ぼくは妖怪配信者!

神伊 咲児

文字の大きさ
7 / 23
妖怪の友達

第7話 なんかバズった

しおりを挟む
 母さんは目を見開く。

「チャンネル登録者は……。に、二万人!? 完全にバズってるわね」

 バズってるか……。
 この言葉ってテレビとか学校でよく聞くんだけど意味はよくわからないんだよね。
 
「ねぇ。バズるってどういう意味?」

「バズるってのは流行り言葉ね。ハチがブンブン騒いで飛んでいるのを英語で「buzz」っていうのよ。そこからネットで人が騒ぐことをバズるというようになったの。要するに話題性があって大勢の人から注目されているってことね」

「へぇ……」

 じゃあ、僕の生配信が人気が出てるってことか。

「すごいわよ優斗! 一体、どんな生配信をしたのよ!?」

「あ、いや……。その……。大した動画じゃなかったと思うけど……」

「動画は二十分ね。学校までは時間があるから一緒に観てみましょうよ」

「ああ……う、うん」

 どうしよう。
 このままじゃあ妖怪のことがバレちゃうよぉ。

 案の定。
 動画はバッチリと 目目連もくもくれんの目玉を映していた。
 そして、ネズミ神社に入ったかと思うと、部屋の天地が回転。
 逆さベッタラが現れて、最後は瓢箪ネズミが顔を出した。

『わんわん!』

  毛毛丸けけまるは「次はオイラの出番だな」とばかりに尻尾を振る。

 ああ、出番はいいけど、 毛毛丸けけまるがしゃべる犬っていうのがバレてしまうよ。

 しかし、そんな不安もなく。
 動画は携帯の充電切れによって、 毛毛丸けけまるの登場前。瓢箪ネズミのところで終わっていたのだった。

 よ、良かったぁ……。
  毛毛丸けけまるの正体がバレなかったよ。
 まぁ、彼は残念そうだけどね。

『わぅ~~』

 母さんはプルプルと震えていた。

 お、怒ってるのかな?
 そりゃ、そうだよね。
 僕はタガメを撮影するって言ったんだからさ。
 妖怪を撮っているんだもん。
 怒って当然だよね。

「優斗ぉおおおおおおおおお!!」

「は、はい」

 僕は頭を下げようとした。

「ごめんさな──」

 その時。

「すごいじゃないーー!」

「え?」

 あれ?
 怒ってないのか?

「妖怪の動画なんて見たことないわ!」

「そ、そうかな?」

「ネットでもあなたのチャンネルの噂が広まっているわよ!」

「そうなんだ……」

「特殊メイクがすごいって絶賛してる人が大勢いるわ!」

「特殊メイク? そんなの使ってないけど?」

「ふふふ。ネットってそういう所なのよ。妖怪なんて、すぐには信じられないわよ」

「……か、母さんも信じてないのかな?」

「まさか。私は信じるに決まっているじゃない。優斗がそんな器用なことができるわけないでしょ」

「あ、うん……」

 喜んでいいのかな?

「すごいわ! 優斗!」

「お、怒ってないの?」

「なんで怒るのよ?」

「だって……。タガメを撮影するって言ってたからさ」

「妖怪の方がすごいじゃない! 世界初よ! こんな映像。よく撮影できたわね!」

「うん……。なんか、妖怪の住む世界に迷い込んでしまったんだ。ここは妖怪の住む場所でね。ネズミ神社っていうんだ」

「へぇ~~」

 母さんは何度も巻き戻して動画を見ていた。
 妖怪のシーンは手を叩いて大喜び。「妖怪って本当にいるのねぇ~~」と感心してから満足げに笑った。

「優斗は本当に偉いわね」

「なにが?」

「姫井ヶ森の名前を言わなかったもの」

 これは母さんに注意を受けていたからね。

「あなたが地名を言わなかったらか、ネットではこの森の場所が知られていないわね」

「それがいいことなの?」

「当然でしょ。もしも、妖怪がいる森、なんて世間に知れ渡ってみなさいよ。たちまち大人気になるわよ。大勢の人たちが押し寄せてね。森の中は、捕獲網やカメラを持った人間で埋め尽くされてしまうわよ。今頃、姫井ヶ森は大パニックになっていたわね」

「うわぁ……」

 そんなに人が大勢いる姫井ヶ森は嫌だなぁ。

「だから、優斗は偉い! ちゃんと私のいうことを守ったわね」

「う、うん」

「これで牛田くんに自慢できるじゃない」

「え?」

「牛田くんはチャンネル登録者数二百人。あなたのはチャンネル登録者数二万人なんだからさ」

「あ、いや……」

 多すぎるんだよな……。
 不必要な恨みを買いそうで怖いよ。

 僕がこんな動画を撮ったことを牛田に自慢したら……。

『優斗だけずるいぞ! 俺にも妖怪に合わせろよな! ネズミ神社に俺を連れて行け!』

 ってなるよねぇ。
 
「自慢なんてできないよぉ。そんなことをしたら妖怪の存在も、この森のことも世間にバレてしまうじゃないか」

「あら、それもそうね」

「でも、ふふふ……。優斗がすごいことには変わりないわよ。だってチャンネル登録者二万人なのよ? こんな小学生、なかなかいないわよ」

「う、うん……」

 そうだった。
 僕のチャンネルが二万人もの人が観てくれてるんだった。

「ふふふ。有名配信者になった感想を一言お願いします」

 えーー。

「なんか照れるなぁ」

 お母さんは拳をマイクに見立てて僕の口の前に持ってきた。

「一言どうぞ」

「う、うれしいです」

「おめでとう。優斗!」

「うん。……ありがとう」

「……配信者。やって良かったでしょ?」

「うん!」

 本当だ。
 タガメは撮れなかったけど、母さんのいうとおり、チャレンジしてみたらこんなにすごいことになっちゃった。
 やっぱり、何事もやってみなくちゃわからないんだ。

「あら、もうこんな時間。朝ごはん食べて、学校に行く時間よ」

「う、うん」

 僕は朝食のパンにかぶりついた。



「行ってきます!」

 僕はランドセルを背負って学校に向かう。
 その中には、

『へへへ。オイラ、学校に行くのが初めてなんだよなぁ』

 教科書の隙間に真っ白い毛の塊になって詰め込んでいるのは 毛毛丸けけまるだった。

「なんで君まで学校に行くんだよぉ」

 目目連もくもくれんがいつ襲ってくるかわかんないからな。用心のためだぜ』

「僕を守ってくれるのはありがたいけどね。絶対にバレないようにしてよね」

『おう。任せとけ!』

 うう、ちょっと不安だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

お姫様の願い事

月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

処理中です...