異世界モテ革命！実用恋愛スキル×最強レベルで王国無双

第10話「俺のモテスキル、ビジネスでも通用する」

「平和特使」の称号を得てから一週間が経った。俺の日常は一変した。かつては王女の顧問という立場だったが、今では王国の重要人物として独自の権限と責任を持つようになった。

今日も朝から王宮の特別執務室で仕事に追われていた。執務室には、俺の活動を支援するために配属された秘書のソフィアがいる。彼女は20代半ばの聡明な女性で、驚くほど仕事が早い。

「特使様、今日の午後には商工ギルドの代表との会議があります」ソフィアが予定表を確認しながら言った。「彼らはミラディアの森からの資源活用について相談したいそうです」

「ありがとう、ソフィア」俺は微笑んだ。「それと、特使様なんて堅苦しく呼ばなくていいよ。藤原でいいから」

「それは…」彼女は戸惑った様子だが、すぐに微笑んだ。「分かりました、藤原様」

『ソフィアの好感度：25/100』

新たな好感度メーターが表示されたが、まだ業務関係の域を出ていない。

帝国との平和合意後、俺の仕事は外交だけでなく、内政にも広がりつつあった。特に、ミラディアの森の共同管理に関する実務を任されている。これは「モテ外交」スキルの応用場面だ。

午前中、フィリアが会議のために訪れた。彼女は最近、俺の活躍に合わせて自身の政治的影響力も拡大しつつあるようだ。

「遼、商工ギルドとの会議は大事よ」フィリアは真剣な表情で言った。「彼らは経済の要。森の資源利用権をめぐって激しい競争が起きているわ」

「なるほど」俺は頷いた。「資源配分の問題ですね」

「そう。公平に見えて、かつ効率的な配分方法を考えないと」

「何か案はありますか？」

「それを考えるのがあなたの仕事よ」フィリアは微笑んだ。「あなたのアイデアを聞かせて」

ここで「異世界×現実的テクニック」の出番だ。

「オークション制度はどうでしょう？」俺は提案した。「資源の採取権をブロックごとに分け、ギルドや商人たちが入札する。最高入札者が権利を得る」

フィリアは驚いた表情をした。「オークション？面白いわね。でも、それだと資金力のある大ギルドばかりが権利を得るのでは？」

「だから、一部のブロックは小規模ギルド向けに別枠で設けるんです」俺は説明を続けた。「それに、入札で得た資金は森の保全やエルフへの補償に充てる。Win-Winの関係を築けます」

「素晴らしいアイデアね！」フィリアの目が輝いた。「これなら経済的効率と公平性の両立ができる」

『フィリアの好感度+5。現在の好感度：100/100』

『警告：フィリアの好感度が最大値に達しました。重大なイベント発生の可能性があります』

またも好感度が最大値に達した。しかも今度はフィリア王女だ。これは複雑な状況になりそうだ。

午後の商工ギルド代表との会議は、予想以上に難航した。ギルド長のマルクス・フォン・ハイデンレイヒは60代の頑固な男性で、既得権益を守ることに必死だった。

「オークション？冗談ではない」マルクスは眉をひそめた。「我々は代々王国の商業を支えてきた。特別な配慮があって当然だ」

ここで「カリスマ的スピーチ術」と「相手の価値観分析」を組み合わせる。

『分析結果：対象は伝統と名誉を重視。変化を恐れるが、表面上の地位と評価に非常に敏感』

「マルクス会長」俺は穏やかな声で言った。「ギルドの長い歴史と功績は王国が誇るべきものです。だからこそ、新しい時代の先駆者となっていただきたい」

マルクスは少し表情を和らげた。

「このオークション制度では、大ギルドには『名誉ある先行入札権』を設けます」

「先行入札権？」

「はい。最初の入札ラウンドでは、伝統あるギルドのみが参加できる特別枠です。これは王国が長年の貢献に感謝する証です」

実質的には大差ないが、「名誉ある先行入札権」という言葉がマルクスの琴線に触れたようだ。

「なるほど…」彼は考え込んだ。「それなら検討の価値はあるな」

会議は思いのほかスムーズに進み、基本合意に達した。ギルド側も新制度を受け入れる準備があることを示した。

会議が終わり、マルクスが去った後、同席していたフィリアが感心した様子で言った。

「見事だったわ。マルクスは頑固で知られているのに、あなたは難なく説得した」

「彼が本当に求めていたのは、尊重されることだったんです」俺は説明した。「経済的利益だけでなく、社会的評価も重要なんですよ」

「あなたの人を見る目は本当に素晴らしいわ」フィリアは真摯に言った。「遼…今夜、個人的にお話ししたいことがあるの。私の居室に来てくれる？」

その真剣な表情に、何か重要な話があるのだろうと察した。

「もちろん」

フィリアが去った後、執務室に戻ると、エレオノーラからの招待状が届いていた。明後日、彼女の私的な茶会に招かれているという。政治的な駆け引きの場になりそうだ。

夕方、執務を終えて部屋に戻ると、ルナが待っていた。彼女は王宮の薬草師としての仕事が忙しく、最近はあまり会えていなかった。

「遼、久しぶり！」彼女は嬉しそうに飛びついてきた。「最近忙しくて会えなくてごめんね」

「俺も忙しかったよ。元気だった？」

「うん！」ルナは目を輝かせた。「王宮の薬草園が充実してきたの。エルフの知識を活かせて嬉しいわ」

「それは良かった」

「それと」彼女は少し恥ずかしそうに言った。「明日、一緒に王都を案内してほしいな。仕事ばかりじゃなくて、たまには休んでもいいでしょ？」

確かに、「平和特使」になってから休む暇もなかった。少しリフレッシュするのも良いかもしれない。

「いいね、明日の午後なら時間が取れそうだ」

「やった！」ルナは飛び跳ねて喜んだ。

『ハーレムバランス調整：ルナの好感度維持 100/100』

夜になり、約束通りフィリアの居室を訪れた。彼女の私室は王宮の中でも特に美しい空間で、上品な装飾と芸術品に囲まれている。

「来てくれてありがとう、遼」フィリアは普段より少しくだけた様子で迎えてくれた。彼女はいつもの正装ではなく、シンプルなドレス姿だった。

「何か話があると聞いて」

「ええ」彼女はバルコニーへと俺を導いた。「ここなら誰にも邪魔されないわ」

バルコニーからは王都の夜景が一望でき、二つの月が空を照らしている。

「遼」フィリアが真剣な表情で言った。「あなたが来てから、私の人生は大きく変わったわ」

「僕もです」

「正直に言うと…」彼女は少し言葉を選ぶように間を置いた。「あなたのことが好きになってしまったの」

予想はしていたが、王女からの告白は心臓を高鳴らせた。

「フィリア…」

「答えは急がないで」彼女は優しく言った。「私の立場上、簡単な関係ではないことは分かってる。でも、気持ちだけは伝えておきたかったの」

ここでどう対応するべきか。「究極の口説き文句」というスキルが頭をよぎったが、それを使うのは違う気がした。ここは素直な気持ちを伝えるべきだろう。

「フィリア、僕もあなたに特別な感情を持っています」俺は真摯に言った。「でも、あなたの言う通り、簡単な関係ではない。王女としての立場もあるし…」

「それに」フィリアが小さく笑った。「ルナやセリア、他の女性たちもあなたを慕っているわよね」

「え？」思わず声が出た。「そんなこと…」

「隠さなくていいわ」彼女は意外にも穏やかに言った。「あなたの魅力は特別だもの。独占しようとは思わないわ」

「フィリア…」

「ただ、私の気持ちも忘れないでほしい」彼女はそっと俺の手を取った。

この瞬間、異世界ならではの価値観に触れた気がした。どうやら、この世界の恋愛文化は地球とは少し違うようだ。

バルコニーでの会話の後、居室に戻ると、フィリアは一枚の手紙を俺に渡した。

「これは何ですか？」

「北部領主からの招待状よ」彼女は説明した。「北部地方の経済振興を手伝ってほしいそうよ。あなたのビジネスの才能が評判になってるの」

「僕のビジネスの才能？」

「ええ。マルクスとの交渉が成功して以来、あなたは『モテるだけでなく商才もある』と話題になってるわ」

思わず笑ってしまった。「実用恋愛スキル」がビジネスの場でも通用するなんて。

「行かせてもらいます」俺は頷いた。「北部地方の状況も知りたいですし」

「素晴らしいわ」フィリアは微笑んだ。「来週から二週間ほどの旅になるけど、良い経験になるはず」

フィリアの居室を後にし、自室に戻る途中、セリアと出会った。彼女は夜の警備の任についていたようだ。

「遅い時間まで執務か？」セリアが尋ねた。

「いや、フィリアと話していたんだ」

「そうか」彼女の表情が少し曇った。「王女様と…親しくなったようだな」

「仕事の話も含めてね」俺は言葉を濁した。

セリアは少し沈黙した後、言った。「北部への旅は警護が必要だ。私が同行する」

「本当に？ありがとう、セリア」

「当然だ」彼女はいつもの厳しい表情に戻った。「私の仕事だからな」

典型的なツンデレ反応だ。しかし、その表情の奥に何か感情が隠されているように見えた。

『セリアの好感度+5。現在の好感度：70/100』

自室に戻ると、俺は今日の出来事を振り返っていた。フィリアからの告白、ルナとの約束、セリアの複雑な感情…そして北部への旅の話。「実用恋愛スキル」が恋愛だけでなく、ビジネスや政治でも活躍する場面が増えている。

机に向かい、北部地方の経済状況について調べ始めた。資料によると、北部は鉱山資源が豊富だが、物流の問題で経済が停滞しているという。これは「モテ力で王国建設」のチャンスかもしれない。

そんなことを考えていると、頭の中にメッセージが表示された。

『中級恋愛スキル「ビジネスカリスマ」が習得可能になりました』

（使用する）

『スキル効果：恋愛スキルをビジネスや経済活動に応用する能力。交渉力や組織マネジメント能力が強化されます』

なるほど、恋愛スキルがビジネススキルに発展するとは。地球の恋愛指南書には「モテる男は仕事もできる」と書いてあったが、まさかこんな形で実現するとは思わなかった。

窓から夜空を見上げると、星々が煌めいている。異世界での生活は予想以上に充実していた。現世での冴えない大学生からは想像もできないような展開だ。

翌日、ルナとの王都観光を楽しんだ。彼女の案内で、王都の市場や庶民の暮らしに触れることができた。貴族社会と一般市民の生活レベルには大きな差があり、改善の余地を感じた。

「遼、北部に行くんだって？」夕食を取りながら、ルナが尋ねた。

「うん、来週から二週間ほど」

「私も行きたい！」彼女は目を輝かせた。「北部には特殊な薬草があるって聞くから」

「それは良いかもしれないね」俺は微笑んだ。「セリアも同行するし、楽しい旅になりそうだ」

「やった！」ルナは嬉しそうに手を叩いた。

その夜、部屋に戻って就寝する前に、スキルの状況を確認した。

『中級恋愛スキル「ビジネスカリスマ」習得完了
現在のスキルマスターレベル：4→5に上昇
中級スキル習得状況：5/10』

『モテ外交スキルツリー進化！「経済発展の指導者」の称号を獲得しました』

どうやら、「実用恋愛スキル」は更なる進化を遂げているようだ。称号まで獲得するとは。

『現在のハーレム形成度：80%
メンバー：ルナ（100/100）、マリア（80/100）、シルヴィア（85/100）、フィリア（100/100）、セリア（70/100）、ヘルガ（40/100）、ソフィア（25/100）』

ハーレム形成度が80%に達し、メンバーも増えている。フィリアの好感度も最大値になった。これは責任重大だ。

「モテ力で王国建設」という言葉が、もはや冗談ではなく現実味を帯びてきた。恋愛スキルが政治、外交、そして今やビジネスにまで影響を及ぼしている。

北部への旅は、新たな挑戦と可能性を秘めているようだ。恋愛スキルを駆使して、どんな成果を上げられるだろうか。そして、複雑化する女性たちとの関係はどうなっていくのか。

俺は、期待と不安が入り混じる気持ちで眠りについた。