風が強まっていた。まるで嵐が来るかのような気配が漂い、村人たちは不安と期待が入り混じった表情で空を見上げていた。
そこにフィンとガストンが現れ、村人たちに指示を出し始めた。
「全員、広場に集まれ!今夜、村が変わる!」
フィンが呼びかけると、村人たちは次々と中央広場へと向かった。
リオは広場の中心で、両手を広げて月に向かって呼びかけた。
「御影さん!皆が待っています!帰ってきてください!」
彼の声が村全体に響き渡ると、地面から漏れる青い光がさらに強まった。議事堂に設置されていた抑制装置から火花が散り、機械が悲鳴を上げるような音を立てていた。
村の外では、セイレーン率いる水族の一団が東の湖から姿を現し、村を取り囲む王国軍の外周部隊と交戦を始めていた。水の魔法が夜空に躍り、王国兵たちを混乱させていた。
クロードはエリシアとミラの抵抗に苛立ちを隠せなかった。彼は儀式を中断せざるを得ず、急いで議事堂の上層へと戻り、状況を把握しようとした。
「何が起きている?」
彼が窓から見た光景に、言葉を失った。
村全体が青い光に包まれ、地面が波打ち、家々が動き始めていた。それは単なる揺れではなく、まるで村全体が形を変えようとしているかのようだった。
「不可能だ…」
クロードは震える声で呟いた。
「装置の効果が切れるはずがない…」
その時、議事堂の中央に置かれた抑制装置が激しい音を立てて爆発した。装置の破片が部屋中に飛び散り、議事堂全体が青白い光に包まれた。
爆発の衝撃でクロードは壁に叩きつけられ、一瞬気を失った。目を覚ますと、目の前には信じられない光景が広がっていた。
議事堂の床から一本の巨大な樹木が生え出し、天井を突き破って空へと伸びていた。それは普通の樹木ではなく、まるで生きた塔のように見え、表面には青い魔力の脈が流れていた。
「これは…」
クロードは恐怖に目を見開いた。
広場では、集まった村人たちが見守る中、地面から青い光の柱が立ち上がった。その光の中から、ゆっくりと人型の姿が形作られていく。
それは御影要の姿だった—完全に実体化してはいないが、村人全員がはっきりと見ることができる半透明の姿。
「皆…」
要の声が村全体に響き渡った。それはもはや地面に文字を描く必要のない、直接心に届く声だった。
「力を貸してくれてありがとう。お陰で私は戻ってこられた」
村人たちから安堵と喜びの声が上がった。リオは涙を流しながら光の柱に向かって駆け寄り、その前で跪いた。
「御影さん!無事だったんですね!」
要は微笑みを浮かべて頷いた。
「ああ、皆の思いが私を呼び戻してくれた。皆の『村を守りたい』という強い意志が、私に新たな力を与えてくれたんだ」
彼は村全体を見渡し、静かに宣言した。
「今、私たちは新たな段階へと進む。この村は単なる村ではなく、ダンジョンでもなく…」
要が両手を広げると、地面から強い光が放たれ、村全体が震動した。
「ダンジョン要塞として生まれ変わる!」
その瞬間、村全体が大きく変貌し始めた。まず、村の周囲を囲んでいた低い石垣が急速に成長し、高さを増していった。石垣は単に高くなるだけでなく、厚みを増し、その表面には青い魔力の脈が走った。
次に、村の四隅から石塔が生え出し、空高く伸びていった。それぞれの塔は異なる形状を持ち、北塔は剣のように鋭く、東塔は水晶のように透明感があり、南塔は炎の形を模し、西塔は盾のように堅牢だった。
村の中央部では、議事堂を中心に建物群が再構成され、同心円状の区画が形成されていった。外側の住居区、中間の商業区、そして中央の管理区という明確な区分けが生まれた。
地下では、ダンジョン部分が拡張し、複数の層を持つ立体的な構造へと変化していった。魔物たちは混乱することなく、新たな環境に適応しているようだった。
村人たちは恐れるどころか、歓声を上げてこの変化を見守っていた。まるで自分たちもこの変貌の一部であるかのように、皆が喜びに満ちていた。
クロードは議事堂から出て、この光景を呆然と見つめていた。彼の計画は完全に崩れ去り、目の前で「村」が「要塞」へと変貌していくのを止めることができなかった。
「クロード・クリスタル」
要の声が彼に向けられた。
「あなたと王国軍はこの場を去りなさい。二度と私たちを脅かさないでほしい」
クロードは怒りに顔を歪めた。
「黙れ!私は王国の騎士団長だ。こんな化け物の言うことなど聞くものか!」
彼は剣を抜き、光の姿に向かって突進した。しかし、地面が突如として隆起し、彼の行く手を阻んだ。
「無駄だ」
要は静かに言った。
「もはや私はかつての村ではない。ダンジョンの力と村の絆が融合した存在だ。私たちの敵対は意味がない」
クロードは剣を握りしめたまま、周囲を見回した。彼の騎士たちは既に大半が撤退するか、捕らえられていた。村は完全に変貌し、彼らは異世界に迷い込んだかのような状況に陥っていた。
「降伏しなさい」
要は再び言った。
「あなたの姉、ヴァレリアも間もなくここに来るだろう。彼女と話し合おう」
クロードは歯ぎしりしながらも、状況を理解していた。今は一時的な撤退が賢明だと判断したのだろう。
「覚えておけ。これで終わりではない」
彼は剣を鞘に戻し、残された騎士たちに撤退を命じた。彼らは村の西門—今や巨大な要塞の門となっていた—から出ていった。
要の姿はより明確になり、彼は地面に降り立った。リオとミラ、フィン、エリシア、ガストンが彼の元に駆け寄った。
「御影さん!本当に戻ってきたんですね!」
リオが喜びを抑えきれない様子で叫んだ。
要は微笑んで頷いた。
「ああ、皆のおかげだ。特に君たち評議員の活躍がなければ、私は二度と戻れなかったかもしれない」
彼は村—今や要塞—を見渡した。
「見てくれ。私たちの新しい姿を」
要塞は依然として変貌を続けていた。壁はより高く、より強固になり、内部の構造も洗練されていった。中央の大樹塔は空高く伸び、その枝からは青い光が四方に広がっていた。
【村レベル:5→7】
【住民数:50+】
【新スキル:ダンジョン要塞化】
要は新たに獲得したスキルの力を感じていた。それは村とダンジョンの力を完全に統合し、防御と生活、成長のバランスを取る力だった。
「これからは『みかげ要塞』だね」
フィンが感慨深げに言った。
エリシアが興奮した様子で語り始めた。
「魔力の流れが完全に変わりました。これは単なる形状の変化ではなく、存在そのものの進化です。研究価値は計り知れません!」
ミラもうなずいた。
「ダンジョンマスターの伝承にも、こんな例は記されていません。要さんは独自の道を切り開いているのです」
オーウェンが偵察から戻り、変貌した村—要塞—を見て驚きの声を上げた。
「これは…まさに伝説の要塞!」
彼は要に対して敬意を込めて一礼した。
「守護騎士として、この要塞を守ることを誓います」
住民たちも次々と集まり、新たな要塞の誕生を祝った。喜びと安堵の空気が村全体を包んでいた。
しかし、その時、東の空が奇妙な色に染まった。紫がかった赤い光が地平線から立ち上り、遠くで何かが起きていることを告げていた。
「あれは…」
エリシアが不安そうに空を見上げた。
「魔力の異常な集中。何かが起きています」
要も同じ方向を見ていた。彼の表情が真剣になった。
「ヴァレリアが何かをしたのか…」
その瞬間、遠方から巨大な魔力の波が押し寄せてきた。それは目に見える波ではなく、空気中の魔力が急激に乱れる現象だった。波が要塞に到達すると、魔法に敏感な者たちはその異常を体で感じ取った。
エリシアが震える声で言った。
「これは…予言の始まりかもしれません。古文書に記されていた『魔力暴走』の兆候です」
要はすぐに村全体—要塞全体—に意識を広げ、この魔力の波の影響を調査した。幸いにも、新たに形成された要塞の防御機能が住民たちを守っていた。しかし、外の世界では何が起きているのか分からなかった。
「フィン、外部の情報を集めてくれ」
要が指示を出すと、フィンは商人ネットワークを通じて情報収集を始めた。
その時、西門に一人の人影が現れた。全員が警戒して振り返ると、そこには疲れ切った様子のヴァレリア・クリスタルが立っていた。彼女の衣服は埃にまみれ、ところどころ破れていた。
「助けて…」
彼女は震える声で言った。
「王都が…大変なことになっている…」
オーウェンが剣を抜き、彼女に向けた。
「罠かもしれん。警戒せよ」
ヴァレリアは力なく膝をつき、頭を下げた。
「もう騙しはしない。本当に…危機なの」
要は彼女に近づき、直接対話した。
「何があった?」
「私は『紫の賢者』の遺跡で魔力の一部を解放してしまった…それが王都に到達し、制御不能な魔力暴走が始まった…」
彼女は涙を流しながら続けた。
「多くの人が傷つき、建物は崩壊し…私の力では止められない…」
エリシアとミラが彼女の話を聞き、お互いに目を見合わせた。
「古文書の警告が現実になった…」
エリシアが小声で言った。
「大陸魔力網の崩壊が始まっているのかもしれません」
ヴァレリアはうなずいた。
「そう…私たちは力を得るつもりだったけど、結果として魔力の均衡を崩してしまった…」
彼女は要を見上げた。
「あなたなら…この村—いえ、要塞なら、魔力を安定させる力があるかもしれない。それが最後の望みです」
要は思案した。彼が最も守りたいのは自分の村と住民たちだ。しかし、この魔力暴走が広がれば、最終的には村も無事では済まないだろう。
「皆」
要は評議員たちに向かって言った。
「重大な決断をしなければならない。このまま要塞として守りを固めるか、それとも世界の危機に立ち向かうか」
フィンが実利的な視点で述べた。
「危険を冒す必要はない。ここは十分に守られている」
一方、エリシアは異なる意見だった。
「いいえ、魔力暴走は最終的にここにも到達します。根本的な解決が必要です」
オーウェンは軍事的観点から分析した。
「敵を知ることは重要だ。情報収集のために少なくとも調査隊の派遣は検討すべきだろう」
リオは迷いがちに言った。
「御影さんがいなくなるのは不安です…でも、皆を守るためなら…」
ミラが最後に付け加えた。
「要さんには特別な力がある。『場所の意志』として、魔力網を安定させる可能性があります」
要は議論を聞き、評議員たちの意見を尊重しながらも、最終的な決断を下さなければならなかった。
彼は深く息を吸い、決意を固めた。
「私たちは動く」
全員が驚いた表情で要を見つめた。
「動く?どういう意味ですか?」
エリシアが尋ねた。
要は説明した。
「新たに得た『ダンジョン要塞化』の力には、想像以上の可能性がある。私は単に形を変えただけでなく、さらなる進化の糸口を掴んだ」
彼は地面に手を置き、新たな力を呼び起こした。
「私たちは要塞ごと移動する。王都へ向かい、魔力暴走を止める」
村人たちからは驚きと不安の声が上がった。要塞ごと移動するなど、前代未聞の提案だった。
「可能なのか?」
フィンが懸念を示した。
要はうなずいた。
「難しいが、不可能ではない。私の意識と要塞は一体化している。地盤を動かす力を得たことで、要塞全体を移動させることができるはずだ」
【新スキル:地盤移動(初級)】
このスキルを使えば、要塞の基礎となる地盤を少しずつ移動させることができる。それは緩慢な移動だが、確実に場所を変えることができるものだった。
評議員たちは互いに顔を見合わせ、議論を始めた。最終的に、彼らは要の決断を支持することで合意した。
「ならば準備を始めよう」
フィンが実務的に言った。
「移動中の生活維持、物資の確保、防衛体制の構築…考えるべきことは多い」
オーウェンが付け加えた。
「移動要塞という概念自体が前例のないもの。多くの困難が予想される」
ヴァレリアは希望の光を見つけたように、要に深く頭を下げた。
「感謝します…王都の人々を救う可能性を与えてくれて…」
要は彼女に厳しい視線を向けた。
「私の目的は村と住民を守ること。そして結果的に世界の安定を取り戻すこと。王国の都合で動くわけではない」
彼は全住民に向けて宣言した。
「明日から準備を始める。三日後、私たちは『移動要塞みかげ』として、新たな旅を始める」
村人たちは不安と興奮が入り混じった様子で、この宣言を受け止めた。未知の冒険が始まろうとしていたが、彼らには絆という強さがあった。
夜空には異様な色の光が広がり続け、遠方では魔力暴走の影響が広がりつつあったが、要塞の中は静かな決意に満ちていた。
【御影要】
【村レベル:7→8】
【住民数:100+】
【新スキル:地盤移動(初級)】
【現状:ダンジョン要塞化完了、移動要塞への準備開始】
【次の目標:王都へ向かい、魔力暴走を止める】
月明かりの下、新たに生まれた要塞は青く輝き、世界を救う旅への準備を始めていた。
---
リオは広場の中央に立ち、その光景を見守っていた。周囲の村人たちも家から出て、この異変を見つめていた。
「来る…」
リオは小さく呟いた。彼の体が僅かに震えていたが、それは恐怖ではなく、期待と高揚のためだった。
議事堂の下では、クロードが急いで儀式の準備を進めていた。彼の前には五人の村人が強制的に連れてこられ、魔法の円の中に立たされていた。
「急げ!」
クロードは焦りを隠せず、部下の騎士たちに指示を飛ばしていた。
「魔力の流れが変わり始めている。『場所の意志』が目覚める前に儀式を完了させねば」
彼は古い羊皮紙に書かれた呪文を詠唱し始めた。呪文が進むにつれ、連れてこられた村人たちの周りに赤い光が現れ、彼らから生命力が少しずつ吸い取られていった。
「やめろ!」
突然の声にクロードが振り向くと、そこにはエリシアとミラが立っていた。二人は合わせた魔法で騎士たちを押しのけ、儀式場に突入していた。
「この儀式は中断する!」
エリシアが宣言し、魔法の障壁を展開して村人たちを守った。
クロードの顔に怒りが浮かんだ。
「邪魔をするな!これは王国の未来のための必要な犠牲だ!」
ミラが冷たく答えた。
「必要な犠牲?他者の命を奪い、『場所の意志』を歪める行為が?」
クロードは笑った。
「お前たちには理解できまい。ダンジョンと村の融合体であるこの場所の力は、王国の繁栄に不可欠なのだ。姉上と私はそれを見抜いた」
エリシアとミラの連携魔法がさらに強まり、儀式の円に亀裂が入り始めた。それを見たクロードは、自ら剣を抜いて二人に向かって突進した。
村の上空では、雲が月を隠し始め、風が強まっていた。まるで嵐が来るかのような気配が漂い、村人たちは不安と期待が入り混じった表情で空を見上げていた。
そこにフィンとガストンが現れ、村人たちに指示を出し始めた。
「全員、広場に集まれ!今夜、村が変わる!」
フィンが呼びかけると、村人たちは次々と中央広場へと向かった。
リオは広場の中心で、両手を広げて月に向かって呼びかけた。
「御影さん!皆が待っています!帰ってきてください!」
彼の声が村全体に響き渡ると、地面から漏れる青い光がさらに強まった。議事堂に設置されていた抑制装置から火花が散り、機械が悲鳴を上げるような音を立てていた。
村の外では、セイレーン率いる水族の一団が東の湖から姿を現し、村を取り囲む王国軍の外周部隊と交戦を始めていた。水の魔法が夜空に躍り、王国兵たちを混乱させていた。
クロードはエリシアとミラの抵抗に苛立ちを隠せなかった。彼は儀式を中断せざるを得ず、急いで議事堂の上層へと戻り、状況を把握しようとした。
「何が起きている?」
彼が窓から見た光景に、言葉を失った。
村全体が青い光に包まれ、地面が波打ち、家々が動き始めていた。それは単なる揺れではなく、まるで村全体が形を変えようとしているかのようだった。
「不可能だ…」
クロードは震える声で呟いた。
「装置の効果が切れるはずがない…」
その時、議事堂の中央に置かれた抑制装置が激しい音を立てて爆発した。装置の破片が部屋中に飛び散り、議事堂全体が青白い光に包まれた。
爆発の衝撃でクロードは壁に叩きつけられ、一瞬気を失った。目を覚ますと、目の前には信じられない光景が広がっていた。
議事堂の床から一本の巨大な樹木が生え出し、天井を突き破って空へと伸びていた。それは普通の樹木ではなく、まるで生きた塔のように見え、表面には青い魔力の脈が流れていた。
「これは…」
クロードは恐怖に目を見開いた。
広場では、集まった村人たちが見守る中、地面から青い光の柱が立ち上がった。その光の中から、ゆっくりと人型の姿が形作られていく。
それは御影要の姿だった—完全に実体化してはいないが、村人全員がはっきりと見ることができる半透明の姿。
「皆…」
要の声が村全体に響き渡った。それはもはや地面に文字を描く必要のない、直接心に届く声だった。
「力を貸してくれてありがとう。お陰で私は戻ってこられた」
村人たちから安堵と喜びの声が上がった。リオは涙を流しながら光の柱に向かって駆け寄り、その前で跪いた。
「御影さん!無事だったんですね!」
要は微笑みを浮かべて頷いた。
「ああ、皆の思いが私を呼び戻してくれた。皆の『村を守りたい』という強い意志が、私に新たな力を与えてくれたんだ」
彼は村全体を見渡し、静かに宣言した。
「今、私たちは新たな段階へと進む。この村は単なる村ではなく、ダンジョンでもなく…」
要が両手を広げると、地面から強い光が放たれ、村全体が震動した。
「ダンジョン要塞として生まれ変わる!」
その瞬間、村全体が大きく変貌し始めた。まず、村の周囲を囲んでいた低い石垣が急速に成長し、高さを増していった。石垣は単に高くなるだけでなく、厚みを増し、その表面には青い魔力の脈が走った。
次に、村の四隅から石塔が生え出し、空高く伸びていった。それぞれの塔は異なる形状を持ち、北塔は剣のように鋭く、東塔は水晶のように透明感があり、南塔は炎の形を模し、西塔は盾のように堅牢だった。
村の中央部では、議事堂を中心に建物群が再構成され、同心円状の区画が形成されていった。外側の住居区、中間の商業区、そして中央の管理区という明確な区分けが生まれた。
地下では、ダンジョン部分が拡張し、複数の層を持つ立体的な構造へと変化していった。魔物たちは混乱することなく、新たな環境に適応しているようだった。
村人たちは恐れるどころか、歓声を上げてこの変化を見守っていた。まるで自分たちもこの変貌の一部であるかのように、皆が喜びに満ちていた。
クロードは議事堂から出て、この光景を呆然と見つめていた。彼の計画は完全に崩れ去り、目の前で「村」が「要塞」へと変貌していくのを止めることができなかった。
「クロード・クリスタル」
要の声が彼に向けられた。
「あなたと王国軍はこの場を去りなさい。二度と私たちを脅かさないでほしい」
クロードは怒りに顔を歪めた。
「黙れ!私は王国の騎士団長だ。こんな化け物の言うことなど聞くものか!」
彼は剣を抜き、光の姿に向かって突進した。しかし、地面が突如として隆起し、彼の行く手を阻んだ。
「無駄だ」
要は静かに言った。
「もはや私はかつての村ではない。ダンジョンの力と村の絆が融合した存在だ。私たちの敵対は意味がない」
クロードは剣を握りしめたまま、周囲を見回した。彼の騎士たちは既に大半が撤退するか、捕らえられていた。村は完全に変貌し、彼らは異世界に迷い込んだかのような状況に陥っていた。
「降伏しなさい」
要は再び言った。
「あなたの姉、ヴァレリアも間もなくここに来るだろう。彼女と話し合おう」
クロードは歯ぎしりしながらも、状況を理解していた。今は一時的な撤退が賢明だと判断したのだろう。
「覚えておけ。これで終わりではない」
彼は剣を鞘に戻し、残された騎士たちに撤退を命じた。彼らは村の西門—今や巨大な要塞の門となっていた—から出ていった。
要の姿はより明確になり、彼は地面に降り立った。リオとミラ、フィン、エリシア、ガストンが彼の元に駆け寄った。
「御影さん!本当に戻ってきたんですね!」
リオが喜びを抑えきれない様子で叫んだ。
要は微笑んで頷いた。
「ああ、皆のおかげだ。特に君たち評議員の活躍がなければ、私は二度と戻れなかったかもしれない」
彼は村—今や要塞—を見渡した。
「見てくれ。私たちの新しい姿を」
要塞は依然として変貌を続けていた。壁はより高く、より強固になり、内部の構造も洗練されていった。中央の大樹塔は空高く伸び、その枝からは青い光が四方に広がっていた。
【村レベル:5→7】
【住民数:50+】
【新スキル:ダンジョン要塞化】
要は新たに獲得したスキルの力を感じていた。それは村とダンジョンの力を完全に統合し、防御と生活、成長のバランスを取る力だった。
「これからは『みかげ要塞』だね」
フィンが感慨深げに言った。
エリシアが興奮した様子で語り始めた。
「魔力の流れが完全に変わりました。これは単なる形状の変化ではなく、存在そのものの進化です。研究価値は計り知れません!」
ミラもうなずいた。
「ダンジョンマスターの伝承にも、こんな例は記されていません。要さんは独自の道を切り開いているのです」
オーウェンが偵察から戻り、変貌した村—要塞—を見て驚きの声を上げた。
「これは…まさに伝説の要塞!」
彼は要に対して敬意を込めて一礼した。
「守護騎士として、この要塞を守ることを誓います」
住民たちも次々と集まり、新たな要塞の誕生を祝った。喜びと安堵の空気が村全体を包んでいた。
しかし、その時、東の空が奇妙な色に染まった。紫がかった赤い光が地平線から立ち上り、遠くで何かが起きていることを告げていた。
「あれは…」
エリシアが不安そうに空を見上げた。
「魔力の異常な集中。何かが起きています」
要も同じ方向を見ていた。彼の表情が真剣になった。
「ヴァレリアが何かをしたのか…」
その瞬間、遠方から巨大な魔力の波が押し寄せてきた。それは目に見える波ではなく、空気中の魔力が急激に乱れる現象だった。波が要塞に到達すると、魔法に敏感な者たちはその異常を体で感じ取った。
エリシアが震える声で言った。
「これは…予言の始まりかもしれません。古文書に記されていた『魔力暴走』の兆候です」
要はすぐに村全体—要塞全体—に意識を広げ、この魔力の波の影響を調査した。幸いにも、新たに形成された要塞の防御機能が住民たちを守っていた。しかし、外の世界では何が起きているのか分からなかった。
「フィン、外部の情報を集めてくれ」
要が指示を出すと、フィンは商人ネットワークを通じて情報収集を始めた。
その時、西門に一人の人影が現れた。全員が警戒して振り返ると、そこには疲れ切った様子のヴァレリア・クリスタルが立っていた。彼女の衣服は埃にまみれ、ところどころ破れていた。
「助けて…」
彼女は震える声で言った。
「王都が…大変なことになっている…」
オーウェンが剣を抜き、彼女に向けた。
「罠かもしれん。警戒せよ」
ヴァレリアは力なく膝をつき、頭を下げた。
「もう騙しはしない。本当に…危機なの」
要は彼女に近づき、直接対話した。
「何があった?」
「私は『紫の賢者』の遺跡で魔力の一部を解放してしまった…それが王都に到達し、制御不能な魔力暴走が始まった…」
彼女は涙を流しながら続けた。
「多くの人が傷つき、建物は崩壊し…私の力では止められない…」
エリシアとミラが彼女の話を聞き、お互いに目を見合わせた。
「古文書の警告が現実になった…」
エリシアが小声で言った。
「大陸魔力網の崩壊が始まっているのかもしれません」
ヴァレリアはうなずいた。
「そう…私たちは力を得るつもりだったけど、結果として魔力の均衡を崩してしまった…」
彼女は要を見上げた。
「あなたなら…この村—いえ、要塞なら、魔力を安定させる力があるかもしれない。それが最後の望みです」
要は思案した。彼が最も守りたいのは自分の村と住民たちだ。しかし、この魔力暴走が広がれば、最終的には村も無事では済まないだろう。
「皆」
要は評議員たちに向かって言った。
「重大な決断をしなければならない。このまま要塞として守りを固めるか、それとも世界の危機に立ち向かうか」
フィンが実利的な視点で述べた。
「危険を冒す必要はない。ここは十分に守られている」
一方、エリシアは異なる意見だった。
「いいえ、魔力暴走は最終的にここにも到達します。根本的な解決が必要です」
オーウェンは軍事的観点から分析した。
「敵を知ることは重要だ。情報収集のために少なくとも調査隊の派遣は検討すべきだろう」
リオは迷いがちに言った。
「御影さんがいなくなるのは不安です…でも、皆を守るためなら…」
ミラが最後に付け加えた。
「要さんには特別な力がある。『場所の意志』として、魔力網を安定させる可能性があります」
要は議論を聞き、評議員たちの意見を尊重しながらも、最終的な決断を下さなければならなかった。
彼は深く息を吸い、決意を固めた。
「私たちは動く」
全員が驚いた表情で要を見つめた。
「動く?どういう意味ですか?」
エリシアが尋ねた。
要は説明した。
「新たに得た『ダンジョン要塞化』の力には、想像以上の可能性がある。私は単に形を変えただけでなく、さらなる進化の糸口を掴んだ」
彼は地面に手を置き、新たな力を呼び起こした。
「私たちは要塞ごと移動する。王都へ向かい、魔力暴走を止める」
村人たちからは驚きと不安の声が上がった。要塞ごと移動するなど、前代未聞の提案だった。
「可能なのか?」
フィンが懸念を示した。
要はうなずいた。
「難しいが、不可能ではない。私の意識と要塞は一体化している。地盤を動かす力を得たことで、要塞全体を移動させることができるはずだ」
【新スキル:地盤移動(初級)】
このスキルを使えば、要塞の基礎となる地盤を少しずつ移動させることができる。それは緩慢な移動だが、確実に場所を変えることができるものだった。
評議員たちは互いに顔を見合わせ、議論を始めた。最終的に、彼らは要の決断を支持することで合意した。
「ならば準備を始めよう」
フィンが実務的に言った。
「移動中の生活維持、物資の確保、防衛体制の構築…考えるべきことは多い」
オーウェンが付け加えた。
「移動要塞という概念自体が前例のないもの。多くの困難が予想される」
ヴァレリアは希望の光を見つけたように、要に深く頭を下げた。
「感謝します…王都の人々を救う可能性を与えてくれて…」
要は彼女に厳しい視線を向けた。
「私の目的は村と住民を守ること。そして結果的に世界の安定を取り戻すこと。王国の都合で動くわけではない」
彼は全住民に向けて宣言した。
「明日から準備を始める。三日後、私たちは『移動要塞みかげ』として、新たな旅を始める」
村人たちは不安と興奮が入り混じった様子で、この宣言を受け止めた。未知の冒険が始まろうとしていたが、彼らには絆という強さがあった。
夜空には異様な色の光が広がり続け、遠方では魔力暴走の影響が広がりつつあったが、要塞の中は静かな決意に満ちていた。
【御影要】
【村レベル:7→8】
【住民数:100+】
【新スキル:地盤移動(初級)】
【現状:ダンジョン要塞化完了、移動要塞への準備開始】
【次の目標:王都へ向かい、魔力暴走を止める】
月明かりの下、新たに生まれた要塞は青く輝き、世界を救う旅への準備を始めていた。
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バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
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バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
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しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
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「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
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『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
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> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
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